最高裁判所裁判官の暴走を許さない

最高裁判所裁判官の国民審査は、衆議院選挙の時の「ついでに」ならないようにしましょう。辞めさせるのは国民の権利です。

撮影には至ってはいないがスカートの中を撮影しようとした行為は迷惑条例違反

2022-12-31 10:32:09 | 日記
令和4(あ)157  公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例(昭和37年東京都条例第103号)違反被告事件
令和4年12月5日  最高裁判所第一小法廷  決定  棄却  東京高等裁判所
スカート着用の前かがみになった女性に後方の至近距離からカメラを構えるなどした行為が、公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例(昭和37年東京都条例第103号)5条1項3号にいう「人を著しく羞恥させ、人に不安を覚えさせるような卑わいな言動」に当たるとされた事例

1枚判決です。

被告人は、東京都内の開店中の店舗において、小型カメラを手に持ち、膝上丈のスカートを着用した女性客(A)の左後方の至近距離に近づき、前かがみになったAのスカートの裾と同程度の高さで、その下半身に向けて同カメラを構えるなどしたというのである。

構えたというだけで撮影には至ってない訳ですね。

このような被告人の行為は、Aの立場にある人を著しく羞恥させ、かつ、その人に不安を覚えさせるような行為であって、社会通念上、性的道義観念に反する下品でみだらな動作といえるから、公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例(昭和37年東京都条例第103号)5条1項3号にいう「人を著しく羞恥させ、人に不安を覚えさせるような卑わいな言動」に当たるというべきである。

第五条 何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であつて、次に掲げるものをしてはならない。
三 前二号に掲げるもののほか、人に対し、公共の場所又は公共の乗物において、卑わいな言動をすること。

とありますので、例示列挙なのか限定列挙なのかが争われた可能性があります。そこはちゃんと書けよと思いますね。

「差し向け」に至らない行為を同項3号に当たるとして処罰することは許されない旨主張するが、そのように解すべき根拠はない。

第一小法廷決定
裁判長裁判官 安浪亮介
裁判官 山口 厚
裁判官 深山卓也
裁判官 岡 正晶

迷惑条例は軽犯罪法で扱われた犯罪ですが、この法律は運用上問題があるので都道府県で迷惑条例として運用している経緯があるそうです。
今回は女性裁判官がいないのですか。趣旨はOKだと思いますが、スカートの下からカメラを向ければ羞恥心を催させるというのはあるでしょう。その一方で、思いっきりミニスカートとか一時期流行ったキャミソールファッションもあれは羞恥心を催させるものだと思いますけどね。本人はカッコいいと思ってきているのでしょうけど、あれって軽犯罪法の対象だと思っています。

手抜き判決文:子供の引渡し判決、子ども本人の拒否に間接強制はできない

2022-12-28 12:44:10 | 日記
令和3(許)17  間接強制決定に対する執行抗告審の取消決定に対する許可抗告事件
令和4年11月30日  最高裁判所第三小法廷  決定  破棄自判  大阪高等裁判所

 子の引渡しを命ずる審判を債務名義とする間接強制の方法による子の引渡しの強制執行の申立てが権利の濫用に当たるとした原審の判断に違法があるとされた事例

報道がないので、事実認定を見ていきます。
(1)抗告人と相手方は、平成24年に婚姻し長男と二男がいる。いずれも未成年。
(2)令和2年8月、本件子らを連れて転居し、抗告人と別居した。
(3)令和2年12月、抗告人の申立てに基づき、本件子らの監護者を抗告人と指定し、相手方に対して本件子らを抗告人に引き渡すよう命ずる審判(以下「本件審判」という。)をした。本件審判は、令和3年3月29日に確定した。


重要な論点が抜けています。夫が連れ去ったのか妻が連れ去ったのかが明記されていません。これは何故かというと、母性優先の原則なる意味不明な判例があり、妻が連れ去った場合は98%の勝利、夫が連れ去った場合は10%の勝利と見事なまでの男女差別が判例で確定されています。まずこの点で、最高裁は手を抜いています。

(4)抗告人は、令和3年4月5日、本件子らの引渡しを受けるため、相手方宅に赴き、二男についてはその引渡しを受けた。他方、長男については、抗告人及び相手方からの約2時間にわたる説得に応ずることなく、抗告人の下に行くと相手方と会えなくなると述べたり、長男を抱えようとした抗告人を強く押しのけたりするなどして、抗告人に引き渡されることを強く拒絶したため、抗告人は、その引渡しを受けることができなかった。

よくある話ですが、片親疎外症候群が発生している可能性があります。連れ去り側が、子どもに繰り返し一方の配偶者がいかに悪かったかを延々と言うことで洗脳するとこういう状態になります。

(5)長男と二男を面会させる機会を設けることを提案した。抗告人は、これに応ずることとし、相手方との間で、令和3年5月30日に長男と二男を面会させることを合意した。

引き渡し命令が出ている状態で、こういう落としどころになったというのは、かなり両親とも冷静に判断したと思われます。

抗告人の姿を見て強く反発し、抗告人のことは全部嫌だなどと述べ、抗告人に抱かれることを拒否し、泣きながら相手方に対して相手方宅に帰ることを強く求めるなどした。

これは相当強く洗脳したはずです。

(6)原々審は、同年7月13日、相手方に対し、長男を抗告人に引き渡すよう命ずるとともに、これを履行しないときは1日につき2万円の割合による金員を抗告人に支払うよう命ずる決定(原々決定)をした。
相手方は、同月26日、原々決定に対し執行抗告をした。相手方は、抗告の理由として、長男が抗告人に引き渡されることを明確に拒絶する意思を表示していること等からすれば、本件申立ては、間接強制決定をするための要件を満たさず、又は権利の濫用に当たる旨主張した。


長男は6歳です。とは言え親の洗脳を思いっきり受ける年齢でもあります。

当該子が債権者に引き渡されることを拒絶する意思を表明していることは、直ちに当該審判を債務名義とする間接強制決定をすることを妨げる理由となるものではないと解される(最高裁平成30年(許)第13号同31年4月26日第三小法廷決定・裁判集民事261号247頁参照)。・・・長男が抗告人に引き渡されることを拒絶する意思を表明したことは、直ちに本件申立てに基づいて間接強制決定をすることを妨げる理由となるものではなく、本件において、ほかにこれを妨げる理由となる事情は見当たらない。原審は、上記意思が現在における長男の真意であると認められ、長男の心身に有害な影響を及ぼすことのないように配慮しつつ長男の引渡しを実現するため合理的に必要と考えられる相手方の行為を具体的に想定することが困難であるとして、本件申立てが権利の濫用に当たるというが、本件審判の確定から約2か月の間に2回にわたり長男が抗告人に引き渡されることを拒絶する言動をしたにとどまる本件の事実関係の下においては、そのようにいうことはできない。

親が合わせないことについては間接強制はできるが、子どもがいただと言っているのだからそれは間接強制の要件に当たらないと言っています。

いいでしょう。しかし問題が残ります。子どもが本当に自分の意思で言ってますか?言わされてませんか?片親疎外症候群のように考えると、洗脳されていることは調査の対象外にならないのでしょうか?家裁の調査官はそのくらいのことは調べているはずです。

本件申立てが権利の濫用に当たるとした原審の判断には、法令の解釈適用を誤った違法がある。

おいおい、その結論に至る前にやるべき話があるはずです。家裁の調査結果をもっと見るべきなんじゃないですか?

裁判官全員一致でした。親の洗脳の可能性を除いたとしたら、この判断は正しいと思います。
補足意見がいくつか出ているので見ていきます。

裁判官宇賀克也の補足意見
1 記録によれば、本件において、相手方が長男の抗告人への引渡しに協力する姿勢が見られ、相手方が長男に対して抗告人への引渡しを拒否するよう殊更に働きかけている様子もうかがわれない。他方で、長男の言動に照らすと、長男は抗告人に引き渡されることを明確に拒絶する意思を表示していることは、原決定の認定するとおりである。
この点は重要ですよ。何でこの点がもっと議論されないのか。

2 間接強制手続においては子の意見聴取や家庭裁判所調査官の調査は予定されていないことに照らすと、間接強制の申立てが権利の濫用となるためには、債務者として引渡しのためにできる限りの努力を行うことは必要であると考えられる。

あのさ、民事裁判で実際には逃げ切ったもん勝ちじゃないですか。強制執行にしても、執行官のギャラを何で債権者が払わなきゃならんのか、法律を知ってます?

3 努力を行っても、長男の抗告人に対する強い忌避感情を和らげることが期待できないと判断したときは、相手方は、長男の監護者の変更の申立てを行うことや間接強制決定自体を債務名義とする執行力の排除を求めて請求異議の訴えを提起することができる。したがって、本件で直ちに間接強制決定が権利の濫用に当たるということには躊躇せざるを得ず、今後、上記のような努力がされることが望まれるところである。

ただの感想なら言うのはやめてください。言うなら法整備の問題を指摘しなさい。

裁判長裁判官 長嶺安政
裁判官 宇賀克也  わけ分からん
裁判官 林 道晴
裁判官 渡惠理子
裁判官 今崎幸彦

検察のオウンゴールか?殺人事件再審議

2022-12-20 11:06:58 | 日記
令和3(あ)319  殺人被告事件
令和4年11月21日  最高裁判所第一小法廷  判決  破棄差戻  東京高等裁判所

 殺人の公訴事実について、自殺の主張は客観的証拠と矛盾するなどとして有罪の第1審判決の結論を是認した原判決に、審理不尽の違法、事実誤認の疑いがあるとされた事例

産経新聞の報道です
講談社元次長の妻殺害、高裁差し戻し 最高裁、懲役11年判決を破棄
東京都文京区の自宅で平成28年8月、妻=当時(38)=を殺害したとして殺人罪に問われた被告(47)=韓国籍=の上告審判決で、最高裁第1小法廷(山口厚裁判長)は21日、「審理が尽くされていない」として、1審に続き懲役11年とした2審判決を破棄し、審理を東京高裁に差し戻した。
・・・
これに対し同小法廷は、2審が有罪の根拠とした顔の血痕の有無について、提出された救急搬送時などの写真は不鮮明で、判断は難しかったと指摘。「ほかに根拠となる証拠は取り調べられていない」とし、「審理を十分に尽くさなかった結果、重大な事実誤認をしたと疑う顕著な理由がある」として、検察側と弁護側の双方に主張立証を尽くさせる必要があると結論づけた。


2 第1審における争点及び当事者の主張
被告人方で、Aが頸部圧迫により窒息死したこと
や、その当時被告人方にいたのは被告人とAのほかには幼い子供らだけであったことには争いがなく、Aの死因が、被告人が頸部を圧迫したことによる他殺か、A自身が首をつったことによる自殺かという、事件性が争点とされた。
検察官は、被告人が、帰宅後、Aとトラブルとなって突発的に殺意を抱き、被告人方1階の寝室に敷かれたマットレス上で、背後から腕でAの頸部を圧迫して窒息させ、Aが窒息死するまでの間に、意識を失ったAを階段から落下させるなどの偽装工作を行い、その際に前額部挫裂創を負わせた旨主張した。
弁護人は、主として被告人の供述に基づき、被告人は、帰宅後、包丁を持ったAともみ合いになり、本件マットレス上でAを押さえ付けたが、Aが再び起き上がって包丁を持ったことから、2階の子供部屋に入りドアを閉じて待った、その間、ドアの外からは「ドドド」などという物音がし、しばらくして子供部屋から出ると、Aが階段の手すりに被告人のジャケットを巻き付け、それに首を通して自殺を図っていた旨主張した


真っ向から対決ですね。夫婦仲はかなり悪かった点では一致しています。

最高裁の判断
弁護人の控訴趣意書及び検察官の答弁書において、Aの顔前面の血痕の有無に関する主張はなく、Aの顔前面の血痕の有無は特に争点とされていなかった。
検察官は、事実の取調べ結果に基づく弁論において、原審検5号証添付の写真3(Aの遺体の検視時に撮影された前額部挫裂創の写真)に基づき、Aの顔の前面に血液が流れた形跡が認められないと主張したが、原審裁判所は、この点について、当事者に釈明を求めるなどすることもなかった。


喉に外部からの切り傷があったことになりますね。

しかし、原審検5号証添付の写真3及びその拡大写真には前額部挫裂創周辺の狭い範囲しか写っておらず、原審検6号証添付の前記写真には顔面全体が写っているものの、同写真は電子カルテから普通紙に印刷されたもので色調が不鮮明である。

証拠が不十分ということになりますね。

Aの顔前面の血痕の有無を判断する根拠となり得る証拠は取り調べられていない。

これは検察側操作の致命的欠陥です。

結論
原判決には、審理を十分に尽くさなかった結果、重大な事実誤認をしたと疑うに足りる顕著な事由があり、これが判決に影響を及ぼすことは明らかであって、原判決を破棄しなければ著しく正義に反するものと認められる。

裁判官全員一致
裁判長裁判官 山口 厚
裁判官 深山卓也
裁判官 安浪亮介
裁判官 岡 正晶

包丁を持って夫婦喧嘩している人がその場で自殺するってあるんですかね。この点は大いに疑問です。産後鬱は通常の鬱とは違うメカニズムですし、若干違う症状が出るはずです。何かすっきりしません。
確かに首を斬られていたのであれば、かなり出血していたはずです。その点が検察によってきちんと検証されていない、この点を証拠不十分として、疑わしいだけでは罰しないという推定無罪になったようです。

当然判決 都議会の1票の格差は認めろ

2022-12-12 11:16:48 | 日記
令和4(行ツ)78  選挙無効等請求事件
令和4年10月31日  最高裁判所第二小法廷  判決  棄却  東京高等裁判所

1 東京都議会議員の定数並びに選挙区及び各選挙区における議員の数に関する条例(昭和44年東京都条例第55号)のいわゆる特例選挙区を存置する規定の適法性
2 東京都議会議員の定数並びに選挙区及び各選挙区における議員の数に関する条例(昭和44年東京都条例第55号)の議員定数配分規定の適法性
3 東京都議会議員の定数並びに選挙区及び各選挙区における議員の数に関する条例(昭和44年東京都条例第55号)のいわゆる特例選挙区を存置する規定の合憲性
4 東京都議会議員の定数並びに選挙区及び各選挙区における議員の数に関する条例(昭和44年東京都条例第55号)の議員定数配分規定の合憲性


都議会選挙のせいだったのか、マスコミには出ていないようです。

①大島町、利島村、新島村、神津島村、三宅村、御蔵島村、八丈町、青ヶ島村及び小笠原村の区域(以下「島しょ部」という。)を合わせて1選挙区(島部選挙区)とする規定(2条3項。以下「本件島部選挙区規定」という。)が公職選挙法271条、憲法14条1項等に違反する
②各選挙区において選挙する議員の数を定める規定(3条。以下「本件定数配分規定」という。)が公職選挙法15条8項、憲法14条1項等に違反すると主張して、これらに基づき行われた本件選挙の江東区選挙区における選挙を無効とすること等を求める事案である


国会議員選挙で毎回選挙無効の訴えは出ていますが、それと同じものが都議会選挙で訴えがありました。

(1)都道府県議会の議員の定数については、地方自治法において、条例で定めるものとされている(90条1項)。
公職選挙法において、一の市の区域、一の市の区域と隣接する町村の区域を合わせた区域又は隣接する町村の区域を合わせた区域のいずれかによることを基本とし、条例で定めるものとされ(15条1項)、選挙区は、その人口が当該都道府県の人口を当該都道府県議会の議員の定数をもって除して得た数(以下「議員1人当たりの人口」といい、当該選挙区の人口を議員1人当たりの人口で除して得た数を「配当基数」という。)の半数以上になるようにしなければならないが(同条2項前段)


議員定数は自治体によって決められる、区割りは極端な差が出ないようにしなさいと言っています。

(2)ア 島部選挙区を含む42選挙区に127人の定数が配分されている。
イ 平成24年6月19日、東京都議会に対し、島部選挙区について、その地理的特殊性等を考慮して特例選挙区とされてきたもので、これを見直す状況には至っていないことから引き続き特例選挙区として存置すべきであるとの検討結果を報告した。
ウ 令和2年条例改正当時、0.249(以下、配当基数に関する数値は概算である。)であったが、令和2年条例改正において、島部選挙区に関
する改正はされていない。


人口比率だけで配分したら、だめですよ。島しょ部と23区を一緒くたにするなとしました。当然です。国会議員でもそうだと思いますよ。例えば、朝鮮半島と近い島根鳥取、ロシアから攻め込まれる可能性が高い北海道は人口が減ったからって削減していいのか?と思いますが、自治体に関してのみ認められています。

3(1)
当該都道府県全体の調和ある発展を図るなどの観点からする裁量権の合理的な行使として是認されるかどうかによって決すべきものである(最高裁平成4年(行ツ)第172号同5年10月22日第二小法廷判決・民集47巻8号5147頁等参照)。
(2)島部選挙区の配当基数は、0.221となるが、以上で説示したところに鑑みれば、この配当基数が、東京都議会において島部選挙区を特例選挙区として存置することが許されない程度にまで至っているとはいえない。・・・同議会が令和2年条例改正後の本件条例において島部選挙区を特例選挙区として存置していたことが社会通念上著しく不合理であることが明らかであると認めるべき事情もうかがわれない。
以上によれば、東京都議会が、島部選挙区を特例選挙区として存置していたことは、同議会に与えられた裁量権の合理的な行使として是認することができる。したがって、本件島部選挙区規定は、本件選挙当時、公職選挙法271条に違反していたものとはいえない。


0.02の差ですからね。これで怒るほうがおかしいです。むしろもっと0.2まで島しょ部は優遇すべきです。

第二小法廷判決 全員一致
裁判長裁判官 岡村和美
裁判官 三浦 守
裁判官 草野耕一
裁判官 尾島 明


名古屋地裁トンデモ判決 トリエンナーレ負担金未払い名古屋市に支払い命令

2022-12-03 08:33:51 | 日記
これは最高裁ではないので、判決文は公開されていません。
事件の概要はこのようになっています。

昭和天皇の肖像燃やすシーン「憎悪や侮辱の表明ではない」 名古屋地裁 愛知のトリエンナーレ
あいちトリエンナーレ2019に係る負担金交付請求事件の第一審判決(令和4年5月25日)

そして昨日二審判決が出ました。
2審も名古屋市敗訴 愛知芸術祭負担金未払い
名古屋市、二審も敗訴 「裁量権逸脱」 トリエンナーレ訴訟

二審についてはいずれ公開されるでしょう。河村市長自身が最高裁までやると宣言していますので。

しかし二審の判決文の中に
「鑑賞者に不快感や嫌悪感を生じさせるという理由で、その芸術活動を違法であると軽々しく断言できるものではない」

という一文があるようなのですが、これが論点ではないはずです。民間施設でやっていることを妨害しているわけではないのです。
死者を揶揄する表現を公共の施設で税金を使ってまで支援することは適切か?という問題です。さらに言えば公序良俗に反しない限りという言葉があるのですが、この裁判官はこの言葉の意味を理解していないようです。

当然判決 音楽教室の演奏の著作量徴収はやり過ぎ

2022-12-02 17:50:17 | 日記
令和3(受)1112  音楽教室における著作物使用に関わる請求権不存在確認請求事件
令和4年10月24日  最高裁判所第一小法廷  判決  棄却  知的財産高等裁判所

 音楽教室の運営者と演奏技術等の教授に関する契約を締結した者(生徒)のレッスンにおける演奏に関し上記運営者が音楽著作物の利用主体であるということはできないとされた事例

「音楽教室vs.JASRAC」の著作権裁判…最高裁判決のポイントと問題点をわかりやすく解説
著作権法22条(上演権及び演奏権)
「著作者は、その著作物を、公衆に直接見せ又は聞かせることを目的として上演し、又は演奏する権利を専有する。」
この条文によれば、「公衆」に対し直接見せ、または聞かせることを目的とする上演・演奏は、著作権者が「専有」するものなので、著作権者以外の者が行う場合は、著作権料を支払わなければならないことになります。
そこで、問題となるのは、音楽教室における演奏が「公衆」に対し「直接見せ又は聞かせることを目的としている」といえるかということです。


いやいや、JASRACの著作量徴収は世界でも有名みたいですね。作曲者がyoutubeで演奏披露したら、著作量を払えと請求が来たとか。都市伝説かどうかわかりませんが。
少なくとも外国人が日本の曲を聞きたいとき、これがネックになっているみたいです。発信者側は著作権がないダミーの音楽をながすとかで、海外に遠征に行けないインディーズやら語学の練習をしている人にとっては非常に不便でした。私も外国に行ったときに、日本は何でこうなの?と質問を受けたくらいです。

では、裁判の内容を見ていきます。

1(2)被上告人らは、音楽教室を運営する者であり、被上告人らと音楽及び演奏技術の教授に関する契約を締結した者に対し、自ら又はその従業員等を教師として、上記演奏技術等の教授のためのレッスンを行っている。生徒は、上記契約に基づき、被上告人らに対して受講料を支払い、レッスンにおいて、教師の指示・指導の下で、本件管理著作物を含む課題曲を演奏している。

よくある音楽教室で教えている人が被上告人です。音楽教室で教えるのにお手本として演奏した分について著作権料を支払えという要求がありました。法律では公衆に聞かせる場合著作権にが出てきます。法律論として、先の解説のように公衆とはどの範囲まで入るのかが問題になります。

裁判所の認定は
4 演奏の形態による音楽著作物の利用主体の判断に当たっては、演奏の目的及び態様、演奏への関与の内容及び程度等の諸般の事情を考慮するのが相当である。被上告人らの運営する音楽教室のレッスンにおける生徒の演奏は、教師から演奏技術等の教授を受けてこれを習得し、その向上を図ることを目的として行われるのであって、課題曲を演奏するのは、そのための手段にすぎない。

そもそも演奏会じゃないんだし、聞くのは生徒さんなんでしょう?と言っています。実際に、習った経験のある人であれば、1小節に満たない範囲でバラバラに演奏していることが多々あります。これは曲か?というレベルまでバラバラにして指導を受けています。この点を見れば、その曲を堪能するという目的から大きく外れていますよね。

生徒の演奏こそが重要な意味を持つのであって、教師による伴奏や各種録音物の再生が行われたとしても、これらは、生徒の演奏を補助するものにとどまる

裁判官もおぼっちゃまお嬢様育ちしているので楽器の一つは習い事としてやってきたのでしょうか。極めてまともな判断です。

被上告人らは生徒から受講料の支払を受けているが、受講料は、演奏技術等の教授を受けることの対価であり、課題曲を演奏すること自体の対価ということはできない。

当たり前すぎます。

第一小法廷判決裁判官全員一致の意見
裁判長裁判官 深山卓也
裁判官 山口 厚
裁判官 安浪亮介
裁判官 岡 正晶
裁判官 堺 徹

大衆となると、いわゆるストリートピアノはどうなるんですかね。駅中に置いたピアノをたまたま通りかかった人が何か演奏する。これは聞いている人は不特定多数になりますよね。対価は得ていないとはいえ、厳密にいうと著作権法違反になる可能性があります。この著作権法の第二条は何らかの制限を加えるなりなんなりしないと、次々裁判が仕掛けられることになるような気がします。
これは文化の破壊にもつながりかねない問題なので、早急に法改正したほうがいいように思えます。