令和2(分)1 裁判官に対する懲戒申立て事件
令和2年8月26日 最高裁判所大法廷 決定 その他
裁判官がインターネットを利用して投稿による情報発信等を行うことができる情報ネットワーク上で投稿をした行為が裁判所法49条にいう「品位を辱める行状」に当たるとされた事例
朝日新聞の報道です。
現職の裁判官で、実名を出してツイッターで発信している人は極めて珍しい。岡口氏は判例や司法関連のニュースを積極的に投稿し、注目されてきた。一方、高裁はこれまでも投稿内容を問題とし、2016年6月には縄で縛られた上半身裸の男性の写真などを投稿したことについて、今年3月には東京都内の女性が殺害された事件を巡る投稿について、それぞれ厳重注意をしている。分限裁判は裁判官を懲戒するための正式な手続きで、注意からさらに進んだ形だ。・・・この際、林長官は判決文も読まずにツイートをしたことを注意し、「2回の厳重注意があり、前回の厳重注意から2カ月しか経っていないのに全く同じようなことをしている」「裁判所全体としても重く受け止めざるを得ず、分限裁判も含めて検討する」「普通の裁判官であれば、これだけのことをして、裁判所全体や当事者に迷惑を掛けたら、ツイートを止めるのではないか」などと述べたという。高裁は朝日新聞の取材に対し、こうしたやりとりが実際にあったかは「最高裁の判断に関わることなので、回答は差し控えたい」としている。
時事通信の報道です。
決定は「遺族をさらに傷つけ、副次的な被害を拡大させた。被害者の心情を理解できない裁判官ではないかとの疑念を広く抱かせた」と指摘。判事側は「訴追請求に対する自らの見解の表現行為」などと反論したが、大法廷は「遺族を侮辱する表現は許されない」と退けた。
投稿したのは岩瀬さんの命日で、遺族の抗議を受けた仙台高裁が今年1月、最高裁に分限裁判を申し立てた。同判事は東京高裁所属だった17年にも同事件についてツイッターに「無惨(むざん)にも殺されてしまった」などと投稿して厳重注意を受けている。
岡口判事は18年10月、自身が担当していない飼い犬の所有権に関する民事訴訟について、当事者の感情を傷つけるような投稿をし、「表現の自由を逸脱した」として戒告処分を受けた。こうした投稿をめぐり、裁判官訴追委も罷免を求めて弾劾裁判所に訴追するか否かを審議している。
ちなみに白ブリーフ姿と裁判を揶揄した記事についてweb魚拓を取ってなかったので、ここではあげられませんが、実名でかつ裁判官であると名乗って書いています。そして現在も書き続けています。
事実確認をしていきます。
(1)被申立人は、現役の仙台高裁の裁判官である。
(2) 被申立人は,水戸地方・家庭裁判所下妻支部判事であった平成26年4月23日頃,ツイッター(インターネットを利用してツイートと呼ばれる140文字以内のメッセージ等を投稿することができる情報ネットワーク)上の被申立人の実名が付された自己のアカウントにおいて,裁判官に再任されたことを報告するとともに,自己の裸体の写真や白いブリーフのみを着用した状態の写真等を今後も投稿する旨の投稿をし,その後も,同28年3月までの間に,上記のツイッターアカウントにおいて,縄で縛られた上半身裸の男性の写真を付したコメントをするなど2件の投稿をした。
(3) 被申立人は,平成29年12月13日頃,裁判官であることを他者から認識することができる状態で,前記ツイッターアカウントにおいて,特定の性犯罪の
刑事事件についての東京高裁の控訴審判決を閲覧することができる裁判所ウェブサイトのURL(利用者の求めに応じてインターネット上のウェブサイトを検索し,識別するための符号)と共に,「首を絞められて苦しむ女性の姿に性的興奮を覚える性癖を持った男」などの別紙投稿目録記載1の文言を記載した投稿(以下「前回投稿」という。)をした。本件刑事事件は,被告人が当時17歳の女性を殺害した上,強姦しようとしたものの,強姦の目的を遂げず,現金等を強奪したという強盗殺人及び強盗強姦未遂の事案であった。
(3)については若干、岡口裁判官の肩を持つことになりますが、そもそもこの事件の判決文は公開されないものです。にもかかわらず、裁判所外から簡単に閲覧できているようになっていたというのは、明らかに裁判所の落ち度です。この法律はでき応されないとは思いますが、少なくともリンクが貼られて外から見える状態という段階での管理では不正競争防止法の営業の秘密に該当しません。サーバ管理者とサーバに載せた人が罰せられる案件です。
前回投稿をインターネット上に公開して,本件遺族の感情を傷つけたことなどは,裁判官として不適切であるとともに,裁判所に対する国民の信頼を損なうものであるとして,下級裁判所事務処理規則21条に基づき,書面による厳重注意をした。
私はこれは当然の判断だと思います。裁判自体は公開であっても判決文は当事者が認めないと通常公開されません。その前提で全てが進んでいるはずです。なので、リンクを貼って一般で見られる状態にする行為はまずいでしょう。
加えて
被申立人は,令和元年11月12日,フェイスブック上の被申立人の実名が付された自己のアカウントにおいて,自らが裁判官であることが知られている状況の下で,多数のフェイスブックの会員に向けて,本件遺族が被申立人について裁判官訴追委員会に対する訴追請求をしていることなどに言及する投稿をした際,別紙投稿目録記載2のとおり,本件遺族が被申立人を非難するよう東京高裁事務局及び毎日新聞に洗脳されている旨の表現を用いて本件遺族を侮辱した。
もうどうしようもないですね。現在は彼のフェイスブックは閉鎖されているようですが、ここでも現役裁判官であることを名乗って論評しちゃいました。そりゃ被害者はずーっとストレスの中にいて、こういうことを書かれればどんな感情になるかわかりそうなものですが、この人は想像できない人のようです。
(1)裁判官は,職務を遂行するに際してはもとより,職務を離れた私人としての生活においても,その職責と相いれないような行為をしてはならず,また,裁判所や裁判官に対する国民の信頼を傷つけることのないように,慎重に行動すべき義務を負っているものというべきである(最高裁平成13年(分)第3号同年3月30日大法廷決定・裁判集民事201号737頁参照)。・・・裁判所法49条が懲戒事由として定める「品位を辱める行状」とは,職務上の行為であると,純然たる私的行為であるとを問わず,およそ裁判官に対する国民の信頼を損ね,又は裁判の公正を疑わせるような言動をいうものと解するのが相当である(前掲最高裁平成30年10月17日大法廷決定)。
弁護士でもプライベートで酔っぱらい運転やらタクシー運転手に暴行を加えた場合は、弁護士会で処分されます。甘すぎるなと思うことはあります。むしろ民間企業の方が厳しい位です。これは社会常識から言ったら疑問の余地はありません。
(2)「首を絞められて苦しむ女性の姿に性的興奮を覚える性癖を持った男」などという被告人の異常な性癖や犯行の猟奇性に着目した表現で本件刑事判決を紹介する前回投稿をしたものであるところ,このような紹介の方法に照らせば,前回投稿は,刑法上の重要論点を含む本件刑事判決を法律家に周知するためのものとみることはできず,閲覧者の性的好奇心に訴え掛けて,興味本位で本件刑事判決を閲覧するよう誘導しようとするものというほかない。
確かに判決文では、たまに感情をあおるような書き方をしますが、ここで敢えて異常さを書くことはどうなんでしょうか。そして、被害者は止めて欲しいと声を上げたことについてさらに揶揄しているわけです。
裁判長裁判官 大谷直人
裁判官 池上政幸
裁判官 小池 裕
裁判官 木澤克之
裁判官 菅野博之
裁判官 山口 厚
裁判官 林 景一
裁判官 宮崎裕子
裁判官 深山卓也
裁判官 三浦 守
裁判官 草野耕一
裁判官 宇賀克也
裁判官 岡村和美
当然すぎますね。これでも解雇されないというのはどういう事なんでしょうか?
例えば、人事部の人が実際にあったセクハラ案件を詳細に書いて、個人のブログで自分の名前と勤務先と肩書を明記してあったらどうなります?すぐに懲戒解雇でしょう。
令和2年8月26日 最高裁判所大法廷 決定 その他
裁判官がインターネットを利用して投稿による情報発信等を行うことができる情報ネットワーク上で投稿をした行為が裁判所法49条にいう「品位を辱める行状」に当たるとされた事例
朝日新聞の報道です。
現職の裁判官で、実名を出してツイッターで発信している人は極めて珍しい。岡口氏は判例や司法関連のニュースを積極的に投稿し、注目されてきた。一方、高裁はこれまでも投稿内容を問題とし、2016年6月には縄で縛られた上半身裸の男性の写真などを投稿したことについて、今年3月には東京都内の女性が殺害された事件を巡る投稿について、それぞれ厳重注意をしている。分限裁判は裁判官を懲戒するための正式な手続きで、注意からさらに進んだ形だ。・・・この際、林長官は判決文も読まずにツイートをしたことを注意し、「2回の厳重注意があり、前回の厳重注意から2カ月しか経っていないのに全く同じようなことをしている」「裁判所全体としても重く受け止めざるを得ず、分限裁判も含めて検討する」「普通の裁判官であれば、これだけのことをして、裁判所全体や当事者に迷惑を掛けたら、ツイートを止めるのではないか」などと述べたという。高裁は朝日新聞の取材に対し、こうしたやりとりが実際にあったかは「最高裁の判断に関わることなので、回答は差し控えたい」としている。
時事通信の報道です。
決定は「遺族をさらに傷つけ、副次的な被害を拡大させた。被害者の心情を理解できない裁判官ではないかとの疑念を広く抱かせた」と指摘。判事側は「訴追請求に対する自らの見解の表現行為」などと反論したが、大法廷は「遺族を侮辱する表現は許されない」と退けた。
投稿したのは岩瀬さんの命日で、遺族の抗議を受けた仙台高裁が今年1月、最高裁に分限裁判を申し立てた。同判事は東京高裁所属だった17年にも同事件についてツイッターに「無惨(むざん)にも殺されてしまった」などと投稿して厳重注意を受けている。
岡口判事は18年10月、自身が担当していない飼い犬の所有権に関する民事訴訟について、当事者の感情を傷つけるような投稿をし、「表現の自由を逸脱した」として戒告処分を受けた。こうした投稿をめぐり、裁判官訴追委も罷免を求めて弾劾裁判所に訴追するか否かを審議している。
ちなみに白ブリーフ姿と裁判を揶揄した記事についてweb魚拓を取ってなかったので、ここではあげられませんが、実名でかつ裁判官であると名乗って書いています。そして現在も書き続けています。
事実確認をしていきます。
(1)被申立人は、現役の仙台高裁の裁判官である。
(2) 被申立人は,水戸地方・家庭裁判所下妻支部判事であった平成26年4月23日頃,ツイッター(インターネットを利用してツイートと呼ばれる140文字以内のメッセージ等を投稿することができる情報ネットワーク)上の被申立人の実名が付された自己のアカウントにおいて,裁判官に再任されたことを報告するとともに,自己の裸体の写真や白いブリーフのみを着用した状態の写真等を今後も投稿する旨の投稿をし,その後も,同28年3月までの間に,上記のツイッターアカウントにおいて,縄で縛られた上半身裸の男性の写真を付したコメントをするなど2件の投稿をした。
(3) 被申立人は,平成29年12月13日頃,裁判官であることを他者から認識することができる状態で,前記ツイッターアカウントにおいて,特定の性犯罪の
刑事事件についての東京高裁の控訴審判決を閲覧することができる裁判所ウェブサイトのURL(利用者の求めに応じてインターネット上のウェブサイトを検索し,識別するための符号)と共に,「首を絞められて苦しむ女性の姿に性的興奮を覚える性癖を持った男」などの別紙投稿目録記載1の文言を記載した投稿(以下「前回投稿」という。)をした。本件刑事事件は,被告人が当時17歳の女性を殺害した上,強姦しようとしたものの,強姦の目的を遂げず,現金等を強奪したという強盗殺人及び強盗強姦未遂の事案であった。
(3)については若干、岡口裁判官の肩を持つことになりますが、そもそもこの事件の判決文は公開されないものです。にもかかわらず、裁判所外から簡単に閲覧できているようになっていたというのは、明らかに裁判所の落ち度です。この法律はでき応されないとは思いますが、少なくともリンクが貼られて外から見える状態という段階での管理では不正競争防止法の営業の秘密に該当しません。サーバ管理者とサーバに載せた人が罰せられる案件です。
前回投稿をインターネット上に公開して,本件遺族の感情を傷つけたことなどは,裁判官として不適切であるとともに,裁判所に対する国民の信頼を損なうものであるとして,下級裁判所事務処理規則21条に基づき,書面による厳重注意をした。
私はこれは当然の判断だと思います。裁判自体は公開であっても判決文は当事者が認めないと通常公開されません。その前提で全てが進んでいるはずです。なので、リンクを貼って一般で見られる状態にする行為はまずいでしょう。
加えて
被申立人は,令和元年11月12日,フェイスブック上の被申立人の実名が付された自己のアカウントにおいて,自らが裁判官であることが知られている状況の下で,多数のフェイスブックの会員に向けて,本件遺族が被申立人について裁判官訴追委員会に対する訴追請求をしていることなどに言及する投稿をした際,別紙投稿目録記載2のとおり,本件遺族が被申立人を非難するよう東京高裁事務局及び毎日新聞に洗脳されている旨の表現を用いて本件遺族を侮辱した。
もうどうしようもないですね。現在は彼のフェイスブックは閉鎖されているようですが、ここでも現役裁判官であることを名乗って論評しちゃいました。そりゃ被害者はずーっとストレスの中にいて、こういうことを書かれればどんな感情になるかわかりそうなものですが、この人は想像できない人のようです。
(1)裁判官は,職務を遂行するに際してはもとより,職務を離れた私人としての生活においても,その職責と相いれないような行為をしてはならず,また,裁判所や裁判官に対する国民の信頼を傷つけることのないように,慎重に行動すべき義務を負っているものというべきである(最高裁平成13年(分)第3号同年3月30日大法廷決定・裁判集民事201号737頁参照)。・・・裁判所法49条が懲戒事由として定める「品位を辱める行状」とは,職務上の行為であると,純然たる私的行為であるとを問わず,およそ裁判官に対する国民の信頼を損ね,又は裁判の公正を疑わせるような言動をいうものと解するのが相当である(前掲最高裁平成30年10月17日大法廷決定)。
弁護士でもプライベートで酔っぱらい運転やらタクシー運転手に暴行を加えた場合は、弁護士会で処分されます。甘すぎるなと思うことはあります。むしろ民間企業の方が厳しい位です。これは社会常識から言ったら疑問の余地はありません。
(2)「首を絞められて苦しむ女性の姿に性的興奮を覚える性癖を持った男」などという被告人の異常な性癖や犯行の猟奇性に着目した表現で本件刑事判決を紹介する前回投稿をしたものであるところ,このような紹介の方法に照らせば,前回投稿は,刑法上の重要論点を含む本件刑事判決を法律家に周知するためのものとみることはできず,閲覧者の性的好奇心に訴え掛けて,興味本位で本件刑事判決を閲覧するよう誘導しようとするものというほかない。
確かに判決文では、たまに感情をあおるような書き方をしますが、ここで敢えて異常さを書くことはどうなんでしょうか。そして、被害者は止めて欲しいと声を上げたことについてさらに揶揄しているわけです。
裁判長裁判官 大谷直人
裁判官 池上政幸
裁判官 小池 裕
裁判官 木澤克之
裁判官 菅野博之
裁判官 山口 厚
裁判官 林 景一
裁判官 宮崎裕子
裁判官 深山卓也
裁判官 三浦 守
裁判官 草野耕一
裁判官 宇賀克也
裁判官 岡村和美
当然すぎますね。これでも解雇されないというのはどういう事なんでしょうか?
例えば、人事部の人が実際にあったセクハラ案件を詳細に書いて、個人のブログで自分の名前と勤務先と肩書を明記してあったらどうなります?すぐに懲戒解雇でしょう。