つばた徒然@つれづれ津幡

いつか、失われた風景の標となれば本望。
私的津幡町見聞録と旅の記録。
時々イラスト、度々ボート。

津幡町より追悼、昭和の映画人逝く。

2013年01月19日 07時18分58秒 | これは昭和と言えるだろう。
「今日の一枚」は、津幡小学校・新校舎前で舞い散る八重桜の花びら。
サクラチル。
先日「大島渚」氏の訃報の訃報に接し、僕の心に桜吹雪の映像が浮かんだ。

故人がメガホンを取った「戦場のメリークリスマス」は、私的ランキングで5本の指に入る。

僕がこの映画について初めて知ったのは、
トランジスタラジオのスピーカーから流れる「オールナイトニッポン」だった。
パーソナリティは、漫才ブームから「オレたちひょうきん族」で
大ブレイクしたお茶の間の人気者「ビートたけし」。
お笑いの中心人物である彼が役者として起用され、
映画ロケに参加した体験談を語ったのである。

大島カントクが現場で怒った様子。
撮影中の食事やスタッフとのやり取り。
やはり別の畠からキャスティングされた「YMO」の坂本龍一と、
“ロックスター”デヴィッド・ボウイの素顔。
…等々、嘘と真を織り交ぜ面白可笑しく披露し、
僕は興味を掻き立てられた。
しかもタイトルは「戦場のメリークリスマス」である。
「戦場」と「クリスマス」およそ結び付きにくい言葉の序列に、
得体の知れぬ興味を覚えたのである。

果たして、スクリーンに映されたのは…。
熱帯のジャングル、戦時下、俘虜収容所。
日常とはかけ離れた、まさに「映画的」な舞台設定は、秀逸だった。
そこで繰り広げられる男達の友情と愛と憎悪と狂気。
デヴィッド・ボウイが、牢獄での待遇に抗議した“エア髭剃り”や、
断食に抗議して花を食べるシーンも良かった。
「教授」は滑舌悪かったけど、あの素晴らしい音楽には脱帽した。
そして、忘れられないラストシーン。
全てを司った「大島監督」の力量とセンスに痺れた。

1983年公開からちょうど30年。
映画人は黄泉の国へと旅立っていった。
『虎は死んで皮を残し、人は死んで名を残す』というが、
故人は『名作』を遺した。

合掌。
コメント
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