きのうもご紹介した「歴史人口学」。
なかなか奥行きがあって、興味深いテーマですね。
そのなかに江戸期の一般的な婚姻年齢について触れていました。
というか、婚姻と言うこと自体についても研究されている。
そういうなかで、江戸期の「小作農」という社会的存在が
日本人の基準的規範の基礎になっているというような部分があります。
「伝統的家族観」とでも呼べるようなものが、
実は江戸期の「小作農」を基準とした「家族構成」だとしています。
直系家族を単位とした「家族3世代同居」型の単位が
江戸期に社会の基本因子と規定されたのだ、と。
婚姻率というのも、こういう社会的なシステムが常識化して
「皆婚」に近い率になっていった、というわけなんですね。
それより以前には、婚姻率って50%すら切っているような社会。
小作農にとっては、家族を基本とした労働集団が経済単位にもなっているので、
婚姻は、家を存続していくという子孫づくりの側面と同時に
直接的に嫁としての労働力獲得と言うことでもあったのです。
婚姻の年齢は男性で平均的に27,8歳前後、女性で20歳前後。
一度、このような「常識」が根付いて、
それが長い時間、「伝統」的とまで思われ続けて存続してきている。
現在でも、核家族化の進展はあるけれど、
基本的社会規範としては、この常識が基本になっている、ということ。
このように指摘されれば、ふむふむなるほど、と了解できます。
で、平均的な寿命は40歳前後だったそうなので、
婚姻というものは、都合10年前後ほどの期間、維持されるものだったことになります。
わたしの仕事は住宅を考える仕事なので、
住宅というものの基本因子である婚姻や家族というものを考えるのは大前提。
そして現代が、どのような家族関係に向かっていくのか、
見通していくためにも、こうした視点を持つというのは大変重要。
いろいろ考えさせられますね、ふ~む。
<写真は近所の公園の様子>