日経新聞による。 【ドバイ=岐部秀光】国際協力銀行(JBIC)は、アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ国営石油会社(ADNOC)に30億ドル(約3300億円)を新たに融資することを決めた。日本が保有し、3月に期限が切れるアブダビ沖の油田権益の更新は正念場を迎えており、それを後押しする狙い。三井住友銀行、みずほ銀行、英HSBCとの協調で、JBICは21億ドル程度を負担する。
なお株式会社国際協力銀行(JBIC、Japan Bank for International Cooperation)は、株式会社国際協力銀行法(平成23年5月2日法律第39号)に基づく特殊会社であり、日本の輸出信用機関(ECA)である。略称はJBIC(ジェービック)。前身は日本輸出入銀行(輸銀)である。
ADNOCは、UAEのアブダビ首長国が100%出資する国営石油会社。30年以上の長期にわたり日本に石油を輸出している。JBICは過去4回、ADNOC向けに今回と同規模の融資を実行してきた。
ADNOCにはUAEのアブダビ首長国が100%出資する(同社がアブダビで運営するガソリンスタンド)=ロイター
JBICは2017年、ADNOCとの協力を一段と強化することで合意した。アブダビ政府は自国民の雇用創出につながる産業多角化を目指し、石油事業を下流部門に広げる改革を進めている。IT(情報技術)分野などに多額の投資を見込んでおり、資金需要が膨らんでいる。
日本政府は、石油および天然ガスの国内生産と輸入量の合計に占める日本企業の権益分(自主開発比率)を30年までに4割以上に引き上げる目標を掲げる。アブダビは「日の丸油田」と呼ばれる日本の自主開発油田のおよそ4割が集中するなど、エネルギー戦略上重要な位置を占める。政府はエネルギー技術協力や中小企業支援など幅広い協力を打ち出し、権益更新を働きかけている。
欧州などでは電気自動車(EV)への急速なシフトが進む。世界の石油需要は「早ければ20年代に頭打ちになる」との観測も強まる。だが、油田の権益をめぐる競争は依然として激しい。英BPなど石油メジャーのほか、中国なども中東の権益獲得を狙い、しのぎを削っている。
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