”雨の朝”
(公示日雑感)
参議院議員選挙の公示日である。
家の周りは静かですが、
テレビでは選挙のにぎやかなニュースが流れている。
「アベノミクスの是非を問う選挙」。
「アベノミクスは確実に進んでいる」。
との首相の発言に思わず突っ込みを入れたくなった。
国民はほとんどが経済の専門家ではない。
首相は良く数字を出すが、野党の指摘する不都合な数字には触れようとしない。
私はぜひ国民のためにここはかみ合わせる議論をしてほしい。
意見対立があっても良いが、誠実に議論を戦わせる文化がもっと日本に欲しい。
私は「アベノミクス」は成功するとは思っていない。
「三本の矢」が出たかと思ったら、その成否の評価も報告もないまま、
「新三本の矢」が出てきた。そして新旧三本の矢の整合性もはっきりしていない。
そもそも「三本の矢」で言っていることは決して目新しいことではない。
景気浮揚のために、金融緩和・国債を発行(借金をして)して公共事業を起こす。
昔の東京オリンピック時代から変わっていない。
そして、政府の財政出動による景気刺激策の効果は年々効かなくなっている。
歴代の政府も、これ以上借金したら先々困るんじゃないの、と内なるブレーキが効いていたのに、
「異次元の金融緩和」という名のもとに、最後の羞恥心も捨ててしまったに等しい。
これで自立回復につながらなければどんな副作用が起こるかもしれない賭けである。
「三本の矢」は最終的に三本目(民間投資を喚起する成長戦略)の矢が命中しなければ、
一本目、二本目を射た意味がないばかりか、副作用に苦しむことになる。
たとえて言えば、人工衛星を軌道に乗せるロケットは、三段目が軌道に乗らなければすべての意味がない。
「一段目、二段目は成功したのだが」。などと技術者はこんな言い訳はしない。
アベノミクスの「三本の矢」も同じことである。
もっとも一本目二本目でたっぷり利益を上げた人もいるが。
常に雇用不安を抱えて働き、正社員よりはるかに低賃金で働き、
ボーナスもまともに出ない非正規労働者が溢れ、
少子化の土台になっている。
それらの人たちに、やがてこの先、国が潤って皆さんにもその果実が届きますから。
というとしたらあまりにも悠長すぎる。
選挙権が18歳からになったことはどう結果に反映するのだろうか。
元来日本人は国際的に見ると交渉事が下手だと思っている。
そんな国の野党が統一候補を立てた。
このことは、どんな結果になるかは別として。
意見の異なるもの同士が、お互いに自分を主張し合うだけでなく。
新しい民主主義の形に向かって、貴重な社会実験だなと思っている。
一歩大人になれ。日本。 民主主義も成長させよう。