最高裁判所裁判官の暴走を許さない

最高裁判所裁判官の国民審査は、衆議院選挙の時の「ついでに」ならないようにしましょう。辞めさせるのは国民の権利です。

トンデモ判決 取締役会で代表取締役を決めてよい

2017-04-15 21:21:38 | 日記
平成28(許)24  職務執行停止,代行者選任仮処分命令申立て却下決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件
平成29年2月21日  最高裁判所第三小法廷  決定  棄却  東京高等裁判所



事実認定
平成27年9月30日に開催された相手方会社の株主総会で取締役の選任と決議を無効として訴えた事件です。

事実認定は
1 取締役会設置会社で,会社法(以下「法」という。)2条5号所定の公 開会社でない株式会社(以下「非公開会社」という。)である。
要するに上場していない会社で、取締役が複数いて取締役会を用意している会社です。まあ、その辺の会社では普通の状態です。

2 その会社の定款では、代表取締役は取締役会の決議によって定めるものとするが,必要に応じ株主 総会の決議によって定めることができる旨の定めがありました。
代表取締役は、取締役会で決めることができるが、株主総会でも決められるとしたのです。旧商法では取締役および代表取締役の選任は株主総会の決議事項でしたし、現在もそのようです。
そこで、幾らなんでも定款でできると定めたとはいえ会社法に抵触するではないか、だからこの手続きで選ばれた代表取締役は無効であると訴えました。

これに裁判所は次のように述べています。
1 取締役会を置くことを当然に義務付けられているものではない非公開会社 (会社法327条1項1号参照)が,その判断に基づき取締役会を置いた場合,株主総 会は,法に規定する事項及び定款で定めた事項に限り決議をすることができること となる(会社法295条2項)。

2 法において,この定款で定める事項の内容を制限す る明文の規定はない。
取締役会設置会社である非公開会社における,取締役会の決議に よるほか株主総会の決議によっても代表取締役を定めることができる旨の定款の定 めは有効であると解するのが相当である。

はぁ?です。では何のために合同会社があるのでしょうか。定款によって議決権も定められるし、定款によっては取締役会で何でも決められます。実務的には、このような決め方はほぼ一般的になっているようですが、経済学的観点からすればとんでもない話です。
しかし、本事件の場合は株式会社ですよね。株式会社は、株の譲渡を原則自由としている会社制度です。誰かが相続或いは譲渡を受けて新しい株主になっても、受益権しか受けられないことになります。利子すら定まらないので社債以下です。これは株式会社制度を根本から台無しにしています。いくら中小零細企業であったとしても、急速に成長する可能性があれば、株式会社制度でやってはいけない事ではないでしょうか。
どうしても取締役会で決めたいのであれば、既に制度として存在する合同会社制度でやるべきです。全くトンデモ判決です。

全員一致
裁判長裁判官 山崎敏充
裁判官 岡部喜代子
裁判官 大谷剛彦
裁判官 大橋正春
裁判官 木内道祥

クレジット使用の名義貸し、取り消しは認めない

2017-04-12 19:30:27 | 日記
平成27年(受)第659号 立替金等請求本訴,不当利得返還請求反訴事件
平成29年2月21日 第三小法廷判決  

商売をやっている人にとっては大きな判決かもしれません。
産経新聞の報道によると、

名義貸しでクレジット契約「取り消せる可能性ある」 最高裁が初判断

資金繰りに窮した呉服店に依頼されて名義を貸し、クレジット契約で商品を購入したことにした顧客らが、代金を立て替えた信販会社からの支払い請求を拒めるかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第3小法廷(大橋正春裁判長)は21日、顧客側敗訴とした2審札幌高裁判決を破棄し、審理を高裁に差し戻した。

 同小法廷は「契約が名義貸しという不正な方法で締結されたものでも、重要事項について事実と異なる説明があった場合などは取り消せる可能性がある」との初判断を示した。

 判決によると、呉服店は「絶対に迷惑は掛けない」などと顧客に名義貸しを依頼し、信販会社2社が立て替えた代金を運転資金に充てていた。呉服店は平成24年に破産。2社が顧客らに残金支払いを求めていた。

 1審旭川地裁は2社の請求を退けたが、2審は顧客らに支払いを命じた


裁判所の事実認定から見ていきましょう。
1 ある人がクレジットカードである会社の商品を買いました。
2 しかし、この人は上記売買契約は架空のもの であり,上記立替払契約は,本件販売業者の依頼により,上告人らが名義上の購入 者となることを承諾して締結されたものでした。
いわゆる名義貸しです。
3 クレジットカードの会社は、この人に未払い分を請求しましたが、この人支払いを拒否しました。
4 この人は、割賦販売 法35条の3の13第1項http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S36/S36HO159.htmlにより上記立替払契約の申込みの意思表示を取り消したとして、これまで支払った金額の請求をしました。
5 この人は、平成16年4月,呉服や貴金 属の卸小売等を業とする本件販売業者との間で,割賦購入あっせん加盟店契約を締 結した。
6 販売業者は,平成14年頃から多数回にわたり,その運転資金を得る 目的で,既存の顧客に対して名義貸しを依頼し,これに応じた顧客に架空の売買契 約の購入代金に係る立替払契約を締結させ,被上告人や他の信販会社から代金相当 額の支払を受けるとともに,上記顧客の信販会社に対する支払金相当額を自ら負担 していた。
7 名義貸しを承諾し,本件販売 業者との間で締結した架空の売買契約していました。
8 平成23年10月分ま では,販売業者が支払金相当額を上記口座に振り込んでいた。
9 販売業者は,平成23年11月28日,営業を停止し,平成24年4 月3日,破産手続開始の申立てをし,その後,破産手続開始の決定を受けました。
10 平成24年3月から平成25年1月にかけ て,被上告人に対し,割賦販売法35条の3の13第1項により改正後契約の申込 みの意思表示を取り消す旨の意思表示をした。

経営状態の悪くなった宝石屋さんがいました。おそらく商売仲間か商店街のなかで、宝石屋さんの商品を買ったことにして、架空の売り上げをだして、その分を架空売り上げに協力した人の口座に金を振り込んで資金繰りにしていたようです。
しかし、23年についに資金が回らなくなって破産手続きになりました。多分商品を受け取っていないのに、金だけ払えと言われたのではかなわないということで、支払いをしないでもよいようにしたかったのでしょう。
1審2審は協力者の主張が認められました。これに対して、最高裁は

改正法により新設された割賦販売法35条の3の13第1項6号は,あっせん業 者が加盟店である販売業者に立替払契約の勧誘や申込書面の取次ぎ等の媒介行為を 行わせるなど,あっせん業者と販売業者との間に密接な関係があることに着目し, 特に訪問販売においては,販売業者の不当な勧誘行為により購入者の契約締結に向 けた意思表示に瑕疵が生じやすいことから,購入者保護を徹底させる趣旨で,訪問 販売によって売買契約が締結された個別信用購入あっせんについては,消費者契約 法4条及び5条の特則として,販売業者が立替払契約の締結について勧誘をするに 際し,契約締結の動機に関するものを含め,立替払契約又は売買契約に関する事項 であって購入者の判断に影響を及ぼすこととなる重要なものについて不実告知をし た場合には,あっせん業者がこれを認識していたか否か,認識できたか否かを問わ ず,購入者は,あっせん業者との間の立替払契約の申込みの意思表示を取り消すこ とができることを新たに認めたものと解される。そして,立替払契約が購入者の承 諾の下で名義貸しという不正な方法によって締結されたものであったとしても,そ れが販売業者の依頼に基づくものであり,その依頼の際,契約締結を必要とする事 情,契約締結により購入者が実質的に負うこととなるリスクの有無,契約締結によ りあっせん業者に実質的な損害が生ずる可能性の有無など,契約締結の動機に関する重要な事項について販売業者による不実告知があった場合には,これによって購 入者に誤認が生じ,その結果,立替払契約が締結される可能性もあるといえる。こ のような経過で立替払契約が締結されたときは,購入者は販売業者に利用されたと も評価し得るのであり,購入者として保護に値しないということはできないから, 割賦販売法35条の3の13第1項6号に掲げる事項につき不実告知があったとし て立替払契約の申込みの意思表示を取り消すことを認めても,同号の趣旨に反する ものとはいえない。


無茶苦茶長い文ですが、要するに新しく改正された法律は、高齢者や判断能力が乏しくなった人を守るための制度で、ここで支払いを拒否したい人はその裏側を良く分かっている人たちだよね。そりゃ法の趣旨に合わないでしょうと言ってるのです。

ところが、山崎裁判官はこれに異を唱えます。
1 個別信用購入あっせん(改正法による改正前は割賦購入あっせん)という三 者間の特殊な契約関係を利用した不正な取引というべきものである。・・・商品を受領していないことを認識しつつ,あっせん業者との間で当該商品の購入 代金につき立替払契約を締結し,割賦金の支払義務を負担することを承諾している。
要するに善意の第三者ではないという事ですね。

2 このような販売契約の勧誘に際し販売業 者による不実告知等の違法不当な行為があった場合,購入契約の取消しが認められ たとしても,これと法的には別の契約である立替払契約は存続し,購入者は抗弁権 の接続により未払金の支払の拒絶はできても既払金の返還を求めることはできない ところ,こうした結果は不合理であり,また,購入者に酷であるので,これを是正し既払金の返還を可能とするために新たに上記制度が設けられたものと理解される。

3 抗弁権の接続(改正法による改正前の割賦販売法30条の4第1項)は,販 売業者の違法不当な行為の結果として締結された商品購入契約が無効とされ又は取 り消されたとしても,これと法的には別の契約である立替払契約に基づく割賦金の 支払義務が当然に消滅するものではないことから,消費者保護の観点に立って,そ のような購入契約について購入者が販売業者に対抗できる事由をもって,立替払契 約に基づく割賦金の支払を拒絶できるようにするものと解される。

4 名義貸しの中には,悪質な販売業者が立替払契約を悪用して資金を調達しよ うとして,顧客等に虚言を用いたり,執拗に懇請したりして,架空の購入契約によ る立替払契約を強引に結ばせるといったものもあり得るであろう。こうしたケース における名義貸人は,いわば被害者とみることもできるのであって,悪質な販売業 者を一掃し,このような名義貸しが行われるのを防ぐ必要があることは論をまたな い。そのためには,何よりも,名義貸しが不正な取引に加担することで許されない。

とはいうものの結論は同じになりました。
私も基本的に山崎裁判官に同意します。これは、助けてやろうという気持ちから名義貸しという違法行為をしましたが、違法行為となっていることを知りながらやっていたのであるから、そのまま保護すべきではないとしました。まさにその通りです。
法律は改正されているので、この手口で借りパクリを意図的にやる事はできませんが、こういうのを許してはいけません。
どうしても助けたかったら、資金の賃借契約をしていれば良かったのです。それを、クレジット会社経由でやるのは、保護されるべき対象ではないでしょう。

裁判長裁判官 大橋正春
裁判官 岡部喜代子
裁判官 大谷剛彦
裁判官 木内道祥
裁判官 山崎敏充 GJ

最高裁判事山口氏と林氏着任

2017-04-11 06:01:18 | 日記
最高裁に新判事が昨日着任しました。
朝日新聞の報道では、以下のような人のようです。

政府は13日の閣議で、早大大学院法務研究科教授で弁護士の山口厚氏(63)と、元外交官の林景一氏(65)を最高裁判事に任命する人事を決めた。現職の桜井龍子氏(69)が15日に、大橋正春氏(69)が3月30日に定年退官することを受けた後任の人事。山口氏は1月27日付、林氏は3月31日以降に発令の予定。今回の人事で、3人いた女性判事は2人に減った。
 山口氏は、司法試験合格後、1976年に東大卒。東大大学院法学政治学研究科長・法学部長や日本刑法学会理事長などを務めた。
 林氏は、京大卒で74年に外務省入省。条約局長、国際法局長などを経て、2011年から英国大使を務めた。


なぜこの人たちを選んだのか、公聴会を開く制度を是非とも作って頂きたく思います。

そこスルーか?忘れられる権利論ぜず

2017-04-09 07:27:35 | 日記
平成28(許)45  投稿記事削除仮処分決定認可決定に対する抗告審の取消決定に対する許可抗告事件

平成29年1月31日  最高裁判所第三小法廷  決定  棄却  東京高等裁判所

結構社会的にはインパクトのある裁判でした。
弁護士相談Cafeの解説 日本における「忘れられる権利」vs「知る権利」の最新情報と問題点


日経新聞の報道が一番分かり易そうです。
インターネット検索サイト「グーグル」に表示された犯罪歴削除の仮処分申し立てで、最高裁第3小法廷(岡部喜代子裁判長)は1日までに、検索結果の削除を認めない決定をした。検索サイト側の表現の自由と表示される側のプライバシー保護を比べ、「公表されない利益が優越することが明らかな場合に限って削除できる」と削除には厳格な要件を求める初の統一判断を示した。
 第3小法廷は決定理由で、検索結果の削除は「ネット上の情報流通の基盤として検索サイトが果たしている役割を制約する」と指摘。検索サイトの公益性を重視する姿勢を示した。
 削除の判断で考慮する要素としては、(1)検索結果の性質や内容(2)表示される側の社会的地位や影響力(3)逮捕記事などの意義や掲載時の社会的状況――などを挙げた。決定は1月31日付で裁判官5人の全員一致。
 決定などによると、削除を求めたのは、2011年に児童買春禁止法違反罪で略式命令を受けた男性。氏名などを検索すると逮捕記事などが表示されたため削除を求める仮処分を申し立てた。
 15年12月のさいたま地裁決定は「過去の犯罪を社会から『忘れられる権利』がある」と国内で初めて言及。昨年7月の東京高裁決定は「忘れられる権利」を権利として認めなかった。最高裁決定は「(約5年前の)児童買春であっても今も公共の利害に関わる」と削除を認めず、忘れられる権利には言及しなかった。


ネットは検索で便利ですが、一度やらかしてしまった犯罪を未来永劫ネットに掲載されるのは勘弁してほしいというのが訴えの趣旨のようです。

まず、裁判所の事実認定から見ましょう。
1 過去に児童買春と児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関 する法律違反の容疑で平成23年11月に逮捕され,同年12月に同法違反の罪に より罰金刑に処せられた
2 居住する県 の名称及び抗告人の氏名を条件として検索すると,当該利用者に対し,原々決定の 引用する仮処分決定別紙検索結果一覧記載のウェブサイトにつき,URL並びに当 該ウェブサイトの表題及び抜粋(以下「URL等情報」と総称する。)が提供される。
3 そのリンク先に実名と住所が載っている。

抗告人の要求は、件検索結果の削除をしてほしいというものです。

その根拠として、個人のプライバシーに属する事実をみだりに公表されない利益は,法的 保護の対象となるというべきである。

これについて、裁判所は以下のように述べています。
検索 事業者が,ある者に関する条件による検索の求めに応じ,その者のプライバシーに 属する事実を含む記事等が掲載されたウェブサイトのURL等情報を検索結果の一 部として提供する行為が違法となるか否かは,当該事実の性質及び内容,当該UR L等情報が提供されることによってその者のプライバシーに属する事実が伝達され る範囲とその者が被る具体的被害の程度,その者の社会的地位や影響力,上記記事 等の目的や意義,上記記事等が掲載された時の社会的状況とその後の変化,上記記 事等において当該事実を記載する必要性など,当該事実を公表されない法的利益と 当該URL等情報を検索結果として提供する理由に関する諸事情を比較衡量して判 断すべきもので,その結果,当該事実を公表されない法的利益が優越することが明 らかな場合には,検索事業者に対し,当該URL等情報を検索結果から削除するこ とを求めることができるものと解するのが相当である。

児童買春をしたとの被疑事実に基 づき逮捕されたという本件事実は,他人にみだりに知られたくない抗告人のプライ バシーに属する事実であるものではあるが,児童買春が児童に対する性的搾取及び 性的虐待と位置付けられており,社会的に強い非難の対象とされ,罰則をもって禁 止されていることに照らし,今なお公共の利害に関する事項であるといえる。

児童買春は公共性の観点からすれば、社会性を有しているので、削除に応じなくてもよいという判断でした。


更に

抗告人が妻子と共に生活し,前記1(1)の罰金刑に処 せられた後は一定期間犯罪を犯すことなく民間企業で稼働していることがうかがわ れることなどの事情を考慮しても,本件事実を公表されない法的利益が優越するこ とが明らかであるとはいえない。

女房子供がいて社会更生しても、犯罪歴をネットで公開し続ける方が優先すべきであるとしています。これは全員一致で広告人の要求は棄却されました。

この裁判においては忘れられる権利は直接は触れられませんでした。
一般的には性犯罪は、再犯を繰り返します。アメリカでは、メーガン法があり、性犯罪者は常に監視対象となっています。
日本にはこういった法律はありません。法律がないのに、このように晒し者にし続けることはどうなのか、懲役刑ではなく罰金刑であったのにもかかわらずです。
感情的には最高裁の判決に賛成したいのですが、一応刑に服すことで更生されたとする前提に立つ以上、この判断は正しいと言えるのか、このあたりが論じられていません。

裁判長裁判官 岡部喜代子  雑で今一つ
裁判官 大谷剛彦  雑で今一つ
裁判官 大橋正春  雑で今一つ
裁判官 木内道祥  雑で今一つ
裁判官 山崎敏充  雑で今一つ

現実問題、コピペやweb魚拓によっていくらでも複製が可能であり、何度でもwebにさらすことが可能です。過去にやらかした事をいつまでも蒸し返すことで社会的制裁を半永久的に行うというのは、法的にどうなのでしょうか。

例えば、罰金刑なら削除要請に応じる、懲役刑はダメというような基準が示されるべきではないでしょうか。


相続税対策の養子縁組であっても養子縁組は有効

2017-04-01 15:04:20 | 日記
平成28(受)1255  養子縁組無効確認請求事件
平成29年1月31日  最高裁判所第三小法廷  判決  破棄自判  東京高等裁判所

専ら相続税の節税のために養子縁組をする場合であっても,直ちに当該養子縁組について民法802条1号にいう「当事者間に縁組をする意思がないとき」に当たるとすることはできない。

長男の子供を養子にすることで、法定相続人を増やし相続税の負担を減らそうとした事件です。朝日新聞の報道が比較的わかりやすくなっています。

相続税対策を理由に、孫を養子にした男性(故人)の養子縁組が有効かどうかが争われた訴訟で、最高裁第三小法廷(木内道祥裁判長)は31日、「節税目的の養子縁組であっても、ただちに無効にはならない」とする初めての判断を示した。「節税目的の養子縁組は無効」とした昨年2月の二審・東京高裁判決を破棄し、「有効」とした一審・東京家裁判決が確定した。
 判決などによると、福島県の男性は2012年、当時1歳だった孫を養子にした。孫は長男の息子で、法定相続人が増えて相続税の非課税枠が広がるとともに、長男一家の相続分が増える形になる。これに対し、男性の実の娘らが男性の死後に「養子縁組は無効だ」として提訴した。
 15年の一審判決は、男性が養子縁組の書類に自ら署名していることなどから、「養子縁組の意思があり有効」と判断した。一方、二審判決は、孫を養子にすることで節税効果があるとの説明を男性が税理士から受けていた点を指摘。養子縁組は節税が目的で「真の親子関係をつくる意思はなかった」として無効とした。
 第三小法廷はこの日、「節税目的と縁組をする意思は併存しうる」と指摘。専ら節税のためであっても、ただちに民法が縁組を無効にできると定めた「縁組の意思がない時」に当たるわけではない、と述べた。二審判決は「縁組には『真の親子関係をつくる意思』が必要」としていたが、第三小法廷はこの点には言及しなかった。そのうえで、今回のケースでは「縁組の意思がなかったとうかがわせる事情はない」として、養子縁組は有効と結論づけた。


裁判所も
相続税の節税の動機と縁組をする意思とは,併存し得るものである。したがって,専ら相続税の節税のために養子縁組をする場合であっても,直ちに当該養子縁組について民法802条1号にいう「当事者間に縁組をする意思がないとき」に当たるとすることはできない。

節税対策として養子縁組する意思があったとしたわけですね。どんな理由であろうと養子縁組する意思があればいいのですか。

これは多くの富裕層で行われている手で、これを全面否定したら大変なことになるという判断でしょう。これは公序良俗に反して社会正義に著しく反することにはならないのでしょうか?この辺の議論もなく、付帯意見も何もなく、全員一致の判断でした。

第三小法廷
裁判長裁判官 木内道祥 いま一つ
裁判官 岡部喜代子  いま一つ
裁判官 大谷剛彦  いま一つ
裁判官 大橋正春  いま一つ
裁判官 山崎敏充  いま一つ