世界のフラッグシップ
ゲルカヤノといえばランニングのトレーニングシューズとして、またウルトラマラソンなど超長距離用のシューズとして、日本、いや世界のランニングシューズの最高峰モデルといってもいいんじゃないかという認識を持っていた。
そのゲルカヤノを初めて手に入れ、多少まとまった距離を走った。まだ1回だけなのでこのインプレッションがすべて正しいかどうかわからないけど、感じたところを記しておきたい。
個人的には、数年前に一度ショップで試し履きした時の印象がとても強く残っていた。すなわち、その足入れ感の気持ちよさだ。これは、大袈裟じゃなく衝撃的だった。「なんだ、この靴!」そういう感じ。
20周年記念モデルへの評判
ところが、初めて履く直前に、「ゲルカヤノ20はレースならOKだが、軽さのためにヒールカウンターをなくしてしまったこととカーブラストの採用によりトレーニングシューズとしては中途半端になってしまった。日本ではゲルカヤノはトレーニングシューズとして販売されてきたのに。」というような趣旨のコメントを目にした。ランニングシューズの評価では一目置いているある専門家のものだったので、ちょっと驚いた。
あのゲルカヤノだ。しかも20周年記念モデルである。一気にそれほど評価を落とすというようなことを全く想定していなかった。
いささかショックだった。今回走っていても、どうもそのコメントが頭にあって、正直、走っていても「これでトレーニング効果がきちっと見込めないんじゃなあ・・・」と損したような気分になってしまった。
そんなネガティブな評価を一掃するほどの履き心地なら、もちろんそんなことは気にならなかったはずだが・・・
実際に走ってみて感じたこと
ショップで試し履きしてから購入したのでサイズ感やスムーズすぎる足入れ感、包み込むようなホールド感に間違いはなかった。長い方の足のサイズと同じ25.5cm。午後購入したのだが、ジャストサイズ。オーダーメイドのようにぴったりフィットした。
ちょっとした違和感は足入れ感が少し浅いと思ったことくらい。特にネガティブな印象ではない。
走りだしのゆっくり走っている間は感じなかったが、5'30/㎞くらいでペースランをしているうちに幾分「?」という感じが強くなった。
走っていてなんだか疲れるのだ。靴の反発力を感じない。極端な言い方をすればスリッパか何か履いてるような感じ。だから走っているのに思ったほど前に進んでいる感じがしなくて、そのギャップが疲れを生む。実際、余分に脚に力を入れなくてはならない。
同時に、先の評価で言ってる意味が走ってみて初めて分かった。中足部、前足部のホールド感に比べて踵のホールドが確かに甘い気がする。
この辺りの感じは、靴ひもの締め方とも関係する。初めて履いたのでうまく調整できていない可能性がある。10㎞ペースランのあと、坐って前足部からすべてひもを締め直した。ベストの状態から多少緩みがあった。
その後2㎞ほど走った。ひもを締め直した後は少し踵のホールド感もアップして、全体的なフィット感もよくなった気はしたが、推進力をあまり感じない点はそれほど変わらない印象のままだった。
レース向きか練習向きか
先の専門家の意見は、「レース用ならOKかもしれないがトレーニングには不向き」ということだった。しかし、この靴でレースに出るのは自分としてはあまり気が進まない。上述の通り、スピードを出すのに必要以上にパワーがいると感じたからだ。10㎞ペースランのラスト2㎞は意識的にスピードを上げて5'30⇒5'00にしてみたが、思うようにスピードを上げられなかった。
逆にトレーニング用ならありかもしれないと思う。故障につながる可能性もあるのかもしれないが「疲れる」というのは普段使わない筋肉を使うからで、ということはトレーニング効果があるということではないだろうか。
ただ、そのランはあまり楽しくはない気がする。
坂道でのインプレッション
その後、マイコースの1つ「池田ふれあい街道」を走ってみた。けっこう激しいアップダウンが続く舗装路。1度目に比べて違和感は少なかったが、全くないというわけではないので、やはり踵部のホールド性の問題なのか(関係ある気はする)、他にもワケがあるのか、素人に判断できない。
坂道ということもあるのではないか。登りはどっちにしても脚をつ使わないわけにいかないし、下りは下りで、足を使う必要がない。つまり、上述のこの靴の特徴に影響しない。故に違和感はあまり感じないし、足入れ感のスムーズさやクッション性のよさが際立つことになる。
特に下りで突っ込んだ時の前足部の安心感はすごい。つま先は痛くならない。すばらしい。
まだ2回しか履いていないので、これから何度か走ってみて改めて評価しようと思う。