最高裁判所裁判官の暴走を許さない

最高裁判所裁判官の国民審査は、衆議院選挙の時の「ついでに」ならないようにしましょう。辞めさせるのは国民の権利です。

現行入管法上の問題点

2023-05-31 07:03:33 | 日記
加来たけよし(日本維新の会 参議院埼玉県選挙区支部長)

日弁連と法務省との合意で、弁護士が身元保証人となると、仮放免が認められやすく、かつ、仮放免の保証金まで安くなります。

弁護士は、大体20-40万円を報酬でとります。

逃亡しようが犯罪しようが、もちろん責任はとりません。
日弁連も当然知らんぷりです。

現場の入管職員の方は、こうした合意を持ち出されると、逃亡確率高くても仮放免を積極的に認めるしかできません。

また、こうした仮放免や難民認定申請依頼を受ける弁護士のWEBサイトでは、

『身元保証人は法的責任はなく、道義上の責任しかありません』
(だから、仮放免者が逃げようが犯罪しようが責任を問われることはない安心して身元保証人になってね)

と謳っています。

そもそも、身元保証人なんて第三者の弁護士ができるわけがないので、弁護士がついてたら積極的に認める、というのはロジックでもおかしい。

入管実務は、いろいろおかしい。


根拠となった法務省の資料です。
現行入管法上の問題点

身元保証人に連帯責任を取らせるくらいの法改正が必要でしょう。

労働基準法37は固定残業代を否定していないが、今回は原審で計算違いをしている

2023-05-27 15:39:11 | 日記
令和4(受)1019  未払賃金等請求事件
令和5年3月10日  最高裁判所第二小法廷  判決  破棄差戻  福岡高等裁判所
雇用契約に基づく残業手当等の支払により労働基準法37条の割増賃金が支払われたものとした原審の判断に違法があるとされた事例


労働新聞の報道
適法な残業代といえず トラック運転者の事件で審理差戻し 最高裁
裁判はトラック運転者が平成27年12月から2年分の残業代支払いを求めたもの。会社は27年5月に賃金総額をあらかじめ決め、賃金総額から基本給を引いた額を「割増賃金」として支給する賃金制度を採用。割増賃金はさらに「時間外手当」と「調整手当」に分かれ、時間外手当は基本給を通常の労働時間の賃金として、労働基準法所定の方法により算出した額、調整手当は割増賃金から時間外手当を引いた額としていた。残業が増えると時間外手当も増えるが、調整手当がその分減るため、結果的に残業の多寡で賃金総額が変わらない仕組みとなっていた。

事実確認から行きます
(1)上告人は、平成24年2月頃、一般貨物自動車運送事業等を営む被上告人との間で雇用契約を締結したが、契約書は作成されなかった。上記雇用契約締結当時、就業規則の定めにかかわらず、日々の業務内容等に応じて月ごとの賃金総額を決定した上で、その賃金総額から基本給と基本歩合給を差し引いた額を時間外手当とするとの賃金体系が採用されていた。

しょっぱなから違法状態ですね。この当時から雇用契約書を作るのは義務になっていたはずです。

(2)ア会社は、平成27年5月、熊本労働基準監督署から適正な労働時間の管理を行うよう指導を受けたことを契機として、就業規則を変更した。
(ア)基本給は、本人の経験、年齢、技能等を考慮して各人別に決定した額を支給する。
(イ)基本歩合給は、運転手に対し1日500円とし、実出勤した日数分を支給する。
(ウ)勤続手当は、出勤1日につき、勤続年数に応じて200~1000円を支給する。
(エ)残業手当、深夜割増手当及び休日割増手当並びに調整手当から成る割増賃金を支給する。このうち本件時間外手当の額は、基本給、基本歩合給、勤続手当等を通常の労働時間の賃金として、労働基準法37条並びに政令及び厚生労働省令の関係規定に定められた方法により算定した額

(エ)だけが胡散臭いですね。

イ 上告人を含む労働者に対し、基本給の増額や調整手当の導入等につき一応の説明をしたところ、特に異論は出なかった。
同意しちゃったんですね

ウ 被上告人においては、平成27年12月からデジタルタコグラフを用いた労働時間の管理がされるようになったところ、同月から同29年12月までの期間における上告人の時間外労働等の状況は第1審判決別紙7のとおりであり、上記期間のうち上告人の勤務日がほとんどなかった期間を除く19か月間を通じ、1か月当たりの時間外労働等の時間は平均80時間弱であった。・・・19か月間を通じ、基本給の支給額は月額12万円、本件時間外手当の支給額は合計約170万円、調整手当の支給額は合計約203万円であった。
原審は同意のものでの計算で払えと命令したようです。

最高裁は
(1)労働基準法37条は、労働基準法37条等に定められた方法により算定された額を下回らない額の割増賃金を支払うことを義務付けるにとどまる。
(2)ア 前記事実関係等によれば、新給与体系の下においては、時間外労働等の有無やその多寡と直接関係なく決定される本件割増賃金の総額のうち、基本給等を通常の労働時間の賃金として労働基準法37条等に定められた方法により算定された額が本件時間外手当の額となり、その余の額が調整手当の額となるから、本件時間外手当と調整手当とは、前者の額が定まることにより当然に後者の額が定まるという関係にあり、両者が区別されていることについては、本件割増賃金の内訳として計算上区別された数額に、それぞれ名称が付されているという以上の意味を見いだすことができない。


いかにも裁判官が書きそうな悪文になってきました。

イ 前記事実関係等によれば、・・・上告人に係る通常の労働時間の賃金の額は、新給与体系の下における基本給等及び調整手当の合計に相当する額と大きく変わらない水準、具体的には1時間当たり平均1300~1400円程度であったことがうかがわれる。上告人に係る通常の労働時間の賃金の額は、前記2の19か月間を通じ、1時間当たり平均約840円となり、旧給与体系の下における水準から大きく減少することとなる。

これでは最低賃金割れじゃないですか。

(イ)本件割増賃金は、その一部に時間外労働等に対する対価として支払われているものを含むとしても、通常の労働時間の賃金として支払われるべき部分をも相当程度含んでいるものと解さざるを得ない。
(エ)被上告人の上告人に対する本件時間外手当の支払により労働基準法37条の割増賃金が支払われたものとした原審の判断には、割増賃金に関する法令の解釈適用を誤った違法がある。


裁判官全員一致の意見でした。
裁判長裁判官 草野耕一
裁判官 三浦 守
裁判官 岡村和美
裁判官 尾島 明

裁判官草野耕一の補足意見
実際の時間外労働等の時間数にかかわらず一定額の割増賃金を支払う雇用契約上の仕組み(固定残業代制度)を利用することには経済合理性があり、かかる制度の下にあっては、実際の時間外労働等の総量が合理的な範囲内に抑制されており、かつ、全体として適正な水準の賃金が支払われていると認め得るのであれば、当該固定残業代の支払を労働基準法37条の割増賃金の支払として認めてもよいのではないか、という疑念である。
1 労働基準法37条は、時間外労働を時間内労働に比して割高な役務とするものである。
2労働基準法37条は強行法規であるから、たとえ固定残業代制度が導入された場合であっても、労働者が雇用契約に基づいて行った時間外労働の総時間に対する法定割増賃金の金額が固定残業代を超過するときには、使用者は超過分を労働者に対して支払わなければならない。・・・使用者にとって、想定残業時間が生産的残業時間を上回ることによる損失が生ずることにもなるため、使用者が、固定残業代制度を導入する機会などに、通常の労働時間に対する賃金の水準をある程度抑制しようとすることも、経済合理的な行動として理解し得るところであり、このこと自体をもって、労働基準法37条の趣旨を潜脱するものであると評価することは相当でない。


補足意見で固定残業代は違法ではないよ、でも今回はやりすぐだよねと釘を刺しています。
おおむね妥当な判決だと思えてきます。

マイナンバーカードは憲法13条に違反しない

2023-05-23 15:39:26 | 日記
令和4(オ)39  マイナンバー(個人番号)利用差止等請求事件
令和5年3月9日  最高裁判所第一小法廷  判決  棄却  福岡高等裁判所
 行政機関等が、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(令和3年法律第36号による改正前のもの)に基づき、特定個人情報の利用、提供等をする行為は、憲法13条の保障する個人に関する情報をみだりに第三者に開示又は公表されない自由を侵害するものではない

珍しく法務省が概要を出しています。
訴訟の概要
 本件は、原告らが、マイナンバー制度の施行により、憲法13条で保障されたプライバシー権(自己情報コントロール権)が侵害されると主張して、国に対し、(1)プライバシー権に基づく妨害排除及び妨害予防請求として、原告らの個人番号の収集・保存・利用及び提供の禁止並びに削除を求めるとともに、(2)国家賠償法に基づき損害賠償(1人当たり11万円)を求めている事案です。
国側の主張
 国は、マイナンバー制度に基づく個人番号の収集等は、個人に関する情報をみだりに第三者に開示又は公表するものとは認められず、憲法13条により保障された個人の自由を侵害するものではなく、また、原告らに係る個人番号の収集等は、番号利用法(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律)の規定に基づいて適法に行われるものであるから、いずれの請求にも理由がないと主張しています。


2 原審の適法に確定した事実関係
(1)番号利用法の目的
①行政機関、地方公共団体その他の行政事務を処理する者が、個人番号等の有する特定の個人等を識別する機能を活用し、及び当該機能によって異なる分野に属する情報を照合してこれらが同一の者に係るものであるかどうかを確認すること
②特定個人情報の取扱いが安全かつ適正に行われるよう、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律、独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律及び個人情報の保護に関する法律の特例を定めることを目的


相変わらずアホみたいに長いので、2つに切りました。あくまでも行政機関の範囲内でしか使わないとあります。

(2)個人番号及びその利用範囲
ア 個人番号とは、住民票コード(住民基本台帳法7条13号)を変換して得られる番号であって、当該住民票コードが記載された住民票に係る者を識別するために指定されるもの
その者に係る個人番号カード(氏名、住所、生年月日、性別、個人番号その他政令で定める事項が記載され、本人の写真が表示され、かつ、これらの事項その他総務省令で定める事項が電磁的方法により記録されたカードであって、権限を有する者以外の者による閲覧又は改変を防止するために総務省令で定める必要な措置が講じられたもの)を交付する(同法17条、同法施行令13条)


専用の読み取り装置と認証がなければ、名前も生年月日も出せないカードですね。

イ 番号利用法は、行政機関等が、一定の事務の処理に関して保有する特定個人情報ファイルにおいて個人情報を効率的に検索し・・・あらかじめ特定された利用目的以外の目的のために利用することは原則として禁止されている

あまりにもの悪文なのでぶった切ります。この悪文は読み返して恥ずかしくならないのでしょうか?要するに行政が個人に行政サービスをするときに効率よくやりたいのでその紐づけの、紐の部分だと言っています。しかも使用目的は限定されていると。

(3)特定個人情報の提供に関する規制
番号利用法は、特定個人情報の提供を原則として禁止し(同法19条)、その禁止が解除される例外事由を同条各号で規定している。

(4)情報提供ネットワークシステムによる情報連携
ア 番号利用法の下でも、個人情報が共通のデータベース等により一元管理されるものではなく、各行政機関等が個人情報を分散管理している状況に変わりはないため、同法の目的を達成するためには、各行政機関等の間の情報連携が必要となる。

ここいら辺から怪しくなります。法律で禁止されているから、そういう事にはならない論です。禁止するということは、やれてしまうから禁止する訳ですよ。ましてや地方自治体のおバカな管理では心配だというのはよく分かります。地方公務員は何が守秘義務で守秘義務でないのか、感覚が麻痺しているのが結構いますから。住基ネットのときもそうでしたが、専用回線だと言っているのにネットにもつなげたアホな自治体がありました。こういうのは徹底するために、例えばデジタル庁の抜き打ち検査が必要で、管理できていなければその場で解雇ぐらいの厳しいことをやらないと管理できません。

イ 情報提供ネットワークシステムとは、行政機関の長等の使用に係る電子計算機を相互に電気通信回線で接続した電子情報処理組織であって、暗号その他その内容を容易に復元することができない通信の方法を用いて行われる番号利用法19条7号又は8号の規定による特定個人情報の提供を管理するために、同法21条1項の規定に基づき総務大臣が設置し、及び管理するものをいう(同法2条14項)。

これもグダグダ書いていますが、暗号化されているので読み取れないようになっているという趣旨のようです。

(5)特定個人情報の管理に関する規制
ア 番号利用法は、個人番号利用事務又は個人番号関係事務を処理する者及びその委託を受けた者に対し、個人番号の漏えい等の防止その他の個人番号の適切な管理のために必要な措置を講ずることや、本人から個人番号の提供を受けるときに本人確認措置をとることを義務付ける(同法12条、16条)

例えば健康保険証として使う場合は、本人確認として顔認証などを講じなさいということです。

イ また、番号利用法は、個人番号利用事務等実施者等に対し、同法19条12号から16号までのいずれかに該当する場合を除き、個人番号利用事務等を処理するために必要な範囲を超えて特定個人情報ファイルを作成することを禁止する(同法29条)とともに、行政機関の長等において、上記ファイルを保有し、又は保有しようとするときは、上記ファイルを取り扱う事務に従事する者に対して特定個人情報の適正な取扱いを確保するために必要なサイバーセキュリティの確保等に関する研修を行うものとしている(同法29条の2)。・・・事前に特定個人情報保護評価(特定個人情報の漏えいその他の事態の発生の危険性及び影響に関する評価)を自ら実施し、これらの事態の発生の抑止等をするための措置を講ずるものとしている(同法27条、28条)

何をもっともらしく書いているのかと思うくらい、個人情報を扱う部門、守秘義務部門は当たり前のようにやっています。

(6)規制の実効性を担保するための制度
ア 番号利用法は、上記の各規制の実効性を担保するため、個人の秘密に属する事項が記録された特定個人情報ファイルの不正提供(同法48条)、業務に関して知り得た個人番号の不正な利益を図る目的での提供又は盗用(同法49条)、職権を濫用して専ら職務の用以外の用に供する目的で行った個人の秘密に属する特定個人情報が記録された文書等の収集(同法52条)等、上記の各規制に違反する行為のうち悪質なものについて、刑罰の対象とし、一般法における同様の罰則規定よりも法定刑を加重するなどしている(番号利用法第9章)。

漏洩については刑罰はちゃんとありますよぐらいの意味です。

イ また、番号利用法は、独立した第三者機関である委員会に種々の権限を付与した上で、特定個人情報の取扱いに関する監視、監督等を行わせることとしている。

上場企業の会計監査のようなものでしょうか。何かここまでダラダラ書かれると、規則ではそうなっているから大丈夫といくら言われても、本当に実効性があるのか、却って疑わしくなってきますね。

ここでやっと何が争われたのかが出てきます。

憲法13条は、国民の私生活上の自由が公権力の行使に対しても保護されるべきことを規定しているもので、個人に関する情報をみだりに第三者に開示又は公表されない自由を有するものと解される(最高裁平成19年(オ)第403号)。

住基ネットの裁判でも同じ論点で訴えていたようです。

2 (1)そこで、行政機関等が番号利用法に基づき特定個人情報の利用、提供等をする行為が上告人らの上記自由を侵害するものであるか否かを検討するに、前記第1の2 のとおり、同法は、個人番号等の有する対象者識別機能を活用して、情報の管理及び利用の効率化、情報連携の迅速化を実現することにより、行政運営の効率化、給付と負担の公正性の確保、国民の利便性向上を図ること等を目的とするものであり、正当な行政目的を有するものということができる。

通常の行政サービスの提供の範囲なんだから、みだりに開示するわけでもなきゃ、公共の福祉に反するわけでもないと言っています。

(2)番号利用法は、個人番号の利用範囲について、社会保障、税、災害対策及びこれらに類する分野の法令又は条例で定められた事務に限定することで、個人番号によって検索及び管理がされることになる個人情報を限定するとともに、特定個人情報について目的外利用が許容される例外事由を一般法よりも厳格に規定している。

むしろこれをやらないから年金番号の突合せ作業だのなんだのって問題が出て来るんですよ。むしろ、税金の申告が便利になるのにこれを嫌がるのは、何か理由でもあるのでしょうか?

個人番号はそれ自体では意味のない数字であること、情報提供ネットワークシステムにおいても特定の個人を識別するための符号として個人番号が用いられていないこと等から、仮に個人番号が漏えいしたとしても、直ちに各行政機関等が分散管理している個人情報が外部に流出するおそれが生ずるものではない

ここ重要です。個人番号と名前を拾ったところで、納税状態や健康状態を引っ張り出せないのです。

結論
上記行為は、憲法13条の保障する個人に関する情報をみだりに第三者に開示又は公表されない自由を侵害するものではないと解するのが相当である。
裁判官全員一致の意見

裁判長裁判官 深山卓也
裁判官 山口 厚
裁判官 安浪亮介
裁判官 岡 正晶
裁判官 堺 徹

法律論としてはそうだと思います。妥当でしょう。この裁判官は法律の専門家であって、現場の管理をやったことない人たちだからでしょう。
住民票の次は印鑑登録証明書…マイナンバーカード使ったコンビニ発行で新たな不具合11件
マイナカードを使ったコンビニ交付サービスを巡っては、横浜市など4自治体で、住民票などの証明書が別人に発行される不具合が14件起きている。今回の不具合でも同じ「富士通Japan」(東京都)のシステムが使われているという。
 同社によると、今回はシステムのプログラムに問題があった。印鑑登録の抹消が一定条件の下ではコンビニ交付サービスのデータベースに反映されず、抹消前のデータに基づき誤交付された。18日までにプログラムの改修を行う予定だという。


こういう事件がありますとねぇ・・・

書類は裁判所に届いたうえでの判断なので、判断遺脱はない

2023-05-15 21:30:07 | 日記
令和5(す)14  強制性交等致傷、強制わいせつ被告事件についてした上告棄却決定に対する異議申立て事件
令和5年3月7日  最高裁判所第一小法廷  決定  棄却  最高裁判所
被告人が弁護人に対し上告趣意書差出最終日前に被告人作成の上告趣意書を送付したが、弁護人が上告棄却決定後にこれを裁判所に提出したという事案につき、上告棄却決定に判断遺脱はないとされた事例

事件名はおどろおどろしいですが、純粋に手続きに瑕疵があったと訴えたようです。

事実認定を見ていきます。
記録及び当審における事実取調べの結果によれば、本件について、上告趣意書差出最終日が令和4年12月7日と指定され、弁護人は、同年11月4日、弁護人作成の上告趣意書を当裁判所に提出した。

期限の1か月前に書類を提出したわけですね。

被告人は、同月10日、収容先である大阪拘置所から、弁護人の事務所に宛てて、被告人本人作成の上告趣意書を封入した郵便物を発信し、同郵便物は、同月15日、弁護人の事務所に届いた

郵便事故もなく届いていると。

令和5年1月5日、弁護人の上告趣意について、刑訴法405条の上告理由に当たらないとして、同法414条386条1項3号により、上告棄却の決定をしたこと、弁護人は、同月10日、本件上告趣意書を当裁判所に提出したことが認められる。

弁護士も郵送された書類を元に、裁判資料を作成して提出していますね。

以上の事実関係によれば、原決定に何ら判断遺脱がないことは明らかであり、所論は理由がない。・・・同法405条の上告理由に当たらない。

簡単に言うと、裁判資料をちゃんと作って裁判所に送ったのに、その資料をきちんと読まずに判決出したろ!とクレームをつけたようですが、裁判所はちゃんと届いて判断したうえでの判断だから、訴えの資格なしとしたようです。なぜこれが最高裁まで争われたのかよく分かりません。

全員一致でした。

裁判長裁判官 岡 正晶
裁判官 山口 厚
裁判官 深山卓也
裁判官 安浪亮介
裁判官 堺 徹

一枚判決でしたが、今回は分かりやすかったです。

意見:母性優先の原則を見直せ

2023-05-14 08:44:12 | 日記
読売新聞の報道
1か月の娘を屋外のごみ箱に置き去り、36歳の無職の女「赤ちゃんを今捨てた」と110番
生後約1か月の乳児をごみ箱に置き去りにしたとして、山口県警防府署は11日、同県防府市、無職の女(36)を保護責任者遺棄容疑で現行犯逮捕した。
山口県警本部
 防府署の発表によると、女は同日午後0時10分頃、防府市内の保育園前にあったごみ箱の中に、娘を置き去りにした疑い。容疑を認めているという。乳児にけがはなく、布にくるまれた状態だった。

フライデイ
秋田児童連続殺人事件 「娘を殺害した母親の素顔」が見えた瞬間

週刊女性
《小4女児を母親が絞殺》「命を救える機会は何度もあった」実父が憤る行政の“ずさんな対応”
「統合失調症」と診断された母親
 そう話すのは、亡くなった千葉愛実(めぐみ、享年9)さんの実父である阿部康祐(やすまさ、50)さんだ。
 事件は2016年6月、秋田県秋田市で起こった。愛実さんの母親であるY子は、自宅アパートで無理心中を図り、施設から一時帰宅中だった娘の首を絞めて殺害したのだ。
 Y子は殺人容疑で逮捕されたが、秋田地裁は心神耗弱を認定し懲役4年の実刑判決を下した。しかし、Y子は判決を不服として控訴。最高裁まで争ったが、2018年に刑が確定した。


以下報道ではありませんが
女性の子殺しを擁護する弁護士は狂っている


少なくとも精神障害の診断を受けた人が親権を主張できないようにすべきです。

非課税部分と課税部分の混在したものの仕入れは課税対象、論旨が無茶苦茶

2023-05-09 20:52:14 | 日記
令和4(行ヒ)10  消費税及び地方消費税更正処分等取消請求事件
令和5年3月6日  最高裁判所第一小法廷  判決  棄却  東京高等裁判所
 消費税法30条2項1号にいう「課税資産の譲渡等にのみ要する」課税仕入れと「課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要する」課税仕入れとの区別

日経新聞の報道です。
中古マンション転売、消費税全額控除認めず 最高裁
同社は制度に基づき税務申告したが、国税側は転売までにマンションの一部を貸し出し、消費税がかからない賃料収入を得た点を問題視。全額控除を認めず、過少申告加算税を含め約5億3千万円の課税処分をした。
第1小法廷は、賃料収入といった、非課税の収益が含まれる取引を一律に全額控除の対象としないのは「課税の明確性を確保する観点から合理的」と判断。同社の取引を全額控除の対象外とした国税側の判断は妥当と結論付けた。


事実認定を見ましょう。
1 不動産の売買等を目的とする株式会社である上告人が、転売目的で、全部又は一部が住宅として賃貸されている建物の購入をし、これに係る消費税額の全額を当該課税期間の課税標準額に対する消費税額から控除して消費税及び地方消費税の確定申告をしたところ、麹町税務署長から、その全額を控除することはできないとして更正処分(及び過少申告加算税の賦課決定処分を受けた。

その取り消しを求める裁判です。

2(1)消費税法30条1項1号は、事業者が国内において行う課税仕入れについては、当該課税仕入れを行った日の属する課税期間の課税標準額に対する消費税額から、当該課税期間中に国内において行った課税仕入れに係る消費税額を控除する旨を規定する。

読むのが嫌になるくらい面倒臭い計算方式になっています。これも税理士を食わせるための利権の結果です。税金ぐらいはっきりとわかる基準を作ってくれよと思いますよね。皆さん選挙に行きましょう。

消費税法30条3項本文は、個別対応方式による場合において、課税売上割合に準ずる割合で、当該事業者の営む事業の種類等に応じ合理的に算定されるものであって、かつ、所轄の税務署長の承認を受けたものがあるときは、当該課税売上割合に代えて、当該割合を用いて控除対象仕入税額を計算する旨を規定する。

なんです過去の恣意性を認める規定は!司法より、立法の問題ですね。

(2)この不動産屋は、事業として、転売目的で、全部又は一部が住宅として賃貸されているマンション合計84棟を購入した。上告人は、転売までの間、本件各建物を棚卸資産として計上し、その賃料を収受した。・・・本件各課税仕入れは、課税資産の譲渡等である建物の転売のみならず、その他の資産の譲渡等である住宅の貸付けにも要するものであるから、共通対応課税仕入れに区分されるべきであり、控除対象仕入税額は、上記消費税額の全額ではなく、これに課税売上割合を乗じて計算した金額となるなどとして、本件各更正処分及び本件各賦課決定処分をした。
(3)本件各課税仕入れが課税対応課税仕入れに区分されることを前提に、本件各課税仕入れに係る消費税額の全額を控除対象仕入税額として本件各申告をした。これに対し、麹町
税務署長は、平成30年7月30日付けで、本件各課税仕入れは、課税資産の譲渡等である建物の転売のみならず、その他の資産の譲渡等である住宅の貸付けにも要するものであるから、共通対応課税仕入れに区分されるべきであり、控除対象仕入税額は、上記消費税額の全額ではなく、これに課税売上割合を乗じて計算した金額となるなどとして、本件各更正処分及び本件各賦課決定処分をした。


不動産屋側の主張は
消費税法は、生産、流通等の各段階で二重、三重に税が課されて税負担が累積することを防止し、経済に対する中立性を確保するため(税制改革法10条2項)、課税期間中に行った課税仕入れに係る消費税額を当該課税期間の課税標準額に対する消費税額から控除するものとしている
最高裁の判断は
1 課税対応課税仕入れとは、当該事業者の事業において課税資産の譲渡等にのみ対応する課税仕入れをいい、課税資産の譲渡等のみならずその他の資産の譲渡等にも対応する課税仕入れは、全て共通対応課税仕入れに該当すると解するのが相当である。
2 本件各課税仕入れは、その上告人の事業における位置付けや上告人の意図等にかかわらず、共通対応課税仕入れに該当するというべきである。
3 本件各課税仕入れに係る控除対象仕入税額は、本件各課税仕入れに係る消費税額の全額ではなく、これに課税売上割合を乗じて計算した金額となるというべきである。

さらに不動産屋は
「国税通則法65条4項」とにいう「正当な理由があると認められる」場合とは、真に納税者の責めに帰することのできない客観的な事情があり、当初から適法に申告し納税した納税者との間の客観的不公平の実質的な是正を図るとともに過少申告による納税義務違反の発生を防止して適正な申告納税の実現を図るという過少申告加算税の趣旨に照らしてもなお納税者に過少申告加算税を賦課することが不当又は酷になる場合をいうものと解するのが相当である(最高裁平成17年(行ヒ)第9号同18年4月20日第一小法廷判決・民集60巻4号1611頁参照)。

これに最高裁は
遅くとも平成17年以降、本件各課税仕入れと同様の課税仕入れを、当該建物が住宅として賃貸されること(その他の資産の譲渡等に対応すること)に着目して共通対応課税仕入れに区分すべきであるとの見解を採っており、そのことは、本件各申告当時、税務当局の職員が執筆した公刊物や、公表されている国税不服審判所の裁決例及び下級審の裁判例を通じて、一般の納税者も知り得たものということができる。

ちと待て。税務署職員の刊行物とはいえ法令でも準則でもない、何の拘束力のない感想文を根拠にする?

真に納税者の責めに帰することのできない客観的な事情があり、過少申告加算税の趣旨に照らしてもなお納税者に過少申告加算税を賦課することが不当又は酷になるということはできない。

金額とか税額の比率の提示なく、酷ではないとはどういうこと?
裁判官全員一致の意見
裁判長裁判官 安浪亮介
裁判官 山口 厚
裁判官 深山卓也
裁判官 岡 正晶
裁判官 堺 徹

今回は論旨が無茶苦茶ですね。法令が複雑すぎるので、根拠を定めるのは分からなくはないですよ。でも公務員の同人誌の感想文を根拠にするとかあり得ないでしょう。法律、法令、準則に従えというのであれば分かりますが。



地裁 甘い判決

2023-05-08 20:51:06 | 日記
統合失調症の兄を殺害したASDの弟に判決 裁判長は弟に「お父さん、お母さんに…」
自閉症スペクトラム障害・ASDを抱える髙畠春樹(たかばたけ・はるき)被告(24)は2020年、富山市の実家で、統合失調症と、同じくASDを抱える兄の丈治(じょうじ)さん(当時25)の頭を18回以上もハンマーで殴り、殺害しました。
1月31日の判決公判で、富山地裁の細野高広(ほその・たかひろ)裁判長は「精神障害がある兄により家族が迷惑をこうむっているなどとして犯行に及んだが、それは被告の思い込みにすぎない」と指摘。「自殺にみせかけようと、遺体を山に捨てる方法を検索して道具を買ったり、通報できないよう電話線を抜くなど計画性が高い」としました。
一方、「兄弟の双方に精神障害があったことが影響して、両者が関係を修復するのが困難だった可能性は否定できず、このような経緯は被告人のために酌むことができる」などとして、髙畠被告に懲役11年の実刑判決を言い渡しました。



ASDは薬では寛解しません。まだ研究途中の発達障害です。この特性からして自分がおかしいことをしたという感覚は持てません。無期懲役が妥当だと思いますね。

トンデモ判決 裁判競売のミスでも競売は無効にならない

2023-05-07 17:54:35 | 日記
令和3(受)1176  動産引渡等請求事件
令和5年3月2日  最高裁判所第一小法廷  判決  破棄自判  大阪高等裁判所

執行処分が弁済受領文書(民事執行法39条1項8号)の提出による強制執行の停止の期間中にされたものであったとしても、そのことにより当該執行処分が当然に無効となるものではない

特に報道がなかったようなので事実確認から入ります。
(1)上告人は、平成28年、被上告人に対し、被上告人が上告人の所有する土地を不法に占有しているなどと主張して、上記土地の明渡し及び賃料相当損害金の支払等を求める訴えを神戸地方裁判所尼崎支部に提起した。同裁判所は、同年、被上告人に対し、上記土地の明渡し及び同年4月1日から上記土地の明渡し済みまで1か月52万0542円の割合による遅延損害金の支払等を命ずる判決を言い渡し、同判決は、その後確定した。

結構他人の土地の不法占拠ってあるんですよ。裁判所の競売物件でも、建物の一部が他人の土地に被っていたりするものや他人の土地を通らないとたどり着けない建物が出ていたりします。

(2)上告人は、平成30年1月12日、神戸地方裁判所尼崎支部執行官に対し、上記判決を債務名義とし、本件損害金の平成29年5月26日時点における未払額199万8209円の支払請求権等を請求債権として、被上告人を債務者とする動産執行の申立てをした。

これは日本の民事制度のクソな部分が思いっきり出ています。出て行かずにごねたもん勝ちなので、そのまま払わずに居座っています。さらに、強制執行をするときは執行官の手数料を出て行かせる側が払うのです。そもそも不法占拠しているのが悪いんだから、そっちに払わせろと思います。

(3)執行官は、平成30年1月25日、上記申立てに基づき、被上告人が所有する本件動産を差し押さえた。執行官は、同月26日、本件動産の競り売り期日を同年2月23日午前9時30分と定めたが、その後、これを同年4月20日午前10時に変更した。

これも酷いでしょう?2か月も後にずらすと言っても、その間の遅延損害金は入らないし、税金は払わなきゃならないし、即日やれよと言いたくなりますよね。

(4)上告人は、同月12日、既発生の本件損害金の支払請求権全部が本件動産執行事件の請求債権であるとの誤った前提に立って、執行官に対し、当該請求債権の額が変更になることを知らせるため、「債権額変更上申書」と題する書面を提出した。本件上申書には、本件損害金のうち同年1月分までの全部及び同年2月分の一部について被上告人から入金があり、その結果、本件損害金の同年4月19日時点における未払額が93万4177円となる旨が記載されていた。

不法占拠している人からいくばくかの金が入ったようです。それでも93万円の未払いがあるのですね。

(5)執行官は、同月20日、本件動産の競り売り期日を開き、上告人に対し、本件動産を代金100万円で売却し、これを引き渡した。

不法占拠された上に100万円払って要らない建物を取得ですかと思ったら、違いました。不法占拠した人が書いとったようです。そりゃ土地所有者はふざけるなとなりますよね。

(1)本件上申書は、民事執行法39条1項8号にいう債権者が債務名義の成立後に弁済を受けた旨を記載した文書に該当するから、執行官は、本件上申書の提出があった時から4週間、本件動産執行事件の手続を停止しなければならなかった。ところが、執行官は、この間に本件売却をしたものであり、本件売却には瑕疵がある。

おっと!裁判所執行官のミスでやっちまったようです。登記所もたまにミスをする事があるようなので、必ずチェックは必要ですよ。

(2)本件売却の上記瑕疵は、重大かつ明白なものであるから、本件売却は、法律上当然に無効である。

そりゃそうですよ。買い取った不法占拠者は善意の第三者じゃないんですし。

最高裁の判断です。
(1)執行処分が執行手続に関する法令の規定に違反してされたものであったとしても、当該執行処分は、原則として、上記各手続により取り消され得るにとどまり、当然に無効となるものではないというべきである(大審院明治32年第233号同年11月30日判決・民録5輯10巻95頁、大審院明治40年(オ)第233号同年6月27日判決・民録13輯723頁、最高裁昭和45年(オ)第890号同46年2月25日第一小法廷判決・裁判集民事102号207頁等参照)。


いくら判例主義とは言えそれはないでしょう。大審院明治32年第233号は遡れませんでしたが、昭和45年(オ)第890号は一度競売で決定したら覆してはいけないとした判断です。これは明らかに裁判所のミスですよ。

(2)強制執行の停止等を命ずる裁判(法36条1項、39条1項6号、7号)を得るためには相応の時間を要することから、弁済受領文書の提出という簡便な方法により短期間に限って強制執行を停止することとし、もって債務者の便宜を図ることをその趣旨とするものであると解される。このような趣旨に照らせば、執行処分が弁済受領文書の提出による強制執行の停止の期間中にされたものであったとしても、当該執行処分の瑕疵は、上記の原則の例外として当該執行処分が当然に無効となるほどに重大なものではないというべきである。

はぁ?レベルですね。

結論
執行処分が弁済受領文書の提出による強制執行の停止の期間中にされたものであったとしても、そのことにより当該執行処分が当然に無効となるものではないというべきである。

裁判長裁判官 山口 厚
裁判官 深山卓也
裁判官 安浪亮介
裁判官 岡 正晶
裁判官 堺 徹

全員アホレベルですこういうアホな判決が公務員の無能を助長させるんです。懲戒免職、本人による全額賠償させるぐらいの勢いが必要です。裁判官にはもっと実態を見ろ!と言いたい。

金沢市役所の隣の公園は市の施設と一体化しているのでデモをするな

2023-05-03 09:04:47 | 日記
令和3(オ)1617  損害賠償請求事件
令和5年2月21日  最高裁判所第三小法廷  判決  棄却  名古屋高等裁判所  金沢支部
 金沢市庁舎前広場における集会に係る行為に対し金沢市庁舎等管理規則(平成23年金沢市規則第55号)5条12号を適用することは、憲法21条1項に違反しない。

中日新聞の報道です。
集会の自由 問い続ける 金沢市広場訴訟敗訴「憲法を守る会」
市民団体「石川県憲法を守る会」は、憲法記念日の五月三日正午から、金沢市広坂のいしかわ四高記念公園で護憲集会を開く。道路を挟んで向かい側にある金沢市庁舎前広場での護憲集会を、市が不許可としたことを不当として争った「広場訴訟」は今年二月、最高裁で敗訴が確定した。だが、憲法二一条に定められた「集会の自由」を問い続ける姿勢は変わらない.

産経新聞の報道です
憲法集会の不許可「合憲」 最高裁、市民団体敗訴確定
判決によると、守る会は29年5月3日に憲法施行70周年集会を開くため、同3月に広場の使用を申請。市は4月、市庁舎の管理規則で禁じる「特定の政策や主義に賛成または反対する目的の示威行為」に当たるとして不許可処分とした。

では、訴えの内容を確認しましょう。
1 人石川県憲法を守る会が、金沢市長の管理に属する金沢市庁舎前広場において「憲法施行70周年集会」を開催するため、金沢市庁舎等管理規則(平成23年金沢市規則第55号。)6条1項所定の許可を申請したところ、同市長から不許可処分を受けたことについて、上告人守る会及びその関係者であるその余の上告人らが、被上告人に対し、国家賠償法1条1項に基づく損害賠償を求める事案である。

金沢市庁舎前広場の地図を見てください。

観光地に近い所にありますね。

2 金沢市庁舎等管理規則の解説ですので詳細は飛ばします。が、拡声器プラカードを後込むなと書いてあります。

3(1)国際交流団体の活動紹介を内容とする行事や音楽祭のほか、原水爆禁止を訴える趣旨の集会が開催されたことがある。上告人守る会自身も、令和元年11月及び同2年5月には、本件規定に該当する行為をしないことを前提として同項所定の許可を受けた上で、本件広場において、本件集会とは異なる規模、態様により、いわゆる護憲集会を開催している。
(2)上告人守る会は、平成29年3月31日、憲法(特に9条)を守るなどの目的で本件広場において本件集会を開催するために、本件規則6条1項所定の許可を申請したところ、金沢市長は、同年4月14日、本件規定に該当し庁舎等の管理上の支障があるなどとして不許可処分をした。


団体名を出していませんが、禁と協の戦いがあったのでしょう。

上告理由は
本件規定が「特定の政策、主義又は意見に賛成し、又は反対する目的」による示威行為を禁止していることに照らすと、上記管理上の支障とは、被上告人の公務の用に供される庁舎等において威力又は気勢を他に示すなどして特定の政策、主義又は意見(以下「政策等」という。)を訴える示威行為が行われることにより、被上告人について、外見上の政治的中立性が損なわれ公務の円滑な遂行(本件規則1条参照)が確保されなくなるとの支障をいうものと解すべきである。

まるで市がこの団体を応援しているかのように見えるからやめてくれよという趣旨のようです。これに対して団体側は、憲法21条の集会の自由を保障した規定に反するとしています。
確かにそういう理由で断るとなるとそうなりますね。その一方で
ア 公共の福祉による必要かつ合理的な制限を受けることがあるのはいうまでもない。
イ 公務の用に供される過程において、住民等により利用される場面も想定され、そのことを踏まえた上で維持管理がされるべきものである。もっとも、普通地方公共団体の庁舎は、飽くまでも主に公務の用に供するための施設であって、その点において、主に一般公衆の共同使用に供するための施設である道路や公園等の施設とは異なる。


市役所のすぐ隣ですからね。道路でデモをやる分にはいいが、市役所の一部とみなされるところでやるなよと言ってます。

外見上の政治的中立性に疑義が生じて行政に対する住民の信頼が損なわれ、ひいては公務の円滑な遂行が確保されなくなるという支障が生じ得る。・・・飽くまでも公務の用に供される庁舎等において所定の示威行為を行うことに限定されている

感覚的には市役所の駐車場というか中庭というか、そのくらいの位置関係です。

ウ 本件広場は被上告人の本庁舎に係る建物の付近に位置してこれと一体的に管理ないし利用されている以上、本件広場において、政治的な対立がみられる論点について集会等が開催され、威力又は気勢を他に示すなどして特定の政策等を訴える示威行為が行われた場合にも、・・・あたかも被上告人が特定の立場の者を利しているかのような外観が生ずることに変わりはない。

そうですね。やる以上は議会の承認が必要でしょう。

結論
本件広場における集会に係る行為に対し本件規定を適用することが憲法21条1項に違反するものということはできない。

裁判官宇賀克也の反対意見
(1)本件広場は公共用物であり、地方自治法244条2項にいう公の施設ないしこれに準ずる施設に当たるものと考える。その理由は次のとおりである。
ア(ア)、広場管理要綱では、「庁舎前広場は、本市の事務又は事業の執行に支障のない範囲内で、原則として、午前8時から午後9時までの間、市民の利用に供させるものとする。」(3条)と定められた。このことは、旧広場を被上告人の事務又は事業の執行に支障のない範囲で市民の自由使用に供される広場として位置付ける趣旨であると解される。すなわち、旧広場は、被上告人の本庁舎に係る建物等(公用物)と区別された公共用物として一般の利用に供されたと考えられる。


確かに規定では一般に使えるようになってますね。

旧広場を破壊ないし毀損したり、騒音・振動等により被上告人の事務又は事業の遂行に支障を与えたり、長時間にわたる独占的使用により旧広場を基本的に一般市民の自由使用に供するという目的に大きな支障が生じたり、集会参加者が多く隣接する道路に参加者が溢れ出て交通に支障を及ぼしたりするような場合を意味すると解するべきであろう。

もっともらしいことを言ってますが、公民館の中で旗を振り回しやりプラカードをもって拡声器でってのと同じですよ。静かにやる分にはいいとして。で、過去に何度も違反行為をやってるから問題なんでしょう?もっと過去の経緯をちゃんと見なきゃ。

(イ)平成23年9月30日に本件規則が制定され、それに伴い庁舎管理要綱が廃止されたとうかがわれるが・・・
それは聊か拡大解釈では?規則の存在と規則の運用をごっちゃにしてませんか?

(ウ)改修工事の後の本件広場が同29年3月21日に供用開始され、同日に本件規則5条12号と6条1項が改正された。しかし、この改正は、従前の運用を明確にする趣旨のものであって、実質的な改正ではないものと解される。そして、本件規則2条は改正されていないので、上記改正後においても、同条の「庁舎等」には、「直接公共の用に供するもの」は含まれないと解すべきである。

これも推測に推測を重ねてますよね。

実際に、本件広場においては、集会等のための許可使用も行われているのであり(多数意見第1の3 も参照)、このことは、本件規則が適用された場合に「旗、のぼり、プラカード、立看板等を持ち込む行為」が原則として禁止されること(本件規則5条3号)とは適合しない。

おいおい、既成事実で規則違反を追認しろと?

本件集会を行う者を利しているなどと考える市民が、被上告人の中立性に疑問を持ち、被上告人に対して抗議をしたり、被上告人に非協力的な態度をとったりして、被上告人の事務又は事業に支障が生ずる抽象的なおそれがあるということに尽きる。しかし、次のとおり、そのような理由は、「正当な理由」には当たり得ないと考えられる

この裁判官、法律が全てという感覚でしょうか。一般人はそうは見ませんよ。

(1)本件広場の使用を許可せず、集会の自由を制限することは、角を矯めて牛を殺すものといわざるを得ない。

何言ってるの?そこでなければ別の場所で許可を出すでしょ。他所でも許可をしないというのであれば、この発言はアリですが、先走り過ぎてませんか?

(2)被上告人に対して苦情を申し立てたり、抗議したりする者がいる可能性は否めないところ、そのような可能性がある行為を被上告人は行うべきではないというのであれば、被上告人は行事の協賛・後援を一切行うべきではなく、また、集会の許可は一切すべきでないということになりかねないが、そのような結論が妥当でないことは当然であろう。

ここではそんなことは争点になってませんでしたよね。仮想の議論を持ち込んでどうしますの?

裁判長裁判官 長嶺安政
裁判官 宇賀克也 頭おかしいレベル
裁判官 林 道晴
裁判官 渡 惠理子
裁判官 今崎幸彦

宇賀裁判官はたまにわけのわからんことを言い出しますが、今回もそんな感じです。市内で全面禁止にしているわけでもないですので集会の自由を犯したということ自体が全く意味不明です。この結論を出すのに争点にもなっていないことを出してきて、仮定に仮定を積み重ねて、仮想の敵を作り出して違憲だと言っています。かなり偏りがある意見ですね。