令和4(行ヒ)352 退職共済年金及び老齢厚生年金減額処分無効確認乃至取り消し等請求事件
令和6年9月13日 最高裁判所第二小法廷 判決 破棄自判 東京高等裁判所
1 「被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律の施行に伴う厚生年金保険の保険給付等に関する経過措置に関する政令」(平成27年政令第343号)50条にいう「施行日前から引き続き当該被保険者の資格を有するもの」とは、被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律(平成24年法律第63号)の施行日の前から有していた特定の適用事業所に係る厚生年金保険の被保険者資格を同日以後においても継続して有する者をいう
2 被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律(平成24年法律第63号。令和2年法律第40号による改正前のもの)附則17条2項において準用される同附則15条3項(「被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律及び地方公務員等共済組合法及び被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律の施行に伴う地方公務員等共済組合法による長期給付等に関する経過措置に関する政令」(平成27年政令第347号。令和3年政令第229号による改正前のもの)36条1項による読替え後のもの)にいう「施行日前から引き続き改正後厚生年金保険法第27条に規定する被保険者…であるもの」とは、被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律(平成24年法律第63号)の施行日の前から有していた特定の適用事業所に係る厚生年金保険の被保険者資格を同日以後においても継続して有する者をいう
相変わらず悪文極まりない判決文です。
1 被上告人は、被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律の施行日(平成27年10月1日。以下「一元化法施行日」という。)前から、厚生年金保険法附則8条の規定によるいわゆる特別支給の老齢厚生年金及び地方公務員等共済組合法附則19条の規定によるいわゆる特別支給の退職共済年金の支給を受けていたが、厚生労働大臣及び上告人共済組合から、特老厚年金及び特退共年金の各一部につき平成28年5月分から支給停止とする処分を受けた。また、被上告人は、厚生労働大臣及び上告人共済組合から、特老厚年金及び特退共年金を平成29年4月分から減額する各処分を受けた。
公務員が退職して年金をもらうつもりでいたら、老齢年金と特別退職共済年金の両方の減額になったようです。
2 特老厚年金及び特退共年金は、65歳未満の者であっても、60歳以上であることなどの所定の要件を満たす場合に支給されるものである(厚年法附則8条、地方公務員等共済組合法附則19条)が、いずれも、その受給権者が在職して賃金を得ている場合には、その一部又は全部の支給停止がされることがある。
制度上減額ができることになっているようです。
一元化法の施行前は、特退共年金の在職支給停止の要件は特老厚年金の在職支給停止の要件と比べて厳格であったが、一元化法により、前者は後者に合わせることとされ、これに伴い、特退共年金の受給権者につき、在職支給停止による減額幅に上限を定めるなどの配慮措置が設けられた。
年金って税金と一緒で色々ありすぎて、本当によくわかりません。これも社会保険労務士を食わせていくための利権なんでしょうけど、こんなんだから未納率が高まるんだと思います。
事実関係は以下の通り。
1(1)昭和56年4月1日に東京都の教員として採用され、上告人共済組合の組合員資格を取得し、平成24年9月に特退共年金の受給権を取得したが、在職中であったことなどから、同年金は在職支給停止とされた。被上告人は、平成25年3月31日に定年退職したことにより、上記資格を喪失するとともに、特退共年金を同年4月分から受給することとなった。
(2)平成25年4月1日、東京都の日勤講師に任命され、東京都立B高等学校での勤務を開始した。都立高等学校については各校がそれぞれ厚生年金保険の適用事業所であるところ、被上告人は、同日、B高校を適用事業所とする厚生年金保険の被保険者資格を取得した。
被上告人は、平成26年4月1日に特老厚年金の受給権を取得し、同年金を同年5月分から受給していた。・・・一元化法施行日(平成27年10月1日)以降、本件配慮措置の適用により、特老厚年金及び特退共年金の全額を受給していた。
(3)平成28年3月31日、B高校での勤務を終了し、同年4月1日、日勤講師として、東京都立C高等学校での勤務を開始した。これにより、被上告人は、同日、B高校を適用事業所とする厚生年金保険の被保険者資格を喪失し、C高校を適用事業所とする厚生年金保険の被保険者資格を取得した。
再雇用で年金入り直し、さらに別の高校で?こういうのって都が一元管理じゃないんですか。そっちの方が問題ですよね。
⑷ 厚生労働大臣は、被上告人がB高校を適用事業所とする厚生年金保険の被保険者資格を喪失したため特老厚年金に係る本件配慮措置の要件を満たさなくなったとして、平成28年6月7日付けで、被上告人に対し、特老厚年金の一部を同年5月分から在職支給停止とする処分をした。また、厚生労働大臣は、平成29年6月1日付けで、被上告人に対し、物価の下落を理由として、特老厚年金を同年4月分から減額する処分をした。
最高裁の判断は次の通りでした。
(1)本件配慮措置を適用するための要件の一つとして、一元化法施行日の前から引き続き厚生年金保険の被保険者資格を有する者であることを定めているところ、厚年法は、原則として、適用事業所に使用されること又は使用されなくなることを厚生年金保険の被保険者資格の得喪事由とし(6条1項、9条、13条1項、14条2号等)、厚生年金保険の被保険者資格を個々の適用事業所ごとに把握することとしているものと解される。
確かに事業所といえば各高校になりますけど、それであっても都の公務員ですよね。それこそ教育委員会が事業所とすべきじゃないですか?なぜ各高校が事業所であるとすべきなのかの理由は一切述べられていません。その上で、
本件規定1にいう「施行日前から引き続き当該被保険者の資格を有するもの」とは、一元化法施行日の前から有していた特定の適用事業所に係る厚生年金保険の被保険者資格を同日以後においても継続して有する者をいうものと解するのが相当である。
論証不足ですね。
(2)本件規定2にいう「施行日前から引き続き改正後厚生年金保険法第27条に規定する被保険者…であるもの」とは、一元化法施行日の前から有していた特定の適用事業所に係る厚生年金保険の被保険者資格を同日以後においても継続して有する者をいうものと解するのが相当である。
一度定年退職して、翌日から働いていますよね。初日は換算せずなんでしょうか?それはさすがに実態と会わないでしょう。
⑶ 前記事実関係等によれば、被上告人は、平成28年4月1日、一元化法施行日の前から有していたB高校を適用事業所とする厚生年金保険の被保険者資格を喪失したというのであるから、これにより、本件規定1に規定する者及び本件規定2に規定する者に該当しなくなったものというべきであり、被上告人の同年5月分以降の特老厚年金及び特退共年金には本件配慮措置は適用されない。
実態と合わないことをまた言っています。どうなんでしょうか?
第二小法廷 全員一致
裁判長裁判官 岡村和美
裁判官 三浦 守
裁判官 草野耕一
裁判官 尾島 明
この理屈から言うと、家裁、地裁を転々としている裁判官は、裁判所ごとに年金入り直しとしないとつじつまが合わなくなります。明らかに論証不足ですね。
令和6年9月13日 最高裁判所第二小法廷 判決 破棄自判 東京高等裁判所
1 「被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律の施行に伴う厚生年金保険の保険給付等に関する経過措置に関する政令」(平成27年政令第343号)50条にいう「施行日前から引き続き当該被保険者の資格を有するもの」とは、被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律(平成24年法律第63号)の施行日の前から有していた特定の適用事業所に係る厚生年金保険の被保険者資格を同日以後においても継続して有する者をいう
2 被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律(平成24年法律第63号。令和2年法律第40号による改正前のもの)附則17条2項において準用される同附則15条3項(「被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律及び地方公務員等共済組合法及び被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律の施行に伴う地方公務員等共済組合法による長期給付等に関する経過措置に関する政令」(平成27年政令第347号。令和3年政令第229号による改正前のもの)36条1項による読替え後のもの)にいう「施行日前から引き続き改正後厚生年金保険法第27条に規定する被保険者…であるもの」とは、被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律(平成24年法律第63号)の施行日の前から有していた特定の適用事業所に係る厚生年金保険の被保険者資格を同日以後においても継続して有する者をいう
相変わらず悪文極まりない判決文です。
1 被上告人は、被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律の施行日(平成27年10月1日。以下「一元化法施行日」という。)前から、厚生年金保険法附則8条の規定によるいわゆる特別支給の老齢厚生年金及び地方公務員等共済組合法附則19条の規定によるいわゆる特別支給の退職共済年金の支給を受けていたが、厚生労働大臣及び上告人共済組合から、特老厚年金及び特退共年金の各一部につき平成28年5月分から支給停止とする処分を受けた。また、被上告人は、厚生労働大臣及び上告人共済組合から、特老厚年金及び特退共年金を平成29年4月分から減額する各処分を受けた。
公務員が退職して年金をもらうつもりでいたら、老齢年金と特別退職共済年金の両方の減額になったようです。
2 特老厚年金及び特退共年金は、65歳未満の者であっても、60歳以上であることなどの所定の要件を満たす場合に支給されるものである(厚年法附則8条、地方公務員等共済組合法附則19条)が、いずれも、その受給権者が在職して賃金を得ている場合には、その一部又は全部の支給停止がされることがある。
制度上減額ができることになっているようです。
一元化法の施行前は、特退共年金の在職支給停止の要件は特老厚年金の在職支給停止の要件と比べて厳格であったが、一元化法により、前者は後者に合わせることとされ、これに伴い、特退共年金の受給権者につき、在職支給停止による減額幅に上限を定めるなどの配慮措置が設けられた。
年金って税金と一緒で色々ありすぎて、本当によくわかりません。これも社会保険労務士を食わせていくための利権なんでしょうけど、こんなんだから未納率が高まるんだと思います。
事実関係は以下の通り。
1(1)昭和56年4月1日に東京都の教員として採用され、上告人共済組合の組合員資格を取得し、平成24年9月に特退共年金の受給権を取得したが、在職中であったことなどから、同年金は在職支給停止とされた。被上告人は、平成25年3月31日に定年退職したことにより、上記資格を喪失するとともに、特退共年金を同年4月分から受給することとなった。
(2)平成25年4月1日、東京都の日勤講師に任命され、東京都立B高等学校での勤務を開始した。都立高等学校については各校がそれぞれ厚生年金保険の適用事業所であるところ、被上告人は、同日、B高校を適用事業所とする厚生年金保険の被保険者資格を取得した。
被上告人は、平成26年4月1日に特老厚年金の受給権を取得し、同年金を同年5月分から受給していた。・・・一元化法施行日(平成27年10月1日)以降、本件配慮措置の適用により、特老厚年金及び特退共年金の全額を受給していた。
(3)平成28年3月31日、B高校での勤務を終了し、同年4月1日、日勤講師として、東京都立C高等学校での勤務を開始した。これにより、被上告人は、同日、B高校を適用事業所とする厚生年金保険の被保険者資格を喪失し、C高校を適用事業所とする厚生年金保険の被保険者資格を取得した。
再雇用で年金入り直し、さらに別の高校で?こういうのって都が一元管理じゃないんですか。そっちの方が問題ですよね。
⑷ 厚生労働大臣は、被上告人がB高校を適用事業所とする厚生年金保険の被保険者資格を喪失したため特老厚年金に係る本件配慮措置の要件を満たさなくなったとして、平成28年6月7日付けで、被上告人に対し、特老厚年金の一部を同年5月分から在職支給停止とする処分をした。また、厚生労働大臣は、平成29年6月1日付けで、被上告人に対し、物価の下落を理由として、特老厚年金を同年4月分から減額する処分をした。
最高裁の判断は次の通りでした。
(1)本件配慮措置を適用するための要件の一つとして、一元化法施行日の前から引き続き厚生年金保険の被保険者資格を有する者であることを定めているところ、厚年法は、原則として、適用事業所に使用されること又は使用されなくなることを厚生年金保険の被保険者資格の得喪事由とし(6条1項、9条、13条1項、14条2号等)、厚生年金保険の被保険者資格を個々の適用事業所ごとに把握することとしているものと解される。
確かに事業所といえば各高校になりますけど、それであっても都の公務員ですよね。それこそ教育委員会が事業所とすべきじゃないですか?なぜ各高校が事業所であるとすべきなのかの理由は一切述べられていません。その上で、
本件規定1にいう「施行日前から引き続き当該被保険者の資格を有するもの」とは、一元化法施行日の前から有していた特定の適用事業所に係る厚生年金保険の被保険者資格を同日以後においても継続して有する者をいうものと解するのが相当である。
論証不足ですね。
(2)本件規定2にいう「施行日前から引き続き改正後厚生年金保険法第27条に規定する被保険者…であるもの」とは、一元化法施行日の前から有していた特定の適用事業所に係る厚生年金保険の被保険者資格を同日以後においても継続して有する者をいうものと解するのが相当である。
一度定年退職して、翌日から働いていますよね。初日は換算せずなんでしょうか?それはさすがに実態と会わないでしょう。
⑶ 前記事実関係等によれば、被上告人は、平成28年4月1日、一元化法施行日の前から有していたB高校を適用事業所とする厚生年金保険の被保険者資格を喪失したというのであるから、これにより、本件規定1に規定する者及び本件規定2に規定する者に該当しなくなったものというべきであり、被上告人の同年5月分以降の特老厚年金及び特退共年金には本件配慮措置は適用されない。
実態と合わないことをまた言っています。どうなんでしょうか?
第二小法廷 全員一致
裁判長裁判官 岡村和美
裁判官 三浦 守
裁判官 草野耕一
裁判官 尾島 明
この理屈から言うと、家裁、地裁を転々としている裁判官は、裁判所ごとに年金入り直しとしないとつじつまが合わなくなります。明らかに論証不足ですね。