最高裁判所裁判官の暴走を許さない

最高裁判所裁判官の国民審査は、衆議院選挙の時の「ついでに」ならないようにしましょう。辞めさせるのは国民の権利です。

悪文・飛躍:マンションの受け取りボックスから特殊詐欺の現金を受け取った=詐欺成立

2019-09-28 08:07:57 | 日記
平成30(あ)1224  覚せい剤取締法違反,詐欺未遂,詐欺被告事件
令和元年9月27日  最高裁判所第二小法廷  判決  破棄自判  東京高等裁判所

詐欺の被害者が送付した荷物を依頼を受けて送付先のマンションに設置された宅配ボックスから受け取るなどした者に詐欺罪の故意及び共謀があるとされた事例


時事通信の報道です。
 特殊詐欺の被害金が入った荷物をマンションの宅配ボックスから回収する「受け子」役を担い、詐欺などの罪に問われた無職の男(45)の上告審判決で、最高裁第2小法廷(菅野博之裁判長)は27日、詐欺の故意を認めず無罪とした二審判決を破棄、逆転有罪を言い渡した。


事実認定から見ていきましょう。

(1) 被告人は,架空の老人介護施設の入居権譲渡に関する問題を解決するために必要であるように装って現金をだまし取ろうと考え,氏名不詳者らと共謀の上,平成28年10月下旬頃から同年11月21日頃までの間,複数回にわたり,千葉県市川市内のA方に電話をかけ,A(当時71歳)に対し,ケアプランナー及び建設会社の職員を名乗り,Aが前記入居権譲渡に関して名義貸しをしたことによる問題を解決するため,現金350万円を東京都江東区内のマンションの1303号室B宛てに宅配便で2回に分けて送付する必要がある旨うそを言い,Aにその旨誤信させ,同月17日及び同月21日の2回にわたり,前記B宛てに現金合計350万円在中の荷物を宅配便で発送させ,同月18日及び同月22日の2回にわたり,被告人が,前記マンションに設置された宅配ボックスに預けられた前記荷物を取り出してAから現金合計350万円の交付を受け,もって人を欺いて財物を交付させた。


悪文ですね。うちの会社ならぶん投げられます。400字を越える一文は自己満足で書いてるのでしょうか?判決文は当事者だけでなく、事件解決のために第三者が理解しやすいように書かなければなりません。書いた人はアホかと思えてきます。本当に司法試験を通っているのでしょうか???
要するに、老人ホームに入りたい人をだまして、その権利金であると嘘を言って現金をあるマンションに郵送させた。
詐欺を働いた犯人は、少なくとももう一人いたが氏名不詳である。

(2) 被告人は,架空の老人介護施設の入居権に関する取引実績作りの名目で現金をだまし取ろうと考え,氏名不詳者らと共謀の上,平成28年12月上旬頃から同月6日頃までの間,複数回にわたり,浜松市内のC方に電話をかけ,C(当時77歳)に対し,ケアプランナー及び建設会社の職員を名乗り,Cが有するとする入居権を他の入居希望者に譲渡した対価をCに振り込む前提として,建設会社との取引実績を作るため,現金150万円を東京都北区内のマンションの303号室D宛てに宅配便で送付する必要がある旨うそを言い,Cにその旨誤信させ,同月6日,前記D宛てに現金150万円在中の荷物を宅配便で発送させ,同月7日,被告人が,前記マンションに設置された宅配ボックスに預けられた前記荷物を取り出してCから現金をだまし取ろうとしたが,Cが警察に相談するなどして前記荷物の中に偽装紙幣を入れていたため,その目的を遂げなかった。

今度は390字です。

先のとは別の人が被害者である。
同様にマンションに現金を宅配便で運ばせた。
ところが、被害者は警察と相談していたため現金はとられず詐欺未遂で終わった。

こんな感じで3つか4つに分割して書きなさいよ。

第1審判決は,詐欺未遂事件について被告人は詐欺の未必の故意を有していたと推認できることを基礎とし,①詐欺未遂事件と詐欺既遂事件が同一の詐欺グループによる犯行と推認されること及び②被告人が詐欺既遂事件において荷物を取り出す際に,詐欺未遂事件の犯行時に通話していたのと同一の電話番号の相手と通話していたことを理由として,被告人は詐欺既遂事件についても詐欺の未必の故意及び共謀があったことを推認している。・・・別のマンションでも同じような取出しをしていたなどの事実が加わらなければ,詐欺の被害者が送った荷物を取り出しているのかもしれないという詐欺の故意の推認に結び付く発想に至らないのであって,詐欺の未必的な認識まで推認するには,合理的な疑いが残る。

マンションの郵便受けに入っているものを出しただけなので、それを詐欺の一環として認めるのはおかしくないですか?と一審は考えたようです。

事実認定として
上記1303号室は,Bではない前入居者が同月18日を解約日として退去した後,同月中の入居者はいなかった。

私もいつも取引している会社からの郵送物が前の住所に間違って送られたことがあり、わざわざ確認に行ったことがあります。

さらに
本件マンションの居住者が,わざわざ第三者である被告人に対し,宅配ボックスから荷物を受け取ることを依頼し,しかも,オートロックの解錠方法や郵便受けの開け方等を教えるなどすることもなく,上記のような方法で荷物を受け取らせることは考え難いことも考慮すると,被告人は,依頼者が本件マンションの居住者ではないにもかかわらず,居住者を名宛人として送付された荷物を受け取ろうとしていることを認識していたものと合理的に推認することができる。

遠距離だったら友人にお願いして見に行ってもらうことだってあるでしょう。

しかしこの事実認定をもって以下のように述べます。

このような事実関係の下においては,被告人は,自己の行為が詐欺に関与するものかもしれないと認識しながら本件各荷物を取り出して受領したものと認められるから,詐欺の故意に欠けるところはなく,共犯者らとの共謀も認められる。


はぁ?飛躍がありませんか?
私もこの犯人を有罪にすべきだと思いますが、そこですか?!

裁判長裁判官 菅野博之
裁判官 山本庸幸
裁判官 三浦 守
裁判官 草野耕一

有罪でいいと思いますよ、ただ他に詐欺をする意思があったと見られる行為はなかったのでしょうか?

ツイッター名誉毀損訴訟 橋下元大阪市長の敗訴

2019-09-27 07:48:36 | 日記
この裁判は判決文が公開されていませんので、マスコミ報道から見ていきます。

まず、産経新聞の報道です。

 一、二審判決によると、2人は2012年ごろから、週刊誌記事などを巡りネットで応酬。有田氏は2017年、橋下氏が情報番組に1回だけ出演して降板させられたと投稿した。橋下氏はこの投稿で精神的苦痛を受けたと主張していた。

 二審大阪高裁は、橋下氏がツイッターなどで繰り返していた有田氏に対する侮蔑的な投稿と比べ、有田氏の投稿は「適当と認められる限度内」と判断。一審大阪地裁と同様、橋下氏の請求を棄却した。


どの社もこんな程度で、どんな言葉だったのかはさすがに載せませんでした。橋下氏のtwitterは前新潟県知事やらたびたび騒がせていますが、公務員法によると公務員の公務に関する件については名誉棄損は成立しないことになっています。
ところが、橋下徹氏はこの当時政治家を引退しているので特別公務員ですらありません。
具体的に国会議員である有田氏が何を書いたかわかりませんが、私人を標的にしたという点で問題ありです。

ここで橋下氏が反撃Twitterを出したようです。
記事を読む限りは、このTwitterの内容が酷いということで、橋下氏の敗訴が確定したようです。
有田氏は現職議員で特別国家公務員ですよね。公務ではないところを突いたから名誉棄損が成立したのでしょうか?判決文が公開されていないので何とも判断がつきませんが。
この辺りはどう理論づけしたのか、法的根拠は何か明らかにしてほしいところです。

とはいえ、両者とも正義を訴えるというよりは炎上を期待してやっているように見えてきます。これを最高裁まで持っていくのもどうかと。

両者には制度的に懲戒請求可能らしいです。

借主が了知しなくても差押え可能:ただ論旨は変

2019-09-23 12:20:49 | 日記
平成30(受)1137  請求異議事件
令和元年9月19日  最高裁判所第一小法廷  判決  破棄自判  福岡高等裁判所  宮崎支部

債権執行における差押えによる請求債権の消滅時効の中断の効力が生ずるためには,その債務者が当該差押えを了知し得る状態に置かれることを要しない

新聞報道がないので、事実認定から見ていきます。

(1) 上告人は,平成12年4月17日,被上告人に対し,弁済期を同年8月27日として336万円を貸し付けた。
(2) 上告人と被上告人との間で,平成12年8月22日,本件貸金債権について金銭消費貸借契約公正証書が作成された。本件公正証書には,被上告人が本件公正証書記載の債務の履行を遅滞したときは直ちに強制執行に服する旨の陳述が記載されている。


あまりない契約ですが、よほど借主が信用ならなかったようですね。

(3) 上告人は,平成20年6月23日頃,鹿児島地方裁判所に対し,本件公正証書を債務名義とし,本件貸金債権を請求債権として,被上告人の株式会社ゆうちょ銀行に対する貯金債権の差押えを申し立て,その頃,これを認容する債権差押命令が発せられ,同年7月3日までにゆうちょ銀行に送達された。

被上告人が,本件貸金債権はその弁済期から10年が経過したことにより時効消滅していると主張した。


不思議な状態ですね。強制執行の契約がなされ、かつ要件を満たしているにもかかわらず、貸主は強制執行をせずに10年間放置したということでしょうか。そうなれば、強制執行の命令そのものが時効というのを主張したくなるのは分ります。

最高裁は次のように判断しています。

民法155条は,差押え等による時効中断の効力が中断行為の当事者及びその承継人に対してのみ及ぶとした同法148条の原則を修正して差押え等による時効中断の効力を当該中断行為の当事者及びその承継人以外で時効の利益を受ける者に及ぼす場合において,その者が不測の不利益を被ることのないよう,その者に対する通知を要することとした規定であると解され(最高裁昭和47年(オ)第723号同50年11月21日第二小法廷判決・民集29巻10号1537頁参照),差押え等による時効中断の効力を当該中断行為の当事者又はその承継人に生じさせるために,その者が当該差押え等を了知し得る状態に置かれることを要するとする趣旨のものであると解することはできない。

上記中断の効力が生ずるためには,その債務者が当該差押えを了知し得る状態に置かれることを要しないと解するのが相当である。


裁判官全員一致の意見でした。

裁判長裁判官 深山卓也 妥当
裁判官 池上政幸 妥当
裁判官 小池 裕 妥当
裁判官 木澤克之 妥当
裁判官 山口 厚 妥当

結論は妥当だと思いますが、何か微妙ですね、差押えの判決が出ていますよね。10年経ったからといって「押えを了知し得る状態」云々は論点になるのでしょうか?
権利の上に眠るものこれを保護せずが法治国家の原則だとすれば、逆の判決が出てもおかしくないでしょう。
ただ、民事事件はやったもん勝ち逃げたもん勝ち、しらばっくれたもん勝ちですので、こういう判決でがっちりやって欲しいという意感情的な面では同意します。

今一つ判決:諫早湾干拓 漁業権は復活する可能性があるから未来永劫を縛る結論は出せない

2019-09-15 11:19:46 | 日記
平成30(受)1874  請求異議事件
令和元年9月13日  最高裁判所第二小法廷  判決  破棄差戻  福岡高等裁判所

共同漁業権から派生する漁業行使権に基づく開門請求の認容判決確定後,前訴口頭弁論終結時に存在した共同漁業権から派生する漁業行使権に基づく開門請求権が消滅したことのみでは当該確定判決に対する請求異議事由とはならないとされた事例

随分長引いた裁判です。2015-02-16の記事諫早湾矛盾判決に対する裁判です。前回の最高裁判所の判断は、正直本来の紛争解決目的を放置したトンデモ裁判でしたが、今回はどうでしょうか。
諫早湾干拓事業が発端となってこの裁判に至りました。

産経新聞の報道です。
 排水門をめぐっては、漁獲量減少などを理由に漁業者側が求める「開門」と、塩害を懸念する営農者側が求める「非開門」という相反する司法判断が併存する「ねじれ」状態が続いてきた。判決は開門の是非に触れなかったが、開門を命じた確定判決の無効化もあり得ると示唆し、将来的には「非開門」での解決の方向性を示したといえそうだ。
 第2小法廷は、2審判決が「漁業者の共同漁業権は更新期限を過ぎたことで消滅し、開門請求権も失われた」としたことについて、「漁業権が消滅しても、同じ内容の漁業権が与えられることを前提としている」と判断。開門請求権を認め、2審判決を破棄した。
 その上で、長い時間が経過し、事情が変わったことで、漁業者が国に開門を求めることが「権利の乱用」となるかどうかなどについて、高裁でさらに審理を尽くすよう求めた。


では事実認定から見ていきましょう
(1) 上告人らは,佐賀県有明海漁業協同組合大浦支所,島原漁業協同組合又は有明漁業協同組合の組合員である。
(2) 上告人らは,被上告人に対し,本件各組合の各共同漁業権の範囲内において各自が有する漁業法8条1項の漁業を営む権利による妨害排除請求権又は妨害予防請求権等に基づき,主位的に本件潮受堤防の撤去,予備的に本件各排水門の常時開放を求めるなどする訴訟を佐賀地裁に提起した。
(3) 本件各確定判決が認定した前訴の口頭弁論終結時における本件各組合の各共同漁業権は,いずれも平成15年9月1日に免許がされたものであり,その存続期間は同日から平成25年8月31日までであった。
本件各組合は,平成25年9月1日,漁業種類,漁場の位置及び区域,漁業時期等が本件各漁業権1と同一内容であって,存続期間を平成35年8月31日までとする各共同漁業権(以下「本件各漁業権2」という。)の免許を受けた。

平成25年8月31日の経過により消滅したから,本件各漁業権1から派生する権利である上告人らの各漁業行使権に基づき本件各排水門の開放を求める請求権(以下「開門請求権」という。)も消滅した。


要するに、平成25年で漁業権が消滅したのであるから、訴えそのものが無効であると高裁は判断したのです。

本件各確定判決は,平成20年6月及び平成22年12月にされたものであり,かつ,その既判力に係る判断が包含されることとなる主文は要旨「判決確定の日から3年を経過する日までに開門し,以後5年間にわたって開門を継続せよ」というものであるから,本件各漁業権1の存続期間の末日である平成25年8月31日を経過した後に本件各確定判決に基づく開門が継続されることをも命じていたことが明らかである。

漁業権が切れたから訴えの資格がないからあの判決が出たのであって、漁業権が再び認められたらそうとは限らないと言っているのです。

本件各確定判決を合理的に解釈すれば,本件各確定判決は,本件各漁業権1が存続期間の経過により消滅しても,本件各組合に同一内容の各共同漁業権の免許が再度付与される蓋然性があることなどを前提として,同年9月1日頃に免許がされるであろう本件各漁業権1と同一内容の各共同漁業権(本件各漁業権2がこれに当たる。)から派生する各漁業行使権に基づく開門請求権をも認容したものであると理解するのが相当である。
以上によれば,本件各確定判決に係る請求権は,本件各漁業権1から派生する各漁業行使権に基づく開門請求権のみならず,本件各漁業権2から派生する各漁業行
使権に基づく開門請求権をも包含するものと解されるから,前者の開門請求権が消滅したことは,それのみでは本件各確定判決についての異議の事由とはならない。


未来永劫にわたって閉門するわけではないと言っています。
これって解決になるのでしょうか?当然のように意見が出てきました。

裁判官菅野博之の補足意見
判例上,確定判決に基づく強制執行が権利の濫用に当たるとして請求異議訴訟でその執行力を排除する余地が肯定されており(最高裁昭和35年(オ)第18号同37年5月24日第一小法廷判決・民集16巻5号1157頁,最高裁昭和59年(オ)第1368号同62年7月16日第一小法廷判決・裁判集民事151号423頁等),権利濫用に当たるか否かを判断するに当たっては,当該債務名義の性質,同債務名義により執行し得るものとして確定された権利の性質・内容,同債務名義成立の経緯及び同債務名義成立後強制執行に至るまでの事情,強制執行が当事者に及ぼす影響等諸般の事情を総合考慮することとなる(前掲昭和62年7月16日第一小法廷判決)。


ただ書いただけのような・・・もう少し解説が必要じゃないでしょうか。最高裁昭和35年(オ)第18号と最高裁昭和59年(オ)第1368号を読んでも、この事件とどう関係するのか分かりません。民事で民間人同士の争いと国を相手にした場合と同列に論じる?公共性の度合いが全く異なりますよね。

第1に,本件各確定判決が漁業行使権に基づく開門請求を認める判断の前提とした諸事情(漁獲量の減少の程度,本件潮受堤防の災害防止機能の必要性等)は,自然環境や社会環境にも関わる本来的に可変的,流動的な性格を有するものである。
こうした事情は,時の経過により変動する可能性があるが,本件各確定判決は,上記事情について前訴口頭弁論終結時における予測に基づいて,将来時点における妨
害排除・予防請求を認容するものとなっているため,その判断は相当の不確実性をはらんでいるといえる。


この裁判官が根拠とした2つ判断結果は、土地の境界線で利害関係が明確であるのに対して、この事件は漁獲量に差が出るような曖昧な条件下であり、ここでの訴えは災害予防の訴えだとして別物とすべき?と言っているのでしょうか。

第2に,上記妨害排除・予防請求の可否に係る判断は,被侵害利益と対立する諸利益との総合的な利益衡量の下にされたものである。このような諸利益には経済的な利益から生命・身体の安全に関わる利益に至るまで様々な性格のものがあるが,上記第1として述べたとおり,これらの諸利益の前提となる自然環境や社会環境は変動していく性質を有するものであるから,これらの諸利益の有り様も必然的に変動するため,総合的な利益衡量の結果が口頭弁論終結時のものと異なるものとなることもあり得るところである。

なんだか煮え切らないですね。

開門の時期を判決確定の日から最大で「3年」猶予したことに関し,本件各確定判決は,その理由中において,本件潮受堤防が果たしている洪水時の防災機能及び排水不良の改善機能等を代替するための工事(以下「対策工事」という。)に3年程度要することを考慮したとしている。これは,本件潮受堤防に防災機能があることを踏まえ,判決確定後直ちに開門を命ずることとすれば周辺住民の生命・身体に関する利益が損なわれるおそれがあることから,上記の期間中に対策工事が行われるであろうことを考慮に入れて総合的な利益衡量をしたものと解される。

工事に必要な期間としての3年であると推測されるのであるから、裁判やり直しは当然といいたいのでしょうか?

開門期間を「5年間」に限ったことに関しても,本件各確定判決自体,その理由中において,前記土地干拓事業が諫早湾ないし有明海の環境に及ぼす影響が全て解明されたとはいえず将来的に請求権の成否及び内容を基礎付ける事実関係が変動する可能性があることを認め,そのことや,開門による干潟生態系の変化とそれを受けての調査に要する期間等を考慮して,開門期間を5年間に限って請求を認容し,その余は理由がない旨判示している。

5年で環境の変化の原因を特定できるとは思えませんけどね。

で彼の結論
諸事情を総合的に衡量し,本件各確定判決が暫定的な特殊な性格を有することを十分に踏まえた上で,本件各確定判決に基づく強制執行が事情の変動により権利の濫用となるに至っているか否かにつき,判断されるべきであると考える


何じゃこれ?意見ですらなく、もっと慎重に検討すべきだと?これでは、何も言っていないのと同じです。意見を書くならばもっと方向性を明確にすべきじゃないですか?

裁判官草野耕一の意見
1 一般論としていえば,物権的請求権の一形態である妨害排除請求権は,妨害行為によって生じている権利侵害がもたらす損害が全額塡補されたからといって当該請求権の行使自体を否定すべきものではない。・・・これと同視し得る事態が生じている(例えば,債務者が損害全額の弁済を行おうとしたのに債権者がその受領を拒絶したために債務者が当該金額の弁済の提供を行った事態などがこれに当たるであろう。)とすれば,それにもかかわらず妨害排除を強制することは,あえてそれを認めるべき別段の事由がない限り,権利濫用の法理によってこれを抑止することが相当であると思料する。

妨害排除請求権の一環として、門を閉じろと判決を出してもらい、漁業者に賠償金を払おうとしたら受け取り拒否をしている。その状況で強制排除請求するのは権利の濫用だとの主張のようです。
それが認められるようであれば、裁判所はなんの存在意義があるのでしょうか?

仮に,①被上告人が本件各確定判決を履行するために支出しなければならない金額が,被上告人がこれを履行したことによって発生を回避し得る上告人らの損害の合計額を上回り,しかも,②被上告人の本件各漁業権に対する侵害行為によって上告人らが被った損害を全額弁済しているか,あるいは,それと同視し得る事態が発生しているとすれば,それでも本件各確定判決の履行を強制すべき別段の事由がない限り,これを強制することはもはや権利の濫用に当たると解すべきである。


は?!仮の話をここでしますか?だったら調停でまとめてくださいよ。さもなくば強制してくださいよ。

第二小法廷判決
裁判長裁判官 菅野博之 訳わからん
裁判官 山本庸幸 今一つ
裁判官 三浦 守 今一つ
裁判官 草野耕一 訳わからん


一連の諫早湾の問題はなんの解決にもなりません。本来政治で何とかしろよという話の類を司法に押し付けている感がありますが、それでも持ち込まれたらそれなりに裁判所は結論を出さなければなりりませんし、それを期待されています。
なんだか敵前逃亡感がぬぐえません。

交通事故の治療費を後期高齢者医療給付で支払いは、給付が行われた日の翌日からの遅延損害金が発生する

2019-09-08 12:23:06 | 日記
平成30(受)1730  損害賠償請求事件
令和元年9月6日  最高裁判所第二小法廷  判決  その他  仙台高等裁判所

高齢者の医療の確保に関する法律による後期高齢者医療給付を行った後期高齢者医療広域連合は,当該給付により代位取得した不法行為に基づく損害賠償請求権に係る債務について,当該給付が行われた日の翌日からの遅延損害金の支払を求めることができる

ニュースでは見つからなかったので、判決文を読み解いていきます。

(1) Bは,平成22年8月25日,交差点において歩行中,被上告人運転の普通乗用自動車に衝突されて傷害を負った。本件事故における過失割合は,Bが5%,被上告人が95%である。

10:0にならないこともあるんですね。

(2) Bは,上記傷害に関して後期高齢者医療給付(以下「本件医療給付」という。)を受け,その価額の合計は302万8735円であった。

とりあえず自分の健康保険の一種で払ったようです。

(3) 上告人は,本件医療給付の価額の合計額からBの過失割合5%を減じた287万7298円(1円未満切り捨て)及び弁護士費用相当額57万5459円の合計額345万2757円の損害賠償金並びにこれに対する本件事故の日(平成22年8月25日)から支払済みまでの遅延損害金の支払を求めて,本件訴訟を提起した。

賠償金が払われなかったわけですね。
ちなみに、10年ほど前に交通事故に遭った人に保険会社から支払いたくないから「健康保険でも払えますよ」という電話がありました。これに騙されてはいけませんよ。相手が分からない、ひき逃げのような場合は例外的に使えるのであって、相手が確定している場合は健康保険ではなく保険会社が払わなければなりません。一時期はやったデフォルト(支払い拒否)です。
そのときはさっそく電話をかけてきたトンデモな保険会社に紙で書かせて、それをコピーしてコンプライアンス部に通告しました。

話がずれたので戻しますが、相手側から支払いがなかったとなると保険に入っていなかったのでしょうか。強制保険でも少しは支払われるはずなんですけどね。
本来の支払いは、車を運転していた人が払うべき治療費だということで、仮払いした分を返しなさいと要求したようです。

原審は,上記事実関係等の下において,本件訴訟の主たる請求について上記2(3)の287万7298円及び弁護士費用相当額30万円の合計額317万7298円の支払を求める限度で認容すべきものとした上で,これに対する遅延損害金の起算日につき,上告人が被上告人に対して上記損害賠償金の支払を請求したことが明らかな訴状送達の日の翌日(平成30年1月27日)であると判断して,附帯請求について,同日から支払済みまでの遅延損害金の支払を求める限度で認容すべきものとした。

要するに、治療費を建て替えた日なのか、早く返せよと訴状を送った日から遅延損害金を要求すべきかで裁判になりました。


後期高齢者医療広域連合は,後期高齢者医療給付の給付事由が第三者の行為によって生じた場合において,後期高齢者医療給付を行ったときは,法58条により,その価額の限度において,被保険者が当該第三者に対して有する損害賠償請求権を代位取得し,当該損害賠償請求権は,後期高齢者医療給付の都度,当然に当該後期高齢者医療広域連合に移転するものである(最高裁平成6年(オ)第651号同10年9月10日第一小法廷判決・裁判集民事189号819頁参照)。

裁判官全員一致の意見でした。
後期高齢者医療給付を行った後期高齢者医療広域連合は,その給付事由が第三者の不法行為によって生じた場合,当該第三者に対し,当該後期高齢者医療給付により代位取得した当該不法行為に基づく損害賠償請求権に係る債務について,当該後期高齢者医療給付が行われた日の翌日からの遅延損害金の支払を求めることができるというべきである。

 最高裁判所第二小法廷
裁判長裁判官 山本庸幸  無難
裁判官 菅野博之  無難
裁判官 三浦 守  無難
裁判官 草野耕一 無難

一人だけ意見を言った人がいました。
裁判官草野耕一の意見

一般論としていえば,不法行為の被害者には不法行為がなされた直後から様々な損害が現実化するものであり,これらの損害に対する賠償請求権に関しては遅延損害金もまた(多数意見が言及するところの判例法理によって)不法行為がなされた直後から発生するものである。そのような状況においては法58条やこれに相当する保険法制度上の諸規定が定める代位取得の対象を損害金の元本に限定すると解釈することに積極的意義があり,多数意見が引用している最高裁平成24年2月20日第一小法廷判決はまさにそのような事案に関する法理を示したものである。

確かにその通りですね。交通事故に遭って、軽いけがならまだしも骨折やら内臓破裂がありえます。その後にリハビリや合併症の可能性を考えると、その日から換算するのはどうなんでしょう。という意見です。
法の不備がありますね。

裁判改革になるか

2019-09-05 21:49:11 | 日記
民事裁判審理、半年以内に 最高裁などの研究会検討

日本の裁判は時間がかかりすぎです。特に、家事審判は平均で2年弱で一審終了になるかどうかだそうです。
以前にコメントを頂いた人の中には、子供の連れ去りがあって、監護期間の問題から二審に行く頃には連れ去った側が圧倒的に有利になります。だから、弁護士の中には引き延ばし作戦なる倫理上とんでもないことをやらかす悪徳な者もいます。2年あれば子供を洗脳することは十分にできますからね。
そうでなくても、家賃滞納の不良借主を追い出すにも半年かかるなど、なんでそんなにのろのろやっているのかと不思議に思えるようなことがあります。

当然判決:朝鮮学校の授業料無償化除外は「適法」 最高裁で確定

2019-09-01 19:01:07 | 日記
最高裁判決ですが、判決文が公開されていません。
散々探しているのですが、見つかりません。支援団体「無償化連絡会・大阪」ですら公開していません。

朝日新聞の報道です。
授業料の無償化は、民主党政権下の2010年に関連法が施行され、安倍政権が13年、朝鮮学校を対象から外すために文部科学省令の規定を削除した。同校の卒業生ら61人はこの処分が違法だったとして、1人あたり10万円の賠償を国に求めていた。
 昨年10月の二審・東京高裁判決は、無償化の対象を決める裁量権は文科相に委ねられていると指摘。「教育内容や人事に朝鮮総連が影響を及ぼしている」などとした公安調査庁の調査を根拠に無償化の対象外とした判断は「裁量権の範囲を逸脱したものとはいえない」と認定し、一審に続いて原告の訴えを退けた。
中略
同種の訴訟では大阪地裁が「教育の機会均等とは無関係な政治的な理由で朝鮮学校を排除した」として国の処分を違法と認めたが、大阪高裁がこの判決を破棄し、原告側が上告している。名古屋、広島、福岡地裁小倉支部に起こされた訴訟は原告側が敗訴し、高裁で審理が続いている。(北沢拓也)


時事通信の報道です。
 朝鮮学校を高校無償化の対象から除外したのは違法だとして、東京朝鮮中高級学校(東京都北区)の卒業生61人が国に1人当たり10万円の損害賠償を求めた訴訟で、最高裁第3小法廷(山崎敏充裁判長)は28日までに、卒業生側の上告を退ける決定をした。除外を「適法」と判断、原告側敗訴とした一、二審判決が確定した。決定は27日付。
朝鮮総連「破壊活動の恐れ」=拉致関与も-政府、答弁書を閣議決定
 全国5地裁・支部に起こされた同様の訴訟で、最高裁で確定したのは初めて。係争中の審理に影響を与えそうだ。


産経新聞の報道です。
高校無償化制度は、公立校では授業料を取らず、私立校の生徒らには支援金を支給する仕組みで、民主党政権の目玉政策として平成22年に始まった。24年の第2次安倍晋三政権発足後、下村博文文部科学相(当時)が、拉致問題や在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)との関係を問題視し、25年に省令を改正、朝鮮学校を対象外とした。
 訴訟の主な争点は、国の判断が裁量権の逸脱、乱用に当たるか否かだった。



そもそも私立助成金をよこせということ自体が憲法違反なんですよ。

憲法第八十九条
公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、又は公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない。

しかも、文科省の基準に合わない各種学校であり、その上で反日教育をしている団体になぜ国家の支援が必要?
そもそもがおかしい要求なのです。むしろ、過去の経緯からして朝鮮総連は破防法の適用が必要だとすら思えます。実際にそういう議論も昔はあったそうです。

なお、学術論文として「朝鮮高校無償化訴訟の諸論点」がネットで公開されています。
PP36-37で
3 コメント
対照的な2判決のうち、広島地裁判決は、もっぱら外交的・政治的思惑から朝鮮学校の処遇問題をとらえる被告(国)の立場を追認・忖度するものといえる。いまや存亡の危機に直面している在日朝鮮人の民族教育への配慮はほとんどみられない。日本政府の対応は、上述した教育への権利保障における無差別原則にも違反しており、明白な条約違反といえるが、同判決にはそのような視点が皆無である。これに対し大阪地裁判決は、在日朝鮮人の民族教育の権利性を認めたうえで、政治的考慮を遮断した、いわば〈純司法的〉な判断を示している。とりわけ、朝鮮学校とこれを支える民族団体である朝鮮総聯との関係性につき、歴史的視点を踏まえた考察を
行った点は評価できるであろう。ただし、同判決にあっても、上述のように憲法違反・条約違反の争点には触れていない。日本の司法にみられる憲法判断消極主義と国際人権条約に対する無関心さが、この判決においても踏襲されている。


国際人権条約に対する無関心・・・これ何でしょうか?これに関する文章は、コメントに至る前には全く出てきません。


大学を受験する前にどういう人がいるかどうか、事前に調べておきたいものです。