ハルカス美術館へ。楳図かずおさんの展覧会を見てきました。
東京展の時から10ヶ月待ちに待って遂に。
新作の「わたしは真悟・続編」の絵は、アクリルガッシュという不透明水彩絵具でB4ぐらいのサイズに描かれているのですが、101枚もある!
シュールな寓話というかブラック絵本といいますか。漫画とは違うストーリー絵画です。
楳図先生、86歳にして四年がかりで黙々と準備してはったのですね。そのマグマ的エネルギーと根気強さに驚嘆します。
額縁がですね。「赤白しましま」の楳図カラーといいますか、真っ赤な額縁でした。それがよく合ってるの。
マットは暗いグレーだったっけ。絵が重いというか派手カラーなので、額が地味だと台無しです。先生の額チョイス、さすがですわ。
相変わらず細部まで凄い。そして相変わらず構図のダイナミズムが凄い(こんな構図、思いついても描けない)。
極彩色の絵の、鉛筆スケッチ(デッサン)バージョンが並べられた部屋もありまして、不気味な暗い一室に電話の音だけが鳴っているという。
先生はプロモビデオで「僕、絵の色使いが綺麗でしょ!」と自画自賛してられたのですが、正直、色よりデッサンの凄さの方が際立ちました。すごいすごい。
全体は、「漂流教室」と「わたしは真悟」「14歳」の3部構成になってましたが、どれも「未来」「地球」「人類と機械」「植物と動物」「災害」「宇宙」など壮大なテーマでつながっています。
驚きなのは、漫画の小さいコマを100倍は拡大してデジタルアウトプットしているのに、線描が粗くない!
繊細な細かい筆致のまんまなんです。
ということは、楳図先生がいかに精緻なペン画を描いているか、ということなのです。
「わたしは真悟」はコンピューターのお話ですが、コンピューターの画面って、拡大してみると小さな四角が連なって濃淡が表現されていますよね。
楳図さんはその四角をひとつひとつ手描きしていたのは、有名な話。。。パソコンで絵を描く時代じゃなかったもんね。。。
しかもそれは一枚絵じゃなくて、週刊誌の連載。。。
やっぱり先生、人間じゃねえ~~~~~
楳図さん自身をモチーフとして他の作家さんが表現した「かずお14歳」とか、「14歳」の物語の最後に出てくるゴキンチ先生の風に揺れる頭とか(滅亡後の地球で最後に生き残ったのはゴキブリ)、壁一面の巨大画とか、とにかく凄かった。
楳図さんはホラー漫画の巨匠だけど、素晴らしい芸術家です。
「過去はとうに過ぎ去ったもの。常に新しい挑戦を」という芸術家魂が、ヒシヒシと私にも伝わってきました。
楳図グッズはTシャツとか色々ありましたが、どれも怖すぎて買うことが出来ない(笑)。
「わたしは真悟」の毎週の扉絵なんて「一枚の絵画」として傑作なんですが、ポストカードになっていて嬉しかった。ということでカードと「漂流教室ムック本」を購入。
和歌山生まれで奈良育ちの楳図先生。
前にも書きましたがわたしは一度、近鉄奈良駅前の商店街でお見かけしました。
赤白のボーダーシャツでGパンでモジャモジャ頭だから、遠目でも先生と解っちゃう。
洋品店の方と楽しげに喋っておられたので、邪魔しないように後ろを通りすぎましたが、帰省中だったのかな。軽やかな、少年のようなお姿とお声でした★
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