平成26年(あ)第749号 強盗殺人被告事件
平成27年12月3日 第一小法廷判決
平成9年4月13日に行われた強盗殺人がありました。殺人に関しては、平成16年に公訴の時効がなくなりました。以前であれば、15年で時効になるのですが、それを過ぎた平成25年2月22日に起訴されました。
これを不服として、裁判は無効として訴えたものです。
これは事実認定が争われたと言ってよいようです。原告(犯人)は、強盗はやったが殺すつもりはなかったと主張したようです。だから、殺したという自覚はなく、強盗致傷の部分で裁かれるべきだと主張したようです。そうすれば、15年で時効になりますから。
一方検察側は、人が殺されたことは事実であるので、これは強盗殺人で裁かれるべきであると主張しました。強盗殺人だと25年で時効ですから、問題ないと主張しているのです。
そこで、裁判では以下のように理由を述べています。
刑訴法を改正して公訴時効を廃止又は公訴時効期間を延長した本法の適用範囲に関する経過措置として,平成16年改正法附則3条2項の規定にかかわらず,同法施行前に犯した人を死亡させた罪であって禁錮以上の刑に当たるもので,本法施行の際その公訴時効が完成していないものについて,本法による改正後の刑訴法250条1項を適用するとした本法附則3条2項は,憲法39条,31条に違反せず,それらの趣旨に反するとも認められない。
刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律によると「新法第二百五十条第一項の規定は、刑法等の一部を改正する法律(平成十六年法律第百五十六号)附則第三条第二項の規定にかかわらず、同法の施行前に犯した人を死亡させた罪であって禁錮こ以上の刑に当たるもので、この法律の施行の際その公訴の時効が完成していないものについても、適用する。」と明記してあります。
近代法では罪刑法定主義に基づいていますので、この法律が在ろうがなかろうが時効は成立すると主張したかったのでしょうか。
犯罪の規定そのものについては、罪刑法定主義が徹底されるべきですが、時効の期限についても同じように扱うべきとする原告の主張は若干無理があるように思えます。とは言え、国会で刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律が審議され承認されている以上、原告の主張は無効であるとすべきでしょう。
裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決になりました。
今回の裁判官
第一小法廷
裁判長裁判官 櫻井龍子
裁判官 山浦善樹
裁判官 大谷直人
裁判官 小池 裕
これって、明確な条文があるような裁判ですらこうやって掲載されるのに、掲載されない裁判がかなりあるのはどうしてなのでしょうか。例えば、安保法制に関する裁判等もっと重要な裁判があるはずです。
平成27年12月3日 第一小法廷判決
平成9年4月13日に行われた強盗殺人がありました。殺人に関しては、平成16年に公訴の時効がなくなりました。以前であれば、15年で時効になるのですが、それを過ぎた平成25年2月22日に起訴されました。
これを不服として、裁判は無効として訴えたものです。
これは事実認定が争われたと言ってよいようです。原告(犯人)は、強盗はやったが殺すつもりはなかったと主張したようです。だから、殺したという自覚はなく、強盗致傷の部分で裁かれるべきだと主張したようです。そうすれば、15年で時効になりますから。
一方検察側は、人が殺されたことは事実であるので、これは強盗殺人で裁かれるべきであると主張しました。強盗殺人だと25年で時効ですから、問題ないと主張しているのです。
そこで、裁判では以下のように理由を述べています。
刑訴法を改正して公訴時効を廃止又は公訴時効期間を延長した本法の適用範囲に関する経過措置として,平成16年改正法附則3条2項の規定にかかわらず,同法施行前に犯した人を死亡させた罪であって禁錮以上の刑に当たるもので,本法施行の際その公訴時効が完成していないものについて,本法による改正後の刑訴法250条1項を適用するとした本法附則3条2項は,憲法39条,31条に違反せず,それらの趣旨に反するとも認められない。
刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律によると「新法第二百五十条第一項の規定は、刑法等の一部を改正する法律(平成十六年法律第百五十六号)附則第三条第二項の規定にかかわらず、同法の施行前に犯した人を死亡させた罪であって禁錮こ以上の刑に当たるもので、この法律の施行の際その公訴の時効が完成していないものについても、適用する。」と明記してあります。
近代法では罪刑法定主義に基づいていますので、この法律が在ろうがなかろうが時効は成立すると主張したかったのでしょうか。
犯罪の規定そのものについては、罪刑法定主義が徹底されるべきですが、時効の期限についても同じように扱うべきとする原告の主張は若干無理があるように思えます。とは言え、国会で刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律が審議され承認されている以上、原告の主張は無効であるとすべきでしょう。
裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決になりました。
今回の裁判官
第一小法廷
裁判長裁判官 櫻井龍子
裁判官 山浦善樹
裁判官 大谷直人
裁判官 小池 裕
これって、明確な条文があるような裁判ですらこうやって掲載されるのに、掲載されない裁判がかなりあるのはどうしてなのでしょうか。例えば、安保法制に関する裁判等もっと重要な裁判があるはずです。