アンティークマン

 裸にて生まれてきたに何不足。

雪の中を飛んだトンボ

2018年12月12日 | Weblog
 入院中の出来事…降りしきる雪の中を飛んだトンボの話です。 
 平成30年11月21日(水)、「 頸椎の手術から5日目。東病棟4階「407号室」の窓の網戸の中央より下のあたりにしがみついているトンボを発見。
 看護師の一人が、「秋に、ガラス窓と網戸の隙間に入って出られなくなったトンボ」と、説明。
 「なーんだ…。そんな夢のない話だったのか」
 私としましては、落胆いたしました。それにしても、入院してから9日目、手術してから5日目の今日まで、なぜ、トンボの存在に気づかなかったのだろうか?

 そのとき、トンボがかすかに動いたような気がしました。
 見舞いに来てくれていたカミサンに
「今、トンボ、動いたよね?」
 カミサンは、件の看護師の説明を真に受け、私の「今、動いたよね?」など、下手なジョーキングとしかとらない。
 「動くわけないでしょ!とっくにミイラっ!」
 俳句という文化を生み出した偉大な日本人の末裔とは、到底思えない。夢も希望も、ロマンもペーソスも、ユーモアも洒脱も…なーんもない。まあ、状況からしてとっくにミイラは、100%正しいか…。

 平成30年11月22日(木)
 「やったぁーっ!やはり私の目は節穴ではなかった」
 窓の網戸の中央より下にしがみついていたトンボが、明らかに、中央より上にいたのです!
 早速自慢のスマホで写真を撮り、昨日の写真と比較。間違いない。トンボは、生きて、上を目指していたのです。
 前日の看護師の説明には、重大な間違いがあることも判明。トンボは、室内側に腹を向けている。つまり、ガラス窓と網戸に挟まれて出られなくなっていたのではなく、外側から網戸にしがみついていたのです。トンボは、雪が降りしきる氷点下の外側にいたのです。
 この日は見舞いに来ていなかった(自宅にいる)カミサンにも、写真を送付。カミサンからの返信は、
 「トンボ、生きてたんだぁ!」
 素直に感動するあたりは評価できますかね。

 看護師は大嘘つきだったのかって?わたしの推測では、夏から秋にかけて、トンボがガラス窓と網戸に挟まれて出られなくなっていたことは、何度もあったことでしょう。その経験があったので看護師は初雪の日に飛んできたトンボも「同様に閉じ込められたトンボ」と、考えたのでしょう。

 平成30年11月23日(金)
 朝9時に、トンボが生きて上を目指していることを確認。折から強い風が吹いていました。
 朝10時、「・・・・・」。トンボは消えていました。
 
 ただそれだけの話かって?ゆ、雪の中をトンボが飛ぶだけでもす凄い話でしょうがぁっ!でも、じつは、このことをテーマにした童話を書いているんです。いつ完成するかですか?早ければ年内。遅くても年度内には…。日本中が感涙にむせびますよきっと。