本当の面白さや深い味わいを言い表す言葉に「醍醐味」があります。
この言葉が仏教から来ていることをご存知でしょうか?
今日は「醍醐味」の語源について調べました。
先ず「醍醐」とは、牛や羊の乳を精製した濃厚で甘みのある液汁のことで、現在で言うチーズのようなものと考えられており、仏教の経典『涅槃教(ねはんきょう)』の中に説かれている五味の一つです。
五味とは、、「乳(にゅう)」、「酪(らく)」、「生蘇(しょうそ)」、「熟蘇(じゅくそ)」、「醍醐(だいご)」の五つを言い、順に上質で美味なものとなり、最後の「醍醐」で最上の味を持つと言われています。
『涅槃教(ねはんきょう)』では、
「牛より乳(にゅう)を出し、乳より酪(らく)を出し、酪より熟酥(じゅくそ)を出し、熟酥より醍醐を出す。
仏の教えもまた同じく、仏より十二部経を出し、十二部経より修多羅(しゅたら)を出し、修多羅より方等経(ほうどうきょう)を出し、方等経より般若波羅密(はんにゃはらみつ)を出し、般若波羅密より大涅槃経(だいねはんきょう)を出す」とあります。
「醍醐」は純粋で最上の味であることから「醍醐のような最上の教え」として仏陀の教法に喩(たと)えられ、天台宗では「華厳時(けごんじ)」「阿含時(あごんじ)」「方等時(ほうどうじ)」「般若時(はんにゃじ)」「法華涅槃時(ほっけねはんじ)」とある五時教の「法華涅槃時」を最上の仏法として「醍醐味」と呼ぶようになったそうです。
そこから転じて、「醍醐味」とは、最上の真実、本当の面白さや深い味わい、物事の神髄を意味する言葉となり、広く一般に知られるようになったものです。