自分の詠草に解説を付けるのを「自歌自注」と言います。
今月の歌は悲しい歌ばかりなので、少し説明を付け加えます。
娘を亡くした直後なのに悲しみに籠もることなく大スター故にマスコミの前に立たれた松田聖子さん、神田正輝さんをお気の毒に思いました。
何故 涼風
〇北新地の放火事件は理不尽と胸のふさがる年の瀬なのに
〇「どうして」の想ひの強し放火にて二十六名の明日を奪ふ
犯人の殺人鬼は12月30日に亡くなりました。理不尽としか言いようがないです。無念です。
〇殺人ゆゑ慰むる術なく黙しゐるひときは寒し年の瀬の空
○十年前に別れし家族を襲ひしに犯人の異常だれも気付かず
「この殺人鬼は10年前に別れた家族の長男を道連れにと襲って懲役に服して出所した犯罪歴がありました。防げなかったかの思いが在ります。
犯人は死亡してしまいましたから反省の言葉・お詫びの言葉さえ聞くことが出来ません。」
〇女優歌手の神田沙也加の旅立てり三十五歳はただ悔し惜し
〇若さゆへ忘我の穴に落ちたるや穴の中では闇ばかりなり
〇大スターの父は骨箱母は位牌メディアの前に頭を垂るる
「若い時は思い詰めることが多いです。だれか相談に乗れる友人がいなかったのか悔やまれます。」
〇た触れたる棺の中の姉の頬氷のごとく冷え冷えせしか
「僅か1年の闘病の末に56歳で亡くなった姉の頬に触れた時の冷たさは引きずり込まれるような冷たさでした。」