pacific0035'写真BBS

文学や史跡で登場するマチを旅しながら、折々、紹介することを心がけています。

神謡=「特殊で優れた口承文芸」 北道邦彦著「4.まとめと検証」

2020年09月27日 05時48分31秒 | 書評
 「アイヌには文字がない」ことと考える研究者がいるも、これはたいへんな思い違いで「思い上がり」とする著者。 「叙事詩は文字を使わないからこそできる芸術です」(152p)。

一つの転機があった。
1963年3月、東京・池袋の百貨店で開催された「アイヌ文化展」を見学.
列品されていた「うず高く積まれていたノートの前で動けなくなってしまいました」。そう、回想する。

 「(大学ノートにギッシリ書かかれた)それらの叙事詩がそっくり(註 金成)マツさんの頭の中に収まっているからだと考えたからです」(153-54p)。

 著者はその4月から勤務先の高校生に語りかけたと。 
 「文字をもたない言語の人たちの記憶力のすごさについて、生徒たちに語り聞かせたものでした」(同)。

 神謡の伝承者を、
 1)「そっくり暗誦しているということではないのです」
 2)「母や祖母を師として訓練された『歌い手』」
 3)「早いComposition をこなすことができるようになった歌い手」
 4)「自在に語ることのできる能力」をもち、
 5)「文字に頼る民族には考えられない特殊で優れた口承文芸」

 神謡=「特殊で優れた口承文芸」 北道邦彦著「4.まとめと検証」 『アイヌの叙事詩』から(北海道出版企画センター 北方新書015 2012年)
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 面は6、できれば12<物語創... | トップ | 継ぎ、次と出現=プロのワザ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

書評」カテゴリの最新記事