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三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

日本という国号

2010年09月10日 08時05分00秒 | Weblog





日本という国号が定まるのは、
唐との外交関係において、従来の倭国という国号を
「日本」というように変更したい、と正式に申し入れて
それが国際的に認められた、という形式を踏んで行われています。
当時の、国際関係を考えれば、
唐の王朝というのは、中国を統一している、
皇帝であり、その朝廷というのは、
アジア世界での国連のような存在だったでしょうから、
まぁ、現代のような透明性はない、ナマな権力ではあっても、
ここで認定されたと言うことは、国際的認証を正式に受けたということですね。
で、日本という国号は、よく考えたものだなぁと思います。

まずは、唐の王権に対して、
そこを中心に考えていますよ、
という由来的に、納得できるものであること。
なぜなら、唐の国から見て東側にあって、
科学的に、当たり前の事実として
「日の出ずる方角」に位置しているという明確な事実に基づいていること。
これは唐の王権にとっても、まことに当たり前であったでしょう。
しかし、それを逆手にとって、
日本、というのは、日の本であって、
唐の王権をも超えるような意味的な優越性が感じられる。
たぶん、唐側でも異論はあったのではないかと思われます。
しかし、そういうことはあまり形跡が見られず、
すぐに、日本という国号が中国では広がっている。
読みの関係で、ニッポンという読みと、ジポーンという読みが
中国内部で別れ、ジポーンという読みが
世界的に広がっていく中で、Japanという英語表現に至る。

で、こういう交渉を対外的に
成功させた日本の知恵というか、交渉力はなかなか評価できる。
しかも、これは、白村江での戦争後の微妙な情勢の国際交渉の中で
行われているのですね。
こういう事実から考えて、当時の日本の中心になっていた
百済などの半島からの渡来文化人たちの優秀さが伺われる。
たぶん、藤原氏の始祖に連なる連中が、こういう交渉を
リードした存在だったのだろうと思います。
しかしそれにしても、中国語に対しての深い教養と交渉力が
みごとに結実したものではないのか、と思うのです。
その後の、中国権力との付き合いで
比較的に独立的対応を続けてこられた根拠に、
最初のこういう交渉経緯が預かっているし、
国号の意味合いというものが、イメージとして大きな要素を
果たしていたのではないかと思う次第です。
<写真は皇居東御苑の千代田城址>







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ようやく秋の気配

2010年09月09日 06時48分44秒 | Weblog






ことしの異常な暑さの夏、
札幌ではようやくにして、朝晩、気温低下を実感できる爽快感があります。
っていっても一昨日くらいでしょうか。
仕事を終えて、午後7時くらいに外に出たら、
久しぶりの冷気を感じたのが、ようやくです。
本日も、朝、超晴天でありますが、
窓を開けると、ひんやりとした空気感が爽やかで心地よい。

知人の福島県いわき市の設計者のHPを見に行ったら、
今年の夏の暑さの定点温度観測データが出ていて、
それでも、ことしの夏が平均で1.5度以上高いという結果。
1,5度というのは、まさに異常値。
札幌でも、ことしはお盆前に2週間程度曇りがちの天気があって、
その期間は、気温も低めで、
本州地域の暑さとは別世界だったのですが、
お盆以降は、まったくの熱帯状態に突入して、
9月に入っても、全然気温低下しない状況でした。
まぁ、農業関係にはきっといいと思ってみていますが、
どうなんでしょうか。
ときどき農家直売のお店なんかを覗くと、いろいろ安い。
豊作のものと、そうでないもの、別れているかも知れませんね。
ほうれん草など、高値が続いている感じがします。

しかし、本州地域では、東京では今週土日でも
最高気温35度の予想が出続けている。
秋がなかなかこない、残暑の秋というような季節になる可能性が高い。
ことしは熱中症の患者数がよく報道されますが、
発症は、必ずしも屋外ではなく、室内での発症も多い。
室内環境と健康という視点から、
この熱帯化への対策・対応が考えられてしかるべきなのかも知れませんね。
夏場のクーラーの使用が相当増えているだろうと思いますが、
電力需給の問題は、報道を見る限り、あまりなかった。
東京電力管内の原発が順調に稼働し、
発電にフルに寄与できた、という状況を表しているのでしょうか。
まぁ、それにしても
夏場の蒸暑地域での室内環境の改善に
断熱は、根源的対策としてぜひ普及してもらいたいと思います。
とくに屋根面の温度上昇から、
屋根面からの輻射熱が室内温度を上昇させるわけで、
こういう基本問題への対策はやはり断熱と、建築的には日射遮蔽しかない。
適当にルーズに空気流動経路を見ておけば
それのほうがいいのだ、というような非科学的な態度は、
もう許されないと思います。
きのうは、山口県で高断熱高気密モデルハウスを建てた、
という建材商社さんがこられましたが、
室内環境の性能が、格段に違いが出てしまっているのが、
日本国内の南北格差なんですね。






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「木を植えた人」朗読会

2010年09月08日 07時40分06秒 | Weblog





先日、旭川で表題のようなイベントがある、
ということで、ちょうど土曜日だったので
行ってきた次第であります。

前段で地元のアマチュアの方たちのコンサートがあり、
会場が「大雪窯」という陶芸工房の庭だったので、
写真のような美しい森の中、という雰囲気で楽しめました。
このあと、会場を移して、建物の中の会議室のような
やや狭めの会場で、
「木を植える人」というフランスの小説だということですが、
その「朗読会」が行われたのです。
HP からの紹介を以下に。

フランスの作家ジャン・ジオノが書いた「木を植えた人」。
このお話は、ある人にとっては「環境問題」のお話であり、
ある人にとっては「仕事」に関する話で、
またある人にとっては「街おこし」の教科書であったりします。
私たちは、教義的なお話をしようと考えてこの作品を皆さんにご紹介するつもりはありません。
最初にこの本に出会ったときに、「この話をたくさんの人に知ってもらえたら、今の社会を少しでも変えてゆく、何かのヒントや力になるのかもしれない。」と思いました。

というようなことなのです。
まぁ、フランスの南部地方で、息子と奥さんを相次いで亡くした
ひとりの男性が、荒涼とした大地に、長い時間を掛けて
木を植え続け、「自然に回復した」と世間が驚くような
豊かな森を再生させた、というお話しなんですね。
大変、心洗われるようないいお話しで、感動的であります。
で、そのストーリーを朗読会、という形式で
ずっと続けているのだそうなんですね。
名古屋在住の、榊原忠美さんという方が朗読してくれるのです。
この日は、20人くらいの参加者だったでしょうか、
ちょっと狭い部屋で、照明を落とされて
わたしは一番前の場所だったので、
姿勢もきちんとして居続けて、
咳払いも出来にくく、カラダの位置も椅子の上で
変えにくい、という窮屈さの中に閉じこめられました(笑)。
まぁ、これは一種の禅の修行に近いな、と
諦念が襲ってきまして、
そうなると結構、従順な性格なものですから(笑)
おとなしく、2,3度お尻の位置をずらせたくらいで、
なんとか40分間、静かに聞き入ることが出来ました。
まぁ、お話しがわかりやすくて入り込みやすい、
語調が耳に心地よい、っていうようなことが大きいのでしょう。

ひとつの表現手段として、
こういった朗読会、っていうのもいいものですね。
日本でも、琵琶法師の平家物語、という形式がかつて存在し、
多くの民衆が、夜ごと、暗い夜の闇の中で、
ほんの少しの灯りの中、琵琶の音色とともに、
その物語に深く没入した、という民族的体験を持っているのですから、
こういった形式は、好きなのかも知れませんね。
いまの子どもたちの世代にも
かえっていいのではないかと、そんな思いを抱きました。
日本全国、旅費負担だけで公演を続けているのだそうです。
http://www.tree22.com/index.html










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旭川しょうがラーメン

2010年09月07日 07時33分22秒 | Weblog





いやはぁ、ひさしぶりぶりで食べ物ネタです。
どうして最近、さっぱり取り上げていなかったんだろう?
別にものを食べていないわけではなく(当たり前か)
食欲も旺盛で、体重は悲しいことに高止まりしたまま。
ということなので、順調に楽しい食生活を続けておりますが、
札幌にしばらく、腰を落ち着けているような気がします。
っていうか、あんまり外食の機会がなくなっている。
カミさんの実家での野菜つみ取り生活のお陰か、
そういう野菜中心の健康食生活なので、
取り立てて、ブログのネタになるような食事をしていない。

っていうことで、
先日、旭川に夫婦で行って参りまして、
ある会合に出たときに、
ついでに、以前からカミさんから聞いていた
「みづの」というお店で、食べてきた次第であります。
高知県産のショウガを使っているというそうで、
自然な風合いが薫ってきて
食欲をそそります。
スープはあっさりしている、と言った方がいいでしょうね。
麺は、これもあっさりしているストレート麺。
中華そば、っていうような雰囲気でしょうか。
わたし、お腹が減っていたので、つい大盛りを頼みましたが、
この麺、けっこうお腹に来るタイプなんですね。
最後、スープがどうしても残ってしまいました。
別に、味が良くない、というわけではないのですが、
まぁ、塩分を取りすぎるよりはいいか、と
半分以上のスープを飲み残してしまった次第です。

わたし以上に、カミさん、ハマっておりまして、
旭川に取材できたりすると
ここは外せなくなっているのだそうであります。
やや、中毒かかっているかも知れませんね。
しょうがとかの香辛料には、そういう性質があるのでしょうから、
店主の慧眼はなかなか恐るべし、であります。
さて、わたしはどうかといえば、
まぁ、中毒は免れているようです(笑)。
まぁ、普通以上ではあるけれど、
好み的には、ダシのほうでのもうひと工夫というか、
味わいの深みを楽しみたい、というのが実感。
100点満点で言えば、80点内外、というところでしょうか。
お好きな方、悪しからず。







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国産木材の価格問題

2010年09月06日 07時28分40秒 | Weblog





日本の官僚機構というのは、本当に優秀なのだろうか?
先日のアース21の帯広例会では、
カラマツの利用促進という現在の流れを受けて
国産木材の問題を徹底討論してみた。
メンバーには木材販売業者もいて、実態のヒアリングにも適していた。

根本的な問題は、価格問題であることは明白。
なぜ日本国産材は、輸入材に比較して2倍以上も高いのか?
この問題の基本にメスを入れることなく
日本の官僚機構は、これまで在来木造・国産材になど見向きもしなかったのに
「長期優良住宅」政策では、
民間からの提案に対して、国産材の普及促進策をほぼ義務づけしていた。
現状の市場構造からは、国産材は輸入材の2倍の価格差があり、
200万円の補助金は、ヘタをすれば、
その価格アップでほぼ消えてなくなる可能性すらある。
官僚機構の考えでは、善意で解釈すると、市場規模が拡大すれば
そういった価格競争が起きて、
国産材の価格が下がるという図式を想定したのだろうか。

しかし、まず、戦後の国家戦略として
輸出主導による産業育成方針があり、
その結果、円の価値が上昇して内外価格差が生まれ、
原料素材は輸入購買力が高まった、という事実がある。
経済の原則でいえば、同じような価値を持って価格に差があれば
市場は一気に雪崩を打つ。
輸出企業・クルマを先頭とする製造業にとっては
そういう循環の中で、売上を拡大するチャンスは大きかったけれど、
そうでない産業にとって、とくに素材提供型産業にとっては
輸入との戦いはきわめて厳しい競争を強いられる結果になった。
農業や林産業などがこれに相当し、
こういう産業構造ギャップを補正するのに、
政府は、こうした産業に対して、補助金を支給して
延命のための延命、という手法で対応してきた。
国のお金の流れでいえば、ドル債権を巨大に保有しながら、
国内的には財政悪化を招くという構造になる。
高コスト構造ということになる。
しかし、たとえば、日本の賃金レベルとそう違いのない
北欧や北米・カナダなどでは、活発に森林木材を輸出していて
その最大購入先はついこの前までは日本だった。
コストの問題でいえば、人件費ではそう違わないのに、
最終価格では、2倍の開きがついた。
これは、国の木材産業政策がまったく無能だったという証明ではないのか。
林産資源の計画的管理、産業政策が、
ひたすら補助金頼みになって、構造改革が意図されてこなかった。
森林資源は日本国内にあるけれど、
それを利用促進するための政策がまったく準備されていなかった。
スウェーデンに出来たことがなぜ、日本に出来なかったのか。

ことは、計画的伐採の基本になる林道整備から、
森林資源の研究、その利用マニュアル、適材適所の研究、
流通促進のための産業育成計画などなど、
北米北欧の国々に研究に行けば、
すぐにでも解決可能なことばかりではないかと思う。
こういうことを巨大な財政規模を持ちながら、実現できてこなかった。
第一、輸出産業に力点を置くのならば、
それ以上に、国内産業の保護育成、競争力維持発展に
巨大な智恵を投入しなければならないことは自明。
それなのに、カラマツ素材の利用方法ひとつ取っても、
町場の工務店レベルに、すべてぶん投げてきているだけなのが実態なのだ。
カラマツはこういう特性があるから
このように利用するといい、というような基礎的な情報すら
なんの研究成果もないのが実態なんだそうです。
カラマツを外壁に使う場合、どういう塗装がいいのか、
あるいは無塗装の方がいいのか、そういった調査研究もない。
いわんや、森林経営のための林道整備は
日本のような急峻斜面の山に対してどうすべきか、
全体として、コストダウンできる林業経営はどうあるべきか、
まともな研究基礎が存在していないと思われる。
こういう実態を放置して、長期優良住宅先導的モデル事業に
突然、ほぼ義務づけるというのは、
無策の責任を回避するに等しいのではないか。
日本では、官僚機構への信任感情が篤いけれど、
こういう行政責任は、やはり問いかける必要があるのではないか。
いろいろこれから調査してみたいのですが、
そう思えてならない。

<写真はカラマツ2×4、2×6だけで構成された屋根トラス。>







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対話不在の「注文住宅」

2010年09月05日 11時23分13秒 | Weblog





最近の「住宅110番」に寄せられる相談を見ていると、
本当に、コミュニケーション能力が
社会全体として落ちている、と痛感せざるを得ません。

建築家という呼ばれようが、勘違いを生んでいる側面も大きい。
意匠性と、安全性との境界意識が理解できていない想像力不足の建築家。
一方で、対話して自分たちの考えを正しく伝えることが出来ない建て主。
どちらも甘えの構造の中にいるように思えてならない。
もちろん、建築の側はそのようなケースでも主導的に
建て主に対してきちんと対話する努力をすべきであり、
それも含めての建築業であるとは言えますが、
現場的にはたしかに、コミュニケーション能力に欠けるユーザーとの対話は
大変な難しさを抱えていると感じます。
え、こんなことをどうしてハッキリ言えないの?
というように思えるようなことが発端で、
とんでもない事態がひき起こったりしている。

注文住宅を頼むには、とくに意匠性を重視して建てるには
建て主側の覚悟は、ある程度は必要だと思う。
相手の建築家(と自称するだけの存在を含めて)には、
必ずしも、安全性とか、断熱気密とかのことがらへの理解がない場合もある、
ということを前提にして掛からなければならない。
当然、「頼む側の力量」というものが必要な部分がある。
こういった能力は、ある程度は学び取らなければならない。
そういうものもなく、ただただ、ビジュアル的な部分しか見ないで
暮らしへの理解のない見てくれだけのデザインに惹かれてはいけないと思う。
実際に暮らしてみたらどうなるか、
そういう建て主としての想像力が必要なんですね。
しかしそうは言っても、いまのデザインの主流は「生活感のないデザイン」。
そういう空間性がもてはやされているうちに
建てる側にすら、そういう生活実感の積層がなくなって、
ただただ、見てくれだけが一人歩きしてしまっている。
そういう建て主と、「建築家」が
図面に向かい合って、相談するのだけれど、
ほとんど、対話コミュニケーションが成立していない。
っていうような状況が、現に今、たくさん進行していると思います。

行き着く先は、家庭内事故の発生と訴訟。
そもそも建築家を上手に使えるような、
コミュニケーション能力がなければ、
満足のいく「注文住宅」などを建てるのは無理だと思う。
まぁ、あとは建築家という存在を選別する人間観察眼が
特段に自分は持っていると認識できているかどうかですね。
そうでなければ、むしろマンションや、建売住宅を購入した方が
よほど似合っていると思われる人は多い。
どうも、そういう事例が増えていると実感させられております。

事例が具体的に書けないもので、
どうもわかりにくい部分がありました。 申し訳ありません。
これもコミュニケーション不足ですね(笑)。
<写真は無関係の京都料亭の「納涼床」風景>





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本物サビと偽サビ

2010年09月04日 11時10分51秒 | Weblog

アース21会員のリフォーム事例。
和風店舗を洋風店舗に改装した事例なんですが、
モノを作っていくと、こういう感受性も育ってくるものかという事例。
手すりのアイアンは新材で、それに白い塗装を施していましたが、
そのうえから、わざとサビ色に似せてところどころ
赤黄色で着色しています。
そのうえ、それに店名を施すのに、
錆びた太めの針金でアルファベットを造形して、いました。
これは、いずれにせよ、新しく作ったものであるわけで、
そうでありながら、いきなり古くなるように演出している。

人間の感受性というのは、
いろいろな視覚作用が一気に働いて
あるイメージをこころに造形するものなのでしょう。
この店は洋風だけれど、
それがややくたびれたような風化した感じを出したかったのでしょうね。
このビルダーさんは、やや画一的な感のある
「輸入住宅」というものに、
その雰囲気作りにこだわりを持った造りを提供しています。
ツーバイフォーについては、
その合理性や機能的な側面が訴求されることが多い中で
じゃぁ、洋風住宅としてのデザインとはどうあるべきなのか、
そのあたりにこだわりを持って作り続けている。
そういったこだわりにして、この写真のようなディテールが出てきたわけですね。

まぁしかし、こういったところになってくると、
わび・さび、というような日本的感受性のほうが
理解するベースとしては、似つかわしいのではないか。
鉄が錆びて、それでもなおそのサビの、朽ちていく寸前の美しさ
みたいなものって、欧米的というよりは
やはり日本的なのではないかと思う次第です。
そのうえ、アイアン部分は、偽であることのキッチュさも狙っている。
ホンモノのサビの美と、キッチュな偽サビの出会い。
まぁ、店舗という世界なので、
こういったものを受け入れる部分が大きいのですが、
一方で、こういう作り手の感受性の面白さにも一本、という感じでしょうか。

さて、2日間、やや寝不足もあってお疲れモードから
ようやくきのう遅くに帰宅。
十勝からクルマで帰ってきたのですが、
カミさんも東京出張から、夜の便で帰還したので、
新千歳空港に立ち寄って一緒に帰って参りました。
ひとりで自由を謳歌していた坊主はいったい、どんなふうか。
ハラハラドキドキで帰って参りましたが、
案に相違して、きれいに片付いている。
むむむ、かえってなにやら、あやしい。
友だちたちと、大騒ぎしていたのではないか。
ひとりでお留守番、というのもまぁいい経験かも知れませんね。






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十勝での住宅見学

2010年09月03日 09時13分28秒 | Weblog





きのうから十勝でのアース21の例会。
北海道を中心とした地域工務店の集合体の集まりです。
毎回、例会は各地域での会員社の住宅を見学し、
勉強して、相互研鑽を積み重ねて来ています。

そのなかから、
写真は十勝のカラマツを使ってのツーバイフォー材の
製材現場です。
これまで輸入材一辺倒だったのですが、
最近、国産材への取り組み強化が各地域で盛り上がっています。
十勝はカラマツの森林が広がっていて
しかも、木造のツーバイフォー普及率が大変高い地域であり、
そういった条件から、
国産ツーバイフォー材の生産が行われ始めているのです。
カラマツは、戦前には石炭生産の現場の仮構材として
あるいは鉄道の枕木として、大量に植え込まれたものです。
ところが、そういった需要が下火になり、
長期に亘っての植林活動が
経済原則から大きくはずれた結果、
山林だけが取り残されている、という結果になっているわけです。
そのような背景を持ちながら、本来的な住宅資材としての活用に
期待が集まっていると言うことです。

なんですが、
きのうの十勝は32度を超える暑さ。
そのなかでほとんど無我の境地で
全9箇所の見学を歩き続けておりました(笑)。
ちょうどこの工場のところでは、ほぼ気絶寸前の状態。
やはり、寄る年波には辛い。
木の皮を剥いて、寸法を揃えて
裁断されて出荷されていきます。
ツーバイフォーの他にも、在来の構造材も生産されています。

で、本日はそのメンバーでの研修会が朝から。
そしてそのあとは、テーマを絞っての座談会と日程が続きます。
でもまぁ、本日はすずしいホテル内での会合。
やや人心地のついた状態で行われております。
なんとか、もうひとがんばりしたいと思います。






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民主党代表選挙公約

2010年09月02日 05時37分22秒 | Weblog





ドタバタの末に、民主党は代表選挙に突入した。
密室の中で、談合によって人事をやりとりしてうやむやにして
「挙党一致」ということよりも
はるかに、いいことだと思う。
確かに経済の情勢は厳しく、政争をやっている時間があるのか、
という側面はあるけれど、
そういうことならば、常に政権を持っている側にだけ有利に働く。
与党の中で対立があって、内部運営でうまくいかないのなら、
そして、選挙規約があってスケジュールが決まっているのなら、
やりたい人間が出て、選挙をするのは当然のことだと思う。

で、マスコミは相変わらず、
表面的なウラ情報に基づいた解説をしか書かない。
基本的な政権公約について、論議しない。
昨日発表された公約は、以下のようになっている。

■菅直人氏の代表選公約骨子
・党の資金は透明なプロセスを経て配分
・消費税を含む税制抜本改革を検討。実施前に国民の信を問う
・衆院選マニフェスト修正は国民に率直に説明
・国家公務員給与の人事院勧告を超える削減を目指す
・普天間問題は、日米合意を踏まえて取り組む
・首相が直接指揮して予算編成
     ◇
■小沢一郎氏の代表選公約骨子
・政権交代の原点に返り、衆院選マニフェストを誠実に実行
・国家予算207兆円の全面組み替えで財源確保
・子ども手当は12年度から月額2.6万円支給
・ひも付き補助金の一括交付金化
・国会の機能強化と官僚答弁の禁止
・普天間問題は、沖縄県、米政府と改めて話し合う

菅直人の方は、現に今、政権を動かしている立場なので
至極当然のことを書き連ねている。
どうも、この政治家、完全に財務省の傀儡になったのかと見まごう。
一方で、小沢の方は民主党のばらまきと言われた政策に忠実に
原点回帰を鮮明にしている。
そんなことができるのか、という疑問を感じるが、
「最後のご奉公」とかれが言う以上、一定の成算は持っているのだろう。
で、おや、と思い、またマスコミではほとんど重視していないのが、
・国家予算207兆円の全面組み替えで財源確保
というポイントだ。
まぁ、これは政府予算の内、
一般的に論議している「一般会計」だけではなく、
「特別会計」というものも含めて、大なたを振るいます、と書いてある。
この「特別会計」は、予算審議ではほとんど論議されず、
たとえば道路特定財源とか、全国で乱脈経営を繰り返した
「かんぽの宿」のような、官僚機構のいわば自由裁量での予算。
本来、政府予算というのは、このすべてを指すのだけれど、
この「特別会計」は聖域化されていて、
頑強に官僚機構が専断を繰り返してきた部分なのだ。

この部分に切り込みたい、と書いてあるわけだ。
これまでも小泉改革でも取り組んできた部分だけれど、
まともな成果はなかなか出てこなかった。
ここに切り込んでいくと、相当の既得権益との摩擦を覚悟しなければならない。
ものすごい「政治力」が必要。
小泉以上の政治的付託を受けた人物か、
相当の覚悟を持った政治家しか、ここには切り込めない。
小沢にこれが出来るのか、
いや、実は官僚機構からその甘い汁部分を吸い上げようというのか。
真意はわからない。
しかし、今日この時点でこういう方針を打ち出すというのは
政治家として、わたしは評価したいと思う。
少なくとも、菅直人の具体的でまったくポリシーの感じられない
公約とは、大きな違いを感じた。

政治というのは、結局調整能力であって、
ビジョンはよかったけれど、そういう能力に欠けていた鳩山から、
言葉と実際ではどうも乖離を感じる菅直人とは
まったく違った政治的資質は感じてくる部分がある。
小沢なら、官僚機構と本格的に渡り合って
かれらの既得権益にメスを入れられるだけの力量はあるかも知れない。
逆にそうであるから、官の側の利益代表としての東京地検が
あそこまで違法寸前の捜査情報リークを繰り返してきた
真実があったのかも知れない。
日本の基本的病巣に、本格的に切り込んでいく可能性を感じた。
これはかなり、本気で革新的な政権公約だと思う。

まぁ、政治家の言うことなので
そのまま、信用できるのかどうか、わからないけれど、
公約として発表する以上、
また、政治的には相当の覚悟で立候補する以上、
これはある程度、本気だと思ってもいいのではないか。
さて、こういうポイント、論議の核心になっていくのかどうか、
マスコミの今の反応で言うと、
どうもスルーしたいのではないかと、疑っている。
心配です。

<写真は小沢の選挙区にある、古代東北の反逆者・アテルイを弔う「達谷の窟」>





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異常な残暑

2010年09月01日 06時56分33秒 | Weblog




っていうしかありませんね、これ。
関東以南では、いまもって35度以上の暑さが続き、
北海道の9月だというのに、まだ32度の最高気温という状況。
まぁ、北海道なのにと言われながら、
けっこう、事務所や自宅(以前は事務所も兼ねていた)では
エアコンを設置しているので、
仕事中は、それほど影響はないのですが、
営業の人とか、連日の猛暑で、外回りはなかなかたいへんですね。

っていうなか、明日から2日間わたしは道東へ出張取材。
そうしたら、関東にも行かねばならない用事ができて
カラダはふたつない、ということでそちらは、カミさんに行ってもらうことにしました。
で、その段取りとかもあるのですが、
猛暑の中なので、スケジュールの段取りもそれを考慮に入れないと、状態。
出張で行くので、あちこちこの機会に、
と考え始めると、ギュー詰めの日程になりますが、
移動や、日中の外の徒歩とかを考えると、
うーむ、と考え込まざるを得ませんね。
とくに首都圏の場合、クルマでの行動計画は現実的ではないので、
なかなかスケジュール調整は難しい部分もありますね。
先日の出張でも、北海道の感覚で移動日程を組んで動いたら、
暑さで、さすがにグロッギーになりましたから。

ことしは、北海道もこの暑さが続いています。
32度って、ちょっと考えられません。
やはり温暖化というのは本当なのでしょうか。
まぁ、東京まで人口密度も高くはなく、
家の中は、断熱が良ければ外気よりもぐっと温度が低いので、
まぁ、過ごしやすいとは言えますが、
逆に、夏の高温多湿をしのぐ、写真のような伝統的工夫、
涼感装置は北海道には多くなく、こういう生活文化がない。
北海道でも、こういった部分の装置を仕掛けるような動きが必要かも知れません。

一方で、首都圏以南では、
こういう厳しい気候条件に対しての対応を、
きちんと「断熱」で、対処しなければならないと感じます。
「めざましテレビ」では、暑さの実証実験のようなものをやっていましたが、
そのなかに、断熱した建物の涼しさというものをもっと積極的に仕掛けるべき。
まぁ若干はそういう試みも行われていましたが、
基本的に暑さに対しては、伝統的な対処の仕方が
隙間だらけにして空気の流動を考える、という対応が主流。
そういう考えに凝り固まって、気密化に対して
過剰反応のように、そんなのはダメという建築関係者は多い。
しかしその一方で、気密性の悪い、言葉を換えて言えば
熱効率の悪い環境のなかで、ひたすらエアコンで熱交換している。
基本的には、住宅の熱性能を高めることではなく、
ひたすら、機器で、力づくで対応しているのが現実。
断熱は今や、温暖蒸暑気候地域でこそ、不可欠なのだと思います。

でもまぁ、それはそれとして、
わたしの子どもの頃には、こういった写真のような文化は
多少なりとも、札幌の住宅地などでは見られていたと記憶しています。
で、こういう装置は、メンテナンスが大変なので
各家庭の奥さんたちが、一生懸命に設置したり片付けたりしていた。
今日では、そういった家事労働がひどく密度低下していると感じます。
社会が、こういうメンテナンスを必要とする作業に対して
時間を掛けられなくなっているのが現状ですね。
さて、そういうのは、
文化的に見て、進歩しているのか、
大変疑問だなぁと、強く感じている昨今であります。






北のくらしデザインセンター
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