もう8年も前のことですが、鎌仲ひとみ監督による“ヒバクシャ”という映画を観て、かなり衝撃を受けた覚えがあります。
ちょうど監督もみえ、舞台上からさまざまな話を聞くことができたこともよかったのですが、とにかくこの映画に出てくる肥田先生が出された統計が非常に興味深いものだったのを覚えています。
そして今は亡き平井憲夫さんのことも、ヒバクシャという映画と同じく何年か前に知り、決して他人事ではない放射能の恐ろしさを再認識し、さらにヒロシマで被ばくされたという方が、被曝したが故に家族にまで差別されたしまったという話を聞いて非常に悲しい気持ちになったこともありました。
そんなことがわかっていたので、微力ながらも核や原発の問題に関心を持ちながら反対をしていたのですが、どこかで社会の空気に負けてしまっていたというか、流されてしまっていたというか。
そんな中で原発事故が起きてしまったのですが、もう半年(いや、まだ半年)経ち、被災地から遠く離れた場所で日々生活しているひとと、当事者・被災者のひとたちとの思いのズレが出始め、放射線が及ぼすひとびとへの影響に対する感じ方も変わってきているなぁと思うことがあります。
今更?という感じで、東電からはひっそりとインターネット上のニュースで事故報告がポツリポツリとだされ、そのニュースを読むたびに今もってとんでもないことが起こっているとゾゾッとするのですが、テレビをつければ事故前と変わらない楽しいバラエティ番組が放映され、なんだかごまかされてしまっているような気がちょっとするのです。
瓦礫処理はどうなるんだろう?地下水は?海の汚染は?放射性物質は?低被ばく線量障害の影響は?等々・・・
そんな疑問を抱きつつも、地震によるものと原発事故による被害をあらためて自分自身整理して考える必要があるなぁと思ったり、また神経質になりすぎてはいけないのかもしれませんが、少なくとも臭いものにフタをしようしたり、真剣に子どもの未来を考えているお母さんたちが言葉を発することができない雰囲気にさせてしまうのは、将来のためにはどうなんだろうなとか考えたりしてしまいます。
それと、今回の震災では、放射性物質以外にも阪神淡路大震災のときと同じくアスベストによる健康被害の問題も今後でてきそうです。
過去からの教訓や警鐘を忘れることのないように、心にいつも留めて今できることをしていきたいものです。