最高裁判所裁判官の暴走を許さない

最高裁判所裁判官の国民審査は、衆議院選挙の時の「ついでに」ならないようにしましょう。辞めさせるのは国民の権利です。

匿名組合の善管注意義務の範囲はどこまでか

2016-10-23 12:07:08 | 日記
平成27(受)766  損害賠償請求事件
平成28年9月6日  最高裁判所第三小法廷  判決  その他  東京高等裁判所

不動産賃貸業等を目的とする株式会社が、総合コンサルティング業がある会社の出資者となるために匿名組合を作りました。総合コンサルティング業等の取締役Y1が勤め、匿名組合の営業会社を勤めることにしました。このコンサル会社に、有価証券の取得と保有及び処分等の事業を営むために不動産会社はAに3億円の出資をしました。
コンサルタントの取締役Y1は、パソコンリサイクル事業を株式会社Bとの共同事業とすることを計画し、公認会計士からその手法について提案を受けました。こうして、コンサル会社からB1を分割する形で実行しました。
一方、弟Y2が持っているパソコンリサイクル会社Aは兄Y1と共同出資してB社を作り、取締役は兄Y1が就任しました。弟は、A社をを分割してC社を作り、C社の取締役にY2が就任しました。
ややこしいですね。
B社は後にD社を作り出資して、弟Y2が就任しました。そののちに、D社はC社を吸収合併しました。
ここで不動産会社は、第三者を利する行為だとして総合コンサルティング業の会社を訴えました。

1審2審は利益相反関係はないとして、不動産会社の訴えを退けました。

最高裁では以下のように判断しました。

本件売買契約の売主が,買主であるDの取締役や代表取締役であること,本件株式に市場価格はない上,上告人が本件売買契約の代金額の決定に関与する機会はないこと,Dの設立時の被上告会社の出資及び上記新株予約権付社債の引受けの合計額は1億8000万円であり,本件売買契約の代金額は1億5000万円であって,いずれも本件匿名組合契約に基づく出資額の2分の1以上に及ぶものであることに照らすと,上記一連の行為は上告人の利益を害する危険性の高いものというべきである。


株としての出資ではないので、匿名組合の組合員の立場はかなり弱くなりますが、この判決は当然ですね。下級審はかなり匿名組合を単なる金銭の貸付として見ていたかのようです。善管注意義務について、出資額と割合で基準をつくったという点は画期的です。

裁判官木内道祥の補足意見を出していますが、売買価格のみを問題としているようです。

今回の裁判官
第三小法廷
裁判長裁判官 木内道祥
裁判官 岡部喜代子
裁判官 大谷剛彦
裁判官 大橋正春
裁判官 山崎敏充

沖縄基地のアメリカ軍属の被告が沖縄の裁判員裁判を受けるのは適切か

2016-10-16 12:56:34 | 日記
平成28(す)398  管轄移転の請求事件
平成28年8月1日  最高裁判所第二小法廷  決定  棄却  那覇地方裁判所

元米兵、当時軍属が起こした強姦殺人事件について、沖縄県内の裁判所で裁判員裁判では公正な裁判を受けられないから、よその県でやってくれとと訴えた事件です。
J-CASTの報道です。
沖縄県うるま市の女性会社員(20)を殺害したとして殺人や強姦致死などの罪で起訴された元米海兵隊員で米軍属、シンザト・ケネス・フランクリン被告(32)の弁護団が、審理を東京地裁に移すよう求める管轄移転請求書を提出した件で、最高裁第二小法廷(小貫芳信裁判長)は2016年8月1日、請求の棄却を決定した。公判は那覇地裁で開かれる。
シンザト被告の弁護団は、県民の心は悲しみと憎悪で凝り固まっているため公平な裁判ができない恐れがある、として移転請求書を提出したが、最高裁は、沖縄県の事情や県民の思いがあったとしても、裁判は公平、中立に選ばれた裁判員と、職業裁判官で構成されているため、法と証拠に基づく適正な裁判が行われる事は十分保障されている、として棄却した。


最高裁で却下されましたが、その最高裁での判断はあまり報道されていませんでした。
まあしかし、日本人の一般的な感覚から言えば、これだけの犯罪を起こしておきながら盗人猛々しいと言いたくなりますね。
とは言え、まだ被告の段階なので、法的権利は認められるべきです。糞ですが。


被告は以下のように主張して裁判を起こしました。
沖縄県民にあっては,被告人の自白内容,自白を補強する物証等の存在を知り,被告人が有罪との心証を有しているだけでなく,被告人を厳罰に処すべきとの予断を持つに至っているところ,そのような県民の中から裁判員を選任しなくてはならないことなどからすると,那覇地方裁判所において公平な裁判を行うことは不可能であるなどとして,東京地方裁判所への管轄の移転を請求する


まああれだけ、基地の外で騒がれてはそういう反応になるのは分からないでもないですが、「自分がやらかしたことへの反応はさて置いて」というのは実に腹立たしいところです。これが無罪を主張しているならまだしも。

これに対して、最高裁は
裁判員裁判対象事件を取り扱う裁判体は,公平性,中立性を確保できるよう配慮された手続の下に選任された裁判員と,身分保障の下,独立して職権を行使することが保障された裁判官とによって構成され,裁判員は,法令に従い公平誠実にその職務を行う義務を負っている上,裁判長は,裁判員がその職責を十分に果たすことができるように配慮しなければならないとされていることなども考慮すると,公平な裁判所における法と証拠に基づく適正な裁判が行われることが制度的に十分保障されているといえる。

うーん、雑ですね。だって、そう思っちゃったんだもーんって言っているのと同じぐらい雑です。もう少し、なぜ偏りがない判断が出せるのか説明があっても良さそうなものです。

これについて千葉勝美裁判官は、意見を述べています。

1 本件管轄移転請求の理由において,所論は,那覇地方裁判所管内の民心の状況等によれば,公平な裁判を行うことは不可能であると主張しているが,その内容等を斟酌すると,沖縄には米軍の基地があることにより,住民の中には,諸々の不利益を受け,基地の存在等に対する嫌悪感を抱く者も多く,また,過去の米軍の軍人,軍属による凶悪事件等を承知しており,彼らの起こす犯罪に対し,厳しい処罰感情を持っていること等から,沖縄県民の中から裁判員が選任された裁判員裁判においては,被告人に対し不利益な事実認定を行い,極端に厳しい量刑を選択する可能性があるとしており,そのことを,裁判の公正を維持することができないおそれがあることを基礎付ける理由の重要な要素としているものと解される。これらの点をどう考えるのかが問題である。

やはり私と同じ疑問を持ったようです。

2 事件の背景等についての証拠に基づかない裁判員の個人的な感情や予断等が入り込む余地のない厳粛な「裁きの場」なのであって,そのことは,国民全体の共通の認識でもある。

白々しいですねぇ。最高裁では相変わらず、裁判員がおかしいと言っている永山基準をひっくり返してますよね。裁判員裁判そのものを全面否定している判断を出してますよね。千葉勝美さん、あなたの主張はおかしくないですか?


3 すなわち,裁判員裁判制度は,一般の健全な市民感覚を持った人達が刑事裁判に参加し,その民主的な基盤をより強固なものにすることを企図したものであり,裁判員には,証拠に基づかない私的な感情を排した冷静な審理への参加が求められており,各人がそのような自覚の下に,裁判員裁判の制度を裁判官と共に築き上げていく責務があり,また,これまで行われてきた裁判員裁判においても,その地道な努力が全体として例外なくしっかりと積み重ねられてきている。本件においても,沖縄県の特殊事情,県民の様々な思いがあったとしても,適正な手続で選任された裁判員としては,法と証拠に基づく公正な裁判の実現を目指すべきであり,また,目指すことは十分に信頼できるところであって,これこそが裁判員裁判の制度を支える基礎となるものであろう。

これって本件と関係あります?もはや感想文ですね。

この裁判の結果については当然であると思いますが、もう少しなぜ正当なのか説明があってしかるべきです。すでに、千葉勝美裁判官が最高裁審判を通ってしまったのが残念です。

今回の裁判官
第1小法廷
裁判長裁判官 小貫芳信 今一つ
裁判官 千葉勝美 不思議ちゃんレベル
裁判官 鬼丸かおる 今一つ
裁判官 山本庸幸 今一つ