ふむ道,小道,数多く

趣味いろいろ。2014/9に別ブログを合体したので、渾然一体となってしまいました(笑)

The Joy Luck Club : LINDO JONG - The Red Candle (2)

2013-05-18 20:22:29 | BookClub
The Joy Luck ClubThe Joy Luck Club
価格:¥ 1,639(税込)
発売日:2006-09-21

その夏、長雨で汾河が氾濫してうちの畑をダメにしたわ。家も住めなくなった。周辺の家も皆根こそぎの木や壊れた壁や死んだ鶏が散乱する状況。父は上海の南のWushiに家族で移る事を決意。しかし私は、Hunag家に嫁がされた。

父は家に残った家具で嫁入り道具として十分だと言う。しかし母は赤翡翠のネックレスをくれたの。この時母は悲しんでいると察したわ。そして「新しい家族に従いなさい。幸せな顔をするのよ。あんたは幸運なんだから。」

Huang家も川の傍だけれど、高台だったので、うちとは違い、洪水の被害は全く受けてなかったの。そしてうちより遙かにお金持ちと初めて知ったわ。彼らはうちを見下していたの。それでHuang Taitaiの鼻が長い理由がわかったわ。

Huang家には大きな庭と使用人の家、そして彼らの住処。世代別の家族が住む4階建てで、何代にも渡って使われた、複雑な家よ。家自体は急いで建てられたもののようだけど、後からいろいろな飾り付けがそれぞれの階にされていたわ。見栄えよくするために正面のベランダに2本の赤い丸柱が付けられていた。そしてTaitaiが付けた龍の頭。

家の中にはいろいろ余計な飾りだらけ。唯一良かったのは、客間だけね。他は20人もいる親類で狭くて騒々しかったわ。

私がHuang家に着いた時、Taitaiは何もしてくれなかったし、Tyan-yuも出て来なかった。それどころか、2階の召使い用の台所に追い立てられ、自分の立場がわかったの。
初日は私の1番のドレスで、台所仕事をする事になった。すぐに家族が恋しくなり、お腹の具合も悪くなった。でも両親の顔を立てると誓ったの。Taitaiが決して母に面汚しとは言えないようにしたの。

考え事をしていたらテーブルの向こうで魚をさばいていた召使いと目が合ったわ。泣いているのを見られたら告げ口されると思って、思い切り微笑んだの。

で、私って何てラッキーなの?!と言いながらついついナイフをその女性の前で振り過ぎたので、何てバカな奴?!と言われたわ。

Tyan-yuは小さいくせにわがままで何とか私を泣かせようと努力する奴。スープがぬるいと言ってわざとこぼし、私が座れば早速おかわりを要求する。なぜそんないやな顔をするんだと文句を言う。

数年間Taitaiは召使いに、私に枕の縫い方やHuang家の名前の刺繍の仕方を教えるよう指示。妻は手を汚さなきゃ旦那様の家族を支えられないよと新しい仕事を与える、Taitaiは手を汚したとは思えないね。

しかしTaitaiはさらに、正しい米の研ぎ方を教えろ、旦那様に泥付きの飯を食わせるわけには行かない、携帯トイレがきれいになっている事を確認する為に、中に鼻を突っ込め、と言う。おかげで私は従順な妻として、臭いだけで肉に塩が入り過ぎてるとわかるようになり、刺繍は絵の如くに指せるようになり、Huang Taitaiがブラウスを掃除前の床に投げてもまた着れる位になった(おかげで彼女は毎日同じ服)

やがてこの暮らしは悪くないと思うようになったわ。最初に傷ついたので違いはわからなかった。皆が私が用意したピカピカのキノコや筍を見ているのを眺める以上の幸せな生活ってあるのかってね。Huang Taitaiの髪の毛を100回梳いて誉められ、Tyan-yuが文句も言わずに麺を食べきって、これ以上何を望むかって。

やがてTyan-yuは神、Taitaiは本当の母のように思えてきたわ。16になった時、Taitaiは次の春までに孫が欲しいと言った。とても他へ行くことなんて考えられなかったわ。日本人が来るまでは。

Tyan-yuの祖母は、日本兵が招かざる客としてやってきたから誰も来なかったのだと言う。

Huang Taitaiは綿密な計画を立て、村中に招待状を出したの。戦争が人の心を変えるとは思ってなかったようだわ。私は隣家から輿入れする事になった。ところが雨が降り始めた。風も強まった。とても悪いサインよ。私は自分の不運を嘆いていたの。でも、赤いベールを被ったら不思議と力が湧いてきた。
式が始まり、輿が進むと、悪天候の中やってきた勇気ある僅かな人達が見えた。召使は家族も駆り出して精一杯パーティを大きく見せていたわ。Tyan-yuは誇らしげにベールを取ってお客さんに微笑んだけど私は見なかったわね。

両側に新郎新婦の名が書かれ、それぞれ芯のついた蝋燭が出されて、灯をともし、翌日仲人が、小さく残った燃えかすを指しながら、これで婚礼は整った。如何なる事があってもこの婚姻は破れる事はないと宣言。これで私はTyan-yuが死んでも再婚できない事が決定。

でも、本当は蝋燭がどうなったか知ってるわよ。一晩中泣いていたから。


式の後子供や夫の友人の祝福の後、夫は私にソファに寝ろと言った。これはラッキー、とても嬉しかった。夫が寝たのを見計らって外に出ると、仲人が黄色い明かりの部屋で眠そうに蝋燭の番をしていた。しばらく居眠りしていると、突然雷鳴。居眠りしていて日本軍と勘違いした仲人と彼女の召使が慌てて外へ逃げ出したの。私は大笑い。蝋燭の部屋に入って、こっそりと…、後は新居に戻ったわ。

翌日、仲人は誇らしげに、お役目を果たしたと報告。


私はTyan-yuがいつ上に乗って義務を果たすって考えただけで気分が悪かったけど、幸い最初の1ヶ月は彼はベッド、私はソファ。朝晩食事を作り、甲斐甲斐しく過ごしていたら、突然Taitaiにひっぱたかれた。「悪い嫁め!息子と寝るのを拒否したら許さないからな!」夫は母に嘘をついてたな。でも私は両親との約束のために黙っていた。

仕方なく義母に従い、まず自らTyan-yuのベッドに入りたいと言う、やがて添い寝するようになったが、彼は何もしない。ついに逃げ出す決意。ただし両親を裏切ってはいけない。Huang家が私を追い出すよう仕向けるようにしなくては。

計画の実行に選んだのは、ご先祖様のお参りの日。

夢の中でTyan-yuのお爺さんに会ったという話をでっちあげたの。この結婚は本当の結婚ではないという3つのサインがあると。1つは、Tyan-yuの背中のあざ。これが年々大きくなっていく(私はTyan-yuと添い寝するうちに見つけたのよ)そして私の歯。1本ずつ抜けていく。そして、Tyan-yuの本当の子供を身ごもっているのは、召使いの女の子で、彼女は貧しい家の出身のふりをしているけど実は高貴な生まれという事に。

彼らは、仲人の召使いを尋問して、仲人から赤い蝋燭に本当に起きた事を聞き出したわ。

そして召使いの女の子を呼びだしたの。実は、彼女はハンサムな郵便屋さんに恋をして、子供を身ごもり、困っていたの。だから彼女は高貴なご先祖様について聞かれて、とても喜んだわ。Tyan-yuの妻になってからは、毎日ご先祖様のお墓をきれいにしているそうよ。

これで話は終わり。Huang家の人達は私をそれほど非難もせず、北京行きの切符と、アメリカに行くのに十分なお金をくれた。ただこれは秘密にしておいて欲しいとだけ。

その後私は主人と出会い、2人の男の子と娘を生んだ。その度にブレスレットを買った。皆24金よ。でも思い出すのはあのPure Brightnessの日、私はその時していた全てのブレスレットを取り去った。元をただせば、結婚式の日に赤いスカーフを被った時に自分の運命を切り開く事を知ったのよね。あの日のあの少女に戻って、赤いスカーフをとったら明るい未来が開けていた事を見てみたいもんだわ。


The Joy Luck Club : LINDO JONG - The Red Candle (1)

2013-05-18 10:24:18 | BookClub
The Joy Luck ClubThe Joy Luck Club
価格:¥ 1,639(税込)
発売日:2006-09-21


続いてLinおばさん、ちょっと甘えん坊のAn-meiおばさんに対して、しっかり者のLinおばさんですが、その理由がよくわかるエピソードです。

私は両親との約束を守るために人生を犠牲にした事があるのよ。通常、約束とは全然意味がないわよね。両親と夕食を一緒にすると約束したって、頭痛や交通渋滞や好きな映画のために守られない事がある。
アメリカ映画で、兵隊さんが女の子に、戻ってきて結婚すると約束しても、金と同じ位大事な約束と言っても、結局戻ってこない。彼の金なんて、あんたと同じ14金よ。

中国人にとっては14金なんて本物じゃない。24金じゃなきゃ。今更あんたに言っても遅いけど、あんたの子供のため。いつかその子が「お婆さん、金をありがとう。絶対忘れないわ」と言ってもすぐ約束を忘れて、お婆さんがいた事も忘れるんじゃないかと思って。

さて、その映画では、アメリカの兵隊さんは、家に帰って他の女の子に結婚を申し込んだわ。彼女は目をパチクリ、まるでそんな事予測しなかったみたい。で、突然視線を落とし、彼を愛していた事に気づくの。そして涙してイエスと言い、彼らは永遠に幸せに結婚したのよ。

私の場合は全然違うわ。
村の仲人さんがうちに来た時私は2才だった。誰も言わないけど覚えているのよ。
それは暑い日で、私は母に抱かれて蝉の声を聞いたり紙の鳥?が飛び交う様子を眺めていたの。その時、2人の婦人がやってきたわ。1人はお化粧が溶けた変なシュルシュル訛り(後でわかったけどそれは北京訛り、太原の人たちにはかなり違和感がある)の女性。もう1人は木の幹のような女性。

木の幹は村の仲人で、北京訛りはHuang Taitaiと言って、婚約相手のお母さん。

中国では女の赤ん坊は価値がないのよ。ただ、どんな子かによるわね。私の場合おいしい匂いがしたという事でそれなりの価値があったみたい。
仲人さんが「土の馬と土の羊のような良い相性ですよ」と言って私の手を撫でたから、私はその手を払ってやったわ。Huang Taitaiさんがシュルシュル声で、多分、私の事を怒りっぽい奴とか文句言ってたと思うけど、仲人さんは「いえいえ、この子は強い馬。良く働きますよ」

するとHunag Taitaiさんが私をじっと見下ろしたの。まるで私の考えを読んでるみたいに。そしてやおら微笑んで(金歯がっ)、まるで私を飲み込まんばかりの勢いで口を開けて笑ったわ。

こうして私はHuang Taitaiの息子の婚約者になったの。彼の名前はTyan-yu(黄空余?)Tyanは空でyuは余り。彼が生まれた時父親が死にそうになって彼は父の人生の余り分になったという事。そんな事があって、とても大事に甘やかされて育ったの。

でも事前にそんな悪い奴と知っていてもどうしようもなかったわ。田舎の遅れた人達の生活はそんなものよ。馬鹿馬鹿しい古い慣習は最後まで残るの。他の町では男は自分で妻を選べたわ。両親の許しは必要だったけど。

もし新しい考えを聞く事はできたとしても、悪い噂にしかならないのよ。そんな悪い妻達のせいで息子達は親を放り出すようになったとか。だから太原では、母親達はこぞって、決して親を放り出さず、長い事お墓を守ってくれるような家庭の娘を選んでいるのよ。

Huang家に嫁ぐ事が決まったので、家族はまるで私を他人のように扱ったわ。おにぎりを幾つも食べたりしたら「Huang家の娘だったら幾つ食べられるか考えなさい!」だって。
母は私を愛さなかった。自分の物じゃないから、何も望まなかったわ。

私は従順な子だったの。暑いか疲れたか病気の時は辛い顔をしていたけど。だけどそんな時母は「そんな醜い顔したらHuang家がもらってくれない。うちを侮辱する気?」だから泣いてもっと醜い顔になってやったわ。「これは契約んだよ。破るわけにはいかないんだからね。」と言われてますます激しく泣いた。

8才か9才になるまで未来の旦那様は見なかったね。私の知ってる世界は質素なうちの敷地だけだった。うちのあった場所は、漢字で天国まで3歩と書く。(三歩天か?)でも実際は、何百年にも渡って汾河の土が体積した場所だ。家の東側は川で、父は小さい子は飲み込まれるぞと言っていたわ。1度は太原の町全部を飲み込んだらしい。夏は茶色で、冬は狭い場所では青緑、広い場所では凍って白だった。正月には大きなぬめぬめした魚を捕りに行ったよ。

その年、未来の旦那様を見た。花火に驚いて赤ん坊のように大口開けて叫んでた。1ヶ月の赤ん坊のお祝いの席でも見たね。その時彼はお婆さんの膝の上にはみ出しそうな体で座り、何を勧められても臭い漬け物でも近づけられたような顔して嫌がっていた。

だから、すぐには好きになれなかったね。Huang家とりわけTaitaiには礼儀正しくするよう躾られた。実の母に「あんたの母さんに挨拶しなさい」と言われると、どの母さんの事かと一瞬混乱したわね。で、実の母の方を一旦振り返ってから、Taitai母さんに餃子をプレゼントしたわ。実の母さんは、それは私が作ったものだとTaitaiに言った。本当はちょっとつついただけなんだけど。

12才の時人生が変わった。



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