三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

孫崎亨さん、天皇発言利用はいかがでしょう?

2015年04月22日 06時42分24秒 | Weblog

昨日夕刻から、FBの知人から情報を教えられた
評論家・孫崎亨氏の講演会に行って参りました。
氏は、いわゆるリベラルの立場をとられている元外交官であり、
「戦後史の正体」という本を読んだ経験があります。
外交官的な現場臨場感は伝わってくる本だったので、面白く読みました。
いま現在のかれの発言内容については、かなり違和感は持っていましたが、
むしろ意見の異なる方の考え方も、きちんと聴いておきたいと
夕方6時からという微妙な時間でしたが、聴講して参りました。

まぁ、リベラルな立場からの言説なのですが、
そういった主張をされるのはご自由だと思います。
しかしもう少し冷静な分析に基づく言説を期待していたのですが、
分析がきわめて薄弱、不鮮明な「論拠」に基づいて
断片的に「決めつけて」、自説の主張を展開される手法には、
やはり残念ながら、強い違和感を持たざるを得ませんでした。
とくに冒頭から、今上天皇の発言を取り上げて、
かれは80歳の誕生日にこのように発言した、
その意味はこうだと、自説に我田引水的に利用して、
だから現政権は、天皇からも支持されていないと論旨展開する。
天皇も人間であり、ある主張を持たれる、判断を持つというのは
ごく自然なことであると思うけれど、
だからといって、日本は王制国家ではなく主権在民国家です。
主権者は国民であって、天皇ではない。
日本の現憲法では、天皇を政治的に利用することは、
厳しく禁じてきているのが戦後社会ではないか。
それも左派にとってはそれこそ天皇制自体、否定的な存在だと思う。
少なくとも言論人であれば、論理的な主張展開をこそすべきであって
根拠曖昧な天皇発言を利用するのは、それこそ危険だ。
リベラルな立場から主張展開するのに
いきなり天皇発言の利用という切り口はないだろうと思ってしまいました。
民主的な選挙によって選ばれながら、天皇に手紙を渡した
勘違いの議員とまったく同じ思考回路に立ち至っていると思います。
そして310万人の犠牲者を出した第2次世界大戦に触れ、
その当時の指導勢力と、現在の政権を
なんら論理的証明を果たすことなく、無造作に同一視して
まるですぐにでも現政権は戦争を始めるのだと決めつけていく。
これは冷静な社会分析、政治論ではなく
なにも知らないと勝手に決めつけた大衆に対して
論理ではなく感情レベルのプロパガンダを植え付ける行為だと思います。
講演会の末尾に、氏への「質問」を受け付けるアンケートがあったので
「自らの政治的主張への天皇の利用については
主権者たるわれわれとして、いかがなものでしょうか」
とわたしは書いて質問したのですが、40数枚の中から
幸い3番目に取り上げられました。それへの答は
「安倍政権の暴走を食い止めるためには、保守層へも訴求する必要がある。
そのために、保守層が信ずる存在を利用して訴求したかった」
と、答えていました。では、
保守層がもし、あなたのように天皇を利用したら、どうするのでしょうか?
当然にわたしたちが持つこの疑問に
このひとは、いったいどう答えていくのでしょうか?

安藤忠雄さんという上質のおいしいお酒を体験をした直後に
こんなまずい酒を飲まされてしまったという脱力感を抱いた次第です。

コメント
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