「降る雪や 明治は遠く なりにけり」
これは昭和6年に中村草田男が詠んだ句です。
この句の意味は、
雪が盛んに降っている。その雪に現実の時を忘れ、今が二十数年前の明治のころそのままのような気持になっていた所、ふと現実にかえり、しみじみ明治は遠くなってしまったと痛感するものだ。
と言うことを詠んでおり、
その背景は、
20年ぶりに母校の小学校付近を歩いていると、母校は昔のままと変わらないなあと思いつつ、その当時の服装、黒絣(くろかすり)の着物を着て高下駄を履き、黄色の草履袋を下げていたのを思い出しました。
その時、小学校から出てきたのは金ボタンの外套を着た児童たちでした。
現代風の若者を見ると、20年の歳月の流れを感じさせられる。そして、明治のよき時代は遠くになってしまったものだと感じたということです。
この句と同様、昭和も戦後72年が過ぎ、戦後の廃墟の中の苦しい生活とその後の高度経済成長、そして世界第2位の経済大国に発展しバブルを経験した懐かしい時代が遠くになってしまった感があります。
そんな懐かしい時代を思い出させてくれる展示が、関西空港の対岸に位置する泉佐野市の「いこらも~る泉佐野」で10月1日まで開かれていました。
先月下旬にHNKで紹介していたので、見学に行ってきました。
今日から数回に分けてご紹介したいと思います。
この展示は「ジオラマで見る懐かしの昭和」と題して、「戦後の街」「風呂屋」「八百屋と駄菓子屋」「長屋と広っぱ」「演芸会」「給食・小学校」「道頓堀」などの戦後の昭和を、ジオラマで再現しているものです。
今から70年前の昭和には戦争と言う辛い時代がありました。
生き生きとした町の隣にはボロボロになった人たちの姿、貧しく残酷な昭和でした。
そのような様子をジオラマ人形が生き生きと語りかけています。
ここに展示されているそのジオラマ人形はおよそ900体だそうです。
・戦後の大阪の街を再現しています。
「戦後の町」
焼け野原の街には人々が溢れていました。
食べ物を求めてさまよう人々にはそれでも安堵の表情があったのです。
親や家を失った子供たちは行き場を失って浮浪児となり、がれきの街に放り出されましたが泣きごとを言う間もなく、子供の彼らには再び生きるための熾烈な戦いが待っていました。
・終戦直後の大阪の様子を再現しています。
同じく終戦直後の様子です。
「ギブミーチョコレート」
終戦直後にはMP(米軍の憲兵)をよく見かけました。
米軍の兵士が来ると、子供たちは「ギブミーチョコレート」と言って食べ物をねだっていたものです。
その様子がよく再現されています。
・ガード下のスラム街を再現しています。
・懐かしいオート三輪や大八車も作られています。