最高裁判所裁判官の暴走を許さない

最高裁判所裁判官の国民審査は、衆議院選挙の時の「ついでに」ならないようにしましょう。辞めさせるのは国民の権利です。

マンションの共有部分にアンテナを立てた人から賃料が取れるか

2015-09-28 13:43:59 | 日記
平成25年(受)第843号 不当利得返還請求事件
平成27年9月18日 第二小法廷判決



この事件は、マンションの壁(専有部分と共有部分)にアンテナ(多分携帯電話のアンテナだと思いますが)を立てて、賃料をとっていました。そして、自分の専有部分バルコニーに支柱をたてていました。マンションのバルコニーには事業者であれば看板を出してもよい規約があったようです。
これに対して他の区分所有者が、これは事業用の看板でもないし、壁といっても共用の部分だからそこの部分については管理組合に払いなさいという訴えです。


これについて、裁判所の判断は

上記の集会の決議又は規約の定めがある場合 には,各区分所有者は,上記請求権を行使することができないものと解するのが相当である。

としています。至極ごもっとも。

本件マンションの管理規約には,管理者が共用部分 の管理を行い,共用部分を特定の区分所有者に無償で使用させることができる旨の 定めがあり,この定めは,区分所有者の団体のみが上記請求権を行使することがで きる旨を含むものと解すべきであるから,上告人は,前記2(3)の不当利得返還請 求権を行使することができない。


要するに、共用部分は無償で使っていいといいう決まりがあるから、場所代は管理組合と分け合う必要はないですという結果のようです。これは全員一致でした。
どうなんでしょうか。微妙な印象です。そもそも共有というのはエレベーターとか通路とか非常階段を意味しているのであって、壁は違うような気がします。
壁は、建物の強度や水漏れにもかかわってきます。さらに、アンテナは強力な電磁波を発するので、電波障害の可能性もあります。まあ、その点について一切触れられていないのは大いに疑問です。
となると、マンションの1階の住人が庭(専有部分)に自立した巨大なアンテナを立てた場合、マンションの規約の中で専有部分は無償で使っていいという規約がある以上好き勝手やっていいのかなとか、駐車料金払いたくないから、庭に勝手に駐車場を作っていいのかなとか。
裁判所は訴えられた論点飲み判断するので、ほかの場合に当てはめることを前提とせずに判断するのでしょうが、もう少し丁寧な説明と判断があってもいいのかなと思います。

第二小法廷
裁判長裁判官 千葉勝美 ややずれている
裁判官 小貫芳信 ややずれている
裁判官 鬼丸かおる ややずれている
裁判官 山本庸幸 ややずれている

死刑確定者が拘置所外部との通信を拒否された。死刑確定者は慰謝料請求できるか?

2015-09-26 17:35:31 | 日記

平成25年(受)第2331号 損害賠償請求事件
平成27年9月18日 第二小法廷判決

 字形確定者が訴訟の目的で手数料につ養子に連絡を取ろうとしたところ、それを拘置所に拒否されました。これを不服として慰謝料請求した事件です。

慰謝料云々は別として、拒否した行為がおかしいとして訴えたようです。保全の訴えか何かにできなかったのでしょうか。まあ、よくある慰謝料請求という形にしないと訴えようがないというのもあるようです。

この裁判に関して、あるブログが理解の助けになりそうです。

3.1 判決確定後の外部交通
 死刑判決が確定すると外部との交流はさらに著しく制限されます。監獄法9条では死刑囚の処遇は未決囚に準じるとされているのですが、国はこの規定を守っていません。
 面会や文通は原則として親族に限られます。事件を起こして配偶者と離婚したり、親兄弟や子供と絶縁状態になるケースがしばしばあります。だから面会をしてくれる親族もいない人が多いのです。裁判中に知り合った支援者が養子縁組をして親族となっても、判決確定後は拘置所はなかなか面会や文通を認めません。
 当局は、死刑囚から生きる希望を奪い、死刑を受け入れる心境にさせるため「心情の安定を図る」という名目で、死刑確定囚の外部交通を認めないのです。
 死刑確定囚との面会については、国内外のNGO団体、国会議員等も求めてきましたが認められていません。



このブログの主張のメインは死刑反対のようですので、若干バイアスが入っているようにも思えます。
ともあれ、裁判を受ける権利があるのでそれを妨害してくれるなという裁判と理解しておきましょう。そこで問題になるのが、刑事施設ニ於ケル刑事被告人ノ収容等ニ関スル法律通称監獄法のようです。


判決は、裁判を受ける権利を妨害するなというものでした。その理由は、

金銭債権の支払を請求する本件訴えの提起時に訴訟上の救助を申し立てたところ,請求の数量的な一部である50万円については勝訴の見込みがないとはいえないことを理由として,これに対応する訴え提起の手数料5000円につき訴訟上の救助を付与する旨の本件救助決定が確定したのである。そして,被上告人は,本件訂正申立書により50万円に請求を減縮したと認められるのであるから,訴え提起の手数料が納付されていないことを理由に,本件訴えを却下することは許されないというべきである。


要するに、「その裁判に勝つ可能性があるから」という理由のようです。
ちょっと待ってくださいよ、と言いたくなりませんか。「裁判を受けるための費用を工面するのに外との連絡を妨害するな」という裁判名のに、これから受けようとする裁判を別の裁判官が判断するべきなんでしょうか?裁判は訴えがあった件についてのみ判断を下すものであって、それに関連するものまで勝手に判断していいのでしょうか?何だか釈然としません。

この判断そのものとは若干ずれますが、刑事訴訟法第四百七十五条によればそもそも死刑は判決確定後3カ月以内に執行しなければなりません。訴訟が起こされたのは平成24年12月、この判決が出たのは平成27年9月、最高裁まで行くには異例の速さではありますが、この間死刑は執行されていないのです。
この点の方が問題ではないでしょうか。むしろ、訴えの資格なしとはできなかったのでしょうか。

なんか釈然としません。全員一致の無理やり感満載の判決でした。

最高裁判所第二小法廷
裁判長裁判官 鬼丸かおる ややずれている
裁判官 千葉勝美 ややずれている
裁判官 小貫芳信 ややずれている
裁判官 山本庸幸 ややずれている

利息制限法改正前に借り、調停確定した利息はどうなる?

2015-09-22 19:00:21 | 日記
平成25年(受)第1989号 不当利得返還請求事件
平成27年9月15日 第三小法廷判決

この裁判は、甲さんが金融業者Aからお金を借りました。その後、利息制限法の改正により、それまで借りていたお金の金利は違法なものになりました。そこで甲さんは調停を起こして、調停は成立し一度は納得しました。
その後、Aは別の貸金業B社に吸収合併されました。
B社は甲さんに、調停で決まった金額を払うように請求したところ、甲さんは金利上限法以降に債権が移ったのだから、B社は現行の上限金利を守れと裁判を起こすこととなったのです。

これについて、裁判官は「Aとの継続的な金銭消費貸借取引に係る原審の上記判断は是認することができない。」としています。その理由は、

本件調停は特定調停手続において成立したものであるところ,特定調停手続は,支払不能に陥るおそれのある債務者等の経済的再生に資するため,債務者が負っている金銭債務に係る利害関係の調整を促進することを目的とするものであり,特定債務者の有する金銭債権の有無やその内容を確定等することを当然には予定していないといえる。

としています。つまり、調停の目的は破産しないで生活ができるようにすることが目的であって、次にその債権を引き継ぐ金額を保証するものではないと言いうのです。
正直言って分かりません。確かに、調停はそういう目的の部分もありますが、同時に債権を持っている側からすれば、債務不履行防止と貸倒引当金の計上のために金額を確定させなければならないのです。調停に応じたということは、この金額を確定させなければならなかったから応じたのです。

そして、「以上によれば,本件確認条項及び本件清算条項を含む本件調停が,全体として公序良俗に反するものということはできない。」と言い放ったという表現が適切かもしれません。金額は、この裁判ではB社は120万円の評価損となります。貸金業からすればコストのうちとして「公序良俗」の範囲で許してやれと言えるかもしれませんが、一度調停で成立し金額が確定したはずのものをひっくり返されたのです。債権者側は今後何を判断基準にしたらいいのでしょうか?
しかもこの判断は全員一致。
これと同じようにやられてしまえば、ごね得を許すばかりではなく、調停は所詮事実上拘束力がないと裁判所が認定したようなものになります。最高裁のせいで、法的安定性がなくなるのです。
今回の判断はトンデモとしか言いようがありません。

今回の裁判官
安定の第三小法廷
裁判長裁判官 大谷剛彦 ずれている
裁判官 岡部喜代子 ずれている
裁判官 大橋正春 ずれている
裁判官 木内道祥 ずれている
裁判官 山崎敏充 ずれている

在外被爆者にも医療費全額支給すべきか

2015-09-09 15:31:41 | 日記
平成26年(行ヒ)第406号 一般疾病医療費支給申請却下処分取消等請求事件
平成27年9月8日  最高裁判所第三小法廷  判決  棄却  大阪高等裁判所

産経新聞によると以下のような概要です。

 海外に住む被爆者に対し、被爆者援護法に定める医療費の全額支給規定が適用されるかが争われた訴訟で、最高裁第3小法廷(岡部喜代子裁判長)は10日、上告審の判決期日を9月8日に指定した。2審判決の変更に必要な弁論が開かれていないため、全額支給すべきだとした2審大阪高裁判決が確定する見込み。
 在外被爆者の医療費について、最高裁が判断を示すのは初めて。同種訴訟では広島、長崎両地裁が訴えを棄却して原告が控訴しており、最高裁が示す判断が影響を与えるとみられる。
 原告は韓国在住の被爆者や遺族。援護法は被爆者がやむを得ない理由で国内にある指定医療機関以外で治療を受けた場合、医療費の自己負担分を全額支給できると規定。しかし、在外被爆者の海外治療は「保険医療制度が違う」などと対象外とされてきた。
 1審大阪地裁は平成25年10月、「援護法を在外被爆者に適用しないと限定解釈する合理性はない」として、原告の申請を却下した大阪府の処分を取り消し、2審も支持した。


まずは、外国居住者についての扱いが問題になったようです。まずは、原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律を見てみましょう。
2条(被爆者健康手帳)
2  被爆者健康手帳の交付を受けようとする者であって、国内に居住地及び現在地を有しないものは、前項の規定にかかわらず、政令で定めるところにより、その者が前条各号に規定する事由のいずれかに該当したとする当時現に所在していた場所を管轄する都道府県知事に申請することができる。
3  都道府県知事は、前二項の規定による申請に基づいて審査し、申請者が前条各号のいずれかに該当すると認めるときは、その者に被爆者健康手帳を交付するものとする。

なお、外国籍に関する条項はありませんし、立法趣旨から言って原爆投下時に広島長崎にいたすべての人と胎児が含まれているので、外国人を除くという判断はできないようです。外国居住者に関しても、2条から被爆者手帳の交付ができることになっています。ここまでは問題ないでしょう。

次に、18条を見ます。
(一般疾病医療費の支給)
第十八条  厚生労働大臣は、被爆者が、負傷又は疾病(第十条第一項に規定する医療の給付を受けることができる負傷又は疾病、遺伝性疾病、先天性疾病及び厚生労働大臣の定めるその他の負傷又は疾病を除く。)につき、都道府県知事が次条第一項の規定により指定する医療機関(以下「被爆者一般疾病医療機関」という。)から第十条第二項各号に掲げる医療を受け、又は緊急その他やむを得ない理由により被爆者一般疾病医療機関以外の者からこれらの医療を受けたときは、その者に対し、当該医療に要した費用の額を限度として、一般疾病医療費を支給することができる。

基本的に、乳幼児が居住する都道府県外でも医療費減免措置が受けられるのと同じになりますね。
では、今回のケースではどうなるかというと、海外での治療にその手帳が使えるかという論点になります。
第一に、海外での治療は、健康保険制度や医療制度そのものが異なります。となると、日本では保険適用外の治療であっても海外で治療すればタダになるということになります。これは自国民に対して不公平を強いることになりませんか?この観点から、大阪市は支払いを拒否したのだと思います。
せめて、日本と医療関係に関して条約を締結しているとか、そういうのを最低条件として入れているならば話は別ですが、これでは手帳を先に使ったもん勝ちということになります。その手帳の不正使用の可能性については、どうなのでしょうか。
少なくとも、韓国内では日本語を解する人は少なくないですが、公用語ではありません。日本語を解さない人が事務処理をすることは充分の考えられますし、英語で発行しても同じことです。
要するに法的安定性が保たれません。
第二に、当時日本国民であったとは言え、すでに日本から独立した国の国民であること。日本から独立した時に、賠償等は日韓基本条約によって解決済みであることから考えれば、改めて個人に対してどういった名目で保障するのか不明確です。思いやり予算としてこの制度を作ってしまった政治に大きな問題があるとはいえ、法の番人としてこの点は日韓基本条約に基づくべきでしょう。

これに対して裁判所は全員一致で以下の理由を述べています。

一般疾病医療機関以外の者から医療を受けた場合については,緊急その他やむを得ない理由により一般疾病医療機関以外の者から医療を受けたことをその支給の要件として定めているところ,被爆者の居住地又は現在地の付近に一般疾病医療機関がないため近隣に所在する一般疾病医療機関以外の者から医療を受けることとなった場合には,上記の要件が満たされるものと解され,在外被爆者が日本国外で医療を受けた場合にも,これと同様に解することができるというべきである

これは私が述べたように法的安定を担保する観点からして、かなり無理があり、類推適用にしてもかなり拡大しすぎという感じが否めません。
今回私の判断からすれば、トンデモというまでは行かないにせよ、かなり法的に無理した判決であると言わざるを得ません。

今回の裁判官 第三小法廷
裁判長裁判官 岡部喜代子 ややずれている
裁判官 大谷剛彦 ややずれている
裁判官 大橋正春 ややずれている
裁判官 木内道祥 ややずれている
裁判官 山崎敏充 ややずれている

法令違反なのか事実に誤認なのか、本当にそれが論点か?

2015-09-06 10:04:07 | 日記
お久しぶりです。裁判所が夏休みに入って、新たな判決が出ていないので最新の判決の論評をします。
この事件は、刑事事件の裁判で手続きがおかしいとして上訴した件のようですが、最高裁判所では手続きはおかしくない、求めるなら事実誤認であろうという判断でした。
この事件に限らず、最高裁の判決を見ると結構この類の訴えが多いようです。私は、全くの法律のど素人で仕事上商法と民法の一部しか知りません、刑事法は完全など素人です。
ですが、余りにも頓珍漢な訴えが多いような気がしてなりません。
平成26(あ)1045 傷害致死被告事件