らいちゃんの家庭菜園日記

家庭菜園、家庭果樹栽培及び雑学日記

ぼっけえ、きょうてえ

2016-02-14 | 地元紹介

今日は私の故郷、岡山の方言をご紹介します。
1999年(平成11年)の第6回日本ホラー小説大賞を受賞した岩井志麻子の短編小説に「ぼっけえ、きょうてえ」があります。
彼女は岡山県人で岡山の方言を題にして短編小説を書いたようです。
本の題名である「ぼっけえ、きょうてえ」の「ぼっけえ」は「きょうてえ」という形容詞を修飾する副詞であり、その意味は、「ぼっけえ」が「とても」、「きょうてえ」は「怖い」です。

作者の岩井志麻子はウィキペディアによると、日本の作家、タレント、AV監督で、身長は160cm、血液型はA型、2009年6月よりホリプロに所属し、『5時に夢中!』の木曜レギュラーコメンテーターを務めているそうです。
この小説は、岡山の遊郭で客をとる女郎が、客に自らの身の上話を聞かせるが、それは世にも恐ろしい話で、岡山の方言を駆使し恐怖感を高めることに成功している。と解説しています。

私は岡山を離れて既に半世紀を超えていますが、たまたま聞き慣れた方言が題名となっているこの短編小説を知ったことから、今日取り上げたものです。
この「きょうてえ」と言う言葉はとても古い言葉だそうで、某新聞の記事によると、江戸時代の国語辞書「俚言集覧(りげんしゅうらん)」に「きゃうとい 大坂詞(おおさかことば)気疎(けうと)いなり」と記されていることから、元の形は「けうとい」で、近世以降に変化したと見られると言うことです。

その「けうとい」は平安時代から使用例が見られ、源氏物語の中でも、廃院を訪れた光源氏が「けうとくもなりにける所かな」という場面があって、当時は「嫌だ、不愉快だ」と言う意味のほか、「人気(ひとけ)がなくて寂しい、気持ちが悪い」と言う意味でも使われたそうです。
この「けうとい」が寂しい場所や気味が悪い様子から怖いという気持ちに繋がっていき、現在の岡山の方言として残っているようだと言うことです。

1000年以上前に紫式部が著した源氏物語にも書かれている言葉が、わが故郷岡山の方言として残っていることを知り、「きょうてえ」と言う言葉の歴史の重みを感じた次第です。