最高裁判所裁判官の暴走を許さない

最高裁判所裁判官の国民審査は、衆議院選挙の時の「ついでに」ならないようにしましょう。辞めさせるのは国民の権利です。

東京地裁:うつ病の姉殺害、妹2人実刑

2016-02-26 18:52:18 | 日記
これは東京地裁なので、判決文は公開されていません。

時事通信の報道によれば、次の通りです。
粗暴な言動を繰り返すうつ病の姉に耐えかね殺害したとして、殺人罪に問われた妹2人の裁判員裁判の判決が24日、東京地裁であった。斉藤啓昭裁判長は「同情できるが執行猶予を付す事情はない」と述べ、江川悦子被告(43)に懲役4年(求刑懲役6年)、小杉山真由美被告(37)に懲役3年(求刑懲役4年)を言い渡した。
 判決によると、悦子被告は昨年5月、東京都足立区の自宅で、真由美被告と共謀して同居する姉の江川弘子さん=当時(45)=の首を布製ベルトで絞め、窒息死させた。
 弘子さんは2003年に出産後、育児ノイローゼでうつ病になり離婚。代わりに娘を養育する悦子被告と3人で暮らしていたが、次第に「殺す」と暴言を吐き、はさみを投げつけるなどエスカレートした。
 事件当日も果物ナイフを持って娘を追い掛けており、斉藤裁判長は「悦子被告の受けた恐怖感や精神的苦痛は大きかった」と指摘したが、「ことがあれば殺害する構えで、犯行を主導した」と非難した。


実にやるせない事件です。精神障害を患った場合、その家族はとてつもない肉体的精神的負担を負うことになります。この事件について、あるブログでは、先ずは行政期間に相談に行くように述べています。
しかし、実態は行政はあてになりません。警察は相談を聞いては聞いてはくれますが、実際に事件が発生しないと動いてくれません。家族外の所有物ウを壊すか、誰かが怪我をするか殺されるかしないと無理です。
保健所に通告しても、ちょっとでも精神科医にかかっていれば、それ以上動きません。
精神科のソーシャルワーカーも、個人情報保護法を盾に何も言いませんし、しようともしません。ちなみに多くの場合は、行政も含め個人情報を拡大解釈し、面倒くさいものについてはこの法律を出せば黙るだろうと思って、家族であっても親権者であっても、実際には彼らは関わりたがりません。
結局相談しても精神障害者の面倒は、家族で見なければならないのです。そして、精神障碍者の犯罪は、その家族が民事的に責任を負わなければならないのです。これは家族にとってどれだけ負担か、恐らく一般人には想像つかないでしょう。昼夜逆転されたら、それだけで通常の勤務はできません。
裁判官もその辺は分かっていないと思います。
なお、この「次第に「殺す」と暴言を吐き、はさみを投げつけるなどエスカレートした。事件当日も果物ナイフを持って娘を追い掛けており」とある点ですが、DSM-5によればうつ病の症状とは思えません。むしろ統合失調の妄想障害あるいは躁鬱病の可能性が高いですし、他害の恐れがあるので入院レベルです。到底素人の手には負えません。いつ襲ってくるか分からない恐怖の中で、面倒を見なければならなかったことを考えると、被告が不憫でなりません。
この辺り考えれば、執行猶予がついてしかるべき判断だと思います。

新基準の退職金の計算に署名捺印したが、あとからそれが不当だと訴えた事件

2016-02-24 19:02:44 | 日記
平成25年(受)第2595号 退職金請求事件
平成28年2月19日 第二小法廷判決

ある破綻寸前の金融機関Aに勤務したB氏がいました。雇用契約が継続している期間に金融機関Aが別の金融機関Cと合併(事実上救済合併)しました。そのとき、退職金の規定がCに統一されました。
このとき、退職金の規定変更で①退職時の本俸の月額を2分の1に減じた額とされ,②基礎給与額に乗じられる支給倍数(勤続年数に,定年等の事由による普通退職又は自己都合退職に応じた所定の係数を乗じて得られる数。以下同じ。)に変更、要するにかなり退職金が減額されたものを提示されました。紙ベースでの提示を受けました。
そのときに、これに同意されないと合併ができないとも言われました。その時平成15年で、16年に合併した。
そして平成21年にBさんは退職しました。5年間もあったわけですね。
すると、厚生年金給付額及び企業年金還付額による控除額の方が高くなり、支給される退職金額は0円に、合併後の在職期間に係る退職金については,上告人らのうち平成21年規程の実施前に自己都合により退職した者には、平成16年基準変更による変更後の支給基準が適用された結果、退職金が支給されませんでした。
それは無いんじゃないの!ということで裁判を起こしました。

さて問題は、退職金の新基準は紙ベースで渡され、かつB氏は署名捺印し、さらに5年勤務後に退職しています。
雇用者側、即ち救済したCには法的落ち度はありません。

これについて裁判所は次のように述べています。
労働契約の内容である労働条件は,労働者と使用者との個別の合意によって変更することができるものであり,このことは,就業規則に定められている労働条件を労働者の不利益に変更する場合であっても,その合意に際して就業規則の変更が必要とされることを除き,異なるものではないと解される(労働契約法8条,9条本文参照)。
だから、退職金規定変更も違法ではない。当然ですね。
しかし、ここからが良く分かりません。

使用者が提示した労働条件の変更が賃金や退職金に関するものである場合には,当該変更を受け入れる旨の労働者の行為があるとしても,労働者が使用者に使用されてその指揮命令に服すべき立場に置かれており,自らの意思決定の基礎となる情報を収集する能力にも限界があることに照らせば,

ちょっと待ってくださいよと言いたくなります。全ての情報を収集する能力には限界があるのは分かります。しかし、紙ベースでこの計算方法で金額になりますよと示されているわけですね。

そして裁判所は続けてのべています。
就業規則に定められた賃金や退職金に関する労働条件の変更に対する労働者の同意の有無については,当該変更を受け入れる旨の労働者の行為の有無だけでなく,当該変更により労働者にもたらされる不利益の内容及び程度,労働者により当該行為がされるに至った経緯及びその態様,当該行為に先立つ労働者への情報提供又は説明の内容等に照らして,当該行為が労働者の自由な意思に基づいてされたものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するか否かという観点からも,判断されるべきものと解するのが相当である

つまり、騙したとでも?何かおかしくないですか?

本件基準変更による不利益の内容等及び本件同意書への署名押印に至った経緯等について十分に考慮せず,その結果,その署名押印に先立つ同人らへの情報提供等に関しても,職員説明会で本件基準変更後の退職金額の計算方法の説明がされたことや,普通退職であることを前提として退職金の引当金額を記載した本件退職金一覧表の提示があったことなどを認定したにとどまり,


おいおい、署名捺印に至った経緯って、拉致監禁されたとか虚偽の情報をもってとかではないでしょう。

そして結論ですが、
本件同意書への同人らの署名押印がその自由な意思に基づいてされたものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するか否かという観点から審理を尽くすことなく,同人らが本件退職金一覧表の提示を受けていたことなどから直ちに,上記署名押印をもって同人らの同意があるものとした原審の判断には,審理不尽の結果,法令の適用を誤った違法がある。

もはや「はぁ?」としか言いようがない判断です。

全員一致でこの退職金基準、雇用契約が変更されないと合併できないから何とかしてくれないか、と言われたことが労働者の判断を謝らせた可能性があるので、もう一回審議し直せと。即ち、署名捺印しているからと言って新基準に合わせなけwればならないとする判断はおかしいと言ってるのです。
ちょっと待ってくださいな。労働者と雇用主は対等な関係で雇用契約が成立するという大前提を忘れていませんか?

労働契約法
(労働契約の原則)
第三条  労働契約は、労働者及び使用者が対等の立場における合意に基づいて締結し、又は変更すべきものとする。

今回の裁判官
第二小法廷
裁判長裁判官 千葉勝美 トンデモ
裁判官 小貫芳信 トンデモ
裁判官 鬼丸かおる トンデモ
裁判官 山本庸幸 トンデモ


全くこの裁判官たちには毎回呆れます。雇用契約書に署名捺印しても、法によらず後から内容が気に入らないとひっくり返すことができるとしているのです。

名古屋地裁:アルバイトを死なせた元社長に執行猶予

2016-02-23 08:20:35 | 日記
2015年8月にアルバイト従業員の勤務態度がなっていないとして、当該従業員を蹴り上げるなどして死亡させた事件があり、裁判員裁判が行われました。その結果、検察側は6年の求刑に対して、懲役3年執行猶予5年の判決が出ました。

NHKの報道では、

アルバイトの男性に暴行を加えて死なせた罪に問われた裁判で、名古屋地方裁判所は「執ようで危険な犯行だが真摯に反省している」として、執行猶予の付いた有罪判決を言い渡しました。
愛知県阿久比町で鮮魚店を経営する、会社の元社長、武藤美幸被告(48)は去年8月、大府市内の駐車場に止めた車の中で、アルバイトの増元春彦さん(23)の脇腹などを殴ったり、蹴ったりする暴行を加えて死なせたとして、傷害致死の罪に問われました。
19日の判決で、名古屋地方裁判所の奥山豪裁判長は「被告は相当に強い力で被害者を靴底で蹴り続けた。執ようで危険な犯行だ」と指摘しました。


J-CASTの報道では

被告は当時、愛知県大府市内のJA直売所で鮮魚店のテナントを出していた。判決を伝える報道によると、元社長は、直売所近くの駐車場に男性を呼び出し、ワゴン車の後部座席で脇腹などを十数回にわたって蹴るなどし、男性は脾臓破裂で死亡した。
地裁では、裁判員裁判が行われ、弁護側は「犯行後に救命措置を取っており、示談も成立している」などと主張し情状酌量を求めた。一方、検察側は、6時間ほども説教して執拗に暴行したとして懲役6年を求刑した。
(中略)

被告の元社長は、アルバイトの男性について、日ごろから勤務態度が悪いと注意しており、一部報道によると、元社長の知人は、男性が会社の売上金を横領していたと、元社長から事件の2か月前に相談を受けていたという。
また、元社長は、気性が激しく、男性を夜中も呼び出すなどしていたという。男性の知人によると、元社長から昼夜を問わず執拗に電話が入り、本人も困っていると男性の家族が話していたともされる。男性に暴行を加えるときは、缶コーヒーでも殴っていたとの報道もあった。


事件後、元社長は遺族に謝罪して被害弁償し、示談が成立した。遺族からは被告に寛大な判決を求める嘆願書が名古屋地裁に提出されていたという。

J-CASTの方が詳細に書かれていますが、被害者も加害者もどっちもどっちという感じがします。家族としては扱いきれず、社長に根性を叩き直して欲しいと思っていたのでしょうか。社長も普段から気性が荒くとんでもない行動をしてきたようです。
しかし、たとえ被害者が横領などの事情があったとしても、死亡に至らせるにはやり過ぎではないでしょうか。

刑法205条では(傷害致死)
第二百五条  身体を傷害し、よって人を死亡させた者は、三年以上の有期懲役に処する。
と定めており、最低3年間の懲役になります。いくら遺族から減刑の嘆願書があっても、執行猶予付きというのは減刑しすぎでしょう。裁判員裁判は通常重めに量刑が下る傾向にある中で珍しい判断です。
おそらく検察は控訴すると思いますが、個人的にも控訴すべきだと思います。

弁護士法人が行政処分を食らう

2016-02-18 19:36:23 | 日記
テレビラジオでおなじみのアディーレ法律事務所が行政処分を受けました。
あれだけCMを流していたので、そろそろ何かあるかなと思いましたが。代表社員の石丸 幸人弁護士は、過去にも懲戒を受けていました。
事件の放置なので、仕事の受け過ぎでしょうね。
この件について紀藤弁護士のブログは、懲戒請求を呼びかけています。そりゃそうでしょう。このところ弁護士の不祥事が出ていますから、ここは法人としてと所属弁護士が止めなかったということで、懲戒請求すべきでしょうね。

漁協理事が利害関係者の借り入れにかかわった事件

2016-02-07 13:18:37 | 日記
平成27(行ヒ)156  損害賠償請求事件
平成28年1月22日  最高裁判所第二小法廷  判決  破棄差戻  高松高等裁判所

 漁業協同組合の理事会の議決が,当該議決について特別の利害関係を有する理事が加わってされたものであっても,当該理事を除外してもなお議決の成立に必要な多数が存するときは,その効力は否定されるものではない.

ある高知県東洋町が漁業災害対策資金として1000万円を漁協に貸し付けました。そのとき、漁協の理事の中に貸し付けに関して利害関係者がいました。そこで、住民が利害関係者がいる状態で重要な契約を結ぶのは、件貸付けに係る支出負担行為及び支出命令が違法であるとして訴え損害賠償を請求しました。

事実前提として 「水産業協同組合法37条2項は,漁業協同組合の理事会の議決について特別の利害関係を有する理事は,議決に加わることはできない旨を定め,A漁協定款49条の3第2項は,これと同旨を定めている。」の規定を認めています。
ところが、当該漁協は「A漁協定款は,49条の3第1項において理事会の定足数及び議決要件について同法37条1項と同旨を定める一方,上記の各
要件を加重する旨の定めを設けていない。」としています。

水産業協同組合法の37条2項は「2  前項の議決について特別の利害関係を有する理事は、議決に加わることができない。」としています。
37条1項は「理事会の議決は、議決に加わることができる理事の過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあつては、その割合以上)が出席し、その過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあつては、その割合以上)をもつて行う。」と定めています。

この点裁判所は、「漁業協同組合の理事会の議決が,当該議決について特別の利害関係を有する理事が加わってされたものであっても,当該理事を除外してもなお議決の成立に必要な多数が存するときは,その効力は否定されるものではないと解するのが相当である。」としています。

よく分からないのは次の点です。裁判所は「Bは本件貸付けに係る被害漁業者の経営者であり,同人の子であるCは本件貸付けに係る貸付金を原資としてA漁協から融資を受けた者であるから,いずれも本件議決につき特別の利害関係を有するものというべきである。」利害関係にあったことを認めています。その上で、「A漁協の理事8名からこれらの者を除外した6名の過半数に当たる4名が出席し,その全員が賛成したのであるから,特別の利害関係を有する理事を除いてもなお議決要件を満たすということができる。」としています。
この利害関係者を除いたとして計算しても、過半数を超えて参加し3分の2が賛成しているから問題ないとしています。

この裁判官は心理学を無視しています。理事会の参加者は、目の前の人たちの行動と全く無関係に意思決定できるという前提に立っています。これはバンドワゴン効果と言われるもので、本来だったらしないだろう行動を周りの人たちに流されて行ってしまう行動です。この意思決定がそのバンドワゴン効果であったかどうか、検証していません。
子供が漁協理事である親に言わなかったので知らなかったと言える状態だったのか、それは判断されないのでしょうか?下手すれば詐欺罪適用の可能性だってあったわけです。このくらい大目に見て貸してくれよと暗に圧力がかかったのかもしれません。おそらく訴えた住民はその可能性を着いたものだと思います。
おそらく今回の裁判は、貸付先が仲間内で利害関係者があるとはわかっているが、実態は議事録もそろってるし当事者がいなかったとしても定足数が足りてるから、細かいこと言うなと言ったところでしょうか。既に貸し付けを行っているので、その現実を優先せよとのことでしょうか?貸付先が善意の第三者だったらそのロジックは納得できますが。

では、何故この法律があるんでしょうか?田舎で毎日顔を合わせている人から、融資を頼まれて断りきれなかった。ましてや、その当事者がその場にいたら断れるんですか?
それを断る資質と能力がある人が理事をやっているので問題がないというのであれば、理事に損害賠償を払わせる判断があってしかるべきではなかったのでしょうか。
原審の判断が正しく、この最高裁の判断はトンデモ判決でしょう。


今回の裁判官
最高裁判所第二小法廷
裁判長裁判官 千葉勝美
裁判官 小貫芳信
裁判官 鬼丸かおる
裁判官 山本庸幸