きのうは盛岡市内で取材。
せっかく、桜の時期に盛岡に来て、見ない手はありません「石割桜」。
わたくし、花が咲いている時期には初めて見た次第。
この時期にはボランティアで観光案内していただけるようで、
この木が、エゾヒカンザクラであること、
いまから350年ほど前の江戸中期にこの地に屋敷のあった
盛岡南部藩の家老家の庭石が雷で割れ、
その隙間に桜のタネが飛来して、成長したと言うこと、
などの情報を聞かせていただきました。
桜の木としては日本で最初に天然記念物に指定されたものだそうです。
現在はすでにかなりの老木であり、
ところどころ、まるで絆創膏のような保護が施され、
また、支え木が何本も建てられております。
看るひとによってはもうすぐ寿命が尽きる、というひともいれば、
いや、何百年も大丈夫だというように見方が分かれるようです。
興味を引いたのが、この桜、周辺の桜よりも
咲くのが早いのだと言うこと。
という理由として、石の「蓄熱作用」があって、
そこからの温熱効果で早く咲く、ということなのだそうです。
もしそうだとすれば、この桜、
大変貴重な知恵をわたしたちに指し示してくれていると思いますね。
本州でもっとも寒冷として知られる盛岡で、
こういう自然のいとなみのなかに「蓄熱効果」が発揮されているって、痛快。
石をくりぬいて煙道を造り、温熱効果を得ていた
東アジア一帯に残るオンドルのアイディアに通じるものがあります。
ただ、こういう知識は日本ではあまり重要視されなかったのですね。
それよりも通風重視の家づくりの中の格式・様式部分の文化性の方に
はるかに民族的な情熱が費やされてきたのだと思います。
っていうような雑感を抱きつつ
桜の美しい饗宴を眺めさせていただいている出張行脚になっております。
ことしは東北、どこも桜が早めだそうで、
仙台はすでに葉桜の風情。
なのですが、やはり日本人ですね、
桜と春の空気感に、無上な沸き上がるよろこびがこみあげます。
民族的なDNAは確かに存在すると思いますね。