三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

盛岡再生2_既存状況

2006年04月09日 06時55分44秒 | Weblog
盛岡のリノベーション住宅その2です。

施工にあたった田越工務店さんがプロセスの写真を詳細に
撮影していて、それのデータをいただいたものですから、
「住宅リフォーム」が抱えているいろいろな問題を
写真を整理しながら、あぁ、そうか、という感じで
気づくことができると思います。そういう分析的な見方を一度
してみたいし、そうすればもっと合理的で、説得力のある
リフォーム工事のすすめ、のようになるかもしれない。
というようなことを、このシリーズで、ゆっくり考えてみたいな、
というのが、わたしのブログ動機なんです。

ある意味ではこういう住宅の「性能向上型」リフォームというのは
新築でいい性能の住宅を作る技術を持ったビルダーでも難しいものがある。
建物というのは、既存の状態でいろいろな、絡み合った問題を抱えて
存続してきているものなので、ひとつのことを解決しても
それはまた、別の事柄とも複雑に絡み合っているのが一般的。
ここに3枚のリフォーム前の写真を並べてみたのですが
いろいろなことが理解できますね。
当たり前のことですが、建物が建った当時から、
日本人の生活はどんどん、変化したのですよね。
たぶん40~50年前の建物のようですが、その当時には考えられないほど
私たちの暮らしは「多エネルギー消費型」に変化しましたよね。
既存建物の周囲に「後付け」で付加された設備関係の本体や配管・配線を
ご覧いただければ、その様子が一目瞭然です。

考えてみれば、電気もなかったような時代から今日まで
水回りをはじめとする現代生活のアメニティ設備が
そういうことをまったく想定していなかった住宅に入り込んでいったのです。
整合性のある処理というのは、無理がありますよね。
それと、外部の建具を見ると木製の引き違いになっています。
当時は当然大工仕事で造作で作ったものでしょう。
そういう造作仕事が、大量生産大量消費社会の進展で、
写真の玄関のように部分的に、工場生産のアルミ製品に置き換えられて
継ぎ足されるように、構成されていますね。

こういう様子を見ると、家づくりを考えるときに、設備関係の進化とか
生活の志向性への「先を見通す」ということが、必要だということは言えます。
もちろんそんなことは完全には予測不可能ですが、
ゆとりをもった、懐の深い計画が求められるとも言えますね。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする