田舎の山野にオニゼンマイがよく生えていた。シダの仲間である。
ゼンマイとかオニゼンマイなどと呼んでいたが、
確かにくるくると巻いた形が
時計やおもちゃのゼンマイに似ていた。
シダ植物の本当の「ゼンマイ」は、
田舎ではなじみが薄かったので、
ぜンマイと言えば、もっぱら、草ソテツのことだった。
より逞しく大きいので、
オニ(鬼)をつけて呼んでいた。
都会に来て、春先のスーパーに
コゴミが並ぶのを見て、それが草ソテツの新芽だと初めて知った。
自然の中では、赤茶色の綿毛にくるまれている。それははぎ取られて、グリーンのくるくる巻きの長い?マークのような姿で、トレーにパックされている。
田舎ではコゴミを食べる人はいなかったので、コゴミのゴマ和え、白和えのおいしさは、初体験だった。天ぷらもグーです。
食用でありながらも、地域によって食べないキノコが多くあったことを思い出した。
もえいづる春になりにけるかも
[スプリング]が弾けて春が来る。小さなシダの芽生えを見ていると、いかにもそんな気がしてくるから不思議だ。