三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

【日本建築学会・川島範久氏から「環境住宅」論議の案内】

2017年11月08日 07時02分04秒 | Weblog
昨年、新建築住宅特集6月号で掲載された「環境住宅特集」について
わたしが違和感を自分のブログで書き込んだことから、
Facebook上でのやり取りが活発に展開しました。
その誌面に掲載された川嶋範久・東京工業大学准教授の「巻頭論文」に
疑問を呈した次第だったのです。川島さんの巻頭論文には
「自然と一体化し、自然のリズムが実感できる環境は、その変化によって時折、
環境工学的に「不快」になり得る。しかしその変化を楽しめる度量を持てた時、
それは歓び(Delight)にもなり得る。」という記載。
高断熱高気密化が国策として推進され省エネが世界的に焦眉の課題の時代に、
一部とはいえ建築のサイドから、こういった記述がされることに疑問を感じた。
世界の寒冷地域あるいは北海道の人間として素朴な感覚として、
戦国期に織田軍に滅ぼされた武田サイドの禅寺の和尚さんが、
「心頭を滅却すれば火もまた涼し」といって自死したという故事を書き、
精神論で気候条件を乗り越えろという意味合いでしょうかと、疑問を呈した。
また、「環境住宅特集」と銘打たれているけれど、
記事の中では「環境技術と環境政策の系譜【年表】」も掲載されていて
そのなかで北海道の地域を挙げた寒冷地気候対応としての
高断熱高気密化の努力についての記述が確認できなかった。
「環境住宅論議」に高断熱高気密化の要素を無視していいのだろうかと。
わたしの意見に対し多くのみなさんからの反響があり、活発な論議が起こった。
その様子が伝わったのか、その「環境住宅特集」関連のシンポジウムが
日本建築学会「地球の声」デザイン小委員会主催で開かれ、
わたしの書いた問題提起が取り上げられたりしたこともあった。
さらにそこから、筆者である川島さんが北海道住宅の視察に来られて、
北海道の建築研究者、建築家、ビルダーなどを交えた討論も行われました。
語り合うことで、大いに相互理解が深まった面があったと思います。

そんな経緯があったのですが、
昨日、それ以来懇意にさせていただいている川島さんからのお知らせ。
以下引用は、氏のFacebookページの案内文からです。
〜【告知・拡散希望】〜
2017年11月24日(金)18:00より建築会館3階会議室にて公開シンポジウム
(日本建築学会「地球の声」デザイン小委員会・拡大委員会)を開催します。
テーマは、『環境住宅』を「地域性」と「倫理」から再考する。
ゲストスピーカーとして、堀部安嗣氏(堀部安嗣建築設計事務所)、
竹内昌義氏(みかんぐみ)、藤野高志氏(生物建築舎)、末光弘和氏(SUEP.)。
様々な地域(気候風土・文化歴史)において、様々な考え(倫理観)のもと、
「環境」に対する具体的な「実践」をご紹介いただき、それらを議論する中で、
『環境』住宅の多様な可能性を改めて認識するとともに、これからの建築が
向かうべき方向性を炙り出せればと思っております。多くの方々と共有したい議論。
ぜひお誘い合わせの上、ご参加いただければと思います。よろしくお願いします。
日時:2017年11月24日(金)18:00~20:30
場所: 建築会館3階・308 会議室
司会・連絡先:川島範久(東京工業大学/「地球の声」デザイン小委員会・幹事)
〜一部要旨引用。

というような展開になりました。
ただ、当日はわたしは京都で住宅取材の予定が入っているので日程調整に困惑。
またわたしは寒冷地の住宅をウォッチしている立場とはいえ、メディアの人間。
なので、JIA北海道支部など建築側にこの情報をお伝えし参加を促している次第。
本日、北海道大学で建築の学生さんたちに「講義」するのですが、
こういったメディアと建築もテーマの予定です。論議が活発になるのは
社会全体としてたいへん意義があることだと思っています。
コメント
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