最高裁判所裁判官の暴走を許さない

最高裁判所裁判官の国民審査は、衆議院選挙の時の「ついでに」ならないようにしましょう。辞めさせるのは国民の権利です。

トンデモ判決:NHK受信料には契約の自由はない。ただし、判決が出てから契約成立 2

2018-02-26 19:59:59 | 日記
前回の続きです。

裁判官岡部喜代子の補足意見
公法であっても私権の発生要件について規定することもあり得るところであり,放送法内において受信契約の締結を強制する具体的な方法についての規定がないことが,強制力のないことを理由付けるものではない。

は?同時に強制力を締める根拠にもなりませんよね。

①受信設備を設置したこと,②原告による受信契約申込みの意思表示がなされたことという二つの要件を充足することによって,原告が当該受信設備を設置した者に対して受信契約承諾請求権を取得することになると理解できる。


この点には私も同意します。

民法414条2項ただし書の規定によって意思表示を求める訴訟を提起することができる。そして,判決の確定によって承諾の意思表示をしたものとみなされたときに受信契約が成立する。

これはNHK側の話ですよね。

放送法64条1項が,受信契約承諾請求権の発生要件として「受信設備を設置した者」と規定していて「受信している者」と規定していないことからすれば,受信設備を設置して受信することができる地位にあることによって受信料を支払う義務を負うことになるものといえる。
このように,放送法64条1項は,原告の放送を受信しない者ないし受信したくない者に対しても受信契約の締結及び受信料の支払を強制するものと解される


この法律が憲法に反してるのですよ。合憲だとする根拠を論じていません。論旨も判決もトンデモ


裁判官鬼丸かおるの補足意見
放送法64条1項は,「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は,協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。」と規定しているが,その契約の内容は,原告の策定する放送受信規約により定められている。受信契約の締結が強制されるべきであることは多数意見のとおりであるところ,このことが契約締結の自由という私法の大原則の例外であり

この裁判官も同じですね。放送法64条がそもそも合憲であるとする根拠をすっ飛ばしているのです。

裁判官小池裕,同菅野博之の補足意見
不法行為構成については,受信設備の設置行為をもって原告に対する加害行為と捉えるものといえ,公共放送の目的や性質にそぐわない法律構成ではなかろうか。

彼も合憲だとする根拠を論じていません。

裁判官木内道祥の反対意見
放送法64条1項の定める受信契約の締結義務が判決により強制できないものであることは,なんら法的効力を有しないということではない。
受信契約により生ずる受信料が原告の運営を支える財源であり,これが,原告について定める放送法の趣旨に由来することから契約締結義務が定められているのであるから,受信設備を設置する者に受信契約の締結義務が課せられていることは,「受信契約を締結せずに受信設備を設置し原告の放送を受信しうる状態が生じない」ことを原告の利益として法が認めているのであり,この原告の利益は「法律上保護される利益」(民法709条)ということができる。受信契約の締結なく受信設備を設置することは,この利益を侵害することになり,それに故意過失があれば,不法行為が成立し,それによって原告に生ずる損害については,受信設備設置者に損害賠償責任が認められると解される。


反対意見というから少しはマトモな議論かと思いきや、おもいっきりNHK寄りの思考です。


裁判長裁判官 寺田逸郎
裁判官 岡部喜代子
裁判官 小貫芳信
裁判官 鬼丸かおる
裁判官 木内道祥
裁判官 山本庸幸
裁判官 山崎敏充
裁判官 池上政幸
裁判官 大谷直人
裁判官 小池 裕
裁判官 木澤克之
裁判官 菅野博之
裁判官 山口 厚
裁判官 戸倉三郎
裁判官 林 景一

全員トンデモです。

トンデモ判決:NHK受信料には契約の自由はない。ただし、判決が出てから契約成立 1

2018-02-25 19:03:05 | 日記
平成26(オ)1130  受信契約締結承諾等請求事件
平成29年12月6日  最高裁判所大法廷  判決  棄却  東京高等裁判所

1 放送法64条1項は,日本放送協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者に対しその放送の受信についての契約の締結を強制する旨を定めた規定であり,日本放送協会からの上記契約の申込みに対して上記の者が承諾をしない場合には,日本放送協会がその者に対して承諾の意思表示を命ずる判決を求め,その判決の確定によって上記契約が成立する。
2 放送法64条1項は,同法に定められた日本放送協会の目的にかなう適正・公平な受信料徴収のために必要な内容の,日本放送協会の放送の受信についての契約の締結を強制する旨を定めたものとして,憲法13条,21条,29条に違反しない。
3 日本放送協会の放送の受信についての契約を締結した者は受信設備の設置の月から定められた受信料を支払わなければならない旨の条項を含む上記契約の申込みに対する承諾の意思表示を命ずる判決の確定により同契約が成立した場合,同契約に基づき,受信設備の設置の月以降の分の受信料債権が発生する。
4 日本放送協会の放送の受信についての契約に基づき発生する,受信設備の設置の月以降の分の受信料債権(上記契約成立後に履行期が到来するものを除く。)の消滅時効は,上記契約成立時から進行する。



朝日新聞の解説です。
 「家にテレビがあれば、NHKと受信契約を結ばなければならない」と定めた放送法の規定は憲法違反かが争われた訴訟で、最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は判決期日を12月6日に指定した。受信料はNHKの事業収入の95%以上を占める。半世紀以上にわたり、支払い義務の根拠となってきた規定に初めて判断を示す。
NHKが、自宅にテレビがあるのに契約をしていない東京都の男性に受信料の支払いを求めた訴訟。男性は「契約の強制は、憲法が保障する契約の自由に対する重大な侵害だ」と主張したが、一、二審判決は、NHKが災害報道で果たす役割などを踏まえ「公共の福祉に適合する」として合憲と判断。テレビ設置時にさかのぼり、受信料を請求できるとしている。


裁判所は
1 原告の放送を受信することのできる受信設備(以下,単に「受信設備」ということがある。)を設置していながら原告との間でその放送の受信についての契約(以下「受信契約」という。)を締結していない平成26年(オ)第1130号・同年(受)第1440号上告人兼同年(受)第1441号被上告人(以下「被告」という。)に対し,受信料の支払等を求める事案である。
2 原告が営利を目的として業務を行うこと及び他人の営業に関する広告の放送をすることを禁止した(同法9条3項,46条1項)。現行の放送法64条1項本文は,上記の制定当時の放送法32条1項本文の規定を引き継いだものである(以下,制定当時の放送法32条1項と現行の放送法64条1項とを区別せず「放送法64条1項」ということがある。)。


確かにNHKは法律でこのように定められていますが、実態はどうなんでしょうか。子会社を多く持ち、かなり営業収益を上げています。例えば、教育番組のテキストにはかなり広告が載せられています。これはどうなんですかね。NHK単体ではなくても100%子会社であれば、企業実態を考えて違法状態と言ってもいいと思います。もっとも、テキストを安価で提供する努力としてあっていいと思いますが、子会社を通じて資金が入っているわけですから、ニュースなどに影響が全くないとは言い切れないと思いますよ。

3 原告は,豊かで,かつ,良い放送番組による国内基幹放送を行うこともその目的としており(放送法15条),公衆の要望を満たすとともに文化水準の向上に寄与するように最大の努力を払うこと(同法81条1項1号),全国向けの放送番組のほか地方向けの放送番組を有するようにすること(同項2号),我が国の過去の優れた文化の保存並びに新たな文化の育成及び普及に役立つようにすること(同項3号)が求められている。そして,原告は,公衆の要望を知るために世論調査を行うことを義務付けられている(同条2項)。

ここにこそNHKの存在意義があるのですが、果たして公平性を保つ報道をしているのでしょうか。例えば、つい最近起こった沖縄沖でのタンカー衝突後に二本のEEZ内で沈没した事件は報道されていませんし、人民解放軍によるチベットやウィグルの民族浄化についても報道されません。明らかに、偏っているのです。
例えば、NHK日曜討論BSフジのプライムニュースを比較してみると、明らかにNHKの方が形式にこだわりきちんとやっていないのが分かります。
だから支払い拒否するにはきちんとした手続きがあるべきでしょう。

結論
放送法64条1項は,受信設備設置者に対し受信契約の締結を強制する旨を定めた規定であり,原告からの受信契約の申込みに対して受信設備設置者が承諾をしない場合には,原告がその者に対して承諾の意思表示を命ずる判決を求め,その判決の確定によって受信契約が成立すると解するのが相当である

放送法64条1項は,同法に定められた原告の目的にかなう適正・公平な受信料徴収のために必要な内容の受信契約の締結を強制する旨を定めたものとして,憲法13条,21条,29条に違反するものではないというべきである。

受信契約に基づき発生する受信設備の設置の月以降の分の受信料債権(受信契約成立後に履行期が到来するものを除く。)の消滅時効は,受信契約成立時から進行するものと解するのが相当である。


トンデモですね。既にスクランブルが実用化されている状況を考えると、それを解除する申し出があってはじめて契約成立とすべきでしょう。技術に疎いというか老人の戯言とレベルです。
実際、NHKの紅白歌合戦やその他の音楽番組は見るに堪えません。また、プロスポーツ番組をNHKが流す必然性はどこにあるのでしょうか?こういう番組こそ民放でやるべきで、NHKはきちんとニュースまたは政治番組をやるべきなのです。つまり、NHKは番組を選んで金を払うなどの選択肢なしで一括で払えと言っている時点で、独占禁止法で禁止する抱き合わせ販売と同じことになっていませんか?

余りにも多数の裁判官が補足意見を出しているので、個別の裁判官の評価は次回にまわします。

トンデモ論旨 子の引渡仮処分

2018-02-17 17:10:39 | 日記
平成29(許)17  子の引渡し仮処分命令申立て却下決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件
平成29年12月5日  最高裁判所第三小法廷  決定  棄却  福岡高等裁判所  那覇支部

離婚した父母のうち子の親権者と定められた父が法律上監護権を有しない母に対し親権に基づく妨害排除請求として子の引渡しを求めることは,次の(1)~(3)など判示の事情の下においては,権利の濫用に当たる。
(1) 子が7歳であり,母は,父と別居してから4年以上,単独で子の監護に当たってきたものであって,母による上記監護が子の利益の観点から相当なものではないことの疎明がない。
(2) 母は,父を相手方として子の親権者の変更を求める調停を申し立てている。
(3) 父が,子の監護に関する処分としてではなく,親権に基づく妨害排除請求として子の引渡しを求める合理的な理由を有することはうかがわれない。
(補足意見がある。)


1 出来ちゃった結婚しましたが、3年後に母親が子供を連れて別居に至りました。
2 子供が3歳の時に、親権者を父にして協議離婚にいたりました。
3 ところが、子供が6歳になったときに親権者を父親から母親に変更するように調停を起こしました。

那覇地裁では、家事事件手続法別表第2の3の項所定の子の監護に関する処分の審判事件であり,民事訴訟の手続によることができないから,本件申立ては不適法であるとして却下すべきものとして却下した。

これに対して最高裁は、
離婚した父母のうち子の親権者と定められた一方は,民事訴訟の手続により,法律上監護権を有しない他方に対して親権に基づく妨害排除請求として子の引渡しを求めることができると解される(最高裁昭和32年(オ)第1166号同35年3月15日第三小法廷判決・民集14巻3号430頁,最高裁昭和45年(オ)第134号同年5月22日第二小法廷判決・判例時報599号29頁)。

要するに、過去の判例から出来ますよと言ってます。続けて

長男が7歳であり,母は,抗告人と別居してから4年以上,単独で長男の監護に当たってきたものであって,母による上記監護が長男の利益の観点から相当なものではないことの疎明はない。

この時点で母親の監護能力に問題はなかったと言えるのでしょうか??実際に、親権者を父親にして離婚をしています。親権が欲しければ、離婚時に申し立てるべきであり、一度放棄してから数年後になってから変更を求めると負うのは解せません。この時点で、物心がついてから生活環境を変える方がよほどこの監護に問題がありますね。

そして,母は,抗告人を相手方として長男の親権者の変更を求める調停を申し立てているのであって,長男において,仮に抗告人に対し引き渡された後,その親権者を母に変更されて,母に対し引き渡されることになれば,短期間で養育環境を変えられ,その利益を著しく害されることになりかねない


抗告人は,母を相手方とし,子の監護に関する処分として長男の引渡しを求める申立てをすることができるものと解され,上記申立てに係る手続においては,子の福祉に対する配慮が図られているところ(家事事件手続法65条等),抗告人が,子の監護に関する処分としてではなく,親権に基づく妨害排除請求として長男の引渡しを求める合理的な理由を有することはうかがわれない。
そうすると,上記の事情の下においては,抗告人が母に対して親権に基づく妨害排除請求として長男の引渡しを求めることは,権利の濫用に当たるというべきである。


ちょっと待ってくださいよ。これは面会交流を妨害するのではなく、親権ですよ。6歳と言えば小学校に入るかどうかの年齢ですから、夕方から朝まで約15時間以上も一緒に暮らし、重要な案件も親権者が決めるのです。普段の言動から、態度も含め、その子供の人格形成に大きく影響を与えるのです。裁判官はそこを分かっているのでしょうか?

これについて木内裁判官の補足意見があります。

親権は,子の監護及び教育をする権利であると同時に義務であって,子の利益のために行使されるべきものである(民法820条)。所有権が対象に対する排他的
支配権であって,権利であるが故にその行使を妨害されないという妨害排除請求権が認められるのとは異なり,単に親権者であることからその親権の行使が認められるのではなく,その行使が子の利益のためにするものであってはじめて権利の行使として許容される。親権の行使が「子の利益を害するとき」は民法834条の2による親権の停止の事由となり,親権そのものが停止されるに至るのであるから,親権を行使する個々の場面でも,子の利益を害するものが許されないことはいうまでもない。


その通りですよ。

民事訴訟の手続による親権に基づく子の引渡請求の本案訴訟及びそれを本案とする民事保全処分においては,権利の存否及び保全の必要性について,専ら,当事者(本件でいえば,子の父と母)が裁判所に対して主張と証拠の提出を行わなければならず,裁判所が子の利益のために後見的役割を果たすことは予定されておらず,そのための道具立ては用意されていない。


ここまではごもっとも。

別居以来,4年以上,母が単独で監護に当たっており(少なくとも本年3月末までは)母による監護について抗告人である父があらかじめ同意しており,その監護態様に異議が述べられたことがあるとは認められない。本件の申立てにおいても,母による監護が子にとって不相当であるという疎明はされていない。すると,そのような監護状態にある子を主たる監護者である母から引き離して抗告人に引き渡すことは,抗告人が親権者であるとはいえ,子の利益を害するおそれがあるというべきである。


母が子にとって不相当であると疎明されていないとありますが、「その当時は」と限定すべきですね。その後、親権を父親にしていることをもっと重視すべきです。しかも、協議離婚であるから親権を放棄したとみなすべきでしょう。

全員一致で、
このような抗告人の親権に基づく母に対する子の引渡請求は,子の利益のためにするものということはできず,権利の濫用として許されないものである。
裁判長裁判官 木内道祥 トンデモ
裁判官 岡部喜代子 トンデモ
裁判官 山崎敏充 トンデモ
裁判官 戸倉三郎 トンデモ
裁判官 林 景一 トンデモ

とんでもないですね。これが父親だったらどうなるのでしょうか?ほとんどが母性優先の原則とやらの意味不明な原則で、ほとんど無理やり母親に渡されます。父親だったらこのような判決が出るとは到底思えません。社会がこれだけ女性の社会進出、男女平等、イクメン等々お題目を並べていますが、こういう判決が出ると虚しくなります。
この裁判は地裁から最高裁まで6ヶ月という短期間で行われましたが、通常離婚裁判はまず調停をしてからでないと家裁に申し立てられません。たいていは、夫が仕事意言っている間にこっそりと母親が連れ去りをします。その上で継続性の原則を見たすために、DVをでっち上げて接見禁止、揚句に住所を転々とし半年以上単独で監護していたから今度は継続性の原則。そうでなくても、普通2-3年の期間裁判をやり続けます。これで親権は連れ去った者が地になります。これは泥棒に追い銭ですよね。
このケースでは、母親が連れ去り、その後離婚時に親権を夫に移しているのです。ここをもっと重視すべきで、論旨はトンデモとしか言いようがありません。

参考サイト 母性優先の原則・監護継続性の原則廃止要求

騙されたふり作戦、実態からみて詐欺集団と一体とみなされ受け子は有罪

2018-02-16 20:37:11 | 日記
平成29(あ)1079  詐欺未遂被告事件
平成29年12月11日  最高裁判所第三小法廷  決定  棄却  福岡高等裁判所


共犯者による欺罔行為がされた後,だまされたふり作戦が開始されたことを認識せずに共犯者らと共謀の上,詐欺を完遂する上で欺罔行為と一体のものとして予定されていた被害者から発送された荷物の受領行為に関与したなどの本件事実関係(判文参照)の下では,だまされたふり作戦の開始いかんにかかわらず,被告人はその加功前の欺罔行為の点も含め詐欺未遂罪の共同正犯としての責任を負う

朝日新聞
の報道では以下の通りです。


電話などで言葉巧みに現金をだまし取ろうとする特殊詐欺の捜査で、被害者が警察に協力し、容疑者からの電話に引っかかったふりをして逮捕に結びつける「だまされたふり作戦」。
この手法の是非が争われた裁判で、最高裁第三小法廷(山崎敏充裁判長)は、手法に問題はなく、詐欺未遂罪が成立するとの初判断を11日付の決定で示した。
 神奈川県警が2009年に始め、全国へ広まった手法だが、裁判所によっては「被害者は実際にはだまされていない」として無罪判決も出ていた。今回も一審は無罪、二審は有罪と結論が分かれていた。
 決定によると、福岡県大野城市の女性は15年、氏名不詳者から電話で「ロト6が必ず当たる特別抽選に参加できる」と言われ、現金120万円を要求された。警察に相談し、だまされたふりをして現金の入っていない箱を送ったところ、箱を受け取った兵庫県尼崎市の男(36)が逮捕された。
 第三小法廷は、電話でだます行為も荷物を受け取る行為も一連の詐欺行為だと指摘。詐欺と認識しながら荷物を受け取れば、中に現金が入っていなくても、受け取り役の刑事責任を問えると結論づけた。



福岡地裁では、なぜか受け子は無罪になったようです。その理由はこちら

それに対して最高裁は次のように述べています。
前記の事実関係によれば,被告人は,本件詐欺につき,共犯者による本 件欺罔行為がされた後,だまされたふり作戦が開始されたことを認識せずに,共犯 者らと共謀の上,本件詐欺を完遂する上で本件欺罔行為と一体のものとして予定さ れていた本件受領行為に関与している。そうすると,だまされたふり作戦の開始い かんにかかわらず,被告人は,その加功前の本件欺罔行為の点も含めた本件詐欺に つき,詐欺未遂罪の共同正犯としての責任を負うと解するのが相当である。

まあ、そうでしょう。過去に麻薬の国際郵便による密輸事件も、有罪になっていますし、原審がおかしかったとしか思えません。

第三小法廷
裁判長裁判官 山崎敏充
裁判官 岡部喜代子
裁判官 木内道祥
裁判官 戸倉三郎
裁判官 林 景一

注目裁判:前橋地裁朝鮮人追悼碑、県の処分取り消し

2018-02-15 16:33:58 | 日記
時事通信の報道です。

設置更新不許可は違法=朝鮮人追悼碑、県の処分取り消し-前橋地裁
第2次大戦中、日本に労務動員され死亡した朝鮮人労働者の追悼碑について、群馬県が設置期間更新を不許可としたのは不当として、碑を建てた市民団体側が処分取り消しなどを求めた訴訟の判決が14日、前橋地裁であった。塩田直也裁判長は「裁量権を逸脱し違法」として処分を取り消した。
 判決によると、碑は2004年、同県高崎市の県立公園「群馬の森」内に、団体側が「政治的行事や管理を行わない」などを条件に建立。日本語やハングルで「記憶 反省 そして友好」などと記されている。県は、団体側が毎年開いている追悼式で、出席者が政治的発言をしたとして、14年7月に更新を不許可とし、撤去を求めた。
 塩田裁判長は、発言があった追悼式は「政治的行事」に該当し、条件違反と認定。ただ、県は原告側が示した式の自粛などの代替案を十分考慮しないまま不許可にしたと指摘し、処分は「社会通念に照らし著しく妥当性を欠く」と述べた。
 大沢正明知事は「判決文を詳細に検討し、対応を考えたい」とのコメントを出した。



その経緯はBuzzFeed Newsで詳細に書かれています。

2017年4月。群馬県立近代美術館の企画展に展示されるはずだった造形作品「群馬県朝鮮人強制連行追悼碑」が、開会当日の朝になって撤去された。
県が係争中の案件を取り扱った作品だったため、「中立ではない」と館側が判断し、作家同意のもとで撤去されたという。
いったい、どういう経緯だったのか。作品の「中立性」とは何なのか。 BuzzFeed Newsは関係者に取材をした。
まず、大枠の経緯を振り返ろう。

撤去された作品は、前橋市のアーティスト・白川昌生さん(69)のもの。群馬県立近代美術館で開かれる企画展「群馬の美術2017〜地域社会における現代美術の居場所」で展示される予定だった。
そもそもこの作品は、近代美術館がある公園「群馬の森」(高崎市)の敷地内に実在する「『記憶、反省、そして友好』の追悼碑」をモチーフにしたものだ。
碑をめぐっては、その撤去を求める県と設置主体の市民団体の間で裁判が起きている。
「追悼碑」は2004年、「戦時中に群馬で強制労働に従事させられ、亡くなった朝鮮人犠牲者を追悼すること」を目的とし、市民団体によって建てられた。県議会が全会一致で請願を採択し、県が許可を出したうえでの建設だった。
しかし2012年ごろから、碑の存在に反発した保守団体が街宣活動などを開始。2014年には設置許可取り消しを求める陳情が県議会で採択され、県も設置許可の更新申請を却下。撤去の方針が決まった。
「政治的行事及び管理」を禁止した許可条件に違反している、などの理由だ。これを不服とした団体側は県を提訴。いまも裁判が続いている。
白川さんはこうした経緯を踏まえ、「公共の場における碑の役割」を提起したいとの思いを作品に込めている。同様に碑の設置に関して揉めていた「長崎原爆投下記念碑」をモチーフにした作品とともに、2015年に発表した。


これに対して設置反対派頑張れ日本 全国行動委員会 群馬県支部の見解です。
「群馬の森」の朝鮮人追悼碑の撤去をめぐっては無駄に長い法廷闘争が続いています。
 朝鮮人追悼碑を建立した「追悼碑を守る会」が発行した小冊子(小冊子のタイトル:『消し去られた歴史』をたどる・群馬県内の朝鮮人強制連行)によれば、 強制連行された朝鮮人は下記(朝鮮人強制連行検証結果)の現場に連れてこられて、強制的に働かされたのだそうです。
 しかし引用元などの検証の結果、随所に捏造・改竄と思われる箇所があることがわかりました。



争うべきは、事実以前に公園にふさわしいものであるかどうかだと思いますが。
石川県金沢市にはとんでもないものが不法に作られ、撤去されずにあります。多くの日本人を爆弾で殺した韓国人賛美記念館がなぜ金沢に?
ほったらかしにしておくと増殖しますので、きちんと法的に対処しなければいけません。

強盗殺人、ドラム缶で死体遺棄の死刑確定

2018-02-14 20:33:39 | 日記
平成27(あ)120  窃盗,強盗殺人,住居侵入被告事件
平成29年12月8日  最高裁判所第三小法廷  判決  棄却  大阪高等裁判所



毎日新聞の報道
では以下の通りです。

2004年に大阪府和泉市で元社長夫妻を殺害したとして強盗殺人罪に問われた元建築作業員、鈴木勝明被告(50)の上告審判決で、最高裁第3小法廷は8日、被告の上告を棄却した。1、2審の死刑判決が確定する。戸倉三郎裁判長は「200万円を超える金品を奪い、落ち度のない2人の生命を奪った結果は重大。死刑はやむを得ない」と述べた。
 判決などによると、鈴木被告は04年12月、元社長の浅井建治さん(当時74歳)方で浅井さんと妻きよさん(同73歳)の頭を鈍器で殴って殺害し、高級腕時計や車などを奪った。2人の遺体はドラム缶に砂とともに詰められ、09年に過去に被告が借りていた阪南市のガレージで発見された。
 夫婦殺害については目撃証言などの直接証拠がなく、弁護側は「夫婦を殺害した第三者に遺体処理を強要された」などと無罪を主張していた。しかし、最高裁は被害者が殺害された直後に被告が被害者の腕時計を換金したことや、自らガレージを借りてドラム缶に2人の遺体を入れたことを認めている点を考慮し、「強盗殺人の事実は、合理的な疑いを差し挟む余地がない程度に証明されている」として1、2審の有罪判断を支持した。裁判官5人全員一致の意見。



どうやら、死刑そのものが憲法違反だとして死刑回避を狙ったようです。

裁判所は次の用の述べています。
実質は単なる法令違反,事実誤認,再審事由,量刑不当の 主張であって,刑訴法405条の上告理由に当たらない。 なお,所論に鑑み記録を調査しても,本件につき,刑訴法411条を適用すべき ものとは認められない。
刑訴法414条396条181条1項ただし書により,裁判官全員 一致の意見で,主文のとおり判決する。


本人が事実関係を認めざるを得ない証拠が揃いながらも、減刑を望んでいたのですね。こういうのが改元で恩赦にならないように祈ります。まともな判決でした。

裁判長裁判官 戸倉三郎
裁判官 岡部喜代子
裁判官 木内道祥
裁判官 山崎敏充
裁判官 林 景一

死刑判決が出るたびに、各弁護士会で死刑は残虐だ、充分な議論が尽されていない等々死刑執行に反対の会長声明が出ていますが、刑事訴訟法 475条2項により死刑確定後速6ヶ月以内に執行されなければなりません。法律の専門家であるならば、いつまでも執行しない事を問題にすべきですし、また私的意見を会長声明で決議も取らずに出す方が問題です。圧倒的多数の弁護士会でこのような声明を出していますが、プロ意識を疑います。
また、「殺したがる馬鹿」と宗教家を称する人が批判しますが、死刑に該当するような犯罪を起こさせないようにするのが宗教家の勤めではないでしょうか。

児童ポルノの撮影は本人が同意しても強制わいせつになる

2018-02-11 18:19:36 | 日記
平成28(あ)1731  児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反,強制わいせつ,犯罪による収益の移転防止に関する法律違反被告事件

平成29年11月29日  最高裁判所大法廷  判決  棄却  大阪高等裁判所

刑法(平成29年法律第72号による改正前のもの)176条にいう「わいせつな行為」に当たるか否かの判断を行うための個別具体的な事情の一つとして,行為者の目的等の主観的事情を判断要素として考慮すべき場合はあり得るが,行為者の性的意図は強制わいせつ罪の成立要件ではない。

今回はかなりグロい事件ですので、苦手な方は避けてください。

以下、東京新聞の報道です。
 わいせつな行為をしても性欲を満たす意図がない場合に、強制わいせつ罪に問えるかどうかが争われた刑事事件の上告審判決で、最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は二十九日、同罪は「性欲を満たす意図がなくても成立する」との初判断を示した。「同罪の成立には性的意図が必要」とした一九七〇年の最高裁判例を四十七年ぶりに変更した。十五人の裁判官全員一致の意見。
 判決は、性犯罪に対する社会の受け止め方の変化から「今日では、被害者の受けた性的な被害の有無やその内容、程度にこそ目を向けるべきで、判例の解釈はもはや維持し難い」と指摘。「性的意図を一律に同罪の成立要件とすることは相当でない」とした。
 二〇一五年に十三歳未満の少女の体を触って裸を撮影したとして、強制わいせつと児童買春・ポルノ禁止法違反罪に問われた被告の男(40)の上告を棄却し、一、二審判決の懲役三年六月が確定する。
 最高裁は七〇年、報復目的で女性を裸にして撮影した事件について「強制わいせつ罪の成立には性的意図が必要」と判示。今回の事件で被告側は、知人から金を借りる条件としてわいせつな画像を送るように要求されただけで「被告に性的意図はなかった」とし、この判決を根拠に無罪を主張していた。
 一、二審判決は「被害者の性的自由が侵害されたかどうかは、性的意図の有無に左右されない。性的意図がなくても同罪は成立する」と指摘。七〇年の最高裁判例を「相当でない」として実刑判決を言い渡し、被告側が上告。被告側は、性的意図が不要となれば医療行為などが処罰対象となりかねないなどと主張していた。



事実確認を見ます。
1 被告人は,被害者が13歳未満の女子であることを知りながら,被害者に対し,被告人の陰茎を触らせ,口にくわえさせ,被害者の陰部を触るなどのわいせつな行為をした。
それに対して、被告人は金銭目的であったとと主張しています。想像するに、ロリコンビデオを撮影するとき、男優が強制わいせつで訴えられたようです。当時の法律では、相手の同意があってもこの年齢との性行為は強制わいせつになりました。

2 原判決が,平成29年法律第72号による改正前の刑法176条(以下単に「刑法176条」という。)の解釈適用を誤り,強制わいせつ罪が成立するためには,その行為が犯人の性欲を刺激興奮させ又は満足させるという性的意図のもとに行われることを要するとした昭和45年判例とは合わないと主張した。

ちなみに刑法176条は、男女が者に変わっただけで、趣旨は変わりません。

3 昭和45年判例は,被害者の裸体写真を撮って仕返しをしようとの考えで,脅迫により畏怖している被害者を裸体にさせて写真撮影をした。
要するに動機が違うと主張したかったようです。

そこで裁判所は動機で判断するのはおかしいと考えたようです。
ア 昭和45年判例は,強制わいせつ罪の成立に性的意図を要するとし,性的意図がない場合には,強要罪等の成立があり得る旨判示しているところ,性的意図の有無によって,強制わいせつ罪(当時の法定刑は6月以上7年以下の懲役)が成立するか,法定刑の軽い強要罪(法定刑は3年以下の懲役)等が成立するにとどまるかの結論を異にすべき理由を明らかにしていない。・・・性的な被害に係る犯罪規定あるいはその解釈には,社会の受け止め方を踏まえなければ,処罰対象を適切に決することができないという特質があると考えられる。


イ だから法律を改正して、刑期も変えた。

この辺りはなんだか詭弁っぽいですね。性犯罪が各国によって社会によってとらえ方が違うというのであれば、殺人や横領だってかなり違いますよ。死刑反対と言っている国すらあるのですから。

ウ 強制わいせつ罪の成立要件の解釈をするに当たっては,被害者の受けた性的な被害の有無やその内容,程度にこそ目を向けるべきである。

個別具体的な事情の一つとして,行為者の目的等の主観的事情を判断要素として考慮すべき場合があり得ることは否定し難い。しかし,そのような場合があるとしても,故意以外の行為者の性的意図を一律に強制わいせつ罪の成立要件とすることは相当でなく,昭和45年判例の解釈は変更されるべきである。


このこと自体は賛成しますが、アーウの理由はもう少し考えなさいよと言いたくなります。児童福祉法とか関連法律はいくらでもあるでしょうに。犯罪の成立は完全に外形基準でいいと思います。

結論
本件についてみると,第1審判決判示第1の1の行為は,当該行為そのものが持つ性的性質が明確な行為であるから,その他の事情を考慮するまでもなく,性的な意味の強い行為として,客観的にわいせつな行為であることが明らかであり,強制わいせつ罪の成立を認めた第1審判決を是認した原判決の結論は相当である。

裁判長裁判官 寺田逸郎
裁判官 岡部喜代子
裁判官 小貫芳信
裁判官 鬼丸かおる
裁判官 木内道祥
裁判官 山本庸幸
裁判官 山崎敏充
裁判官 池上政幸
裁判官 大谷直人
裁判官 小池 裕
裁判官 木澤克之
裁判官 菅野博之
裁判官 山口 厚
裁判官 戸倉三郎
裁判官 林 景一

この判決自体は納得できるものですが、大法廷での審議の割には補足意見すら出ない今一つの論理展開でしたね。

相続財産が債務超過になりそうなときに財産を分離して相続できる

2018-02-10 10:21:19 | 日記
平成29(許)14  相続財産の分離に関する処分及び相続財産管理人選任審判に対する抗告審の取消決定に対する許可抗告事件
平成29年11月28日  最高裁判所第三小法廷  決定  棄却  大阪高等裁判所

家庭裁判所は,相続人がその固有財産について債務超過の状態にあり又はそのような状態に陥るおそれがあることなどから,相続財産と相続人の固有財産とが混合することによって相続債権者又は受遺者がその債権の全部又は一部の弁済を受けることが困難となるおそれがあると認められる場合に,民法941条1項の規定に基づき,財産分離を命ずることができる。

いやー、これも雑すぎますね。全部含めて1ページでおさまっている判決文です。



民法941条1項の規定する財産分離の制度は,相続財産と相続人の固有財産とが混合することによって相続債権者又は受遺者(以下「相続債権者等」という。)がその債権の回収について不利益を被ることを防止するために,相続財産と相続人の固有財産とを分離して,相続債権者等が,相続財産について相続人の債権者に先立って弁済を受けることができるようにしたものである。
このような財産分離の制度の趣旨に照らせば,家庭裁判所は,相続人がその固有財産について債務超過の状態にあり又はそのような状態に陥るおそれがあることなどから,相続財産と相続人の固有財産とが混合することによって相続債権者等がその債権の全部又は一部の弁済を受けることが困難となるおそれがあると認められる場合に,民法941条1項の規定に基づき,財産分離を命ずることができるものと解するのが相当である。



第三小法廷
裁判長裁判官 岡部喜代子
裁判官 木内道祥
裁判官 山崎敏充
裁判官 戸倉三郎
裁判官 林 景一

こんな制度があるとは知りませんでした。債務超過は一律相続放棄すなわち全部の遺産を放棄しないと認められないと思っていました。
でも、こんな制度があるならば、借金しまくって財産だけ相続、借金に絡むものは放棄ということができるのですよね。これって公平な制度ではないですよね。立法の問題ですが、こんな制度があっていいのでしょうか?

債務保証先が再生案件になり債務保証が原因で債務超過になった場合、民事再生法では否認できない2

2018-02-09 10:14:25 | 日記
平成29(受)761  再生債権査定異議事件
平成29年11月16日  最高裁判所第一小法廷  判決  棄却  東京高等裁判所

再生債務者が無償行為若しくはこれと同視すべき有償行為の時に債務超過であること又はその無償行為等により債務超過になることは,民事再生法127条3項に基づく否認権行使の要件ではない。

前の記事の関連裁判のようです。
なんでこれが別の裁判として扱われているのか、よく分かりません。

第一小法廷判
全員一致
裁判長裁判官 池上政幸
裁判官 大谷直人
裁判官 小池 裕
裁判官 木澤克之 裁判官 山口 厚