八面六臂
2015-03-22 | 雑学
小説の中に、『「母は、一歳の次女におっぱいを含ませながら、そうして、お父さんと長女と長男のお給仕をするやら、子供たちのこぼしたものを拭くやら、拾うやら、鼻をかんでやるやら、八面六臂のすさまじい働きをして、「お父さんは、お鼻に一ばん汗をおかきになる」・・・』の記述がありました。
この小説にある「八面六臂(はちめんろっぴ)」という言葉を皆さんはご存知でしたか?
私は聴き慣れない言葉だったので、調べてみました。
広辞苑を調べると八面六臂とは、八つの顔と六つの肘のこと。、転じて、一人で数人分の手腕を発揮することのたとえと説明していました。
この言葉は仏教用語からきた言葉のようです。
古くはインドの神で、日本では帝釈天と闘った後に仏法の守護者となった鬼神「阿修羅」として知られていますが、これが八面六臂のモデルだそうです。
ところが阿修羅はご覧のように三面六臂です。
この言葉は、元々は三面六臂が正しかったのだそうですが、後世の人が語呂がよいからと勝手に五面足して八面六臂にしてしまったのだそうです。
現在では八面六臂と三面六臂の両語とも辞書に載っており、一般にも通用する言葉となっています。
・三面六臂の阿修羅像です。(ネットより)