平成29(行ヒ)404 神奈川県議会議員政務活動費不正受給確認請求事件
平成30年11月16日 最高裁判所第二小法廷 判決 破棄自判 東京高等裁判所
政務調査費及び政務活動費につき,具体的な使途を個別に特定した上で政務活動費等を交付すべきものとは定めておらず,年度ごとに行われる決定に基づき月ごとに一定額を交付し,年度ごとに収支報告を行うこととされ,その返還に関して当該年度における交付額から使途基準に適合した支出の総額を控除して残余がある場合にはこれを返還しなければならない旨の定めがある神奈川県議会政務活動費の交付等に関する条例(平成13年神奈川県条例第33号。平成25年神奈川県条例第42号による改正前の題名は「神奈川県議会政務調査費の交付等に関する条例」)に基づいて交付された政務活動費等について,その収支報告書上の支出の一部が実際には存在しないものであっても,当該年度において,収支報告書上の支出の総額から実際には存在しないもの及び使途基準に適合しないものの額を控除した額が政務活動費等の交付額を下回ることとならない場合には,当該政務活動費等の交付を受けた会派又は議員は,県に対する不当利得返還義務を負わない。
時事通信の報道です。
政務活動費、住民側が逆転敗訴=不正受給も返還請求できず-最高裁
同県議会の自民会派では、政務活動費を会派として受け取り、所属県議に振り分けていた。所属する元議長の中村省司県議が「県政リポート」の印刷代として架空計上した約518万円が問題になったが、会派全体の支出額が交付された政務活動費を上回り、赤字額は約518万円を超える状態だった。
菅野裁判長は「交付金から支出の総額を控除し、残余があれば返還すべき」と定めた県条例を検討。「実際に存在しない支出が計上されていたとしても、会派全体の支出が交付額を下回らない限り、返還を求めることはできない」と判断した。
一審横浜地裁は2016年8月、「政務活動費を違法に支出した場合は返還義務を負う」として、県が返還を求めないのは違法と判断。二審東京高裁も17年7月に支持し、県側が上告していた。
訴え内容は、
収支報告書に支出として記載されたものの一部は実際には支出されていないから,本件会派はこれを不当利得として県に返還すべきであるにもかかわらず,上告人はその返還請求を違法に怠っているとして,地方自治法242条の2第1項3号に基づき,上告人を相手として,上告人が本件会派に対する不当利得返還請求権の行使を怠ることが違法であることの確認を求める住民訴訟である。
事実認定から見ていきます。
1
(1)議会における会派又は議員に対し,政務調査費を交付することができ,その交付の対象,額及び交付の方法は条例で定めなければならないとし(地方自治法100条14項),政務調査費の交付を受けた会派又は議員は,条例の定めるところにより,当該政務調査費に係る収入及び支出の報告書を議長に提出するものとしていた(同条15項)。・・・「議会の議員の調査
研究その他の活動に資するため」とされ(法100条14項),議長は政務活動費の使途の透明性の確保に努めるものとされた(同条16項)。
(2) 上記の法の定めを受けて,「神奈川県議会政務調査費の交付等に関する条例」を定めた。
ここでは全文が公開されておらず、ログインが必要だとのことです。胡散臭いですね。過去の改正前の分も公開すべきじゃないですか?
ア 政務活動費等は,議会の会派及び議員に交付し,その額は議員1人当たり月額53万円とする。
イ 政務調査費の交付の対象となる経費は,調査研究費,研修費,会議費その他規程で定める経費とする(旧条例9条)。
ウ 知事は,政務活動費等の交付の方法等について記載した会派届の提出があった旨の通知を議長から受けたときは,速やかに,当該年度に係る政務活動費等の交付の決定を行い,当該決定を受けた会派の代表者及び議員から当該決定に係る政務活動費等の請求があったときは,原則として毎月16日に当該月分の政務活動費等を交付するものとする。
エ 会派の代表者及び議員は,当該年度に係る政務活動費等の収入額,支出額,残額その他規程で定める事項を記載した収支報告書及び当該収支報告書に記載された政務活動費等による支出に係る証拠書類等の写し(以下,併せて「収支報告書等」という。)を翌年度の5月15日までに議長に提出するものとする。
オ 会派及び議員は,当該年度において交付を受けた政務活動費等の総額から,当該年度において行った政務活動費等による支出(前記イの経費に係る支出をいう。)の総額を控除して残余がある場合には,当該残額に相当する額を翌年度の5月31日までに返還しなければならない。
月額53万円?!年額700万円ですよ!こんなに必要ですか?文系の大学の研究費は年間15万から40万、理系でも30万から70万と聞いたことがあります。横浜市立大に資金提供して調査してもらった方が効率的ですね。
(3) 県は,本件各年度において,本件会派に対し,会派に交付する方法により,月額53万円に本件会派に所属する議員の数を乗じた額の政務活動費等を毎月交付した。
(4) 本件会派は,本件各年度において,交付を受けた政務活動費等について,毎月一定額を所属する議員に直接交付し,当該議員に対し,四半期ごとに支出伝票,出納簿,支出を証する証拠書類等の提出を求めていた。
本件会派に所属していた議員である上告補助参加人は,第1審判決別紙記載のとおり,11回にわたり,資料作成費(県政レポートの印刷代)として合計518万8050円の支出(以下「本件各支出」という。)をしたとして,支出伝票,領収証,成果物等を本件会派に提出した。その内訳は,平成23年度が158万7600円,同24年度が229万6350円,同25年度が130万4100円であった。しかしながら,本件各支出は実際には存在せず,上記領収証は虚偽の内容のものであった。
ああ、やっちゃいましたね。国会議員でもやらかして自殺したのがいました。
原審は返還請求を認容すべきものとした。その理由は
収支報告書における所定の支出が実際には存在しない場合において,架空の領収証を用いるなどして政務活動費等を取得することは,法及び新旧条例等の定めから認められる政務活動費等の使途の透明性の確保という趣旨に著しく反し,特段の事情のない限り,当該支出分に対応する政務活動費等を取得する法律上の原因はないと解するのが相当である。
ごもっともですね。会社でも捏造された領収書が出てくれば、支払い拒否、すでに払ったものであれば返還請求、場合によっては横領、詐欺罪で告訴ですよ。
これに対して最高裁は
(1) 新旧条例によれば,政務活動費等は月ごとに交付されるが,その交付の決定は年度ごとにされ,収支報告書の提出も年度ごとに行うこととされている。・・・当該年度において交付を受けた政務活動費等のうち,上記使途に適合した支出に充てなかった残余がある場合には,当該残額はこれを保持する法律上の原因を欠くものとして,不当利得として返還されるべきこととなる。
アホですか?!!支払いと納品がずれるなんてことは当たり前に起きることです。だから支出義務に関して発生主義とか、色々な基準があるじゃないですか。そのために見積もりを取っているんでしょう!
新旧条例に基づいて交付された政務活動費等について,その収支報告書上の支出の一部が実際には存在しないものであっても,当該年度において,収支報告書上の支出の総額から実際には存在しないもの及び使途基準に適合しないものの額を控除した額が政務活動費等の交付額を下回ることとならない場合には,当該政務活動費等の交付を受けた会派又は議員は,県に対する不当利得返還義務を負わないものと解するのが相当である。
予算が厳密に決まっており、仕様期日まで決まっているならそれに合わせるのが当たり前でしょう。実態が本来の期間に支出さえるべきものがズレたもので、目的も本来の物に合致しているからと言って、この判断はないでしょう。ならばなぜこの規則があるのでしょうか。
第二小法廷
裁判長裁判官 菅野博之 アホか
裁判官 鬼丸かおる アホか
裁判官 山本庸幸 アホか
裁判官 三浦 守 アホか
虚偽ではあったが、本来の目的にあったものだからいいじゃないかということのようです。これは企業なら会計担当者が、請求書を分割するなり、支払いを分割するなりするでしょう。特別公務員だからできなかった?そりゃあ甘えですね。この裁判官たちは企業勤めしたことがないから、こんな浮世離れした判決を出したのでしょう。
これを認めたら、複数年度予算合算分になるかなり大がかりな支出を出来ることになってしまいますよ。
平成30年11月16日 最高裁判所第二小法廷 判決 破棄自判 東京高等裁判所
政務調査費及び政務活動費につき,具体的な使途を個別に特定した上で政務活動費等を交付すべきものとは定めておらず,年度ごとに行われる決定に基づき月ごとに一定額を交付し,年度ごとに収支報告を行うこととされ,その返還に関して当該年度における交付額から使途基準に適合した支出の総額を控除して残余がある場合にはこれを返還しなければならない旨の定めがある神奈川県議会政務活動費の交付等に関する条例(平成13年神奈川県条例第33号。平成25年神奈川県条例第42号による改正前の題名は「神奈川県議会政務調査費の交付等に関する条例」)に基づいて交付された政務活動費等について,その収支報告書上の支出の一部が実際には存在しないものであっても,当該年度において,収支報告書上の支出の総額から実際には存在しないもの及び使途基準に適合しないものの額を控除した額が政務活動費等の交付額を下回ることとならない場合には,当該政務活動費等の交付を受けた会派又は議員は,県に対する不当利得返還義務を負わない。
時事通信の報道です。
政務活動費、住民側が逆転敗訴=不正受給も返還請求できず-最高裁
同県議会の自民会派では、政務活動費を会派として受け取り、所属県議に振り分けていた。所属する元議長の中村省司県議が「県政リポート」の印刷代として架空計上した約518万円が問題になったが、会派全体の支出額が交付された政務活動費を上回り、赤字額は約518万円を超える状態だった。
菅野裁判長は「交付金から支出の総額を控除し、残余があれば返還すべき」と定めた県条例を検討。「実際に存在しない支出が計上されていたとしても、会派全体の支出が交付額を下回らない限り、返還を求めることはできない」と判断した。
一審横浜地裁は2016年8月、「政務活動費を違法に支出した場合は返還義務を負う」として、県が返還を求めないのは違法と判断。二審東京高裁も17年7月に支持し、県側が上告していた。
訴え内容は、
収支報告書に支出として記載されたものの一部は実際には支出されていないから,本件会派はこれを不当利得として県に返還すべきであるにもかかわらず,上告人はその返還請求を違法に怠っているとして,地方自治法242条の2第1項3号に基づき,上告人を相手として,上告人が本件会派に対する不当利得返還請求権の行使を怠ることが違法であることの確認を求める住民訴訟である。
事実認定から見ていきます。
1
(1)議会における会派又は議員に対し,政務調査費を交付することができ,その交付の対象,額及び交付の方法は条例で定めなければならないとし(地方自治法100条14項),政務調査費の交付を受けた会派又は議員は,条例の定めるところにより,当該政務調査費に係る収入及び支出の報告書を議長に提出するものとしていた(同条15項)。・・・「議会の議員の調査
研究その他の活動に資するため」とされ(法100条14項),議長は政務活動費の使途の透明性の確保に努めるものとされた(同条16項)。
(2) 上記の法の定めを受けて,「神奈川県議会政務調査費の交付等に関する条例」を定めた。
ここでは全文が公開されておらず、ログインが必要だとのことです。胡散臭いですね。過去の改正前の分も公開すべきじゃないですか?
ア 政務活動費等は,議会の会派及び議員に交付し,その額は議員1人当たり月額53万円とする。
イ 政務調査費の交付の対象となる経費は,調査研究費,研修費,会議費その他規程で定める経費とする(旧条例9条)。
ウ 知事は,政務活動費等の交付の方法等について記載した会派届の提出があった旨の通知を議長から受けたときは,速やかに,当該年度に係る政務活動費等の交付の決定を行い,当該決定を受けた会派の代表者及び議員から当該決定に係る政務活動費等の請求があったときは,原則として毎月16日に当該月分の政務活動費等を交付するものとする。
エ 会派の代表者及び議員は,当該年度に係る政務活動費等の収入額,支出額,残額その他規程で定める事項を記載した収支報告書及び当該収支報告書に記載された政務活動費等による支出に係る証拠書類等の写し(以下,併せて「収支報告書等」という。)を翌年度の5月15日までに議長に提出するものとする。
オ 会派及び議員は,当該年度において交付を受けた政務活動費等の総額から,当該年度において行った政務活動費等による支出(前記イの経費に係る支出をいう。)の総額を控除して残余がある場合には,当該残額に相当する額を翌年度の5月31日までに返還しなければならない。
月額53万円?!年額700万円ですよ!こんなに必要ですか?文系の大学の研究費は年間15万から40万、理系でも30万から70万と聞いたことがあります。横浜市立大に資金提供して調査してもらった方が効率的ですね。
(3) 県は,本件各年度において,本件会派に対し,会派に交付する方法により,月額53万円に本件会派に所属する議員の数を乗じた額の政務活動費等を毎月交付した。
(4) 本件会派は,本件各年度において,交付を受けた政務活動費等について,毎月一定額を所属する議員に直接交付し,当該議員に対し,四半期ごとに支出伝票,出納簿,支出を証する証拠書類等の提出を求めていた。
本件会派に所属していた議員である上告補助参加人は,第1審判決別紙記載のとおり,11回にわたり,資料作成費(県政レポートの印刷代)として合計518万8050円の支出(以下「本件各支出」という。)をしたとして,支出伝票,領収証,成果物等を本件会派に提出した。その内訳は,平成23年度が158万7600円,同24年度が229万6350円,同25年度が130万4100円であった。しかしながら,本件各支出は実際には存在せず,上記領収証は虚偽の内容のものであった。
ああ、やっちゃいましたね。国会議員でもやらかして自殺したのがいました。
原審は返還請求を認容すべきものとした。その理由は
収支報告書における所定の支出が実際には存在しない場合において,架空の領収証を用いるなどして政務活動費等を取得することは,法及び新旧条例等の定めから認められる政務活動費等の使途の透明性の確保という趣旨に著しく反し,特段の事情のない限り,当該支出分に対応する政務活動費等を取得する法律上の原因はないと解するのが相当である。
ごもっともですね。会社でも捏造された領収書が出てくれば、支払い拒否、すでに払ったものであれば返還請求、場合によっては横領、詐欺罪で告訴ですよ。
これに対して最高裁は
(1) 新旧条例によれば,政務活動費等は月ごとに交付されるが,その交付の決定は年度ごとにされ,収支報告書の提出も年度ごとに行うこととされている。・・・当該年度において交付を受けた政務活動費等のうち,上記使途に適合した支出に充てなかった残余がある場合には,当該残額はこれを保持する法律上の原因を欠くものとして,不当利得として返還されるべきこととなる。
アホですか?!!支払いと納品がずれるなんてことは当たり前に起きることです。だから支出義務に関して発生主義とか、色々な基準があるじゃないですか。そのために見積もりを取っているんでしょう!
新旧条例に基づいて交付された政務活動費等について,その収支報告書上の支出の一部が実際には存在しないものであっても,当該年度において,収支報告書上の支出の総額から実際には存在しないもの及び使途基準に適合しないものの額を控除した額が政務活動費等の交付額を下回ることとならない場合には,当該政務活動費等の交付を受けた会派又は議員は,県に対する不当利得返還義務を負わないものと解するのが相当である。
予算が厳密に決まっており、仕様期日まで決まっているならそれに合わせるのが当たり前でしょう。実態が本来の期間に支出さえるべきものがズレたもので、目的も本来の物に合致しているからと言って、この判断はないでしょう。ならばなぜこの規則があるのでしょうか。
第二小法廷
裁判長裁判官 菅野博之 アホか
裁判官 鬼丸かおる アホか
裁判官 山本庸幸 アホか
裁判官 三浦 守 アホか
虚偽ではあったが、本来の目的にあったものだからいいじゃないかということのようです。これは企業なら会計担当者が、請求書を分割するなり、支払いを分割するなりするでしょう。特別公務員だからできなかった?そりゃあ甘えですね。この裁判官たちは企業勤めしたことがないから、こんな浮世離れした判決を出したのでしょう。
これを認めたら、複数年度予算合算分になるかなり大がかりな支出を出来ることになってしまいますよ。