沖縄県の尖閣諸島の日本の領海内で中国の漁船と海上保安庁の巡視船が衝突した事件で逮捕された中国人の船長が釈放され、帰国した。これでこじれた状態も少しは緩和されるかと思ったら、中国政府はこれまで以上に居丈高になって、日本は船長を違法に逮捕、拘留したとして、謝罪と賠償を求めてきた。
中国政府の言い分は、尖閣諸島は中国の固有の領土で、日本がいかなる司法手続きを取ることも違法で無効だと言うことだ。ずいぶん乱暴な論理で、そもそも尖閣諸島は古くから日本の領土として認められてきた。中国が領有権を主張しだしたのは、このあたりに膨大な石油があるらしいことが分かった1970年以降のことで、それ以前は中国発行の地図にもその記載はなかったと言う。菅首相は「尖閣列島は、わが国固有の領土であり、謝罪や賠償は考えられず、まったく応じるつもりはない」と述べたが当然のことだ
中国は尖閣諸島以外にも南シナ海の西沙諸島の領有権を主張してベトナムと軋轢を生じているし、さらに南の南沙諸島の領有権まで主張してフィリッピンとトラブルを起こしている。いずれも地下資源が豊富とされているところで、中国の意図はあからさまだ。今回の事件に関しても韓国の主要マスメディアも中国の態度に懸念を表明して、「中国は国際社会で大国としての責任と役割には関心がなく、自国の利益だけに執着し影響力拡大にのみこだわっている。こうした中国にもまれて生きなければならない未来を切実に考えるべき時だ」とか、「大国主義と中華思想が強い中国が経済力と外交力を背景に国際舞台で発言力を強めつつある現実は、われわれにもっと緊張しろという信号を送っている。国家間に力のない正義が通用することはほとんどない」と述べているようだ。このような自国の実利的利害関係にのみ基づいて他国に対する対応を決定し、周辺国の懸念や反発には考慮しようとしない中国の態度は、中国政府は否定するが、大国主義、領土拡張主義、覇権主義と捉えられても仕方がないのではないか。
中国政府としては、日本に対する強硬な姿勢をアピールすることで、国内世論の支持を得たいねらいがあるものとみられているが、あるニュースによると、北京中心部のオフィス街で聞いたところ、20代の女性は「日本は謝るだけではだめだ。中国はもう少し日本を懲らしめなければならない」と述べたと言う。「懲らしめる」。日中戦争当時に「懲支」、支那(中国)を懲らしめると言う言葉があったことを思い出した。このような若者までが大国主義に染まっていることは中国が将来世界にとって厄介な存在になることを予感させるものだ。
逮捕、釈放された中国漁船の船長は故郷では「英雄」扱いされているようで、また(尖閣諸島の海域に)出漁すると言っているらしい。この男に限らず、今回のことで、自分達は国家に守られていると考えて出漁して来る中国漁船は増えるのではないか。
「大国」の中国にしたら、私などはその歯牙の、それもそのかけらにかけるほどの値打ちもない卑小な存在だろう。しかし、これまでは中国に対しては、特異な独裁国家である北朝鮮や、ミャンマー軍事政権を支援したり、国内の言論を抑え込んだりすることにはかなりの違和感を覚えながらも、総じて親近の情を抱き、粗雑な反中、嫌中論には不快感を示してきた私も、今回の一連の中国の言動にはほとほと嫌気が差してしまった。もちろんそれは国家としての中国や政府、それに一部の中国人に対するもので、これまで親しんできた友人や知人に対する感情はいささかの揺るぎもない。それだけに心底残念に思っている。
中国政府の言い分は、尖閣諸島は中国の固有の領土で、日本がいかなる司法手続きを取ることも違法で無効だと言うことだ。ずいぶん乱暴な論理で、そもそも尖閣諸島は古くから日本の領土として認められてきた。中国が領有権を主張しだしたのは、このあたりに膨大な石油があるらしいことが分かった1970年以降のことで、それ以前は中国発行の地図にもその記載はなかったと言う。菅首相は「尖閣列島は、わが国固有の領土であり、謝罪や賠償は考えられず、まったく応じるつもりはない」と述べたが当然のことだ
中国は尖閣諸島以外にも南シナ海の西沙諸島の領有権を主張してベトナムと軋轢を生じているし、さらに南の南沙諸島の領有権まで主張してフィリッピンとトラブルを起こしている。いずれも地下資源が豊富とされているところで、中国の意図はあからさまだ。今回の事件に関しても韓国の主要マスメディアも中国の態度に懸念を表明して、「中国は国際社会で大国としての責任と役割には関心がなく、自国の利益だけに執着し影響力拡大にのみこだわっている。こうした中国にもまれて生きなければならない未来を切実に考えるべき時だ」とか、「大国主義と中華思想が強い中国が経済力と外交力を背景に国際舞台で発言力を強めつつある現実は、われわれにもっと緊張しろという信号を送っている。国家間に力のない正義が通用することはほとんどない」と述べているようだ。このような自国の実利的利害関係にのみ基づいて他国に対する対応を決定し、周辺国の懸念や反発には考慮しようとしない中国の態度は、中国政府は否定するが、大国主義、領土拡張主義、覇権主義と捉えられても仕方がないのではないか。
中国政府としては、日本に対する強硬な姿勢をアピールすることで、国内世論の支持を得たいねらいがあるものとみられているが、あるニュースによると、北京中心部のオフィス街で聞いたところ、20代の女性は「日本は謝るだけではだめだ。中国はもう少し日本を懲らしめなければならない」と述べたと言う。「懲らしめる」。日中戦争当時に「懲支」、支那(中国)を懲らしめると言う言葉があったことを思い出した。このような若者までが大国主義に染まっていることは中国が将来世界にとって厄介な存在になることを予感させるものだ。
逮捕、釈放された中国漁船の船長は故郷では「英雄」扱いされているようで、また(尖閣諸島の海域に)出漁すると言っているらしい。この男に限らず、今回のことで、自分達は国家に守られていると考えて出漁して来る中国漁船は増えるのではないか。
「大国」の中国にしたら、私などはその歯牙の、それもそのかけらにかけるほどの値打ちもない卑小な存在だろう。しかし、これまでは中国に対しては、特異な独裁国家である北朝鮮や、ミャンマー軍事政権を支援したり、国内の言論を抑え込んだりすることにはかなりの違和感を覚えながらも、総じて親近の情を抱き、粗雑な反中、嫌中論には不快感を示してきた私も、今回の一連の中国の言動にはほとほと嫌気が差してしまった。もちろんそれは国家としての中国や政府、それに一部の中国人に対するもので、これまで親しんできた友人や知人に対する感情はいささかの揺るぎもない。それだけに心底残念に思っている。