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文学や史跡で登場するマチを旅しながら、折々、紹介することを心がけています。

大石慎三郎著『江戸時代』

2012年10月18日 06時25分48秒 | Weblog
  大石慎三郎著『江戸時代』。中央公論社の新書版にして、よく読まれた一書かとおもう。
 江戸時代の概説書ではあるが、時代の軸になるテーマをすえて概観しようとする点が、すこぶる意欲的で、好感をよせられてきたのかも知れない。

 「世界史に取り込まれた日本」は、金銀輸出を軸に中国・ヨーロッパとの位置を見る。
 「大開発の時代とその終焉」は水路・新田開発の増産時代の次に「小農自立」、農業技術書、洪水多発で「農政大転換」を説く。

 「構築された社会」は身分制の定着と城下町、「江戸の成立」は「屎尿と塵芥の問題」で循環型社会のシステムを説明。
 「絹と黄金」は徳川家の娘の衣装から京都文化の構造を見る。

 「分水嶺の時代」「顔の社会」は、年貢徴収システムの揺らぎ=年貢収納率低下を示しつつ、「役職と家格」という支配の枠組みを提示。
 「近世から明治維新」。東日本と西日本の農村構造にある寄生地主化の進展度を描き出す。、

 江戸時代は、庶民の細部が見えてくる時代。他方で欧米、中・朝との交渉も具体化。
 アジアでは列強による植民地化がすすむ時代に、近代を迎えた我が国の「基盤」がなんであったのを示しているように、思えるのだが。
コメント
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