最高裁判所裁判官の暴走を許さない

最高裁判所裁判官の国民審査は、衆議院選挙の時の「ついでに」ならないようにしましょう。辞めさせるのは国民の権利です。

妥当判決 法人格のないグループでも不動産の共有部分は所有できる

2022-04-17 10:05:20 | 日記
令和3(受)919  共有持分権確認請求事件
令和4年4月12日  最高裁判所第三小法廷  判決  破棄差戻  東京高等裁判所

権利能力のない社団であるXが提起した建物の共有持分権確認請求訴訟において控訴審がXの請求につき共有持分権の構成員全員への総有的帰属の確認を求める趣旨か否かについて釈明権を行使することなく棄却したことに違法があるとされた事例

また2枚だけの判決文です。報道もありませんでした。とりあえず訴えの内容を確認します。

(1)て告人が共有持分権を有することの確認を求める旨を訴状に記載して、本件訴えを提起した。上告人は権利能力のない社団であり、上記訴状にもそのことが記載されていた。

上告人がどういう存在なのか分かりませんが、おそらくサークルのような任意団体だと考えていた方が良さそうです。そもそも所有権がないのですから、どうやって登記していたのでしょうか?借りている物件ならわかりますが、所有権を主張しているわけですよね。

(2)上告人は、本件建物の建築時に上告人及び被上告人を含む3町内会の間で本件建物をその3町内会の共有とする旨の合意がされた旨主張した。これに対し、被上告人は、本件合意がされた事実はないから、上告人は本件建物の共有持分権を有しない旨主張した。

その通りです。法人ではないのでサークルには所有権はあり得ません。

(3)当事者双方は、専ら本件合意の存否に関して主張をし、これを立証の対象としてきたものであって、上告人が所有権等の主体となり得るか否かが問題とされることはなかった。権利能力のない社団がその名において取得した資産は、その構成員全員に総有的に帰属するものであるところ(最高裁昭和35年(オ)第1029号同39年10月15日第一小法廷判決・民集18巻8号1671頁参照)、当事者双方とも上記判例と異なる見解に立っていたものとはうかがわれない。

こんな古い判決があったんですね。そこには次のように書いています。
このような権利能力のない社団の資産は構成員に総有的に帰属する。そして権利能力のない社団は「権利能力のない」社団でありながら、その代表者によつてその社団の名において構成員全体のため権利を取得し、義務を負担するのであるが、社団の名において行なわれるのは、一々すべての構成員の氏名を列挙することの煩を避けるために外ならない(従つて登記の場合、権利者自体の名を登記することを要し、権利能力なき社団においては、その実質的権利者たる構成員全部の名を登記できない結果として、その代表者名義をもつて不動産登記簿に登記するよりほかに方法がないのである。)。

実務的にはそうなります。裁判要旨には次のように書いてあります。
 一 法人に非ざる社団が成立するためには、団体としての組織をそなえ、多数決の原則が行なわれ、構成員の変更にかかわらず団体が存続し、その組織において代表の方法、総会の運営、財産の管理等団体としての主要な点が確定していることを要する。
二 法人に非ざる社団がその名においてその代表者により取得した資産は、構成員に総有的に帰属するものと解すべきである。


ということで、結論は
したがって、原審が、上記のような措置をとることなく、本件請求は上記確認を求めるものであるとしてこれを棄却したことには、釈明権の行使を怠った違法がある。

共有権は存在すると結論付けました。判例を探し出す能力が原審にはなかったのでしょうか。全員一致,補足意見なしでした。

第三小法廷判決
裁判長裁判官 宇賀克也
裁判官 戸倉三郎
裁判官 長嶺安政
裁判官 渡 惠理子

保険会社が自賠責保険から支払を受けた償額額を被害者の損害賠償請求権の額から控除することができない

2022-04-07 14:00:12 | 日記
令和2(受)1198  損害賠償請求事件
令和4年3月24日  最高裁判所第一小法廷  判決  破棄自判  福岡高等裁判所
 人身傷害保険について保険会社が被害者に対して自賠責保険分を含めて一括払することを合意した場合において,保険会社が自賠責保険から支払を受けた損害賠償額相当額を被害者の損害賠償請求権の額から控除することができないとされた事例

報道がなかったようなので、事実確認から見ていきます。

1 本件は,交通事故によって傷害を受けた上告人が,加害車両の運転者である被上告人に対し,民法709条又は自動車損害賠償保障法3条に基づき,損害賠償を求める事案である。本件においては,上告人の夫との間で人身傷害条項のある普通保険約款が適用される自動車保険契約を締結していた保険会社が,上記交通事故によって生じた上告人の損害について,自動車損害賠償責任保険から自賠法16条1項に基づく損害賠償額の支払として金員を受領していることから,上告人の被上告人に対する損害賠償請求権の額から上記金員に相当する額を全額控除することができるか否かが争
われている。


ある人が車にはねられたので損害賠償を求めた。自賠責保険から保険が被害者に支払われた。残りの支払いは自賠責で支払った分を差し引いていいかが争われました。

(1)上告人は,平成29年4月25日,普通乗用自動車を運転中,交差点において,被上告人運転の普通乗用自動車と衝突し,頸椎捻挫等の傷害を受けた。
所謂、むち打ち症ですね。

(2)本件事故により上告人に生じた損害の額(弁護士費用相当額を除く。)は,合計341万1398円であるが,本件事故における上告人の過失割合は3割であることから,上記割合により過失相殺をすると,上告人が被上告人に対して賠償請求することができる損害金の額(弁護士費用相当額を除く。)は,238万7979円となる。
(3)上告人は,本件事故によって生じた損害について,平成29年6月までに,被上告人が締結する対人賠償責任保険契約に基づく保険金23万8237円の支払を受け,平成30年3月12日には,自賠責保険から後遺障害による損害賠償額の支払として75万円を受領した。


損害金238万7979円のうち98万円ちょっとの支払いを自賠責保険から払われたので残り140万円ちょっとが未払いになります。

保険の契約内容は
ア 訴外保険会社は,被保険車両の運行に起因する事故等に該当する急激かつ偶然な外来の事故により,被保険者が身体に傷害を被ることによって被保険者等に生じた損害に対して,保険金を支払う。
イ 訴外保険会社の支払う人身傷害保険金の額は,人身傷害保険金額を限度として,本件約款所定の算定基準に従い算定された損害額(その額が自賠責保険から支払われる金額を下回る場合には,自賠責保険によって支払われる金額となる。また,賠償義務者があり,かつ,判決又は裁判上の和解において,賠償義務者が負担すべき損害賠償額が上記算定基準と異なる基準により算出された場合であって,その基準が社会通念上妥当であると認められるときは,その基準により算出された額のうち,訴訟費用等を除いた額となる。)から,人身傷害保険金の請求権者に対して自賠責保険によって支払われた金員等の既払額を差し引いた額とする。


ちっと厄介な条文がありますね。

ウ 訴外保険会社が支払った人身傷害保険金の額が上記イの損害額の全額に満たない場合には,上記債権の額から,人身傷害保険金が支払われていない損害の額を差し引いた額の限度で,上記債権が訴外保険会社に移転する

(7)上告人は,平成30年5月24日,訴外保険会社に対し,本件保険契約に基づく人身傷害保険金を受領するに当たり,「保険金のお支払いについての協定書」(以下「本件協定書」という。)を提出した。本件協定書には,上告人が,本件事故による上告人の被上告人に対する損害賠償請求権は,自賠責保険への請求権を含め,受領した人身傷害保険金の額を限度として訴外保険会社に移転することを承認する旨の記載があった。

保険会社は同意したんじゃないですか。これにつて最高裁は

(1)本件のように訴外保険会社が人身傷害保険金として給付義務を負うとされている金額と同額を支払ったにすぎないときには,保険金請求権者としては人身傷害保険金のみが支払われたものと理解するのが通常であり,そこに自賠責保険による損害賠償額の支払分が含まれているとみるのは不自然,不合理である。加えて,本件代位条項によれば,人身傷害保険金を支払った訴外保険会社は,人身傷害保険金の額と被害者の加害者に対する過失相殺後の損害賠償請求権の額との合計額が,被害者について社会通念上妥当であると認められる判決等の基準により算出された過失相殺前の損害額に相当する額を上回るときに限り,その上回る部分に相当する額の範囲で保険金請求権者の賠償義務者等に対する債権を代位取得するものとされているので,本件のように被害者の損害について過失相殺がされる場合には,訴外保険会社が人身傷害保険金の支払により代位取得することができる上記債権の範囲は保険金支払額を下回ることとなる。・・・人身傷害保険金を受領した場合には,その額を限度として上告人が有していた賠償義務者に対する損害賠償請求権及び自賠法に基づく損害賠償額の支払請求権が訴外保険会社に移転することを確認するものとされており,対人賠償保険金の受領の場合と人身傷害保険金の受領の場合とで異なる説明内容となっている。

なるほど、保険会社の末端の人がやらかした可能性ですか。

したがって,上告人の被上告人に対する損害賠償請求権の額から,訴外保険会社が本件支払金の支払により保険代位することができる範囲を超えて本件自賠金に相当する額を控除することはできないというべきである。

自賠責は強制保険で、いくら民間会社が引き受けるとは言え、国営に準ずるようなものですから、任意保険より優遇する必要があります。

第一小法廷 全員一致です。
裁判長裁判官 安浪亮介
裁判官 山口 厚
裁判官 深山卓也
裁判官 岡 正晶
裁判官 堺 徹

妥当でしょうね。

結婚時に氏の統一に関する事件は最高裁では受け付けない、補足意見が酷すぎ

2022-04-01 22:01:54 | 日記
令和2(オ)1413  損害賠償請求事件
令和4年3月22日  最高裁判所第三小法廷  決定  棄却  広島高等裁判所
 立法不作為の違法を理由とする国家賠償請求訴訟において,民法750条及び戸籍法74条1号は憲法24条に違反するとの意見が付された事例

これも前回の裁判の延長のようです。

法文解釈のみなので、いきなりこの文章です。
民事事件について最高裁判所に上告をすることが許されるのは民訴法312条1項又は2項所定の場合に限られるところ,本件上告の理由は,違憲及び理由の不備・食違いをいうが,その実質は単なる法令違反を主張するもの又はその前提を欠くものであって,明らかに上記各項に規定する事由に該当しない。

要するに例示列挙の対象外だから、最高裁に持ってきては駄目よと言っていますが、2人が補足意見を出しています。

裁判官渡 惠理子の意見
憲法24条は,旧憲法下の「家」制度の束縛から個人を解き放って,婚姻(法律婚)に関しても当事者の自由かつ平等な意思決定に委ねられるべき趣旨を明らかにしたものであり,これを敷衍すれば,婚姻にあたっても個人の尊厳を最大限に尊重すべきとの価値観に立ち,同条1項は,婚姻(法律婚)の自由を保障しているものと解される。

この裁判官は家制度をどのようにとらえているのでしょうか?憲法24条は「当人たちではない者たちに強制的に結婚を強制されることはない」ぐらいの意味だと思いますけどね。少なくとも氏を強制されるかどうかは家制度と関係ない話だと思いますが。

本件各規定は,民法739条1項とあいまって,夫または妻の氏のいずれかを夫婦が称する氏として定めて届け出ることを要求することによって,婚姻をしようとする者に従前の氏を変更するか法律婚を断念するかの二者択一を迫るものであり,婚姻の自由を制約することは明らかである。

論理の飛躍が激しいですね。夫側に従えとも妻側に従えとも言ってないじゃないですか。相談して決めればいいだけの話ですよね。

憲法24条1項により保障された婚姻の自由を侵害するものとして同条に違反するものと考える。

この程度で結婚の阻害要因で流れるようであれば、そもそも結婚しない方がいいと思いますよ。これ以上のことは何度も起きますから。

(1)しかしながら,婚姻をするために意に反する氏の変更をして個人の識別機能および人格の喪失という不利益を甘受せざるを得ない(または法律婚により享受できる法的効果や利益を断念して事実婚を選ばざるを得ない)個人は本件各規定により現実的かつ看過し難い制約に服することになることに鑑みると,以下のとおり,このような観念としての価値観や家族観がこのような制約を正当化するほどの強い根拠となるとは考え難い。

社会にとってどうであるか、ではなくあくまでも個人的意見をブチまいていますね。この程度であればブログで済ませてください。

内閣府が平成30年2月に公表した「家族の法制に関する世論調査」

法令の変更を前提とした社会調査ではないですよね。それを根拠とするのは社会学をもっと勉強してください。言うことのレベルが低すぎま。

(2)事実婚の場合のほか,法律婚についても離婚や再婚,外国人との婚姻などによって子の氏が親の氏と一致しない事態が既に生じていることは先に述べたとおりであり,また,夫婦同氏制を採用するか否かにかかわらず過去から存在する非嫡出子の氏の問題は,法律において相応の手当てが行われている(民法790条2項参照)。

事実婚ですか?特殊関係人ですよね。これって重婚罪を暗に認めるのと同じですよ。

(3)婚姻前の氏の通称としての使用(以下「通称使用」という。)が認められることによって夫婦同氏(婚姻に伴う氏の変更)を強制する制約の程度は軽減されているとはいえるものの,かえって,通称を使用する個人と戸籍上の個人の同一性をどのように確認するかなど,識別機能の観点から新たな問題を生じていることが指摘されている。

通称使用は一切認めるべきではないというのが、私の個人的見解です。しかし、他の法令等で旧姓の使用が認められています。問題は発生しないように法整備がなされています。

(4)夫婦同氏制により氏の変更が事実上余儀なくされた結果であるかには大きな違いがあり,

だか結婚前にしっかり相談しろと、この程度の問題は婚姻生活で何度も起きます。同じ話を繰り返すだけ、もっと整理して議論しなさい。

第三小法廷決定
裁判長裁判官 林 道晴
裁判官 戸倉三郎
裁判官 宇賀克也
裁判官 長嶺安政
裁判官 渡 惠理子 感情的文章で論証になっていない。直ちにやめさせるべき。