令和4(許)8 株式売買価格決定に対する抗告審の変更決定に対する許可抗告事件
令和5年5月24日 最高裁判所第三小法廷 決定 棄却 広島高等裁判所
会社法144条2項に基づく譲渡制限株式の売買価格の決定の手続において裁判所が上記売買価格を定める場合に、上記譲渡制限株式の評価額の算定過程において上記譲渡制限株式に市場性がないことが考慮されていることはうかがわれないなど判示の事情の下においては、DCF法によって算定された上記評価額から非流動性ディスカウント(非上場会社の株式には市場性がないことを理由とする減価)を行うことができる。
マスコミが取り上げていないので、概要から見ていきます。相変わらず悪文が酷いので分割して書いています。
1 前田組は上場していない会社Aの株を所有している。
2 前田組は会社法144条2項に基づき売買価格の決定の申立てをした。
3 前田ハウジング株式会社が、抗告人Y1及び抗告人Y2が有する相手方前田ハウジングの譲渡制限株式について、同様に売買価格の決定の申立てをした。
文脈からすると前田組と前田ハウジングは会社Aの株式を持っていたが、Y1とY2に売却しようとしたのですが、その売却価格に不満があったようです。
(1)株式の譲渡につき取締役会の承認を要する旨の定款の定めがある。
(2)Y1とY2から会社法136条の規定による譲渡承認請求を受け、その譲渡を承認しない旨を通知した。同年4月、抗告人らに対し、本件各株式を買い取る旨を通知した上で、原々審に対し、本件各申立てをした。
組が売ったのでしょうかね、もう少し支配権が欲しいとハウジングに要求したら断られました。逆に持っている分をハウジングがY1Y2が持っている分を買いとると申し入れたようです。
(3)鑑定人は、次のとおり鑑定意見を述べた。
DCF法によって本件各株式の1株当たりの評価額を算定すると、本件株式1につき7524円、本件株式2につき6448円となる。・・・非上場会社の株式には市場性がないことを理由とする減価として、本件各評価額から30%の減価を行うのが相当である。
通常はこの方法で計算します。ところがこのディスカウントはおかしいだろと異議申し立てをしたようです。
会社法144条2項に基づく譲渡制限株式の売買価格の決定の手続は、株式会社が譲渡制限株式の譲渡を承認しない場合に、譲渡を希望する株主に当該譲渡に代わる投下資本の回収の手段を保障するために設けられたものである。・・・当該譲渡制限株式に市場性がないことを理由に減価を行うことが相当と認められるときは、当該譲渡制限株式が任意に譲渡される場合と同様に、非流動性ディスカウントを行うことができるものと解される。・・・譲渡制限株式の評価額の算定過程において当該譲渡制限株式に市場性がないことが既に十分に考慮されている場合には、当該評価額から更に非流動性ディスカウントを行うことは、市場性がないことを理由とする二重の減価を行うこととなるから、相当ではない。
要するに元々上場していないから値引きは妥当である。譲渡制限があるからもう一回の値引きは流石にダメよと言っているようです。
裁判長裁判官 今崎幸彦
裁判官 宇賀克也
裁判官 林 道晴
裁判官 長嶺安政
裁判官 渡 惠理子
まあ妥当な判断かも知れませんね。
令和5年5月24日 最高裁判所第三小法廷 決定 棄却 広島高等裁判所
会社法144条2項に基づく譲渡制限株式の売買価格の決定の手続において裁判所が上記売買価格を定める場合に、上記譲渡制限株式の評価額の算定過程において上記譲渡制限株式に市場性がないことが考慮されていることはうかがわれないなど判示の事情の下においては、DCF法によって算定された上記評価額から非流動性ディスカウント(非上場会社の株式には市場性がないことを理由とする減価)を行うことができる。
マスコミが取り上げていないので、概要から見ていきます。相変わらず悪文が酷いので分割して書いています。
1 前田組は上場していない会社Aの株を所有している。
2 前田組は会社法144条2項に基づき売買価格の決定の申立てをした。
3 前田ハウジング株式会社が、抗告人Y1及び抗告人Y2が有する相手方前田ハウジングの譲渡制限株式について、同様に売買価格の決定の申立てをした。
文脈からすると前田組と前田ハウジングは会社Aの株式を持っていたが、Y1とY2に売却しようとしたのですが、その売却価格に不満があったようです。
(1)株式の譲渡につき取締役会の承認を要する旨の定款の定めがある。
(2)Y1とY2から会社法136条の規定による譲渡承認請求を受け、その譲渡を承認しない旨を通知した。同年4月、抗告人らに対し、本件各株式を買い取る旨を通知した上で、原々審に対し、本件各申立てをした。
組が売ったのでしょうかね、もう少し支配権が欲しいとハウジングに要求したら断られました。逆に持っている分をハウジングがY1Y2が持っている分を買いとると申し入れたようです。
(3)鑑定人は、次のとおり鑑定意見を述べた。
DCF法によって本件各株式の1株当たりの評価額を算定すると、本件株式1につき7524円、本件株式2につき6448円となる。・・・非上場会社の株式には市場性がないことを理由とする減価として、本件各評価額から30%の減価を行うのが相当である。
通常はこの方法で計算します。ところがこのディスカウントはおかしいだろと異議申し立てをしたようです。
会社法144条2項に基づく譲渡制限株式の売買価格の決定の手続は、株式会社が譲渡制限株式の譲渡を承認しない場合に、譲渡を希望する株主に当該譲渡に代わる投下資本の回収の手段を保障するために設けられたものである。・・・当該譲渡制限株式に市場性がないことを理由に減価を行うことが相当と認められるときは、当該譲渡制限株式が任意に譲渡される場合と同様に、非流動性ディスカウントを行うことができるものと解される。・・・譲渡制限株式の評価額の算定過程において当該譲渡制限株式に市場性がないことが既に十分に考慮されている場合には、当該評価額から更に非流動性ディスカウントを行うことは、市場性がないことを理由とする二重の減価を行うこととなるから、相当ではない。
要するに元々上場していないから値引きは妥当である。譲渡制限があるからもう一回の値引きは流石にダメよと言っているようです。
裁判長裁判官 今崎幸彦
裁判官 宇賀克也
裁判官 林 道晴
裁判官 長嶺安政
裁判官 渡 惠理子
まあ妥当な判断かも知れませんね。