最高裁判所裁判官の暴走を許さない

最高裁判所裁判官の国民審査は、衆議院選挙の時の「ついでに」ならないようにしましょう。辞めさせるのは国民の権利です。

養子差別判決:養子に相続権がない事例

2025-01-21 07:42:16 | 日記

令和5(行ヒ)165  不動産登記申請却下処分取消請求事件 令和6年11月12日  最高裁判所第三小法廷  判決  破棄自判  東京高等裁判所

 被相続人とその兄弟姉妹の共通する親の直系卑属でない者は被相続人の兄弟姉妹を代襲して相続人となることができない

 

親戚同士で養子縁組をしたものの予想外に早死にしてしまい、相続できなくなった事例です。

 

事案の概要 Bが伯母のAと養子縁組をした。Bの子CとD(以下「Cら」)は、養子縁組前に生まれていた。 Bが亡くなった後に、Aの実子Eが亡くなった。 CらがBの代襲相続人として、E名義の不動産について、所有権移転登記の申請をしたところ、Cらは代襲相続人にはあたらないとして却下された。 Cらは、却下の決定の取消しを求めて、訴訟を提起した。 Cらが相続人でないとすると、Eには一切法定相続人がいないことになる。

実に厄介な状態になりました。これは例えば酒造業だったりすると最悪です。兄弟で酒蔵を経営してたとしますと、兄?弟?も持ち分が誰も相続できなくなるので、営業そのものが立ち行かなくなります。特に合名会社で経営している場合が多いですから。

最高裁は

民法887条2項ただし書は、被相続人の子が相続開始以前に死亡した場合等について、被相続人の子の子のうち被相続人の直系卑属でない者は被相続人の子を代襲して相続人となることができない旨を規定している。これは、被相続人の子が被相続人の養子である場合、養子縁組前から当該子の子である者(いわゆる養子縁組前の養子の子)は、被相続人との間に当該養子縁組による血族関係を生じないこと(民法727条、大審院昭和6年(オ)第2939号同7年5月11日判決・民集11巻11号1062頁参照)から、養子を代襲して相続人となることができないことを明らかにしたものである。

昭和6年の判決を持ってきますか。戦後大幅に民放が改正されているのに、LGBTがどうのという判決を出しているのに?養子と実施を区別します?これ憲法違反じゃないですかね。とはいっても明確に法律が残っている以上、それに従わなければなりませんが。

裁判官全員一致の意見

裁判長裁判官 渡辺惠理子

裁判官 宇賀克也

裁判官 林 道晴

裁判官 石兼公博

誰一人として補足意見を出さないんですね。これは養子差別ですよ。


裁判は公開が原則なんですが

2025-01-12 09:16:53 | 日記
共同通信の報道です。
ドン・ファン法廷で無断撮影 眼鏡カメラ使用、SNSに投稿

「紀州のドン・ファン」と呼ばれた和歌山県田辺市の資産家に対する殺人罪に問われた元妻須藤早貴被告(28)=一審無罪、検察側控訴=が起こした別事件の公判で、和歌山地裁の法廷内が無断撮影され、動画がSNSに投稿されたことが11日、分かった。撮影した男性が明らかにした。裁判所の許可はなく、眼鏡型カメラを使用したという。元妻は写っていなかった。

 地裁も動画を把握しており、取材に「適切に対応している」とコメントした。関係者によると、男性に削除を要請した。男性は取材に「許可が必要なことを知らなかった。(出廷した関係者の)声や表情が見えないと、国民が裁判を判断できない。開かれた裁判を求める」と話した。




本当にその通りだとは思いますが、どんなに糞であろうが腐ってようが、法律は法律、規則は規則です。
高裁以上であればTVあるいは動画配信していいのではないかと思います。早くこの規則を廃止することを求めます。

軍艦島捏造報道の調停

2025-01-11 11:17:19 | 日記
産経新聞の夕刊の報道です

軍艦島元島民、NHKに謝罪と検証番組要求 韓国で教科書にも使用 「炭坑内との確認得られていない」と認め調停成立

長崎市の端島炭坑(通称・軍艦島)の元島民で作る「真実の歴史を追求する端島島民の会」は9日、NHKが軍艦島を取り上げた番組「緑なき島」について同坑内の映像であるという確認が得られていないと認めたことを受けて記者会見を開いた。元島民は「NHKは島民にも日本国民にも謝罪すべきだ」と述べ、検証番組制作を求めた。
1955年放送の同番組で使われた坑内の映像は、韓国で戦時中に朝鮮半島出身者が軍艦島で劣悪な環境下で強制労働をさせられた証拠の一つとして利用され、韓国の高校のデジタル教科書にも資料として使われた。・・・
島民の会の中村陽一幹事長(86)は「調停は成立したが、(NHKが)謝罪をしていないことは残念」と述べた。
同番組の映像について「事実の改竄(かいざん)が行われた」と主張してきた一般財団法人「産業遺産国民会議」の加藤康子専務理事も「NHKは真実ではないことを拡散してしまったことに対して誠意をもって島民、国民に向き合うべきだ」と強調した。


動画です
【緊急予告】“負の遺産”軍艦島はNHKの捏造から始まった

【NHK捏造】「緑なき島」映像捏造問題 酷すぎるNHK調査報告書

【NHKは国民を愚弄】軍艦島におけるNHKの捏造報道疑惑!青山繫晴議員が様々な映像の矛盾点を鋭く言及!捏造報道を都合よくK国が反日の材料に!果



これだけのことをして調停なんですね。この報道は韓国の政治プロパガンダで使われ、強制労働だの慰安婦だの大ウソを世界中にばらまかれました。しかも、何度も捏造を仕掛けられています


戦争中という説明ですが、実際はNHK「緑なき島」、撮影フィルムは昭和30年製外交部会・名誉特がヒアリング

2023年度 第2回 視聴者のみなさまと語る会(関西・学生)開催報告書 (2023年6月22日(木)開催)

Q ただ、NHKの軍艦島を取り上げた番組をめぐる問題については、非常に残念です。これは、一種の捏造であると考えているのですが、NHKの内部の人たちは、こういうことをどう見ているのかと、映像管理について、教えていただきたいです。

A 捏造ではないかというご指摘ですが、軍艦島を取り上げた「緑なき島」の話については、昭和30年にNHKが出した短編の放送で、これは韓国、朝鮮の方のことを伝えるものでは一切なくて、当時の軍艦島で暮らしていた方々の生活ぶりを放送した風土記的な放送でありました。NHKでは、映像を提供する場合は、きちんと契約を交わして、目的外に使用しないということを明確にしています。
 「緑なき島」の件については、随分以前の話なので、韓国では著作権がもうNHKにはなくて、対処法がとても難しいですが、KBSが、この放送をイベント等に使った際に、目的外使用ではないかと伝えています。ご指摘ありがとうございました。


この程度で済ませるのですか?KBSへの抗議あるいは制裁は一切なく、「残念です」で終わりですか?これは調停で終わらせずに、裁判をやった方が良かったかもしれません。しかもこの事件については、NHKは一切報道していません。

こういう報道について捏造があった場合は、法人に対して業務停止を含む制裁を加える法制度が必要です。

当然判決 大学の任期付き採用は自動的に本採用になるわけじゃない

2025-01-05 10:51:54 | 日記
令和6(許)1  仮差押命令認可決定に対する保全抗告審の取消決定に対する許可抗告事件
令和6年10月23日  最高裁判所第三小法廷  決定  破棄差戻  大阪高等裁判所
 大学の教員の職が大学の教員等の任期に関する法律4条1項1号所定の教育研究組織の職に当たるとされた事例

毎日新聞の報道です
教員雇い止め訴訟 2審破棄した最高裁、大学の判断を尊重
羽衣国際大(堺市)の専任講師だった女性(48)が違法な雇い止めをされたとして、大学教員としての地位確認を大学側に求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷(岡正晶裁判長)は31日、無期雇用への転換を認めて女性側勝訴とした2審判決を破棄し、審理を大阪高裁に差し戻した。
 大学教員の任期をどう定めるかは大学側の判断が尊重されるべきだとした判決。期限付きの契約で働く大学教員の雇用に影響を与える可能性がある。裁判官4人全員一致の意見。


朝日新聞の報道です
大学教員任期法では「多様な人材の確保が特に求められる教育研究組織の職」などについて、無期転換に必要な期間を10年にできる。女性側は、特例の対象は「最先端の研究を担う」など一部の教員に限られ、自身は対象ではないと主張。一審で敗訴したが、二審・大阪高裁は特例の対象を厳格に解釈し、女性が逆転勝訴していた。

そもそも大学の教員が労働法の対象というのがオカシイと思っています。雇用関係というよりむしろ委託契約であるべきではないかと。一度専任になると何もしないでぶら下がる人がいるという話を聞きます。医学部を除いて、定年まで助教、講師という人は、扱いに困る人と言っていいと聞いたことがあります。

では事実確認から見ていきます。
1 上告人の設置する大学の教員として勤務していた被上告人が、
労働契約法18条1項の規定により、上告人との間で期間の定めのない労働契約(以下「無期労働契約」という。)が締結されたなどと主張して、上告人に対し、労働契約上の地位の確認及び賃金等の支払を求める事案である。
上告人は、被上告人が就いていた職が大学の教員等の任期に関する法律4条1項1号所定の教育研究組織の職に当たり、無期労働契約が締結されたことにはならないなどと主張して争っている。

最初から勝負あった感じがしますね。これが最高裁まで争われたことそのものが理解不能です。

原審の判断では
3 原審は、上記事実関係の下において、要旨次のとおり判断し、本件労働契約は任期法7条1項所定の労働契約には当たらないとした上で、労働契約法18条1項の規定により、被上告人と上告人との間で無期労働契約が締結されたとして、被上告人の地位確認請求を認容し、賃金等の支払請求の一部を認容した。

これは明らかに原審がオカシイですよね。通常の労働者じゃないんですから。

被上告人が担当していた授業等の内容に照らすと本件講師職には介護分野以外の広範囲の学問に関する知識や経験は必要とされず、担当する職務に研究の側面は乏しいといえることからすると、本件講師職が任期法4条1項1号所定の教育研究組織の職に当たるということはできない。

なぜ一般労働者と同じ扱いにすべきかという根拠がありますが、どの程度なのかは分かりませんが、教育と研究以外の行政と社会貢献が一般に言われています。教育と研究が全体のうちの何割かという話なのか書いてないのが微妙です。ここははっきり書いてほしいところです。

任期法は、4条1項各号のいずれかに該当するときは、各大学等において定める任期に関する規則に則り、任期を定めて教員を任用し又は雇用することができる旨を規定している(3条1項、4条1項、5条1項、2項)。これは、大学等への多様な人材の受入れを図り、もって大学等における教育研究の進展に寄与するとの任期法の目的(1条)を踏まえ、教員の任用又は雇用について任期制を採用するか否かや、任期制を採用する場合の具体的な内容及び運用につき、各大学等の実情を踏まえた判断を尊重する趣旨によるものと解される。そして、任期法4条1項1号を含む同法の上記各規定は、平成25年法律第99号により労働契約法18条1項の特例として任期法7条が設けられた際にも改められず、上記の趣旨が変更されたものとも解されない。そうすると、任期法4条1項1号所定の教育研究組織の職の意義について、殊更厳格に解するのは相当でないというべきである。

法の趣旨はその通りです。

生活福祉コースにおいては、被上告人を含む介護福祉士等の資格及びその実務経験を有する教員により、介護実習、レクリエーション現場実習といった授業等が実施されており、実務経験をいかした実践的な教育研究が行われていたということができる。そして、上記の教育研究を行うに当たっては、教員の流動性を高めるなどして最新の実務経験や知見を不断に採り入れることが望ましい面があり、このような教育研究の特性に鑑みると、上記の授業等を担当する教員が就く本件講師職は、多様な知識又は経験を有する人材を確保することが特に求められる教育研究組織の職であるというべきである。
したがって、本件講師職は、任期法4条1項1号所定の教育研究組織の職に当たると解するのが相当である。


個別具体的なコース名を書いていますが、ほかの分野でもそうでしょうね。これはぐうの音も出ませんでしょ。

第一小法廷判決
裁判長裁判官 岡 正晶
裁判官 安浪亮介
裁判官 堺 徹
裁判官 宮川美津子

この辺りは法の不備がありますね。例えば、入試の作成、採点、合否判定は学校教育法で定められていますが、非常勤の日程時間割調整って教員がやる仕事ですか?高校予備校への営業ってそれは教員の仕事ですか?酷いところだと今は無き創造学園大学では教授が購買部のレジ打ちまでやっていたとか。似たような話は着ぐるみを着せられて、学園祭とオープンキャンパスに参加しろという命令があった大学もあるとか。
一方で30年間論文のない教授もいるそうです。ある程度基準があってもいいんじゃないですかね。

釈然としない判決 懲戒免職になった文化功労者の文化功労年金は仮差押えできない

2025-01-04 21:34:17 | 日記
令和6(許)1  仮差押命令認可決定に対する保全抗告審の取消決定に対する許可抗告事件
令和6年10月23日  最高裁判所第三小法廷  決定  破棄差戻  大阪高等裁判所

産経新聞の報道です
文化功労者の年金受給権、強制執行は可能 京大損賠訴訟巡り最高裁が判断
京都大が、研究費不正で懲戒解雇した霊長類研究所の松沢哲郎元所長に求めた損害賠償訴訟に絡み、松沢氏の文化功労者としての年金受給権に対する強制執行の可否が争われた裁判で、最高裁第3小法廷(林道晴裁判長)は、可能との判断を示した。不可能とした大阪高裁決定を破棄し、審理を高裁に差し戻した。・・・22年に損害賠償を求めて提訴。京大が年金受給権などの仮差し押さえを申し立て、京都地裁が認める決定をした。だが大阪高裁は23年11月、差し押さえはできないと判断し、京大側が不服を申し立てていた。

ある先生が文化功労章をもらった。ところが後から研究費の不正使用が分かったので、その先生は懲戒免職になった。その使いこんだ研究費を返せということで、大学が文化功労者の特権である文化功労年金を差し押さえようとして裁判になったようです。

1 本件は、抗告人が、文化功労者年金法所定の文化功労者である相手方を債務者として、相手方の第三債務者国に対する同法に基づく年金の支給を受ける権利について仮差押命令の申立て等をした事案である。

原審は差し押さえ可能としたようです。

文化功労者年金法は、1条において、同法は文化の向上発達に関し特に功績顕著な者(文化功労者)に本件年金を支給し、これを顕彰することを目的とする旨を、3条1項において、文化功労者には、終身、本件年金を支給する旨を、同条2項において、本件年金の額は、文化の向上発達に関する功績に照らし、社会的経済的諸事情を勘案して、文化功労者を顕彰するのにふさわしいものとなるようにしなければならない旨をそれぞれ定めている

こんな制度があったとは知りませんでした。文化功労者が着服をするとは法律の前提にはなかったのでしょう。ですが、どうなんですかね、「酒気帯び運転で物損事故 悪質なので懲戒免職退職金なしは妥当 ただし岡裁判官はおかしい」の記事では、1回だけの酒気帯びで人身事故も起こしていないのに退職金ゼロの懲戒免職です。
同じようなもんだと思いますけどね。やってはいけないことと分かっていて、処分されて、しかもその処分が不当として訴えがあったわけではないですよね。そんなにレベル的には違いがあるようには思えませんが。

文化功労者年金法の上記の各定めによれば、本件年金は、文化功労者の功績等を世間に知らせ、表彰することを目的として支給されるものと解され
る。そうすると、国が文化の向上発達に関し特に功績顕著な者を文化功労者として決定することにより、その者に本件年金の支給を受ける権利が認められることで、上記の表彰の目的は達せられるものといえ、その者が現実に本件年金を受領しなければ上記目的が達せられないとはいえない。したがって、本件年金の支給を受ける権利は、その性質上、強制執行の対象にならないと解することはできない。


よくわかりませんね、かたや退職金ゼロで生存権にもかかわる状態、こちらは通常の年金に加算ですよね。

第三小法廷裁判官全員一致の意見でした
裁判長裁判官 林 道晴
裁判官 宇賀克也
裁判官 渡辺惠理子
裁判官 石兼公博

誰一人として意見を言わなかったというのも驚きです。そこまで名誉を奪うこともなかろうということでしょうか?ならばそのくらいの意見はあってもいいとおもいますよ。途中で書いた、退職金ゼロになった高校の先生との整合性が取れないと思いますが、そこも説明して欲しいものです。

妥当判決:高圧検察官の取り調べ映像を公開禁止を調停内容に入れてなかったので差止できない

2025-01-01 22:05:55 | 日記
令和6(許)5  文書提出命令に対する抗告審の変更決定に対する許可抗告事件
令和6年10月16日  最高裁判所第二小法廷  決定  破棄自判  大阪高等裁判所
検察官による取調べの録音録画記録媒体が法律関係文書に該当するとして文書提出命令の申立てがされた場合に、刑訴法47条に基づきその提出を拒否した国の判断が、裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとされた事例

「画期的だ」 プレサンス訴訟、取り調べ映像の提出命令を弁護団評価
大阪地検特捜部が手がけた業務上横領事件で、無罪が確定した不動産会社「プレサンスコーポレーション」(大阪市)の山岸忍元社長が国に賠償を求めた訴訟を巡り、特捜部による取り調べの録音・録画データを提出するよう国に命じた最高裁決定について、山岸氏の弁護

特捜部取り調べ映像提出へ 17時間分、最高裁が命令―プレサンス元社長の訴訟
草野裁判長は決定で、提出を拒否した国の判断について「裁量権の範囲を逸脱、乱用するものだ」と指摘した。
 争われたのは田渕大輔検事が山岸氏の当時の部下に行った取り調べ映像の提出可否。同氏側は田渕検事が机をたたいたり、大声で怒鳴ったりしている様子が映っており、問題のある言動の結果、部下が虚偽の供述をさせられたと訴えている。


今回は18ページと長いのでなるべく短くします。この事件はプレサンスの事件で、検察の勇み足でプレサンスの取締役に高圧的な取り調べを受けて、虚偽の証言をしたことから社長が逮捕され、また同じような暴言と高圧的な取り調べを受けた事件です。ここで検事の名前はかめいにされていますが、以前の記事を読んでいただければ固有名詞が晒されています。すでに新聞等で報道されているのに、なぜ仮名なのか分かりません。


C検事が取調べ中にAを脅迫するなどの言動をしたため、AはC検事に迎合して虚偽の本件供述をするに至ったものであって、本件供述には信用性がなく、抗告人にはその逮捕当初から本件横領事件の嫌疑が認められない旨を主張し、C検事の上記言動のうち、非言語的要素(人の言動のうち、口調、声の大きさ、表情、身振り等の非言語的なものをいう。以下同じ。)として、大きな音が響き渡る強さで机を叩いたこと、Aを大声で怒鳴りつけたこと等を指摘し、相手方に本件記録媒体及びその反訳書面を証拠として提出することを求めた。これに対し、相手方は、逮捕当初は抗告人をかばう供述をしていたAが、C検事の説得によって真実である本件供述をするに至ったと評価することが十分可能であるなどと主張し、本件記録媒体の一部分の反訳書面(以下「本件反訳書面」という。)を証拠として提出したが、本件記録媒体は提出しないとの意向を示した。なお、本件反訳書面には、C検事の言動のうち非言語的要素についても、その一部を言語的に表現したものが記載されている。

どうも未だに検察は証言主義に基づいての捜査から抜け出てないようです。世界から50年は遅れてますね。その証拠に外国人犯罪の場合通訳に金がかかる、コミュニケーションが難しいと思われる理由から、簡単に不起訴処分にしています。これはプロ意識の欠如ですね。

イ 元部下との和解が成立した。
(3) 原々審は、令和5年9月、相手方に本件対象部分の提出を命じ、その余の本件申立てを却下する決定(原々決定)をした。原々審は、本件公判不提出部分の取調べの必要性について、本件供述の信用性の判断においては、C検事の言動のうち非言語的要素も重要であり、これが客観的に記録されている本件公判不提出部分は、本件要証事実との関係で最も適切な証拠であって、本件反訳書面や人証によって代替することは困難であるから、本件公判不提出部分を取り調べる必要性の程度は高いとした。


要するに部下との和解を進めるうえで、取り調べの違法性を証明するために取り調べの動画を提出させたが、当の検事はあんなもん普通のことだろと開き直ったわけです。

これが抗告人側から報道機関等を通じて広く公開される可能性があるところ、Aが本件和解によって本件記録媒体に含まれる自己の名誉やプライバシーといった権利利益の全部を真意に基づいて放棄したなどとみることはできず、本件公判不提出部分が提出されることによってAの名誉、プライバシーが侵害されるおそれがないとはいえない。

ここでは掲示しませんでしたが、マスコミに流す前にモザイクを入れています。とはいっても逮捕時に名前が出ちゃってますけどね。そこで、この動画を表に出すなと要求したようです。そこで最高裁は

(1)本件公判不提出部分は、検察官のAに対する取調べの過程を客観的に記録したものであること等からすると、抗告人と相手方との間において、法律関係文書に該当するということができる。
(2)刑訴法47条は、その本文において、「訴訟に関する書類は、公判の開廷前には、これを公にしてはならない。」と規定し、そのただし書において、「公益上の必要その他の事由があって、相当と認められる場合は、この限りでない。」・・・
民事訴訟における当該文書を取り調べる必要性の有無、程度、当該文書が開示されることによる上記の弊害発生のおそれの有無等の諸般の事情に照らし、その裁量権の範囲を逸脱し、又はこれを濫用するものであると認められるときは、裁判所は、当該文書の提出を命ずることができるものと解する
のが相当である(最高裁平成15年(許)第40号同16年5月25日第三小法廷決定・民集58巻5号1135頁等参照)。このことは、当事者が提出を求めるものが、検察官の取調べにおける被疑者の供述及びその状況を録音及び録画を同時に行う方法により記録した記録媒体であったとしても異なるものではない。


いやいや過去の判例を出すまでもなく、但し書きの事例そのままですよ。公務員の業務上で故意の不法行為なんですから、これを公益性がないというにはかなり無理があります。

(3)AはC検事がAを脅迫するなどの言動をしたためにC検事に迎合して虚偽の本件供述をした旨を主張するのに対し、相手方が、AはC検事の説得により真実である本件供述をしたと評価し得る旨を主張して、Aが本件供述をするに至ったことに対するC検事の言動の影響の有無、程度、内容等が深刻に争われている。しかるところ、本件公判不提出部分には、C検事の言動がその非言語的要素も含めて機械的かつ正確に記録されているのである

罵倒しまくっている様子がTVにも流れましたが、あれでも法律家かよという感じでしたよ。

Aとの間に本件和解が成立し、本件和解において、Aが本件記録媒体の証拠採用に反対せず、抗告人もAのプライバシーの保護に最大限配慮することを明確に合意しているなどの本件の事実関係の下では、本件公判不提出部分が本件本案訴訟において提出されること自体によって、Aの名誉、プライバシーが侵害されることによる弊害が発生するおそれがあると認めることはできない。

本音としてはAは流してほしかったんじゃないですかね。脅迫されて嘘の自白をさせられたことを証明できますから。

以上の諸事情に照らすと、本件公判不提出部分の提出を拒否した相手方の判断は、その裁量権の範囲を逸脱し、又はこれを濫用するものというべきである。

裁判官全員一致の意見でした。

裁判官三浦守の補足意見
開示証拠の複製等の適正管理等を確保するための規律が定められている(刑訴法281条の3281条の5)。これは、開示証拠の複製等が管理の適正を欠き第三者に流出したり、本来の目的以外の目的で使用されたりすると、罪証隠滅や証人威迫、関係者の名誉やプライバシーの侵害、捜査又は裁判に対する不当な影響等の弊害が生ずるおそれがあることによるものと解される。
法の趣旨から言ったら、ちゃんとその範囲内にはいいているじゃないかと言っています。開示することはネットに流れても仕方ないよねとも書いてあります。ごもっとも。守秘義務は1人でもばらしたら終わりです。何人までならいいというものではありません。となれば、裁判は公開が原則(今回は調停なので表には出てこない)ですので、本来ならTV・ネット中継してもいい案件だと思いますよ。となれば、こういう意見は当然です。

裁判官草野耕一の補足意見
第一に、原審は、Aが本件和解によって自己の名誉やプライバシーを「真意に基づいて」放棄したとみることはできないと述べている。しかしながら、Aは同人の代理人である弁護士も関与している訴訟手続の中で本件和解に同意しており、本件和解の規定も、抗告人に対して、単にプライバシーの保護に最大限配慮することを求めるだけでなく、「①顔のモザイク、②声の加工、③プライバシー情報を出さないこと、④報道機関に実名報道を避ける旨を申し入れること等」の具体的措置を執ることを求めるなど十分に詳細なものとなっている。

今更感満載ですが、本人が希望し同意したならそれも仕方ないでしょう。ただし検事はだめですよ。公務員法がありますからね。

第二に、原審は、Aが、本件和解によって自己の名誉やプライバシーに関する権利利益を「全て放棄した」とみることはできないとも述べている。・・・一方、本件記録媒体が証拠採用されれば、(たとえ抗告人が本件諸債務を遵守したとしても)一定の限度でAの名誉やプライバシーが脅かされることは必然の結果といえる。これを要するに、本件記録媒体を証拠採用することにAが同意したということは、それによって必然的にもたらされる同人の名誉やプライバシーへの侵害を同人は(「放棄した」という表現が適切であるか否かは別論として)容認したことを意味するものと解すべきである。

本人と分からなければ、証拠能力が弱すぎます。

第一に、本件和解の内容やそれが締結されるに至った経緯あるいは本件をめぐる報道機関の関心の高さから考えて、Aは証拠調べを終えた本件公判不提出部分が報道機関に提供される場合があり得ることを認識していたことがうかがえる。そうである以上、Aは、抗告人が本件諸債務を遵守するという条件の下で、法廷での証拠調べを終えた本件公判不提出部分を報道機関に提供することをも容認していたと解する余地があり、

いくら意見とは言え、「報道機関に提供することをも容認していたと解する余地」と言えるんですかね。そこはもう少し論証しましょう。

第二に、本件和解が証拠調べを終えた本件公判不提出部分の報道機関への提供を容認したと解し得るとしても、その結果派生的に起こり得る様々な事態に関して抗告人とAが本件和解上いかなる権利・義務を負うかはいささか不分明であるといわざるを得ない。しかしながら、この問題についても、本件和解の解釈問題として当事者間の民事上の権利義務関係を確定することによって解決が可能である。・・・本件和解を訴訟上の和解として成立させた代理人弁護士がそのような事態が起こることがないようにしかるべき配慮を尽くすことを期待する次第である。

これはその通りだと思いますよ。本当に公開されたくなければ、そこまでしっかり書くべきでしたね。ということで珍しく最高裁の判事が弁護士市販をしています。

裁判長裁判官 草野耕一
裁判官 三浦 守
裁判官 岡村和美
裁判官 尾島 明

全員妥当だと思います。さて、検事に対する裁判は今後どうなるのでしょうか?長引かせないようにするため、かつ表に出ないようにするために一審で手打ちをするような気もしますが。こういうのは個人賠償にすべきだと思いますよ。検事の不法行為なのに我々の税金から出てるんですから。