10月3日、平ヶ岳を16年ぶりに歩いてみた。
16年前の8月、植物の撮影にテントを持って登ったが、大雨に遭い回復の可能性もないということで2日目の朝に下山してしまった。
忘れもしない、この日は神奈川県の玄倉川で水難事故が起きてしまった日だった。
平ヶ岳は今回で5回目か6回目になるのだが、カメラをデジタルの持ち替えてからは初めてとなる。
フィルムでの記録はあるのだが、デジタルでこの山を記録しておきたい思いがある。
池ノ岳山頂は姫の池、 山上の楽園だ。
日の出を池ノ岳直下で迎えられればよいのだが、5時間かかるとして深夜1時には登り始めたいが・・・
夕飯を食べ風呂を済ませ身支度を済ませ家を出たのが21時半過ぎ、登山口まではどんなに急いでも4時間はかかる。
車を走らせて20分も経たないうちに、もう眠くなってしまった。先が思いやられるな。
いつものように、いつものセブンでいつもの餌を買い込んで、一路鷹巣登山口を目指す。
が、途中八総を過ぎたあたりで一度、御池を過ぎた所で2度ほど、車を止めて目をつぶる。
仮眠をとるには至らないが、多少は眠気もとれる。もう1時をとっくに過ぎてしまっている。日の出は拝めないか・・・
日の出は今回も樹林帯になってしまうだろうから、のんびりと山頂を目指せばいい・・・ のんびり登ろう。
2時になるころに、ようやく駐車場に到着する。が、かなりの車が止まっている。
仮眠をとろうとしたが、目を閉じても眠ることが出来ない。周りの車もごそごそしている。
結局、一睡もせずに2時半近くに出発の準備をしだし、半過ぎには歩き出した。
尾根取り付き地点で、登山者一人と挨拶を交わし先へ進む。やはり皆さん、深夜に登りだすのだろうか?
真夜中に歩くときにはいつもNHKラジオを聞いている。
が、ここ奥只見では東京からの放送が入りにくい。で、いろいろと周波数を変えてゆくと666kHzが良く入ってくる。
これは・・・ ヨハネ黙示録13章18節 そう 666は獣の数字である。
これじゃ~ オーメンだな。 なんだか可笑しくなった。
いやいや~ 関西方面の局の電波らしい。
NHKラジオ深夜便は、2時台のソニー・ロリンズとウェス・モンゴメリーの特集をやっている。
草木も眠る丑三つ時にジャズを聞きながらの尾根歩き、これがたまらない。
おまけに下弦のお月さんは遠くの山々を薄っすらと浮かび上がらせ、自分をふわふわとなんとも不思議な気分にさせてくれる。
三脚を持参しなかったことが悔やまれる。
下台倉山へ4時に到着、取り付から1時間と20時分くらいかかったことになる。
ここまで登れば台倉山までは高低差もほとんどなく、時間を稼ぐことが出来るはずだが・・・
しばらくすると猛烈な睡魔が襲って来た。歩きながらうとうとと、まっすぐに歩くことも出来ない。
おまけに、谷側の足を踏み外し、バランスを崩し目を覚ますに至った。
結局のところ、時間を稼ぐことも出来ず、台倉山に着いた時には東の空は茄子色になっていた。
時に5時ちょうどだ。
この薄っすらと明るくなり始めた空にレンズを向けてはみるが、手持ちでは結果は想像できる。数枚写して、早々にあきらめる。
カメラをザックに仕舞い、先を急ぐ。
ここから池ノ岳登りまで道は平たんに近いが、雨が多かったのか、道はぐちゃぐちゃだ。
30年くらい前に歩いた時には木道もなく、ぬかるみの多い難路だったと記憶する。
で、その10年後くらいに歩いた時には、すでに木道も設置されずいぶんと楽に歩けるようになった。
ここで、遅れた時間を挽回しようとも思ったが、木道は濡れて滑りやすい。
ひと月前のトラウマもあって、なかなか早く歩くことができない。
案の定、尻餅はつかなかったが、いく度か足を滑らせた。
日の出までにどこまで進めるか、とにかく急ぐ。
が、無情にも2つ目の水場手前で日の出となる。
森の中ゆえ展望もないのだが、とりあえず燧ケ岳に差し込む朝日を撮ってみた。
日の出までが・・・ ちと長すぎたかな?(笑)
明るくなった森の中、2つ目の水場(白沢清水)を確認するが、なんだか荒れているように感じる。
記憶違いかもしれないが、以前は板で四角い囲いが施されていて、小さいながらきれいな水たまりになっていたと記憶する。
ま~いい。 ここで水を汲むわけではない。
池ノ岳への登りに差し掛かる頃、急に雲が湧いてきた。
振り返れば、辿ってきた森には雲が流れ、遠くの尾根には滝雲が流れている。
もう急ぐこともないので、ここからは太陽を入れて雲海となった景色を撮りながら池ノ岳を目指す。
ツツジの仲間はちょうど真っ赤に紅葉している。
尾瀬方面から湧き出した雲は平ヶ岳を越えられないようだ。
ほんとうは日の出時にここまで来たかった。過去にはこの辺りが朝一番での定位置だった。
辿ってきた尾根は雲海の下になってしまった。
あと一時間早く出られたならどうだったろうか・・・ 後悔しても始まらない。
日差しが強すぎて、太陽を入れての撮影には厳しい。
ちょうど7時、池ノ岳到着。 だ~れもいない。
気温は6度、西風が強い。
半袖では寒い。ラガーシャツを着ても寒い。 ユニクロの安物ヤッケを着る。
ベージュ色の安物作業ズボンにこの茶色のユニクロヤッケ、どう見ても登山者の恰好には見えない。
平ヶ岳を入れて
だだっ広く、毎度のことだが、構図を決めるのに苦労する。
適当なところで、玉子石へ向かう。 今日は一人で独占だな・・・ が、しかし・・ 。
まっすぐ行けば平ヶ岳へ、右へ行けば玉子石へ。
ここから平ヶ岳山頂までは30分くらいだろう。 帰りに寄ることにして、玉子石。
夏ならば一面キンコウカのお花畑だ。
天場への分岐地点、夏ならばお花もたくさん咲いているはずだが、今は枯れ野。
たぶんハクサンボウフウだと思う。
さてさて、玉子石へ急ごう。
途中にある大きな池塘。 遠くのお山は荒沢岳。
ここに限ったことではないが、夏ならば池塘の周りにはトキソウやヒメシャクナゲ、キンコウカがたくさん咲いている。
早朝の濃い青空を映し、深い紺色の水面が美しい。
振り返り燧ケ岳、 雲海は引け始めている。
巻機が見える。まだ山頂直下に雪田が残っている。
遠くに見えるのは、北アルプスは白馬三山か? 巻機山の手前は上越国境稜線の左側小沢岳と右側下津川山だ。
玉子石まで来てびっくり。 ここまで一人かと思っていたが、たくさんの人で賑わっている。
そうか~ぼん(皇太子)ルートで来た人たちだな~・・・ 毎回のことだが、大いにがっかりさせられる。
ちょうどこの方たちの一団と自分の到着時間が、偶然にも一致してしまった。
その後、登山者の一人にスケジュール表を見せてもらうのだが、5時半に登り始めちょうど8時ころが玉子石だった。
一団が少し引くのを待って撮影開始。
平ヶ岳続きの山、剱ガ倉山 その向こうには昨年の秋に歩いた本谷山と越後沢山が見える。 なんだか新鮮に感じる。
そして、本谷山から巻機山までの国境稜線。 遠く妙高の山と白馬三山。
みなさん玉子石まで行って記念撮影をするので、玉子石を入れての撮影がなかなかできない。
ようやく引けて・・・ 次の客が現れる前に・・・
この時点で、ここ展望台にはまだ登山者がたくさんいる。
自由にポジッションをかえて撮ることができないので、早々に引き上げることにする。
平ヶ岳山頂へ向かう
16年前、まだ新しかった木道も朽ちている。
ゴゼンタチバナ?
山頂手前から池ノ岳を見る。遠くに見える平らな山並みは会津駒から三ツ岩岳。
草紅葉と真っ赤な紅葉を前景にして、尾瀬燧ケ岳から日光方面を見る。
同じく、燧ケ岳から会津の山を見る。
平らな山だけに、前景処理に苦労をする。 なかなか上手に撮れないものだ。
強かった西風も収まり、ぽかぽかと暖かくなってきた。
山頂に広がる草原で、このままのんびり朝寝でもしたくなった。
つづく。
Nikon D700 AF-S NIKKOR 16-35mm f/4G ED VR AF-S NIKKOR 70-200mm f/4G ED VR
16年前の8月、植物の撮影にテントを持って登ったが、大雨に遭い回復の可能性もないということで2日目の朝に下山してしまった。
忘れもしない、この日は神奈川県の玄倉川で水難事故が起きてしまった日だった。
平ヶ岳は今回で5回目か6回目になるのだが、カメラをデジタルの持ち替えてからは初めてとなる。
フィルムでの記録はあるのだが、デジタルでこの山を記録しておきたい思いがある。
池ノ岳山頂は姫の池、 山上の楽園だ。
日の出を池ノ岳直下で迎えられればよいのだが、5時間かかるとして深夜1時には登り始めたいが・・・
夕飯を食べ風呂を済ませ身支度を済ませ家を出たのが21時半過ぎ、登山口まではどんなに急いでも4時間はかかる。
車を走らせて20分も経たないうちに、もう眠くなってしまった。先が思いやられるな。
いつものように、いつものセブンでいつもの餌を買い込んで、一路鷹巣登山口を目指す。
が、途中八総を過ぎたあたりで一度、御池を過ぎた所で2度ほど、車を止めて目をつぶる。
仮眠をとるには至らないが、多少は眠気もとれる。もう1時をとっくに過ぎてしまっている。日の出は拝めないか・・・
日の出は今回も樹林帯になってしまうだろうから、のんびりと山頂を目指せばいい・・・ のんびり登ろう。
2時になるころに、ようやく駐車場に到着する。が、かなりの車が止まっている。
仮眠をとろうとしたが、目を閉じても眠ることが出来ない。周りの車もごそごそしている。
結局、一睡もせずに2時半近くに出発の準備をしだし、半過ぎには歩き出した。
尾根取り付き地点で、登山者一人と挨拶を交わし先へ進む。やはり皆さん、深夜に登りだすのだろうか?
真夜中に歩くときにはいつもNHKラジオを聞いている。
が、ここ奥只見では東京からの放送が入りにくい。で、いろいろと周波数を変えてゆくと666kHzが良く入ってくる。
これは・・・ ヨハネ黙示録13章18節 そう 666は獣の数字である。
これじゃ~ オーメンだな。 なんだか可笑しくなった。
いやいや~ 関西方面の局の電波らしい。
NHKラジオ深夜便は、2時台のソニー・ロリンズとウェス・モンゴメリーの特集をやっている。
草木も眠る丑三つ時にジャズを聞きながらの尾根歩き、これがたまらない。
おまけに下弦のお月さんは遠くの山々を薄っすらと浮かび上がらせ、自分をふわふわとなんとも不思議な気分にさせてくれる。
三脚を持参しなかったことが悔やまれる。
下台倉山へ4時に到着、取り付から1時間と20時分くらいかかったことになる。
ここまで登れば台倉山までは高低差もほとんどなく、時間を稼ぐことが出来るはずだが・・・
しばらくすると猛烈な睡魔が襲って来た。歩きながらうとうとと、まっすぐに歩くことも出来ない。
おまけに、谷側の足を踏み外し、バランスを崩し目を覚ますに至った。
結局のところ、時間を稼ぐことも出来ず、台倉山に着いた時には東の空は茄子色になっていた。
時に5時ちょうどだ。
この薄っすらと明るくなり始めた空にレンズを向けてはみるが、手持ちでは結果は想像できる。数枚写して、早々にあきらめる。
カメラをザックに仕舞い、先を急ぐ。
ここから池ノ岳登りまで道は平たんに近いが、雨が多かったのか、道はぐちゃぐちゃだ。
30年くらい前に歩いた時には木道もなく、ぬかるみの多い難路だったと記憶する。
で、その10年後くらいに歩いた時には、すでに木道も設置されずいぶんと楽に歩けるようになった。
ここで、遅れた時間を挽回しようとも思ったが、木道は濡れて滑りやすい。
ひと月前のトラウマもあって、なかなか早く歩くことができない。
案の定、尻餅はつかなかったが、いく度か足を滑らせた。
日の出までにどこまで進めるか、とにかく急ぐ。
が、無情にも2つ目の水場手前で日の出となる。
森の中ゆえ展望もないのだが、とりあえず燧ケ岳に差し込む朝日を撮ってみた。
日の出までが・・・ ちと長すぎたかな?(笑)
明るくなった森の中、2つ目の水場(白沢清水)を確認するが、なんだか荒れているように感じる。
記憶違いかもしれないが、以前は板で四角い囲いが施されていて、小さいながらきれいな水たまりになっていたと記憶する。
ま~いい。 ここで水を汲むわけではない。
池ノ岳への登りに差し掛かる頃、急に雲が湧いてきた。
振り返れば、辿ってきた森には雲が流れ、遠くの尾根には滝雲が流れている。
もう急ぐこともないので、ここからは太陽を入れて雲海となった景色を撮りながら池ノ岳を目指す。
ツツジの仲間はちょうど真っ赤に紅葉している。
尾瀬方面から湧き出した雲は平ヶ岳を越えられないようだ。
ほんとうは日の出時にここまで来たかった。過去にはこの辺りが朝一番での定位置だった。
辿ってきた尾根は雲海の下になってしまった。
あと一時間早く出られたならどうだったろうか・・・ 後悔しても始まらない。
日差しが強すぎて、太陽を入れての撮影には厳しい。
ちょうど7時、池ノ岳到着。 だ~れもいない。
気温は6度、西風が強い。
半袖では寒い。ラガーシャツを着ても寒い。 ユニクロの安物ヤッケを着る。
ベージュ色の安物作業ズボンにこの茶色のユニクロヤッケ、どう見ても登山者の恰好には見えない。
平ヶ岳を入れて
だだっ広く、毎度のことだが、構図を決めるのに苦労する。
適当なところで、玉子石へ向かう。 今日は一人で独占だな・・・ が、しかし・・ 。
まっすぐ行けば平ヶ岳へ、右へ行けば玉子石へ。
ここから平ヶ岳山頂までは30分くらいだろう。 帰りに寄ることにして、玉子石。
夏ならば一面キンコウカのお花畑だ。
天場への分岐地点、夏ならばお花もたくさん咲いているはずだが、今は枯れ野。
たぶんハクサンボウフウだと思う。
さてさて、玉子石へ急ごう。
途中にある大きな池塘。 遠くのお山は荒沢岳。
ここに限ったことではないが、夏ならば池塘の周りにはトキソウやヒメシャクナゲ、キンコウカがたくさん咲いている。
早朝の濃い青空を映し、深い紺色の水面が美しい。
振り返り燧ケ岳、 雲海は引け始めている。
巻機が見える。まだ山頂直下に雪田が残っている。
遠くに見えるのは、北アルプスは白馬三山か? 巻機山の手前は上越国境稜線の左側小沢岳と右側下津川山だ。
玉子石まで来てびっくり。 ここまで一人かと思っていたが、たくさんの人で賑わっている。
そうか~ぼん(皇太子)ルートで来た人たちだな~・・・ 毎回のことだが、大いにがっかりさせられる。
ちょうどこの方たちの一団と自分の到着時間が、偶然にも一致してしまった。
その後、登山者の一人にスケジュール表を見せてもらうのだが、5時半に登り始めちょうど8時ころが玉子石だった。
一団が少し引くのを待って撮影開始。
平ヶ岳続きの山、剱ガ倉山 その向こうには昨年の秋に歩いた本谷山と越後沢山が見える。 なんだか新鮮に感じる。
そして、本谷山から巻機山までの国境稜線。 遠く妙高の山と白馬三山。
みなさん玉子石まで行って記念撮影をするので、玉子石を入れての撮影がなかなかできない。
ようやく引けて・・・ 次の客が現れる前に・・・
この時点で、ここ展望台にはまだ登山者がたくさんいる。
自由にポジッションをかえて撮ることができないので、早々に引き上げることにする。
平ヶ岳山頂へ向かう
16年前、まだ新しかった木道も朽ちている。
ゴゼンタチバナ?
山頂手前から池ノ岳を見る。遠くに見える平らな山並みは会津駒から三ツ岩岳。
草紅葉と真っ赤な紅葉を前景にして、尾瀬燧ケ岳から日光方面を見る。
同じく、燧ケ岳から会津の山を見る。
平らな山だけに、前景処理に苦労をする。 なかなか上手に撮れないものだ。
強かった西風も収まり、ぽかぽかと暖かくなってきた。
山頂に広がる草原で、このままのんびり朝寝でもしたくなった。
つづく。
Nikon D700 AF-S NIKKOR 16-35mm f/4G ED VR AF-S NIKKOR 70-200mm f/4G ED VR