中国迷爺爺の日記

中国好き独居老人の折々の思い

学校での日宿直

2010-09-08 10:53:16 | 身辺雑記
 教師になった頃、日宿直というものがあった。2ヶ月に一度くらいの割合で男子教員には宿直が、女性教員には日曜日の日直の番が回ってきた。

 学校の雑用をする用務員の部屋の隣に6畳ばかりの畳敷きの宿直室があって、そこで薄っぺらい布団を敷いて寝た。当時用務員は3名いて順番に教師と一緒に宿直をしていたが、私達教員とは違って回ってくる回数が多くなかなか大変だっただろうと思う。夜は何回か用務員と一緒に校内を巡視した。

 誰もがそうだったが、宿直は好きなものではなかった。夜中に何回か起きなければならないから、熟睡ができない。宿直の晩の夕食と翌日の朝食と昼食は外食にしなければならないから、いくらかは覚えていないが大した額ではなかったと思う宿直代以上の出費があった。よく眠っていないから次の日の授業が多いといささか辛かった。とりわけ、大晦日から正月の宿直に当たると災難のように思われた。

 そんなことで、やがて日宿直廃止要求の機運が高まり、市教委に対する組合の要求として交渉することになった。ちょうどそのときに私は組合執行部にいた。組合と言っても市立高校は1校だけだったから、組合も体裁は整えていたがこじんまりしたものだった。

 予想はしていたが、市教委側はこの要求を受け入れなかった。日宿直は「教員の本務」だと言うのだった。もちろん私達は反論し、本務ではない、教員の本務は授業すること、生徒を指導することにあり、その授業が宿直のために阻害されることもあると言った。今から思うとなぜこのようなことですったもんだしたのかとも思うが、時代だったのだろう。ある教員上がりの係長は交渉中に「先生方が自分の勤務している学校の夜の状態がどのようなものか知りたいと思わないのは寂しいことですなあ」などと言って、なぜそんなことを知りたいと思わなければならないのかと私達の失笑を買った。

 何回かの交渉の結果、夜はずっと寝ていてよい、巡回はしなくてもよいということにはなった。それでも組合としてはやはり完全廃止と言う要求は取り下げなかったが、私の執行委員在任中(1年)の間には解決しなかった。その後どのような経過であったかは忘れてしまったが、日宿直は廃止された。今では校舎の造りも頑丈になったこともあって、夜はもちろん休日、祝日には完全無人化されている。

 今思えばあんなこともあったなあと懐かしさも交えて思い出すことなのだが、今でも教師の日宿直などというものはあるのだろうかとふと思って調べてみた。しかし、どうやら多くは廃止されて代行員を置いたり、無人化しているようだった。ただ寮のある学校では宿直はあるが、これは当然のことだろう。