令和4(し)25 検察官がした押収物の還付に関する処分に対する準抗告棄却決定に対する特別抗告事件
令和4年7月27日 最高裁判所第一小法廷 決定 棄却 東京地方裁判所
捜査機関による押収処分を受けた者の還付請求が権利の濫用として許されないとされた事例
1 本件は、司法警察員が申立人から差し押さえた申立人所有の携帯電話機等について、申立人が、刑訴法222条1項が準用する同法123条1項に基づき、東京地方検察庁検察官に対して還付を請求したところ、同検察官がこれに応じず還付をしない処分をしたため、同法430条1項の準抗告を申し立てたが、棄却されたことから、特別抗告を申し立てた事案である。
警察に押収された証拠物が検察に渡り、裁判も終わったことだし返してくれよと言ったところ、駄目よと拒否されたようです。
(1)申立人は、いわゆるナンパの方法を指導する塾を経営し、女性との性交場面を撮影した動画等を塾生のグループ内で共有するなどしていたところ、・・・、塾生甲及び乙に対する集団準強姦被疑事件について、住居等の捜索を受け、その所有する携帯電話機2台及びICレコーダー1台を差し押さえられた。
(2)不還付物件1及び3は、いずれも女性Dを被害者とする申立人及び塾生丙に対する各準強制性交等被疑事件に関するものであり、不還付物件1には、申立人が抗拒不能の状態で横たわるDの陰部に指を挿入している状況を撮影した動画データやDの顔の画像データが、不還付物件3には、申立人らとDらが事件現場内で過ごしている状況や事件前後の状況(Dの姓名を告げている場面を含む。)等を録音した音声データがそれぞれ記録されている。申立人は、同被疑事件については不起訴処分となったが、Dの同意があった旨主張するなどしていた。
とんでもない連中だし、とんでもないデータが残っていたようです。
(3)令和3年8月、東京地方検察庁検察官に対して本件各不還付物件の還付を請求し、さらに、同検察官が同年11月にした本件各処分に対する準抗告を申し立てた。同検察官が本件各処分に際して上記 の各データの消去に応ずるのであれば還付する旨申し出たのに対し、申立人は、同各データは申立人に対する上記 の準強制性交等被告事件及び民事裁判において申立人の犯罪行為がなかったことを立証するために必要であるなどと主張しているが、同各データを含めた本件各不還付物件の還付を受けられないことにより申立人に著しい不利益が生じていることはうかがわれない。
うーん、検察で預かってもらって民事裁判の資料提供ってわけにはいかないのでしょうか。これでは刑事裁判が民事裁判を妨害することになりますよね。
申立人が本件各不還付物件の還付を請求することは、権利の濫用として許されないというべきである。
刑事で無罪判決が出ても民事で賠償が認められることがあります。必ずしも一致しないことがあります。やったことはろくなもんじゃないですが、犯人たちが民事で自分たちの主張をできないようにする、これを刑事裁判でやっていいのでしょうか?
第一小法廷全員一致
裁判長裁判官 堺 徹
裁判官 山口 厚
裁判官 深山卓也
裁判官 安浪亮介
裁判官 岡 正晶
全員今一つ、補足意見すらありません。
令和4年7月27日 最高裁判所第一小法廷 決定 棄却 東京地方裁判所
捜査機関による押収処分を受けた者の還付請求が権利の濫用として許されないとされた事例
1 本件は、司法警察員が申立人から差し押さえた申立人所有の携帯電話機等について、申立人が、刑訴法222条1項が準用する同法123条1項に基づき、東京地方検察庁検察官に対して還付を請求したところ、同検察官がこれに応じず還付をしない処分をしたため、同法430条1項の準抗告を申し立てたが、棄却されたことから、特別抗告を申し立てた事案である。
警察に押収された証拠物が検察に渡り、裁判も終わったことだし返してくれよと言ったところ、駄目よと拒否されたようです。
(1)申立人は、いわゆるナンパの方法を指導する塾を経営し、女性との性交場面を撮影した動画等を塾生のグループ内で共有するなどしていたところ、・・・、塾生甲及び乙に対する集団準強姦被疑事件について、住居等の捜索を受け、その所有する携帯電話機2台及びICレコーダー1台を差し押さえられた。
(2)不還付物件1及び3は、いずれも女性Dを被害者とする申立人及び塾生丙に対する各準強制性交等被疑事件に関するものであり、不還付物件1には、申立人が抗拒不能の状態で横たわるDの陰部に指を挿入している状況を撮影した動画データやDの顔の画像データが、不還付物件3には、申立人らとDらが事件現場内で過ごしている状況や事件前後の状況(Dの姓名を告げている場面を含む。)等を録音した音声データがそれぞれ記録されている。申立人は、同被疑事件については不起訴処分となったが、Dの同意があった旨主張するなどしていた。
とんでもない連中だし、とんでもないデータが残っていたようです。
(3)令和3年8月、東京地方検察庁検察官に対して本件各不還付物件の還付を請求し、さらに、同検察官が同年11月にした本件各処分に対する準抗告を申し立てた。同検察官が本件各処分に際して上記 の各データの消去に応ずるのであれば還付する旨申し出たのに対し、申立人は、同各データは申立人に対する上記 の準強制性交等被告事件及び民事裁判において申立人の犯罪行為がなかったことを立証するために必要であるなどと主張しているが、同各データを含めた本件各不還付物件の還付を受けられないことにより申立人に著しい不利益が生じていることはうかがわれない。
うーん、検察で預かってもらって民事裁判の資料提供ってわけにはいかないのでしょうか。これでは刑事裁判が民事裁判を妨害することになりますよね。
申立人が本件各不還付物件の還付を請求することは、権利の濫用として許されないというべきである。
刑事で無罪判決が出ても民事で賠償が認められることがあります。必ずしも一致しないことがあります。やったことはろくなもんじゃないですが、犯人たちが民事で自分たちの主張をできないようにする、これを刑事裁判でやっていいのでしょうか?
第一小法廷全員一致
裁判長裁判官 堺 徹
裁判官 山口 厚
裁判官 深山卓也
裁判官 安浪亮介
裁判官 岡 正晶
全員今一つ、補足意見すらありません。