平成28(許)24 職務執行停止,代行者選任仮処分命令申立て却下決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件
平成29年2月21日 最高裁判所第三小法廷 決定 棄却 東京高等裁判所
事実認定
平成27年9月30日に開催された相手方会社の株主総会で取締役の選任と決議を無効として訴えた事件です。
事実認定は
1 取締役会設置会社で,会社法(以下「法」という。)2条5号所定の公 開会社でない株式会社(以下「非公開会社」という。)である。
要するに上場していない会社で、取締役が複数いて取締役会を用意している会社です。まあ、その辺の会社では普通の状態です。
2 その会社の定款では、代表取締役は取締役会の決議によって定めるものとするが,必要に応じ株主 総会の決議によって定めることができる旨の定めがありました。
代表取締役は、取締役会で決めることができるが、株主総会でも決められるとしたのです。旧商法では取締役および代表取締役の選任は株主総会の決議事項でしたし、現在もそのようです。
そこで、幾らなんでも定款でできると定めたとはいえ会社法に抵触するではないか、だからこの手続きで選ばれた代表取締役は無効であると訴えました。
これに裁判所は次のように述べています。
1 取締役会を置くことを当然に義務付けられているものではない非公開会社 (会社法327条1項1号参照)が,その判断に基づき取締役会を置いた場合,株主総 会は,法に規定する事項及び定款で定めた事項に限り決議をすることができること となる(会社法295条2項)。
2 法において,この定款で定める事項の内容を制限す る明文の規定はない。
取締役会設置会社である非公開会社における,取締役会の決議に よるほか株主総会の決議によっても代表取締役を定めることができる旨の定款の定 めは有効であると解するのが相当である。
はぁ?です。では何のために合同会社があるのでしょうか。定款によって議決権も定められるし、定款によっては取締役会で何でも決められます。実務的には、このような決め方はほぼ一般的になっているようですが、経済学的観点からすればとんでもない話です。
しかし、本事件の場合は株式会社ですよね。株式会社は、株の譲渡を原則自由としている会社制度です。誰かが相続或いは譲渡を受けて新しい株主になっても、受益権しか受けられないことになります。利子すら定まらないので社債以下です。これは株式会社制度を根本から台無しにしています。いくら中小零細企業であったとしても、急速に成長する可能性があれば、株式会社制度でやってはいけない事ではないでしょうか。
どうしても取締役会で決めたいのであれば、既に制度として存在する合同会社制度でやるべきです。全くトンデモ判決です。
全員一致
裁判長裁判官 山崎敏充
裁判官 岡部喜代子
裁判官 大谷剛彦
裁判官 大橋正春
裁判官 木内道祥
平成29年2月21日 最高裁判所第三小法廷 決定 棄却 東京高等裁判所
事実認定
平成27年9月30日に開催された相手方会社の株主総会で取締役の選任と決議を無効として訴えた事件です。
事実認定は
1 取締役会設置会社で,会社法(以下「法」という。)2条5号所定の公 開会社でない株式会社(以下「非公開会社」という。)である。
要するに上場していない会社で、取締役が複数いて取締役会を用意している会社です。まあ、その辺の会社では普通の状態です。
2 その会社の定款では、代表取締役は取締役会の決議によって定めるものとするが,必要に応じ株主 総会の決議によって定めることができる旨の定めがありました。
代表取締役は、取締役会で決めることができるが、株主総会でも決められるとしたのです。旧商法では取締役および代表取締役の選任は株主総会の決議事項でしたし、現在もそのようです。
そこで、幾らなんでも定款でできると定めたとはいえ会社法に抵触するではないか、だからこの手続きで選ばれた代表取締役は無効であると訴えました。
これに裁判所は次のように述べています。
1 取締役会を置くことを当然に義務付けられているものではない非公開会社 (会社法327条1項1号参照)が,その判断に基づき取締役会を置いた場合,株主総 会は,法に規定する事項及び定款で定めた事項に限り決議をすることができること となる(会社法295条2項)。
2 法において,この定款で定める事項の内容を制限す る明文の規定はない。
取締役会設置会社である非公開会社における,取締役会の決議に よるほか株主総会の決議によっても代表取締役を定めることができる旨の定款の定 めは有効であると解するのが相当である。
はぁ?です。では何のために合同会社があるのでしょうか。定款によって議決権も定められるし、定款によっては取締役会で何でも決められます。実務的には、このような決め方はほぼ一般的になっているようですが、経済学的観点からすればとんでもない話です。
しかし、本事件の場合は株式会社ですよね。株式会社は、株の譲渡を原則自由としている会社制度です。誰かが相続或いは譲渡を受けて新しい株主になっても、受益権しか受けられないことになります。利子すら定まらないので社債以下です。これは株式会社制度を根本から台無しにしています。いくら中小零細企業であったとしても、急速に成長する可能性があれば、株式会社制度でやってはいけない事ではないでしょうか。
どうしても取締役会で決めたいのであれば、既に制度として存在する合同会社制度でやるべきです。全くトンデモ判決です。
全員一致
裁判長裁判官 山崎敏充
裁判官 岡部喜代子
裁判官 大谷剛彦
裁判官 大橋正春
裁判官 木内道祥