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三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

木漏れ陽の家

2006年01月11日 06時43分54秒 | Weblog

数年前、親しくさせていただいている建築家・圓山彬雄さんから
面白い家があるから見に来ないかい、というお誘いを受けました。
こういう場合、あんまり期待を裏切られたことはないので、
速攻で見に行ったのが、この家。
非常にわかりやすい、コンセプトの明快な家で
いきなり階段を上って、2階になっている玄関を入り
まっすぐ居間にはいると、写真右側の丸窓。

昔からわたし、木の上で暮らすというのは夢でした。
小さいとき、原始の札幌の自然景観をそのまま遺す北大植物園に面した家で
毎日林を見ながら育ったことが関係しているのか、と。
でもこういう願望って、けっこう普遍的なんだそうで
類人猿以来、人間の本能に近い願望なのかも知れません。
な、ものですから、この光景を見て
そのまんま、やんけ~
って、あっけにとられてしばし呆然とたたずんでおりました。
この丸窓、大きくて通常の床から天井までの
まるで「生活のスクリーン」とでも呼べる大迫力の大きさ。
丸窓から、隣接して繁茂する木々の四季変化が居間に写り込むんですね。
まるで、本当に木の上で暮らし続けている気分。
って、本当に木の上で暮らすのは、大変ですよね(笑)。だから
木の上で暮らす喜びプラス、現代的生活の快適さもあるんですね。

この家、明快なコンセプトを実現するために
居間の大空間すっぽり、コルゲートパイプと呼ばれる
まるでトンネルの中にいるような感じで構成しています。
で、天井には一面に吹きつけの断熱材が施されて、そのまま素地あらわし。
丸窓とこの丸天井で、より求心的に木々の移ろいに視線が向かいます・・・。

若葉の頃には、まさに耐えられない美しい光景を
日々、居間から楽しめるのだそうです。
もちろん葉の落ちた冬枯れから、夏の圧倒的な緑まで
四季折々、木の表情とともに暮らせます。
よく建築家のみなさんから聞きますが、
人工的な風景って、3日見続けると飽きます、
一方で、自然の変化は絶対に飽きが来ることはありませんよ、ってね。
まぁ当たり前だと思います。
むかし植物園の木々を一日中、見続けてきたわたし、激しく同感。
ちなみにこの家は、市街化調整区域に面して建てられているので、
この丸窓からの景色は変わることがないのだそうです。

すっごい、ぜいたくだなぁ、って羨ましかった家です。
みなさん、どうですかね?
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リプラン東北版 最新号もうすぐ発売

2006年01月10日 06時43分15秒 | Weblog

お待たせいたしました。
今週15日には、最新号のリプラン東北版が発売です。
今回の特集は「キッチン・水回り」。
最新のステキなライフサポートゾーンにスポットを当てています。
キッチン・水回りは、住まいの快適、の基本要素。
デザインもいろいろ、配置計画もいろいろ
家族とその暮らしにぴったり似合ったキッチン・水回り、考えましょう。

そのほかにも、面白住宅探訪として、ここでも紹介した「亜鉛閣」のルポルタージュなど
東北全域のステキな住宅がぎっしり満載です。
写真は、青森県三沢市に建てられたツーバイフォー住宅。
リプランを徹底的に研究した読者の方が選んだ建築会社(ビルドライフ)といっしょに
高性能で、しかもデザインもこだわりに満ちた家を新築したもの。
まさに見応えもたっぷりなのですが、
ここは居間。2層吹き抜けの開放的な空間に、いろいろ楽しい演出。
モダンデザインの暮らしの楽しさを満喫されています。
居間のソファから室内の全景をすこし見上げの角度で
写真に納めてみましたけれど、ここちよさ、伝わるでしょうか?

それと、もうすでに仙台の方から注文もいただいたのですが
今回の号から、リプランHPの「家づくりwebセンター」で、東北からも
家づくり相談の申し込みを受け付けられることになりました。
リプラン東北版に掲載された個性的なビルダーさんからプランの提案が
インターネットで受けられるようになります。
誌面を見て気に入ったビルダーさんと、気軽にコミュニケーション。
誌面とwebで多面的にあなたの家づくりを応援していきます。
アドレスは http://www.replan.ne.jp/

リプラン東北版、今週末には有名書店・コンビニで
一斉に発売です。600円。
どうぞよろしく、って、きょうは完全にPRモードです(笑)。 お許しください。
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自由研究

2006年01月09日 05時16分09秒 | Weblog

自由研究、ってみんな、どうしていましたか?
深刻そうに悩んでいた、息子から相談されまして・・・
小学校4年生、いろいろ悩んでも、なかなか思い浮かばなかったようで。
嘆かわしいなぁ、とは思いつつ、じゃ自分はどうだったかなぁ
と、思い起こしても、あんまり記憶もない。
ということで、これを機会に何十年間、放って置いた宿題に取り組む気分で
いっしょに考え始めたのですが・・・
なかなかないよね~。
息子の希望としては、「研究、っていうかんじがするもの」。
とりあえずふたりでいろいろ候補を挙げていって、
「あ、それ、無理」「そんなの、ダメにきまってるべや」
とか、言い合っておりまして、難航。
やっぱこういうのは、小学生らしく身近で、継続してやれるもの
というように考えました。
で、そのうえ父親としては、いい習慣づけに繋がりますように、と願うわけですね。

というわけで、完全に反則ですが、
まぁ、悩んだ末に父に相談してきて、かれなりに考えた上なんだから、
と理由付けを考えまして、相談の上、写真のようなことに決定しました。
とりあえず、今年は寒さが厳しいということから、
天気予報と、その結果の新聞記事をならべてスクラップしていこう、と。
見開き2ページに、予報と結果を貼って
それで、あとはその記事からかれが感じることを、余白部分に書き込ませようというもの。
これだと、毎日すこしづつ何かを積み重ねることにつながる、
そのうえ、新聞記事に興味を持てるんじゃないか、
なんて、もくろみをもったのです。

さて、どうなるものやら、
多かれ少なかれ、みんな同じようなことだろうと思うのですが
まぁ、要はこどもたちが、継続してなにかに取り組む、
ということの習慣づけになればいいと思うので、あとはかれのがんばり次第。
余白部分にどんな感想や、意見、感じたことが書き込まれるものか、
毎日、たのしく親子の対話ができたらいいなぁ、と妄想しております。

間違っても、息子は三日坊主、
父は急性アルツハイマーにならないように
頑張りたいと考えています。
あ、これ、絶対まねしないでくださいね(笑)。 お願いです、よろしく。
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お気に入りのPCリュック

2006年01月08日 07時15分38秒 | Weblog

出張がちの関係から、とくにノートパソコンPowerBook G4、Macですけど、
を保護しながら気軽に移動する、そのお供のバッグには
おのずとこだわっちゃいます。
いろいろなのを使ってみたのですが、
最終的にたどりついて、気に入っていたのが リュックスタイル。
お、これいいじゃん、と軽い気持ちで選んだのが
写真左側のヤツ。
ところが、約2年以上かな、酷使(毎日通勤に使用。出張年50回超)の結果、
ついに左側背持ちのバンド部分がはがれちゃったのですね。
気に入っていた、ということも考えないくらいに身近に思っていたモノなので
「さてどうしようかな」と考えて、困っていました。
それで休日の昨日、パソコン収納がメイン機能なので、ヨドバシカメラに行って
探してみたのですが、どれもこれも、
「なんだこれは」というゴテゴテ、モタモタの絶望的ダサダサばっかり。
メーカーとか見てみると、PC系のメーカーが多くて
「あれもできる、これもOK」みたいに、
多機能を謳うのがいいと考えているようですね。
もうちょっと、使って移動する人の気持ちを楽しませるようなデザインのモノ
考えられないものなんでしょうかね。

で、灯台もと暗し。結局インターネットで、いま使っているリュックを
調べて、札幌で扱っているデパート(なんですね、これが)に行ってきました。
行ってみたら、なんと売り場は1階で、周りは化粧品のブランドショップばっかり。
まったく不似合いなおじさんが徘徊するような場所じゃありません。
でもまぁ、勇気を奮い起こして、入ってみると
これもきれいな女性店員さんばかり。
もうこの時点で、かなり楽しい買い物気分に浸っておりまして(?)
以前のリュックよりも、もうすこしよさげなモノを
選んで来ちゃいました。 それが、写真右側のモノ。
すこしユニセックスで、たぶん女性が持ち歩いてもおしゃれそう。
値段もまぁまぁ、高かったのですが、(ヨドバシで見ていたモノから約3倍超)
毎日使うモノだし、気に入ったモノがいいと、購入しました。

年甲斐もなく、って、気持ちは若いつもりなものですから。
前から、年をとってきたら、若めのモノや、色を選べ、ということを
聞いたことがあります。ようするに気持ちを若々しく保つというのが目的。
必ずしもそこまで考える必要はないとは思うのですが
ただ、PC系のファッションセンスのなさには、本当に絶句ですね。
なんとかもう少しまともなデザイン、考えて欲しいと感じます。
って、こういうの、住宅でも同じようなことがいえるのかも知れませんね。
機能を追求すればするほど、それを形にまとめ上げるための
デザインを研究していかなければ、顧客満足はありえない、ってね。

<追伸  ほころびた以前のリュック、このショップに話したら、メーカーに問い合わせて、縫子の職人さんに補修させられるかどうか、聞いてくれることになりました。いい対応だなぁ、と関心もした次第。このあたりも、住宅関係者、大いに参考にすべき対応ですよね。>
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凍えあがる日本

2006年01月07日 06時35分06秒 | Weblog

寒い。  日本全域、記録的な寒さが続いているんだそうだ。
5、6日と仙台にいました。
いま賃貸で借りている部屋。新築でここ1~2年のもの。
きれいな女優さんがさかんに宣伝している全国企業の物件。
窓は床までの掃き出し・ガラスは1枚。
年末29日に出てくるとき、水道は水を落としてきた。
5日の夜、室内にはいると室内気温は3度。
暖房設備はエアコンのみだったのを、100Vの電気暖房も追加しておいた。
両方、フルで稼働し続けて3時間近く。
ようやく室内気温が15~6度。でもそこから上昇しない。
結局、夜通し暖房を切ることができない。
そのうえ、寝具の中でなお、寒さに耐え続けなければならなかった。
あさ、風呂に入って凍えた体を温めてから仕事に向かった。

事務所は現在、仮住まいの老朽化したビル。
築30年近くの軽量鉄骨造。ちょっとした地震でも激しく揺れる。
ここもデフォルトでは暖房設備がなかった。
しかたがないので、ポット式の石油ヒーターを使っている。
ここでも室内気温が、3度ほど。辛いので、電気ヒーターも持ち込んで運転。
2時間ほど掛けてようやく室内気温が18度になったが、
それ以上は上昇させられない。
トイレへ行こうとして、・・・びっくり。
凍上してしまっている。
水落としをしていなかったらしく、完璧に水道管が凍結してしまっている。
大家さんに連絡したら、ヤカンを持って登場してくれた。
思わず、笑ってしまった。大家さんも笑っているが
どうもふたりのこの苦笑には違いがあると感じた。
「いや、すごい寒さですね(笑)」というのと、「いや、すごい建物ですね(笑)」という違い。
それはまだいい。 なんと、それから数時間後、
日中に用を足そうとしたら、また凍結してしまっていた。 って、オイ・・・。

紺屋の白袴、って言葉があるけれど
しみじみとわが身を反省させられた。住宅性能とか書いているけれど
自分自身では、仙台ではあんまり顧慮していなかった。
この街は、寒さに対して、ほとんど地域の常識としても、無防備に近いのだ。
まさか、という現実を体で経験させられたこの2日間でした。
・・って、実は1日予定を早めて、最終便で札幌に戻ってきた次第。
北国育ちのわたし、寒さに弱いんですね(笑)。
ほうほうの体で、札幌の暖かいわが家に逃げ帰ったというのが実態に近い。
それと、水道を落とす、という習慣は何十年もしたことがないので、
実はやり方もほとんど忘れていたし、凍結した水道管の復旧方法も
すっかり忘れているんです。 ヤカンなんて、気づかなかった(笑)。
そうか、その手があったのか、ってね(笑)。

断熱・気密がしっかり行われて、暖房計画がきちんとなされ、
そのうえ計画的に換気も行っている、という建物の素晴らしさをしみじみと、体感。
こういうことって、進化をさかのぼることは絶対にできません。
地域全体として、ウォームビズ、
本当に取り組んでいかなければなりませんね、ニッポン。
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若い建築家

2006年01月06日 05時34分49秒 | Weblog

五十嵐淳さんという北海道の建築家が旬になってきた感じです。
2~3年前、吉岡賞という建築家の新人賞とも呼ぶべき賞をかれは取った。
最近は北海道内での建築で、イタリアの建築国際賞も受賞したということ。
リプランとかれはゆかりが深い。
札幌で建築を学んだあと、郷里の佐呂間町にもどってから
実家の建築会社の社屋を設計。
その作品の写真をリプランに投稿してきた。
佐呂間というのは、北海道北見市の北・1時間くらいの小さな街です。
常識的に考えて、設計で身を立てていくほど仕事があるとは思えない土地柄。
誰もがそう考える街から、かれはわたしたちにメッセージを送ってきたのですね。

その建物の写真には、でもやっぱり若い創造意欲がビシビシと感じられて
こっちの取材日程の都合が付いた時期に行きますよ、撮影に。
と、返事することにした。
なんか、久しぶりに元気のいい若いひとを見る感じがしたのですね。
建物は白の内装を基調として、光と陰の陰影感を体感するような建物でしたが
たいへん清々しい印象を持ったのを覚えています。
それ以来、こちらも積極的に北海道内の地方取材を活発化させたこともあって
ちょこちょこと取材する機会が増えました。
地方でもがんばって自分の思う道で活躍の場を作り出そうという、かれの意欲を
多くの人が共有できれば、いいことじゃないかと考えたのです。
建築による、地域おこしとまではいえないまでも
そうした活動を応援したい、ということですね。
しかし、こっちをそういう気持ちにさせるだけの熱さが、かれにはあったと思います。

吉岡賞を受賞したあと、会う機会があって話したら
東京での授賞式で、同年代の設計者から言われたというある言葉を聞きました。
若い人らしい、強い向上心をその言葉のやりとりから感じたものです。
いま、かれが札幌などで講演すると、わかい設計希望のひとが
たくさん集まってくるのだそうです。会場がフルハウスになった、と聞きました。
さらに、すこしずつ発表してきた住宅の作品性の高さが多くのユーザーの
注文を呼んできているようで、各地でかれの設計した建物が建ってきています。
写真の住宅は、最近リプランで掲載された釧路市近郊の住宅。

地域に根ざしたメディアって、こういう楽しい出会いがありますね。
これからも、こっちもワクワクするような、若い人、
こころざしを感じるような人と、出会いたいものだと思っています。
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減築の事例紹介

2006年01月05日 04時44分19秒 | Weblog

おととい、きのうと触れた「減築」。
具体的な秋田県での事例を写真で紹介します。
写真はphotoshop使って、1枚にしているんですが、
(問い合わせいただいたんで種明かし)
外観写真はこの家、ほとんどまったく以前と変わっていません。
断熱がまったく施されていない築40年の住宅。
これを本来、外断熱で施工したい建築会社なのですが、敷地にまったく余裕がなく
仮設足場も掛けられないことから、板状断熱材で「充填断熱」したものです。
だから外壁材が更新されたくらいで、形は変更なし。
内部も、写真で見るような間取りが前からあったのです。
だから、年をとった高齢者にとっては、使い勝手もほとんど変わらず、
そういう部分のストレスは感じません。
まぁ、電化になったので暖房器やクッキングヒーターなど
変わったのはあるんですが、あんまり生活ストレスはないようですね、そんなのでは。

断面図で表記しましたが、ごらんのように生活する1階の主要部分だけ
断熱したのです。玄関は無断熱で、大変開放的な作りですが
居間との扉から断熱ゾーンになるわけです。この扉が断熱ドア。
本来の断熱気密の考え方からすれば、ちょっと変わったスタイルなんですが
そこそこ、という考え方から断熱を向上させる、という考えもあってしかるべき。
現にこの高齢者夫婦にとっては、無上の快適空間なのだそうです。
それまでは、無断熱状態だったのですから、
はじめて「暖かい家」、というか、暖房が効果をきちんと発揮できる家
というものを経験しているに等しいのですね。
青森の旧家でも、こうした断熱向上型のリフォームを見ましたが
そこそこでも、基本的な部分をわきまえた業者さんが断熱改修すると
大きな効果がある、暖かい家が実現できるものです。
費用との見合いで、すこしでも暖かく改修する、っていう選択肢もあっていいと思います。
このブログでも何回か紹介している、新住協を指導する室蘭工大・鎌田教授は
圧縮GWによる断熱改修を提案されています。
これだと、大変合理的な範囲のコストで断熱改修できます。
平均的な床面積の住宅で100万円前後で断熱改修が行われている事例もありました。

このように家の一部分だけを断熱改修して、現代的な暮らし装置に
リフォームして、住宅機能の再生・延命を図るというのも
これからの建築業界に求められる大きな社会的な要請になってくるかも知れませんね。
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もういっかい、減築って?

2006年01月04日 06時59分46秒 | Weblog

きのうのブログ、わかりにくかったと思います。
すいません、正月ぼけしているようですね。で、若干補足します。
減築って、ようするに床面積を現状よりも減らすリフォームのことです。
高齢化社会を迎えて、夫婦ふたりだけの暮らし、っていうのが
一般的に多くなってきています。
実はそれに似合った間取り・使い勝手の住宅は案外少ないのです。
大きい家に少ない家族が暮らす、ということから、
掃除からして大変だし、エネルギー消費・光熱費などの面で不利になっているのです。
考えてみれば当たり前で、以前は子育て優先でとにかく個室の数が必要だったので
何LDKというものが、住宅の機能性をあらわす意味に使われたりしていましたよね。
間違っても、気積(立体的な大きさを表す)で何立米の家、なんていいません。
(ほんとうは性能的には、これが一番わかりやすいとは思うのですが)
一般表記自体が、個室の数を最優先した基準になっていた。
まぁ、それはそれで素晴らしいわかりやすさだったですけど
いまや、そういう概念で住宅を表すのが、意味を持たなくなってきています。

こうした流れというのは住宅リフォーム取材でよくわかります。
個室数優先だったので居間や台所といった
生活の基本部分の広さはその分、不足している。
こうした日常生活の豊かさに直結するスペースを拡大するタイプが
リフォームの間取り変更では一般的にたいへん多い形なんですね。
しかし35坪前後の床面積の住宅で4人家族想定という「平均的な」住宅では、
そうした改修を行ってもなお、床面積が広いというケースも多い。
極端に言えば、ほとんど2階は使わなくなったから、1階だけでいいわ、
というリフォーム需要というのもあるんです。
実際に秋田県で、こうしたリフォームを取材しました。
ここではいわゆる「減築」まではしませんでしたが、事実上、同じことをしました。
老夫婦だけの暮らしなので、断熱向上・住み心地の改善を1階だけ部分的に行って
2階はほとんど倉庫にしてしまったということなのです。
このケースでは2階建てが、使いやすい平屋に変更になったようなモノ。
間取り的には和室1部屋と、大きなリビングキッチンダイニング。
約22~3坪で1LDKの広さになったわけです。
こういう老夫婦にとって、使い勝手・間取りがほとんど変わらず
しかも暖かくリフォームされるっていうのは、すごく居心地がいい。
いくらいい家でも、使い勝手・間取りが変わるっていうのはストレスになるんですね。
高齢者住宅のモデルっぽいリフォームだなぁ、と思ったのでした。

こうした点から考えて、リフォームのときに「減築」するっていうのも
これから広がっていく動きなのかも知れません。
そういう意味合いから、朝日新聞の記事に注目したという次第だったのです。
わたしたちは戸建て住宅がメインなので、集合住宅は考えが及びませんでしたが
記事では、10階建てを7階建てにするみたいな、集合住宅の「減築」まで触れられていました。
そういう都市の再構築に近いことまで含めて、
どうもこれから、テーマが動き出すということなのでしょうか、ね。

<写真は仙台空港近くの海辺から蔵王方向をみたもの。
記事とはあんまり関係ありません>
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減築のはじまり?

2006年01月03日 08時36分40秒 | Weblog

しばらくの間、十数年間ほど朝日新聞の購読をやめていた。
朝日新聞を巡っては、最近多くの事件や動きがあって、メディアとしての危機だった気がします。
戦後社会の中で一貫して取り続けてきた朝日新聞のスタンスは
良くも悪くも、日本にたいへん大きな影響を与え続けてきました。
そのスタンスが最近、なにかが変わってきている感じがします。
で、新年から1面で連載されているコラム。「再生・新生」。
現状否定的なスタンスが、一貫した朝日のスタイルだと思ったら
日本的なモノへの多少は前向きな記事構成になっています。

ずっと批判ばかりして、生産を向上させるとか経済を活性化させる、
ということに無関心だったのが朝日だった印象が強い。
一時期、失われた十年のあいだ、社会が閉塞感にあふれているのに、
メディアがこうした姿勢でいいのか、とすごく嫌いになった時期があったのですね。
それがやっぱ、すこし変わってきている。
批判ばかりじゃなく、じゃ、メディアとして今後の社会をどう考えるのか
そういうポイントの一端が、このコラムから感じられます。
元旦号では、これまで朝日がむしろ、否定的と捉えてきた日本的システムに
肯定的な側面をクローズアップさせ、
同時にもっといい日本になるためには、どのように考えたらいいのか、という視点があった。
朝日もまた、自分自身を変えようと模索し始めたのなら、いいことだと思う。

で、きょうのテーマが『膨らんだ街、「減築」中』。
いろいろな取材を重ねた末に書いたのだろうと思うのですが
わたしたち建築関連のものにとって、はたして、社会はここに踏み込めるのだろうか、
と思っていたテーマなのです。
今日この時点で、このテーマを持ってくるのは、確かにメディアとしてイマジネーションが豊か。
記事の要旨は人口急減期を迎えて、生活の質の豊かさを確保するために、
「量を減らす」ことに知恵を発揮しようということなのですね。
先日スウェーデン・ヨーテボリから来た「無暖房住宅」を設計した建築家の講演でも
触れられていたテーマとも繋がってきます。
かれの講演では、開発途上国がこれからエネルギーを多く消費する分
先進国では、それを見越した上でその増加分を上回るほどに
エネルギー消費を削減して、しかも現状の豊かさをさらに向上させられる
そういう「進歩」が絶対に必要だ、というメッセージが出されていました。

人口問題もエネルギー問題も、まさに同じ課題にこれから直面するのです。
この機会をチャンスと捉えて、生活の質の向上に結びつけていくという
ほんとうの意味の知恵が、求められてくるのでしょうね。
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博多で食べた、ふぐ

2006年01月02日 05時06分08秒 | Weblog
またブログのテーマとあんまり関係のない
食べ物の話題で恐縮ですが・・・。まぁ、正月らしく。
わたし、ふぐは、初めて関西圏に行ったとき
って、もう30年以上前ですが、道頓堀のふぐ専門店で食べて以来、
もう目がなくなり、大好物なんです。
下関には今回の旅行ではいけませんでしたが、
対岸の門司でも、それから、博多の街でも、食べて参りました。
博多のお店では、前菜・付け合わせと、料理のバラエティも豊富な
フルコースだったので、かんぺき満腹状態。
ふぐ料理らしく、ころころと転がりながら、やっと宿にたどりつき
横になって、しあわせ噛みしめていました。

ことばで説明してもしょうがありませんが、
前菜で出てきたのが、ウニがのっかった寄席どうふ。
続いて、あんのかかったすり身状のモノが出てまいりました。
それからのりをまぶした、ちょっと酢醤油のあじつけのもの。
という演出があってから、
てっさ。こりこりとした食感もあって、うまみのふかさとハーモニー。
しみじみと味わえましたね。
続いて今回は唐揚げではなく、鍋でいただきました。
うまみが存分に出ていて、野菜がみんなおいしく食べられます。
お餅も入っていましたね。たのしい。
ということで仕上げが、雑炊。
うまみが全部活きていて、満腹するまで平らげる喜び。
やっぱ、雑炊を食べないと終わりませんね、ふぐ料理。

これに唐揚げも加わるのでしょうが、
とても食べきれなくなりますね。
北海道ではかにしゃぶがうまいですが、
どっちがうまい?って、さて、どうなんでしょうかね、好み次第。
日本人に生まれた幸せを感じられるひとときを過ごせました。
ごちそうさまでした。
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