伝記作者として有名なウォルター・アイザックソンによる、RNA研究 を描いた本。
まだ読破中だったものの、ネタ的にまさに「最新」なので、あえて(上)の時点で「読中評」をアップした(笑)
(上)は、この本の主人公となる、ジェニファー・ダウドナ の犯した失敗から本は始まる。
(2020年 ノーベル化学賞 受賞、米国カリフォルニア大学バークレイ校 )
コロナウイルスの急激な拡大でキャンパスが閉鎖されたその日、息子を迂闊にもイベントに送り出してしまったのだ!
幸いそのイベントも中止となったため、事なきを得たものの、この事件をきっかけに彼女が覚醒する。
「コロナウイルスを倒す」
その日は、2020年 3月13日。
そして(下)
クライマックスは222ページからの 第48章。
2020年2月末。
パンデミックが中国のみならず世界に拡大しつつあった最中、たまさか立ち上げていた産学連動のプロジェクトが役に立つ。
ダウドナを中心としたチームが立ち上がり、RNAワクチンの開発が急ピッチに進められることに。
伝統的ワクチンと違い、こちらは遺伝子ワクチン。
遺伝子や遺伝コードの一部を投与する、というもの。
大きな特徴として、あくまでもDNAの核外で機能するという利点があった!
こうしてコロナウイルス感染症が世界各地で拡大する中、2つのワクチンがアメリカ合衆国で初めて認可される。
こうしてアメリカ合衆国は、パンデミックと闘うバイオテクノロジーの先頭に立った。
我々はコロナ禍というマイナスすらプラスに転じた(かもしれない)RNA研究の進歩、の生き証人になったかもしれない。
実は当ブログ、トピックがトピックだけに、ぶっちゃけ「ゲノム編集の世紀」という本も並行して読んでいた。
お互いのエピソードがシンクロしたり、話が違う方向に進むのに大いに興味をそそられていた。
その「ゲノム編集の世紀」と「コード・ブレーカー」の違い が大きく ×2つ。
①コロナ禍「連動」か「否」か
おそらく前者はコロナ禍前から執筆が進んでおり、その結果かコロナ禍にはほとんど言及していなかったように思う。
一方「コード・ブレーカー」は冒頭からしてコロナ禍、そして本のクライマックスは「コロナワクチン」
②捻れた人間関係を結果的に乗り越えさせた「コロナワクチン」を産むための「医学界の共闘」
「ゲノム編集の世紀」では後半、開発競争の加速する中、人間関係に歪みが生じ苦しむダウドナがいた。
対して「コード・ブレーカー」では、苦しむダウドナと元は仲が良かったシャンパンティエと絶妙な仲介からの仲直り → 2人でノーベル化学賞 受賞 に至る!
結論:我々はコロナ禍というマイナスすらプラスに転じた(かもしれない)RNA研究の進歩、の生き証人になったらしい!