最高裁判所裁判官の暴走を許さない

最高裁判所裁判官の国民審査は、衆議院選挙の時の「ついでに」ならないようにしましょう。辞めさせるのは国民の権利です。

民事保全法と建物の区分所有等に関する法律とどっちを優先すべき?

2016-04-27 08:31:00 | 日記
平成27(許)15  仮処分決定取消及び仮処分命令申立て却下決定に対する保全抗告棄却決定に対する許可抗告事件
平成28年3月18日  最高裁判所第二小法廷  決定  棄却  東京高等裁判所

さて、事実前提が全く書かれておらず、純粋に法解釈の問題が争点になったようです。
区分所有と書いてあるので、マンションの事でしょう。マンションには通常の不動産とは違う扱い(建物の区分所有等に関する法律)が求められます。これとかち合うのが、民事保全法です。

今回の場合は、共益費や組合費の未払いがあったのでしょう。所有者は破綻してしまっているので、別の債務者からマンションの競売の話が出たものと思います。マンション組合としては、他の入居者に迷惑をかけるので何としてでも未払い金を回収したいと考えていますので、勝手に競売をされてしまったのでは困るというので差止を請求したのでしょう。

建物の区分所有等に関する法律
(区分所有権の競売の請求)
第五十九条  第五十七条第一項に規定する場合において、第六条第一項に規定する行為による区分所有者の共同生活上の障害が著しく、他の方法によつてはその障害を除去して共用部分の利用の確保その他の区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難であるときは、他の区分所有者の全員又は管理組合法人は、集会の決議に基づき、訴えをもつて、当該行為に係る区分所有者の区分所有権及び敷地利用権の競売を請求することができる。


民事保全法
(不動産の登記請求権を保全するための処分禁止の仮処分の執行)
第五十三条  不動産に関する権利についての登記(仮登記を除く。)を請求する権利(以下「登記請求権」という。)を保全するための処分禁止の仮処分の執行は、処分禁止の登記をする方法により行う。
2  不動産に関する所有権以外の権利の保存、設定又は変更についての登記請求権を保全するための処分禁止の仮処分の執行は、前項の処分禁止の登記とともに、仮処分による仮登記(以下「保全仮登記」という。)をする方法により行う。
3  第四十七条第二項及び第三項並びに民事執行法第四十八条第二項 、第五十三条及び第五十四条の規定は、前二項の処分禁止の仮処分の執行について準用する。
(建物収去土地明渡請求権を保全するための建物の処分禁止の仮処分の執行)
第五十五条  建物の収去及びその敷地の明渡しの請求権を保全するため、その建物の処分禁止の仮処分命令が発せられたときは、その仮処分の執行は、処分禁止の登記をする方法により行う。
2  第四十七条第二項及び第三項並びに民事執行法第四十八条第二項 、第五十三条及び第五十四条の規定は、前項の処分禁止の仮処分の執行について準用する。

この二つの法律のどちらを優先すべきかという判断のようです。建物の区分所有等に関する法律は民事保全法に比べて特殊なものを対象としていますので、特別法というべきでしょう。となると、建物の区分所有等に関する法律が優先されるべきとなります。
この一連の裁判で高裁がなぜ民事保全法が優先されたのか、正直分かりません。


相変わらず第二小法廷は、自己満足の文章を書きますね。一見すると何が何だかよく分かりません。

第二小法廷
裁判長裁判官 小貫芳信
裁判官 千葉勝美
裁判官 鬼丸かおる
裁判官 山本庸幸

東京高裁:「君が代」不起立、元教員側が敗訴 再雇用拒否を容認

2016-04-19 15:32:30 | 日記
これは東京高裁での判決なので、裁判所からは詳細は出ていません。朝日新聞の報道によると、

 卒業式で「君が代」斉唱時に起立しなかったことを理由に定年後の再雇用を拒否されたのは違法だとして、東京都立学校の元教員3人が計約1760万円の損害賠償を都に求めた訴訟で、東京地裁は18日、元教員の請求を棄却する判決を言い渡した。清水響裁判長は「職務命令より自己の見解を優先させたことが、選考で不利に評価されてもやむを得ない」と述べた。
 判決によると、3人は斉唱時の起立を命じた職務命令に違反したとして停職などの懲戒処分を受けた。これを理由に2011年、定年後の非常勤職員の選考で不合格になった。
 判決は、選考について都教委に「広い裁量権がある」と認めた上で、「儀礼的所作を命じた職務命令に公然と違反した者を再雇用しないことが、著しく合理性、相当性を欠くとはいえない」と判断した。
 再雇用をめぐっては、東京地裁が昨年5月、元教員22人が起こした別の訴訟の判決で約5370万円を支払うよう都に命じた。東京高裁は都の控訴を棄却し、上告審で争っている。


産経新聞も報道していますが、長いので割愛します。

去年10月にこのブログで取り上げた事件とは違う事件のようです。
国歌斉唱の際に不起立なのは、業務命令を拒否したものとして認定されました。1回や2回ではなく、何回もやっているようなので、高裁の判断は正当なものでしょう。
もし、この元教師たちがの主張が通るとすれば、日本は授業で私の趣味に合わないと授業をするのを拒否できるのと同じことになります。
日本は、労働者の権利を拡大解釈しすぎている傾向があり、このような正当な判断が出てひと安心です。

監視カメラに全部は写っていなかった交通事故の判断

2016-04-18 11:34:52 | 日記
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=85757
平成28年3月18日  最高裁判所第三小法廷  判決  破棄差戻  東京高等裁判所

自動車運転過失致死の公訴事実について防犯カメラ映像と整合しない走行態様を前提に被告人を有罪とした原判決に,審理不尽の違法,事実誤認の疑いがあるとされた事例

ある人が交通事故に遭い、片側2車線の交差点内で倒れていました。
そこに、追い越し車線の車が遅いとイライラした加害者が走行車線から追い越し、追い越し車線にもどったところ、交差点内で前の事故で倒れていた人の頭を車で轢いてしまい、先の事故で倒れていた人を死亡させれたとして逮捕さました。そのとき前方だけではなく、左右も確認する義務があるにも関わらず、しなかったとしています。
一方被告側は、①被告人は,追い越すため第1車線に進路変更した後、そのまま第1車線を走行して本件交差点を通過しており、第2車線に倒れていた被害者を轢過したのは被告人ではない、②仮に被告人が轢過したとしても,先行していたA車の前方で被害者が転倒し横たわっていたしていることを予見することはできず、被告人に過失はないとして無罪を主張しました。
一審は、追い越したのではなく交差点の中には、ほぼ併走して入っているので、轢いたとするには疑いがあるとして無罪判決が出ています。

これについて、交差点の監視カメラでは、被告の前を走っていた車が確認されて、それを被告の車が走行車線から追い越し、追い越し車線に戻っていると認定されました。おそらく、事故全体が写されておらず、この角度でなら戻ったと推定されたのでしょう。そして高裁では轢いたものとして有罪判決が出ました。
監視カメラは万能ではありませんから、推測しかありえません。

最高裁では、これは事実認定がおかしい可能性があるとしました。そこで以下、交通整理をしていた人と追い越された車の運転手の証言です。
①先行事故後に本件交差点内で交通整理を行っていたBは,「乗用車タイプの車がトラックの左側(第1車線)を追い越していき,直後に本件事故が発生した」
②一方,A車を運転していたAは,「白っぽい乗用車が自車のすぐ右側を追い越していき,倒れている被害者の頭部付近を,何かを踏む音を立てながら通り過ぎていった」

高裁は、カメラと証言をもとに高裁では有罪になりました。しかしこれに疑問を投げかけました。

まず、本件防犯カメラの映像は毎秒2コマずつ撮影されているところ,原判決が認定するように被告人車が時速40km程度でA車を手前側から追い越して本件交差点に進入したのだとすれば,本件交差点中央付近に到達するまでに被告人車が本件防犯カメラの映像上一切映らないということはおよそ考え難いのであって,検察官の主張は採用できない。)。
その結果、
被告人車がA車を第1車線側から追い越して本件交差点に進入したことを前提とする主張を展開しているが,本件防犯カメラの映像上,被告人車がどの車両であると捉えているかは,主張全体を通じて見ても明らかではない。


という事で、明確な証拠とは言えないものであり、有罪にはできないとして無罪に判決を出しました

今回の裁判官。第三小法廷
裁判長裁判官 岡部喜代子
裁判官 大谷剛彦
裁判官 大橋正春
裁判官 木内道祥
裁判官 山崎敏充

心証としては真っ黒なのでしょうが、物証が乏しいという事でしょうか。これは法の大原則なので、この判決は妥当なものと言えそうです。目撃証言は、あくまでも参考にしかならないのでしょうね。
それにしても、交通事故で人を轢いた場合、車体に何らかの跡が残ります。ましてや生きている状態であれば、30センチ弱の石を乗り越えるよな感じになりますので、車体に跡が残るはずです。それがなかったとなると、既に頭蓋骨を粉砕された死体を轢いたことになります。この辺りが判決に書いていないところを見ると、車には跡がなかったのでしょうか。相当な血の海でタイヤ痕などの現場検証ができなかった可能性があります。

証券会社は英文でも説明書を渡すべきか

2016-04-16 13:11:37 | 日記
平成26(受)2454  損害賠償請求事件
平成28年3月15日  最高裁判所第三小法廷  判決  破棄自判  東京高等裁判

顧客が証券会社の販売する仕組債を運用対象金融資産とする信託契約を含む一連の取引を行った際に証券会社に説明義務違反があったとはいえないとされた事例

消費者金融業A社は企業に対する投資等を目的とする株式会社で、東証1部とロンドン証券取引所に上場している会社です。Aは、平成14年6月に発行総額を300億円,利率を年4%,償還期限を平成34年6月とする無担保普通社債を発行しました。
Aは、平成18年11月頃、Yさんに対し,会計上本件社債を早期に償還したものと取り扱うとともに将来支払うべき利息の負担の軽減を図るという取引についてその具体的な枠組みを提案するよう要請しました。
確かに、4%は負担が大きいですからね。
Aの取締役CはYからその取引内容の説明を受けました。それらの内容は、Aは公認会計士と弁護士にも相談しました。Yはこのとき英文での説明資料を提供しませんでした。
ちなみにCは金融取引については、一般的な知識しかなかったそうです。
Aは運用開始して直ぐに、元本が10%にまで落ち込む事態になりました。そして破産更生法適用になってしまったのです。

そこでAの管財人はYに対して、英文で説明資料を渡さなかったのは、証券業では必ずやらなければならない説明義務を怠ったとして訴えました。

原審では、
上告人Y2は,Aに対する説明義務を尽くしたということはできず,上告人らにおいて説明義務違反があったと認めるのが相当である。
としていますが、最高裁では、

上告人Y2において販売経験が十分とはいえない新商品であり,Cらが金融取引についての詳しい知識を有しておらず,本件英文書面の訳文が交付され
ていないことは,国際的に金融事業を行い,本件取引について公認会計士らの意見も求めていたAにとって上記各事項を理解する支障になるとはいえない。したがって,上告人Yが本件取引を行った際に説明義務違反があったということはできない。


と上告を全員一致で棄却しました。
ごもっともな判断だと思います。Aは東証1部の消費者金融業者であり証券業者も行っていたわけで、英文がなかったからと言って説明不足というのは及ばないでしょう。Cが金融についてあまり詳しくなかったとは言っても取締役ですからね。問題があるとすれば、Aのコーポレートガバナンスでしょう。

更に裁判所は続けます。

複数の格付機関において最高位であったことからすると,上告人Y1が本件仕組債の計算代理人となったことなどから直ちに,本件仕組債が金融資産として瑕疵,欠陥のあるもので本件取引におよそ適さないものであったということは困難である。

これはいただけません。どんな格付け会社であっても、その債権を保証するもではないですし、意見と見解を述べているだけにしかすぎません。さらに、その根拠となる調査方法や根拠については一切明らかにしていないのです。裁判官はそういた注意書きを読んでないのでしょうか。
確かに根拠のないまるっきり嘘をでっち上げるとまでは言いませんが、それに近い可能性もあるのです。こういうのも含めて証券業者であるならば、調べて当然の事だと思います。結論はいいとして、その途中過程はかなり危なっかしい感じのする判決文でした。

今回の裁判官
第三小法廷
裁判長裁判官 岡部喜代子
裁判官 大谷剛彦
裁判官 木内道祥
裁判官 山崎敏充

子どものビル転落事件の捜査資料は個人情報保護の対象か?→行政事件訴訟法はどれだけ厳密さが求められるか

2016-04-07 21:19:55 | 日記
平成27(行ヒ)221  個人情報一部不開示決定処分取消等請求事件
平成28年3月10日  最高裁判所第一小法廷  判決  破棄自判  大阪高等裁判所

個人情報の一部を不開示とする決定の取消しを求める訴えが行政事件訴訟法14条1項本文の定める出訴期間を経過した後に提起されたものであり,出訴期間を経過した後に提起されたことにつき同項ただし書にいう「正当な理由」があるとはいえないとされた事例

ある子供がビルから転落死しました。その親が、捜査状況について知りたいとして、京都府個人情報保護条例に基づいてて京都府警察田辺警察署において作成又は取得した書類等一式の開示請求を行いました。それに対して京都府警が開示を拒否したために起こされた裁判です。
ここでの論点は、捜査資料は個人情報に当たるとして開示を拒めるかです。

事実前提としては、
1 平成23年12月20日,細川治弁護士を代理人として,本件条例12条に基づき,処分行政庁に対し,本件各文書に記録されている個人情報の開示請求(以下「本件開示請求」という。)をした。
2 平成24年3月8日,本件開示請求に対し,被上告人の子の個人情報はその遺族である被上告人の「自己の個人情報」に当たらないとしてはんだんした。
3 同年10月3日,細川弁護士の申出を受けて,本件開示請求に対する応答とは別に,本件条例5条1項6号及び2項に基づき,同弁護士に対し,上記イの公文書を除く本件各文書の写しを一部塗りつぶした上で交付した。
4 処分行政庁は,京都地方裁判所において同年9月21日に言い渡された別件訴訟の判決を受けて,被上告人の子の個人情報が被上告人にとっても本件条例にいう「自己の個人情報」に当たるとして,同年10月12日,改めて本件処分を行った。

公開請求をしてから、何だかんだと10カ月かかっています。これだけでも行政の感覚の異常性を感じます。

5 京都府警察本部の担当者は,同日,細川弁護士に対し,本件処分によって交付されることとなる本件各文書の写しであって不開示部分を塗りつぶしたもの(以下「本件各開示文書」という。)と本件各任意提供文書とが同一内容のものである旨を電話で伝えた。

同じものを出したからいいよねという感じでしょうか。しかし黒塗りの部分が重要なので見せろということで、

6 同月22日,本件各開示文書が到達した。

しかしもっと厄介なのはここからです。
行政事件訴訟法14条1項本文は,取消訴訟について,処分があったことを知った日から6か月を経過したときは,提起することができない旨規定しているのです。
平成24年10月15日に本件通知書が被上告人を代理弁護士の下に到達した時点で効力が生じていたものであり,上記時点で「処分があった」というべきである。

従って裁判所は、被上告人は,本件通知書が同人を代理する細川弁護士の下に到達た平成24年10月15日をもって本件処分のあったことを現実に知ったものということができ,同25年4月19日に提起された本件取消しの訴えは,本件処分のあったことを知った日から6か月の出訴期間を経過した後に提起されたものというべきである。

として開示すべきではないと判断しました。純粋に法律的に見ればそうなんでしょうけど・・・
他の判決では、1週間ぐらいは誤差の範囲と言わんばかりのものも出ているのに、これは別なのでしょうか???だったら、他の判断について期限を区切られているもの全て厳密にやっていただきたいものです。

第一小法廷
今回の裁判官
裁判長裁判官 櫻井龍子
裁判官 山浦善樹
裁判官 池上政幸
裁判官 大谷直人
裁判官 小池 裕

しかし、辛いですね。自分の子供が死んだ背景を知ることができないなんて。裏で誰がいたのか、何をしたのか、どんな調査をしたのか、全く分からない訳です。ちなみに加害者がいた場合、その加害者は地裁で裁判を受ければ別ですが、家裁での審判になった場合は一切公開されませんから、裁判所から漏れてこない限り何も知りようがないのです。
やるとすれば民事で訴えて知るしかないのですが、それですらも取調資料は重要な証拠となります。これは、法の整備をもう少しすべきでしょう。裁判官も、形式主義にならずに実態を見て欲しいところです。

その一方で、ここでは明記はしていませんが、裏返して言えば代理人がもう少し早く行動していれば開示を認めますよという事ですよね

海外ウェブサイトから発信されたブログは名誉棄損になるか

2016-04-03 12:07:19 | 日記
平成26(受)1985  損害賠償請求事件
平成28年3月10日  最高裁判所第一小法廷  判決  棄却  東京高等裁判所
 米国法人がウェブサイトに掲載した記事による名誉等の毀損を理由とする不法行為に基づく損害賠償請求訴訟について,民訴法3条の9にいう「特別の事情」があるとされた事例

ある人がインターネット上の書き込みサイトで誹謗中傷されました。その書き込みは、アメリカの会社が行いました。被害に遭ったのは日本法人で、名誉棄損も日本国内で行われたということで、日本の裁判管轄で行われました。
しかしここからが厄介です。
被害を受けたとする側は、日本企業でパチンコメーカーとその取締役会長です。ところが、不法行為をしたとされる側は、この会社の20%の子会社なのです。なんと親子会社間で名誉棄損の裁判なんです。この子会社は、日本本社で作ったゲームをカジノで運用する会社のようです。当初は、子会社側は従業員が勝手にやったこととしていたようです。
この経緯については、色々噂が飛び交っているようで本件の名誉棄損以外もトラブルが起きているようですので、ここではリンクのみに留めて置きます。


米国ネバダ州法人である被上告人が上記記事をウェブサイトに掲載することによって,日本法人とその取締役である上告人らの名誉及び信用の毀損という結果が日本国内で発生したといえることから,本件訴えについては日本の裁判所が管轄権を有することとなる場合に当たる(民訴法3条の3第8号)。その上で,「日本の裁判所が審理及び裁判をすることが当事者間の衡平を害し,又は適正かつ迅速な審理の実現を妨げることとなる特別の事情」(民訴法3条の9)があり,本件訴えを却下することができるか否かが争われている。



こういうカジノ関係は、裏社会とのかかわりを防止するために、危険人物判断された場合は例えば取締役は解任、持っている株は強制的に売却して、経営にかかわらせないような仕組みがあるようです。ネバダ州の法令では、
ゲーミング免許の取得者は、関係者が犯罪に関与しているなど不適格であると規制当局に認定されると,当該免許を剥奪されることがある。また,被上告人の定款には,取締役会が,ゲーミング免許の維持を脅かす可能性のある者として不適格であると自ら判断した株主の株式を強制的に償還する旨の定めがある
この会社もそう言った制度を入れていたようです。法令違反があれば、子会社から資本関係を一方的に解消を申し渡しことができるのですね。

Aさんが取締役会長の不正を見つけてしまったようです。アメリカでの裁判では、100人の従業員と9500点の文書から不正が明らかになりました。Aさんをはじめとする取締役会は,平成24年2月18日,取締役会長を除く取締役の全員一致で,A及び上告人らは被上告人の定款にいう不適格である者と判断し,Aが保有する被上告人の株式を強制的に償還する決議しました。
これについて子会社がHPで文書を公開したようです。

別件米国訴訟は,米国法人である被上告人が,取締役会長及びその関係者が海外腐敗行為防止法に違反する行為を繰り返すなどしていたとして,上告人取締役会長が取締役会長を務める上告人会社の子会社であるAが保有する被上告人の株式を強制的に償還したこと等に関して,被上告人とA及び上告人らとの間で争われている訴訟であるところ,本件訴訟は,上告人らが,上記の強制的な償還の経緯等について記載する本件記事によって名誉及び信用を毀損されたなどと主張して,被上告人に対し,不法行為に基づく損害賠償を求めるものであるから,別件米国訴訟に係る紛争から派生した紛争に係るものといえる。

加えて

上記の証拠の所在等に照らせば,これを日本の裁判所において取り調べることは被上告人に過大な負担を課することになるといえる。これらの事情を考慮すると,本件については,民訴法3条の9にいう「日本の裁判所が審理及び裁判をすることが当事者間の衡平を害し,又は適正かつ迅速な審理の実現を妨げることとなる特別の事情」があるというべきである。

としています。
ということで、アメリカの子会社の負けとなりました。

正直よく分かりません。これはそもそもネバダで争うべきであり、特別の事情があるとは思えませんが。その上、アメリカの裁判で明確化した問題ありと確定したわけですよね。事実の報道ですから、名誉棄損にならないのではないですか?


第一小法廷判決

裁判長裁判官 櫻井龍子 トンデモ
裁判官 山浦善樹 トンデモ
裁判官 池上政幸 トンデモ
裁判官 大谷直人 トンデモ
裁判官 小池 裕 トンデモ