最高裁判所裁判官の暴走を許さない

最高裁判所裁判官の国民審査は、衆議院選挙の時の「ついでに」ならないようにしましょう。辞めさせるのは国民の権利です。

セクハラ発言処分

2015-02-27 14:24:09 | 日記
平成26年(受)第1310号 懲戒処分無効確認等請求事件 平成27年2月26日 第一小法廷判決

上司の度重なるセクハラ発言による嫌がらせにより、女性の部下はかなり不快な環境におかれたようです。この発言が繰り返されたとなると、この処分はおおむね妥当な判断だと思います。
地裁ではお咎めなし、高裁では一部原告の主張を認め、最高裁では全面的に原告の主張を認めました。これは画期的なことだと思います。
ただ次の点について憂慮すべき点が残ります。

1 証拠の存在
被害は口頭によるもので、証拠が残されることはほとんどない。ICレコーダー等により常に監視をする必要があります。証拠の認定を厳密に行うなどが必要です。実際でっち上げもありますが、その救済策に関して法整備を急ぐ必要があります。

2 女性の被害ばかりが優先される
どの本を読んでも、女性が被害者で男性が加害者である事例ばかりが載っていますが、現実は果たしてそうでしょうか?女性が部下を叱責する現場を何度か見ていますが、到底聞くに堪えないような発言があります。
ですが、男性側が訴えることはほとんどありません。セクハラの場合は、女性だけの被害が強調される傾向にあります。

3 環境セクハラの扱い
このようなセクハラ発言が続く状態を放置した場合、それを止めなかった上司やその場にいた人たちも加担したとしてみられることです。
少し余談になりますが、女性の水着の写真を職場に貼っておくだけで、セクハラが認定されている現実があります。カレンダーやアイドルのポスターなど職場の種類によっては認定が難しくなるでしょう。また同時に、女性のミニスカート姿や一時期流行ったキャミソール系のファッションは、あれは軽犯罪法20条に違反します。
ですが、女性の場合はかなり大目に見られています。女性は「男性は喜ぶでしょう?」と開き直ることが多く指摘すると逆にセクハラ呼ばわりされるケースがあります。男女雇用機会均等法をはじめ男女共同参画社会を本気で進めるのであれば、こういった行為もセクハラとして認めるべきでしょう。



第一小法廷判決
裁判長裁判官 金築誠志
裁判官 櫻井龍子
裁判官 白木 勇
裁判官 山浦善樹
裁判官 池上政幸

雑感:少年法

2015-02-25 21:05:04 | 日記
残念ながら、少年が多摩川でしたいとなって見つかりました。現在のところ、犯人は少年とみられています。
ついこの間も、名古屋大の学生が老女を殺害し、未成年ということで個人情報は表向きには公表されていません。佐世保の女子高生の同級生殺人事件も同様です。
これまで数多くの未成年者の殺人事件がありましたが、果たして本当に個人情報を隠しておく必要はあるのか疑問に思えてきます。
少年法の専門家は、少年は不安定だから事件を起こす可能性が高い。同時に更生の可能性も高いから、保護すべきであると。本当でしょうか?
江戸時代は14,15歳で元服し、責任を持たされました。不安定だからと言って責任を取らせないから、成長しないのでは?さらに少年法があるからやりたい放題だとうそぶいているのも実際にいます。
軽犯罪法レベルならまだしも、刑法殺人事件となれば話は別ではないでしょうか。特に、最近起こった殺人事件はサイコパスによる快楽殺人とも言われています。即ち、犯人が捕まる前にさらなる殺人を起こす可能性もあるわけです。被疑者であるということでの保護よりも、公益性を重視してほしいものです。
私もかつて、少年によって器物破損の被害に遭いました。18歳で朝まで酒を飲み、酔っ払い運転で追突されました。その直後、この少年たちによって車を破壊され、私もけがを負いました。彼らは悪いことをしたと分かっていて、さらに逃亡しました。結局、犯人とは示談となりましたが、このような少年は保護されるべきなのでしょうか?成人と同じように粗暴犯として、取り調べを受け裁判を受けて欲しかったと思っています。

1票の格差裁判:これは裁判所が口を出すべきか

2015-02-24 09:43:57 | 日記
平成25年(行ツ)第209号,第210号,第211号 選挙無効請求事件
平成25年11月20日 大法廷判決

このところ選挙が行われるたびに裁判になっていますが、1人の候補者を選出するのに2倍以上の格差があるので、法の下の平等原則に反するというものです。これは、人口比率に合わせた定員数であることが重要なのか?という疑問が出てきます。
例えば、過疎地の県と23区内とを比較すると圧倒的に23区内からの議員で埋め尽くされます。地方への所得再分配や防衛や防災という観点からすると、人口比率に合わせた国会議員の定員を定めることは、果たして妥当なのでしょうか。この2013年最高裁判決の最も注目すべきところは、鬼丸かおる判事が、個別意見で、憲法の定める国民主権に基づく1人1票の原則を明言したことです。


裁判官鬼丸かおるの意見は,次のとおりである。
私は,多数意見の結論に賛同するものであるが,投票価値の平等及び国会の立法裁量に関する考え方につき,多数意見と異にする部分があるので,以下に私見を述べる。
第1 投票価値について
1 私は,衆議院議員の選挙における国民の投票価値につき,憲法は,できる限り1対1に近い平等を基本的に保障しているものと考えるものである。
2 その理由は,日本国憲法の前文冒頭において,国会は主権者たる国民から負託を受けて国民を代表して民主主義による国政を行うものであって,代表者は正当に選挙されることが要請されていること,そして憲法13条,14条1項,15条1項,44条ただし書により,国民が両議院議員の選挙において,人種,信条,性別,社会的身分若しくは門地,教育,財産又は収入によって差別されることがないことが明記されているというところに存する。これらの憲法の規定から,両議院議員の選挙において国民の投票価値は平等であることが基本原則であると解されるのである。


鬼丸判事は、これをみるとやや先走った感があります。これは裁判所が判断すべきことではなく、政治で決める話ではないかと思うところがあります。ただ、上限は2倍以内とするなど公職選挙法によって一票の格差の許容する上限を明文化する必要があるでしょう。

裁判長裁判官 竹崎博允
裁判官 櫻井龍子
裁判官 金築誠志
裁判官 千葉勝美
裁判官 横田尤孝
裁判官 白木 勇
裁判官 岡部喜代子
裁判官 大谷剛彦
裁判官 寺田逸郎
裁判官 大橋正春
裁判官 山浦善樹
裁判官 小貫芳信
裁判官 鬼丸かおる かなりずれている
裁判官 木内道祥

ツアーコンダクターの残業は計算できるのか?

2015-02-22 17:24:49 | 日記
平成24年(受)第1475号 残業代等請求事件
平成26年1月24日 第二小法廷判決


例によって、最高裁の判決文は全くもって読みにくいので、こちらを参考にしてください。
ここ数年、残業代を払わないブラック企業の告発が続いています。労働者として、残業命令を受けて行ったものについては残業代を旗うのは使用者側の責任ですし、労働者はそれを受け取る権利があります。
しかし、世の中にはいつ残業をしたのか判然としない職種があります。例えば、現地に直行直帰のセールスマンがその典型例でしょう。上司が同行して管理していれば話は別ですが、毎日同行することは事実上不可能です。

労働基準法の38条の2第1項では、「労働者が労働時間の全部又は一部について事業場外で業務に従事した場合において、労働時間を算定し難いときは、所定労働時間労働したものとみなす。ただし、当該業務を遂行するためには通常所定労働時間を超えて労働することが必要となる場合においては、当該業務に関しては、厚生労働省令で定めるところにより、当該業務の遂行に通常必要とされる時間労働したものとみなす。」としています。
「労働時間を算定し難いとき」に当たるとして所定労働時間労働したものとみなされます。この事例も典型的な労働時間の算定が困難な事例と思いますが、皆さんの感覚ではどうでしょうか?
ツアーコンダクターの場合、某待ち合わせ場所で集まる約1-2時間前あたりから、実際の業務は始まっているでしょう。そして、バスや飛行機で一緒に移動し、観光地を回り、ホテルへ行くことにありますが、当然その時間はおおよその目安で動いているのであり、いくら公共交通が時間通り動いている日本であっても1時間ぐらいの誤差は出てくるでしょう。
さらに、宿泊時には緊急事態と称してしょうもない事に呼び出されることもあるでしょう。確かにこれも仕事のうちになると思います。時間外だから知りませんとするわけにはいかないからです。ましてや外国であれば、訴訟問題まで発展するかもしれません。
という事情を考えると、いつごろ呼び出されたのかいつ終わったのか正確に記録していない限り、残業を算定するのは難しいことは容易に想像つくでしょう。
では、バスの中で仮眠をとるのは休憩時間として見なすことはできるのか?最高裁裁判官にもなるとツアーでの旅行にはいかないのでしょうね。
民事裁判では訴えがあったことについてのみ判断されるので、そこまで判断しろというのは酷かもしれませんが、いかに現実に合わない判断をしているかが良く分かる判決です。

今回も第二小法廷で、全員一致でした。

裁判長裁判官 小貫芳信 ずれている
裁判官 千葉勝美 ずれている
裁判官 鬼丸かおる ずれている
裁判官 山本庸幸 ずれている

メンタルヘルス情報の不申告をもって過失相殺し得ないとした判例

2015-02-20 19:33:55 | 日記
最高裁のHPでは匿名扱いになっていますが、(独)労働者健康福祉機構では名前がそのままさらされています。分かりやすいのは後者の方なので、先ずはそちらをご覧ください。

最高裁判所の判決文
(独)労働者健康福祉機構の解説



うつ病をり患した従業員(よその病院で診断を受ける)が、正直にうつ病である旨を産業医や上司に相談しなかった。超過勤務で頭痛がすると回答したが、その回答ではうつ病とは判断されずに通常業務を続けるようにした。従業員の病状は悪化し休職期間が終了し解雇となった。

ここで注目すべき点は、従業員がうつ病にかかった旨を上司や産業医に伝えていなかったことです。しかも、会社に出勤することは何回かあったということですので、少なくとも寝たきり状態になっていたわけではないのです。充分に上司や産業医に言えるくらいの体力はあったはずです。精神疾患は、血液検査や血圧では検査はできません。数カ月にわたり、様子を観察して診断と治療を行うものです。したがって、産業医は診断の下しようがないのです。上司は医師免許すらないのが通常ですから、病気を疑うことはあっても配慮が必要な病気であるかどうかまでを察するのはほとんど不可能でしょう。
ということは、会社側(上司と産業医を含む)は善意の第三者に限りなく近い存在のはずです。
にもかかわらず、過失相殺を一切認めない判断をしました。どうも事実認定に大きな誤りがありそうです。

産業医が通常行う健康診断では見つけにくい病気がある場合は、仕事に差し障りがあることであっても、人事上不利に扱われるかもしれないから黙っていてもよろしいさらにはもしそれが原因で仕事を休みがちになったとしても、会社は責任を持てということもようです。即ち、他の状態で置き換えるなら、妊娠した従業員がその旨を伝えると左遷させられそうなので黙っていた。その結果、働き過ぎで流産した。その場合も賠償しなければならない、というのとほとんど変わりません。
会社の管理職はどこまで責任を負わされるのでしょうか?従業員の私生活に起因する病気であっても、管理しなければならないのでしょうか?

どうも第二小法廷は、我々の感覚と違った感覚の持ち主のようです。

裁判長裁判官 鬼丸かおる かなりずれている
裁判官 千葉勝美  かなりずれている
裁判官 小貫芳信 かなりずれている
裁判官 山本庸幸 かなりずれている

これから注目の裁判:夫婦別姓と女性の再婚期間

2015-02-18 19:06:04 | 日記
今日、最高裁判所で小法廷ではなく大法廷で憲法判断を行うとしました。その中身は、夫婦別姓再婚期間の問題です。

実は夫婦別姓は、明治のとき四民平等にし苗字をすべての国民に持たせたのですが、その時に夫婦別姓にするかどうか議論があったそうです。武家社会では嫁杁先、または婿入り先の名前になる事に合わせたそうです。
実際、弁護士医者のデータベースでは旧姓のままで、データベースが機能しない状態になっています。ニセ医者、ニセ弁護士が見つけられません。
なので、これについては伝統とか家制度にこだわり続けることの合理性が問われることになるでしょう。

女性の再婚は民法772条第2項により離婚成立後6か月を経ないとできません。妊娠している可能性がある場合、誰の子かをはっきりさせる目的ですが、これも時代に合わなくなっていると言えそうです。今や遺伝子検査が気軽にできるようになり、客観的にかつ科学的に証明することができます。
しかし、半年か待たされたことに対して慰謝料請求を国家に訴えるというのは、なんとも。制度を変えるにはこのやり方しかなかったのでしょうか。

法が実態に合わない、憲法の趣旨に合わないとして訴えることができる憲法裁判所が日本にあってもいいのではないかと思います。

三春町選管も誤廃棄 保存期間10年の国民審査書類

2015-02-18 13:26:25 | 日記
おそらくこの記事は1ヶ月ぐらいで削除される可能性が高いので、コピーしておきます。

三春町選管も誤廃棄 保存期間10年の国民審査書類

三春町選管は17日、国民審査法で保存期間が10年と定められている最高裁裁判官国民審査の2005(平成17)年分の投票録と開票録を期限前に誤って廃棄していたと発表した。投票用紙は保存している。

中略

国民審査の関係書類をめぐっては、これまで福島、郡山、いわき、本宮の各市選管でも誤廃棄が明らかになっている。



通常の選挙であれば、支持政党や利権と絡むので不服審査請求が起こる可能性がありますが、国民審査に関してはその可能性は限りなく0なので、こういった杜撰な扱いになるのかもしれません。
このような雑な扱いは三春町に限ったことではないでしょう。こういった扱いを受けるとなると、昨日このブログで書いたように、○と書いたもの、✔としたものもカウントされていかたも知れません。こういった事を検証するためにも保管は必要だと思います。



国民審査の制度不備について考える 3:×をつける

2015-02-17 17:33:47 | 日記
衆議院選挙に行ったことが1回でもある人なら経験があると思いますが、最高裁判所裁判官の国民審査投票は「×」をつけるのが正しいのです。
ですが、不在者投票に行くと、恐らく新人の選挙管理委員かとは思いますが、きちんと説明しないで投票用紙を出してしまうことがあります。私も過去2回そういったことがあり、わざと「○をつけるんですよね」と訊いたことがあります。
実際、無効票になったものには「○」が付いたものが結構あるようです。空欄に×でも○でも、何かチェックが入っていれば不適格として投票したとみなすべきでしょう。

諫早湾矛盾判決

2015-02-16 13:04:53 | 日記
またもや千葉勝美裁判長の判断です。

裁判所の説明では、

 確定判決により干拓地の潮受堤防の排水門を開放すべき義務を負った者が第三者の申立てに基づく仮処分決定により上記排水門を開放してはならない旨の義務を負ったという事情がある場合における上記確定判決に基づく間接強制決定の許否

とあり、何が何だか分かりませんので、こちらを参考にしてください。
環境問題か自然災害防止を優先するかでもめた事件ですが、裁判で矛盾する判決を出しました。
福岡高裁では、5年間の開門調査を国に命じ、上告しなかったのでこの判決が確定しました。なぜか最高裁のHPではその判決がデータベースに載っていません。これに対して、今回の裁判は開門せよとしたのです。
過去の判決にならって判断を下すとして、千葉勝美裁判長以下、裁判官 小貫芳信、鬼丸かおる、山本庸幸)は全員一致で裁判員裁判を覆した裁判と矛盾する行動をとっています。

話を戻して、先に出た福岡高裁判決と今回の最高裁判決で矛盾する結果、現制度では門を開けても罰金、開けなくても罰金、これでは国はどうしたらいいのでしょうか?どちらか白黒つけて欲しいと裁判を始めているわけで、このような判断をするのは裁判官としての職務放棄に準ずる行為と言われても仕方ないでしょう。裁判所は、紛争解決のための強制力を持った機関であることを放棄したのです。

今回のトンデモ判断
裁判長 千葉勝美 
裁判官 小貫芳信
裁判官 鬼丸かおる
裁判官 山本庸幸

千葉判断の悪影響:今度は高裁で裁判員裁判の判決破棄 

2015-02-11 09:00:49 | 日記
今回は最高裁ではなく、高裁で裁判員裁判の判決が破棄され、死刑から無期に減刑されました。本来であれば、最高裁まで争って結果を出すものなのですが、検察と被告の両者が上訴を諦めて確定した形のようです。
これも速報レベルなので、判決文を読んでみないと何とも言えませんが、先に出た裁判員裁判をひっくり返した裁判結果を見て検察は上告を諦めた感じがあります。
千葉勝美氏を裁判長とするあの裁判は、早速影響が出ているようです。

平成25(あ)1127  住居侵入,強盗殺人被告事件
平成27年2月3日  最高裁判所第二小法廷  決定  棄却  東京高等裁判所

平成25(あ)1729  住居侵入,強盗強姦未遂,強盗致傷,強盗強姦,監禁,窃盗,窃盗未遂,強盗殺人,建造物侵入,現住建造物等放火,死体損壊被告事件
平成27年2月3日  最高裁判所第二小法廷  決定  棄却  東京高等裁判所

最高裁判所裁判官 千葉勝美氏の判例研究 2

2015-02-09 14:35:40 | 日記
平成25年(医へ)第34号 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律による医療を行わない旨の決定に対する抗告棄却決定に対する再抗告事件


(裁判長裁判官 小貫芳信 裁判官 千葉勝美 裁判官 鬼丸かおる 裁判官山本庸幸)

この事件は、精神異常で心神喪失の人が重大な事件を起こした事件のその後の処理の問題のようです。刑法39条によれば、

(心神喪失及び心神耗弱)
第三十九条  心神喪失者の行為は、罰しない。
2  心神耗弱者の行為は、その刑を減軽する。

という規定です。
猟奇的な事件があるたびに精神鑑定がなされますが、犯行当時に心神耗弱にあったかどうかを鑑定しています。心神耗弱とは、裁判所の定義によれば次のようなものです。

刑罰法規に触れる行為をした人の中には,精神病や薬物中毒などによる精神障害のために,自分のしていることが善いことか悪いことかを判断したり,その能力に従って行動する能力のない人や,その判断能力又は判断に従って行動する能力がが普通の人よりも著しく劣っている人がいます。
 刑法では,これらの能力の全くない人を心神喪失者といい,刑罰法規に触れる行為をしたことが明らかな場合でも処罰しないことにしています。また,これらの能力が普通の人よりも著しく劣っている人を心神耗弱者といい,その刑を普通の人の場合より軽くしなければならないことにしています。
 これらは,近代刑法の大原則の一つである「責任なければ刑罰なし」(責任主義)という考え方に基づくもので,多くの国で同様に取り扱われています

裁判所は近代刑法を強調していますが、日本ではかなりいい加減なようです。酒に酔ったうえでの犯行、薬物中毒を原因としたものであっても心神耗弱が認められるようです。ヤクザが景気づけと心神耗弱狙いで、酒を飲んで犯行に及ぶということも実際にあるようです。
ともあれ、今回のものはおそらく精神疾患にある患者が事件を起こして、そのまま治療もされていない放置されているということに問題があるとして訴えがあったもののようです。つまり「殺人者野に放たれる」という状態になっているのです。刑法39条を適用された加害者は、2-3年で街に出てくるのです。ましてや今回の件は、治療すらなされない者が監禁もされずにいる可能性もあるのです。
実態に興味がある人は、この本を是非とも読んでください。

百歩譲って法律的には不備があり、上告者の主張が論点ズレだとしても、このまま棄却するのはどうなのでしょうか?補足意見なり何なり出せそうなものですが、何もありません。
裁判官に法律の整備を求めるのは過剰とはいえ、後味の悪い判断です。

心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律

最高裁判所裁判官 千葉勝美氏の判例研究 1

2015-02-08 09:29:18 | 日記
2015年2月5日に裁判員裁判の裁判結果をひっくり返し、従来の量刑にした裁判長千葉勝美氏の研究をしていきます。

2014年に同様の事件が起きています。この事件は、ヤクザ同士の抗争により火炎瓶等で放火と2人殺害に至っています。結果、この裁判では死刑を言い渡しております。

これに対して、先の裁判はどうであったかというと、一般人を相手に1人殺害をしています。
申し訳ないですが、私は刑法の専門ではないのでわかりませんが、死刑になるか否かは殺した人数によるようです。これは永山基準と言われ、以下の基準から成り立っています。

犯罪の性質
犯行の動機
犯行態様、特に殺害方法の執拗性、残虐性
結果の重大性、特に殺害された被害者の数
遺族の被害感情
社会的影響
犯人の年齢
前科
犯行後の情状

果たして料裁判の間にどれだけの差があったのかと言えば、殺害された被害者の数ぐらいしかないでしょう。
敢えて言うならば、この基準がおかしいから裁判員裁判制度が出てきたわけです。
それでもなお、永山基準を用いなければならないのであれ場次の疑問が出てきます。
ヤクザの抗争で親分の命令で殺人を起こしたのと、自らの欲望のために強姦の上殺人を犯したのであれば、同機は明らかに強姦殺人の方が酷くないでしょうか?
このあたりのことについて、量刑が妥当ではないとするのみで、なぜ妥当ではないかを説明していません。これは判決文として不十分です。


千葉勝美裁判官は、最高裁のページの中で次のように述べています。

好きな言葉
 観念論ではなく,「実証的に物を見る」こと,「事実に対し謙虚である」こと,さらに,「何がより良い解決なのか悩み続ける」こと,それによって裁判の仕事は本当に面白く感じることができる。

先日の裁判結果では、「何がより良い解決なのか悩み続ける」が実に白々しく聞こえます。法律の趣旨からいえば、迷う余地はなかったはずです。

1審の死刑判決をひっくり返した判決文が公開されました。

2015-02-05 21:09:26 | 日記
平成25年(あ)第1729号 住居侵入,強盗強姦未遂,強盗致傷,強盗強 姦,監禁,窃盗,窃盗未遂,強盗殺人,建造物侵入,現住建造物等放火,死体損 壊被告事件

平成25年(あ)第1127号 住居侵入,強盗殺人被告事件

後者の判決文の中で、千葉勝美裁判長は以下のように述べています。

裁判員裁判は刑事裁判に国民の良識 を反映させるという趣旨で導入されたはずであるのに,それが控訴審の職業裁判官 の判断のみによって変更されるのであれば裁判員裁判導入の意味がないのではない かとの批判もあり得るところである。 裁判員制度は,刑事裁判に国民が参加し,その良識を反映させることにより,裁 判に対する国民の理解と信頼を深めることを目的とした制度である(裁判員の参加 する刑事裁判に関する法律(以下「裁判員法」という。)第1条参照)。



三人(裁判長裁判官 千葉勝美 裁判官 鬼丸かおる 裁判官 山本庸幸)とも反対意見を出していないことから、3人とも裁判員制度を完全に無視しています。裁判員裁判はやるだけ無駄、と最高裁が宣言したようなものです。
本来はこのような裁判所から出たことがないような、世間から浮いた人の感覚で裁いてはいけない、より実社会に近い判決を出すようにする趣旨だったはずです。この判決は、立法趣旨を根底から無視する内容であり、最高裁裁判官の独善的な判断としか言いようがありません。これは三権分立の大原則があるにもかかわらず、司法の立法に対する暴挙であります。
新しい法律の趣旨を無視し、過去の判例、量刑に従うだけであればコンピュータのデータベース化で充分です。

この判決がISILの日本人殺害事件の直後、また台湾の飛行機墜落の直後でもあり、マスコミではあまり取り上げられておらず、この重要性が余り問われていないことに危惧します。

裁判員判決を覆す

2015-02-04 20:08:54 | 日記
裁判員の死刑、破棄を支持=東京・千葉の1人強殺―二審の無期懲役確定へ・最高裁
 裁判員裁判の死刑判決が二審で破棄され、無期懲役とされた東京と千葉の強盗殺人事件2件について、最高裁第2小法廷(千葉勝美裁判長)は3日付で、検察、弁護側双方の上告を棄却する決定をした。いずれも二審東京高裁判決が確定する。裁判員裁判の死刑判決を控訴審が見直したケースについて、最高裁が判断するのは初めて。(時事通信)


実に酷い結果です。何のための裁判員裁判なのか、最高裁判所自体が法を無視したのです

最高裁第2小法廷(千葉勝美裁判長)、他の2人の裁判官は現在のところ不明です。

最高裁のHPによると、小貫 芳信、鬼丸 かおる、山本 庸幸裁判官のうちの2人と思われます。

第二小法廷 全員ずれている

今回は妥当判決:秋葉原通り魔殺人事件

2015-02-02 15:04:15 | 日記
秋葉原殺傷、死刑確定へ=加藤被告の上告棄却―最高裁

東京・秋葉原で無差別に7人を殺害し10人を負傷させたとして殺人罪などに問われ、一、二審で死刑とされた元派遣社員加藤智大被告(32)の上告審判決で、最高裁第1小法廷(桜井龍子裁判長)は2日、被告の上告を棄却した。死刑が確定する。

秋葉原通り魔事件(あきはばらとおりまじけん)とは、2008年(平成20年)6月8日(日曜日)に東京都千代田区外神田(秋葉原)で発生した通り魔事件である。7人が死亡、10人が負傷(重軽傷)した。



刑法39条には、心神耗弱にあるものの刑を減ずることができるとする規定があります。
秋葉原歩行者天国での通り魔殺人事件は、今心神耗弱に当たらないと判断された模様です。極めて妥当な判断でしょう。
おそらく、人格障害によりまともな判断ができなかったとうだけで、実際にはレンタカーを借りる、包丁を用意するなど用意周到性が見られ心神耗弱となみなしようがありません。

ただ、これまでも心神耗弱にあると判断された場合は、不起訴処分になることは少なからずあり、裁判すら受けられないという状態です。せめて裁判で心神耗弱が認められたというのであるならば分かりますが。

法務大臣は法に従い、死刑判決確定の日から6ヶ月以内にしなければならず(刑事訴訟法475条第1項)、規定通りの期限内に執行命令を出すことを希望します。