きのうに引き続いて、札幌市西区での武部建設さんの
「北海道R住宅」リフォームの家です。
いろいろなテーマに取り組んでいる住宅ですので面白い。
で、本日触れるのは、古民家の建具であります。
古民家、わたしは好きなんですが、
北海道では、都市部などではあまり残されてはいない。
札幌の中心部にある、都市型の古民家というのは
下見板張りの、商家や一般住宅が多く、
多くが大変寒い家なので、その土地の不動産価値の方にだけ利用価値があって
簡単に建て替えられていくケースが多い。
また、都市型住宅といっても多くが建売的に販売されたものが多いので
使用されている材料なども、そうは立派ではない。
勢い、あまり愛着の対象になってはいませんね。
そういう意味で、まともに古民家として「解体・移築」とかされるものが少ない。
やはり北海道でも、地方の農家住宅などが古民家の範疇になってくる。
そういう住宅では、構造材などが、その家の出身地方の建て方で使われていて、
開拓当時はふんだんにあったであろう、ナラやセンといった立派な素材が使われていて
まことにみごとなものなんですね。
それに加えて、建物の利用に欠かせない建具の類も、
新建材の工場出荷品のない時代ですので、
丹念に職人仕事で作られた建具が残されている。
ところが、建物が解体されると、そういった建具は同時にスクラップされて
ミンチ解体されてきたのがこれまで一般的だったのです。
武部建設さんは、そういった現状に一石を投じて
北海道で古民家再生を仕掛けてきています。
そういう活動の結果、多くの古民家解体情報が寄せられ、
貴重な材料をきれいに解体して、自社の土場に集積させています。
こういった古い建具類も同様で、多くの見学者が訪れます。
この家でも、施主さんが見学に来られて感激して、
こういう建具を使いたい、と強く希望されたそうです。
やはり手作り品の持つやわらかい印象は独特の空気感を持っています。
リフォームして、壁は真新しくなっても、
こういう建具が納まると、雰囲気を決定するパワーがある。
商店建築系の設計事務所などは大のお得意さんで、
いつも倉庫で物色していくのだそうです。
いまや、こういう職人仕事は希少品。
一方で、このようなルートを開拓してきているビルダーさんもいるので、
ユーザーには、いろいろな選択肢が広がっているなぁと感じる次第です。
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