最高裁判所裁判官の暴走を許さない

最高裁判所裁判官の国民審査は、衆議院選挙の時の「ついでに」ならないようにしましょう。辞めさせるのは国民の権利です。

当然の判決:嫡出否認訴訟

2017-11-29 19:54:10 | 日記
一般論として言います。
ある夫Aさんと妻Bさんがいました。夫婦仲が悪く、Bさんは家出をしました。Bさんは、離婚を申し立てましたがなかなか応じてもらえません。Bさんには、C男さんと恋仲になりました。そして、子供Dが出来ました。現行法では、AさんとBさんは法律上夫婦なので、法律上Aさんの子供と成ります。
ところが、Bさんは子供Dちゃんを出生届を出しませんでした。というのも、現行法では先の通りAさんの子供となるうえ、Bさんの居住地が分かってしまうからです。その結果、Dちゃんは無戸籍のままになってしまいました。
Bさんは、そもそも民法の規定がおかしく、憲法に反するとして国を相手に訴えました。

どうなんですかね。離婚後一定期間過ぎないで生まれた場合は、前の夫の子として推定すると民法にはありますが、離婚が成立する前にほかの男の子供を宿すというのはどうなんでしょう。まだ、犯罪で強制的に妊娠に至ったわけでないのであれば、倫理的にどうなのかと思います。これは逆ギレ以外の何物でもないと思いますが。
むしろ、子供の権利よりも自己の権利を優先したとして、Bを刑罰に処してもいいくらいだと思います。


嫡出否認訴訟:民法の規定は合憲、請求棄却 神戸地裁
 生まれた子との父子関係を否定する「嫡出否認」が夫のみに認められている民法の規定は法の下の平等を定めた憲法に違反するとして、兵庫県内の60代女性と娘、孫2人の計4人が国に計220万円の損害賠償を求めた訴訟で、神戸地裁(冨田一彦裁判長)は29日、規定は合憲とし、請求を棄却した。原告代理人によると、無戸籍問題の一因と指摘されている嫡出否認の違憲性に争点を絞った初めての訴訟で、娘と孫2人は長く無戸籍の状態に置かれていた。
 訴状などによると、女性は1980年代、夫から度重なる暴力を受けて別居し、別の男性との間に娘が生まれた。離婚成立後に男性を父とする出生届を提出したが、婚姻中に妊娠した子は元夫の子とみなす民法の「嫡出推定」で不受理となった。嫡出否認の手続きを検討したが、元夫にしか権限がなく、暴力の危険から断念。男性との父子関係を確認する認知調停も申し立てたが、裁判官に「元夫の証言が必要」と指摘され、取り下げた。元夫の死亡が判明した後の昨年まで娘と孫は無戸籍状態となった。
 明治時代の民法を引き継ぎ、妻や子に嫡出否認権を認めない制度について、女性側は法の下の平等、両性の平等などを定めた憲法に反し、国会が民法を改正する立法措置を怠ったと指摘。そのため無戸籍となり、行政サービスを受けられないなど精神的苦痛を受けたと訴えていた。
 一方、国側は、夫のみ否認できる規定を含む現行の嫡出推定制度は「(扶養義務を負う)父を早期に確定させ、子の利益を守り、家庭の平和を尊重する観点から合理性がある」などと反論していた。


子供には罪はないですが、親には大ありでしょう。
ただ、これを利用して背乗りが横行するようなことがないように緊急に制度を考えるべきです。

事実誤認の訴えは却下死刑確定

2017-11-28 15:55:22 | 日記
平成26年(あ)第589号 強盗殺人,詐欺,窃盗,住居侵入被告事件
平成29年7月27日 第一小法廷判決

以下、毎日新聞の報道です。

鳥取連続不審死
最高裁上告棄却 上田被告死刑判決確定へ
2009年に鳥取県で起きた連続不審死事件で2件の強盗殺人罪などに問われた元スナックホステス、上田美由紀被告(43)の上告審判決で、最高裁第1小法廷は27日、被告の上告を棄却した。1、2審の死刑判決が確定する。小池裕裁判長は「被告は債務の弁済を免れようと2人を殺害しており、いずれも強固な殺意に基づく計画的で冷酷な犯行。死刑はやむを得ない」と述べた。
 判決によると、上田被告は09年4月、270万円の借金返済を免れるためにトラック運転手の矢部和実さん(当時47歳)に睡眠薬を飲ませて同県北栄町の日本海で水死させた。同10月には電器店経営の円山秀樹さん(同57歳)を同様の手口で県内の川で水死させて、家電代金約53万円の支払いを免れた。
 2件とも殺害現場の目撃証言といった直接証拠がなく、上田被告は逮捕以降、一貫して関与を否認。上告審でも弁護側が「女性である被告が、意識がもうろうとした男性を一人で水中に誘導することは不可能だ」として無罪を主張していた。
 これに対し最高裁は、2件とも犯行時間帯直後に現場付近で「体がぬれた状態の被告を見た」とした元同居男性の証言について「客観的な証拠と整合しており信用できる」と指摘。2人の遺体から検出された睡眠薬を被告が入手していたとみられる点などの間接証拠も積み上げ、無罪主張を退けた。裁判官5人全員一致の意見。


以下、時事通信の報道です。
上田被告の死刑確定へ=最高裁が上告棄却-鳥取連続不審死
鳥取県で2009年に男性2人が変死した連続不審死事件をめぐり、強盗殺人などの罪に問われた元スナック従業員上田美由紀被告(43)の上告審判決で、最高裁第1小法廷(小池裕裁判長)は27日、被告側の上告を棄却した。一、二審の死刑判決が確定する。
 判決理由で第1小法廷は「経緯や動機に酌むべき事情がなく、強固な殺意に基づく計画的で冷酷な犯行だ。刑事責任は極めて重い」と指摘した。
 弁護側は、2件の強盗殺人について無罪を主張。被告を犯人とする直接的な証拠はなく、遺体から検出された睡眠薬成分などの状況証拠をどう評価するかが争点だった。
 一審鳥取地裁の裁判員裁判は「殺害の機会があったのは被告だけ」として、いずれも被告の犯行と認定。二審広島高裁松江支部も支持した。
 第1小法廷は、被害者と最後に接触したのが上田被告で、睡眠薬を事前に入手していたことなどを挙げ、「一、二審判決は正当だ」とした。
 一、二審判決によると、上田被告は09年4月、借金返済を免れるためトラック運転手矢部和実さん=当時(47)=に睡眠薬を飲ませ、鳥取県内の海で溺れさせて殺害。同10月には同様の手口で電器店経営円山秀樹さん=同(57)=を川で水死させ、家電製品の代金支払いを免れるなどした。


今回の争点は、1審における公判で黙秘が認められるかですが、それ以前に裁判官はその訴えを事実認定を争っているに過ぎないとして、却下されました。
事実確認についても、客観的な判断があるとして死刑が確定しました。

裁判長裁判官 小池 裕
裁判官 池上政幸
裁判官 大谷直人
裁判官 木澤克之
裁判官 山口 厚

TOBの公告を出したあとの公告を無視した株取引は無効である

2017-11-23 19:02:35 | 日記
平成29年(許)第7号 売渡株式等の売買価格決定申立て却下決定に対する抗 告棄却決定に対する許可抗告事件

平成29年8月30日 第二小法廷決定


会社法179条の4第1項1号の通知又は同号及び社債,株式等の振替に関する法律161条2項の公告がされた後に会社法179条の2第1項2号に規定する売渡株式を譲り受けた者は,同法179条の8第1項の売買価格の決定の申立てをすることができない。

事実確認から見ていきましょう。
1 訴えた人は、ある上場企業の株を公開買い付けを行い、会社法179条1項の特別支配株主になりました。平成27年12月に、売らなかった株主に買い取りたいと通知しました。
2 公開買い付けを仕掛けられた会社は、会社法179条の4にしたがって、会社法161条2項
で価格を決めて公告しました。
3 本件公告後に、本件対象会社の売渡株式のうち3000株を譲り受けた。


別に違法性も何もないように見えますが、会社法第179条の8で、本件公告後に本件株式を譲り受けた抗告人が売買価格決定の申立てをすることができるからしいです。

第179条の8
① 株式等売渡請求があった場合には、売渡株主等は、取得日の二十日前の日から取得日の前日までの間に、裁判所に対し、その有する売渡株式等の売買価格の決定の申立てをすることができる。


会社を公開買い付けがある程度進みましたが、完全子会社にするために売らなかった人にこの値段で売買するからと、公告した後に別の人に売ったのを不服としているようです。

これについて裁判所は、
4 特別支配株主の株式売渡請求は,その株式売渡請求に係る株式を発行してい る対象会社が,株主総会の決議を経ることなく,これを承認し,その旨及び対価の 額等を売渡株主に対し通知し又は公告すること(法179条の4第1項1号,社 債,株式等の振替に関する法律161条2項)により,個々の売渡株主の承諾を要 しないで法律上当然に,特別支配株主と売渡株主との間に売渡株式についての売買 契約が成立したのと同様の法律関係が生ずることになり(法179条の4第3 項),特別支配株主が株式売渡請求において定めた取得日に売渡株式の全部を取得 するものである(法179条の9第1項)。
全員一致で上記の通知又は公告がされた後に売渡株式を譲り受けた者は,売買 価格決定の申立てをすることができないというべきである。

そもそも公告とは「官公署による公告は、主に官報や公報で行われる。また裁判所などでは裁判所の掲示板に掲示して公示とすることもある。官報や公報への掲載、および裁判所の掲示板に2週間程度掲示することにより、全国民が認知したと言う事になる。」訳でして、この公告を無視してやってしまったことは、法の安定性を根本からひっくり返すことになりますね。
実際、法が施行されるときに官報で公告される事が前提となり、その官報が地方によって届くのが遅いか早いかで、改正後の法に従って違法性の有無が争われた事件がありました。詳細は忘れましたが。
これは、公告の本来的意味を守る判決でした。



今回の裁判官
裁判長裁判官 鬼丸かおる 当然
裁判官 小貫芳信 当然
裁判官 山本庸幸 当然
裁判官 菅野博之 当然

トンデモ判決:司法書士が受けてはいけない案件、作った和議は成立する。

2017-11-18 16:49:27 | 日記
平成28(受)1463  過払金返還請求事件
平成29年7月24日  最高裁判所第一小法廷  判決  破棄自判  名古屋高等裁判所  金沢支部

認定司法書士が委任者を代理して裁判外の和解契約を締結することが弁護士法72条に違反する場合であっても,当該和解契約は,その内容及び締結に至る経緯等に照らし,公序良俗違反の性質を帯びるに至るような特段の事情がない限り,無効とはならない。

ようやくサラ金の過払い金を取り戻すCMが大人しくなてきました。金額が少なければ司法書士、金額が大きければ弁護士と法律で決められていますが、今回の事件は司法書士が弁護士の領域を犯したところから始まったようです。
裁判所の認定から見ていきましょう。


1 Aさんは、平成5年5月25日から平成20年11月30日まで,利息制限法所定の制限を超える利息の約定で継続的な金銭消費貸借取引(以下「本件取引」という。)を行った。本件取引の結果,同日時点で,過払金約330万円及び法定利息が発生していた。
2 Aさんは、平成20年12月17日,補助参加人との間で,債務整理を目的とする委任契約を締結した。補助参加人(多分補助者:事務員さんでしょう)は,上記委任契約の締結の際、Aさんに対し、過払金の額が140万円を超える場合には,司法書士である補助参加人は代理人となることができないこと等を説明した。


司法書士本人ではなく、補助者が説明するってどうなんでしょう。悪質感が匂ってきます。

3 補助参加人は,平成21年1月頃,上告人から取引履歴の開示を受け,利息制限法所定の制限利率に引き直して計算をしたところ,前記(1)のとおり過払金等が発生していることが判明したため,同年2月3日,Aに対し,本件取引について約330万円の過払金が発生しており,補助参加人は代理人となることができないこと等を説明した。しかし,Aは,本件取引に係る過払金の返還請求等についても,補助参加人に委任することを希望し,同日,補助参加人との間で,上記過払金の返還請求権等について和解をすることを含む委任契約(以下「本件委任契約」という。)を締結した。

ダメって言ったのにAさんが強引に契約してくれって言ったんだもん!ってことでしょうか。いくらパラリーガルとは言え、法律家の一種、やったらだめでしょう。

4 本件和解契約に基づき,200万円を支払った。補助参加人がAを代理して本件和解契約を締結することは,本件取引に係る過払金の額が司法書士法3条1項7号に規定する額である140万円を超えるため,弁護士法72条に違反するものであった。
5 Aは,平成28年2月2日,破産手続開始の決定を受け,被上告人が破産管財人に選任された。


相手の弁護士が破産手続きを始めてしまったのですね。それはバレるでしょう。

弁護士の訴えは、そもそも弁護士法違反、司法書士法違反のもとでなされた合意は無効であるから、この貸金業社がAさんに和解に応じて払った金は貸金業者のものであるから返せという訴えになりました。

最高裁は、
の公正かつ円滑な営みを妨げ,ひいては法律秩序を害することになるので,かかる行為を禁止するものと解されるところ(最高裁昭和44年(あ)第1124号同46年7月14日大法廷判決・刑集25巻5号690頁参照),同条に違反する行為に対しては,これを処罰の対象とする(同法77条3号)ことによって,同法72条による禁止の実効性を保障することとされている。そして,認定司法書士による裁判外の和解契約の締結が同条に違反する場合には,司法書士の品位を害するものとして,司法書士法2条違反を理由とする懲戒の対象になる(同法47条)上,弁護士法72条に違反して締結された委任契約は上記のとおり無効となると解されるから,当該認定司法書士は委任者から報酬を得ることもできないこととなる。このような同条の実効性を保障する規律等に照らすと,認定司法書士による同条に違反する行為を禁止するために,認定司法書士が委任者を代理して締結した裁判外の和解契約の効力まで否定する必要はないものと解される。また,当該和解契約の当事者の利益保護の見地からも,当該和解契約の内容及びその締結に至る経緯等に特に問題となる事情がないのであれば,当該和解契約の効力を否定する必要はなく,かえって,同条に違反することから直ちに当該和解契約の効力を否定するとすれば,紛争が解決されたものと理解している当事者の利益を害するおそれがあり,相当ではないというべきである。

ちょっと待ちなさいよ。善意の第三者がいるわけではなく、むしろAさんは犯罪を誘発した悪意ある行為をし、司法書士も悪意をもって受任しています。これで紛争を解決するというのはだまし討ちじゃないですか?たしかに330万であればそれほどではないから、まあいいじゃないかという話でしょうか。

認定司法書士が委任者を代理して裁判外の和解契約を締結することが同条に違反する場合であっても,当該和解契約は,その内容及び締結に至る経緯等に照らし,公序良俗違反の性質を帯びるに至るような特段の事情がない限り,無効とはならないと解するのが相当である。


法律より公序良俗を優先する?そもそも違法な契約から始まったのに、これすらも特段の事情にならない?これは十分に特段の事情でしょう。では、法律は一体なんなんだ?現状追認であれば裁判所は要りません。

裁判官全員一致の意見でした。

裁判長裁判官 池上政幸 トンデモ
裁判官 大谷直人 トンデモ
裁判官 小池 裕 トンデモ
裁判官 木澤克之 トンデモ
裁判官 山口 厚 トンデモ

弁護士会の懲戒は甘すぎる

2017-11-18 09:17:13 | 日記
この弁護士に恨みはありませんが、それにしても弁護士会の懲戒は甘いようです。デイリー新潮ではこんな記事を出しています。

今回、札幌の半グレセンセイの場合、弁護士事務所のホームページやFacebookなどはすでに消されてしまっている。我々一般の会社員ならば、とっくにクビだが、業務停止2カ月程度なら、人の噂も――って感覚かも。こんな男に弁護士の資格なし。

私もそう思います。多分2週間程度の業務停止になるでしょう。弁護士会はそれだけ身内に甘いのです。これこそ裁判員裁判のように一般人が入って、処分を決めるべきではないかと思います。
以前に、元検察の弁護士が、刃傷沙汰を起こした事件がありましたが、この弁護士はまだ懲戒処分が出ていません。それほど難しい事件とは思えません。もっとも、懲戒請求があって初めて審査があるようなので、刑事事件のような強制的に審査されるわけではないようです。
こんなので弁護士の倫理が保てるとでもいうのでしょうか。

参考に差なるサイト、弁護士の自治を考える会

プロの自覚がないのもいるので困ったものです。
私の友人で起業したのがいます。彼は、ベンチャーキャピタルから数千万円の出資を受けることになったそうです。その契約書と議決権の件で、弁護士チェックをお願いしたそうですが、なんとその弁護士は「こういうのやったことがないから、分からない」と言われ、相談料金はしっかり取ったそうです。
弁護士の非行ではないので、懲戒請求できませんが、職業倫理上どうなの?と思うような事例ですね。ロースクールがはびこるようになって、こういう低レベルの弁護士が増えています。

先ほどの弁護士、書類送検になりそうです

2017-11-11 15:14:43 | 日記
タクシーで暴れ車内壊した疑い 男性弁護士を書類送検へ

札幌市の30代の男性弁護士が6日、タクシー乗車中に暴れて車内を壊した疑いがあることが10日、捜査関係者への取材で分かった。北海道警は弁護士から器物損壊などの疑いで事情を聴いており、近く書類送検する方針。

示談にならなかったみたいですね。そりゃそうでしょう。タクシーの運転手さん、相当お怒りでしょう。懲戒請求まで行くのでしょうか。


弁護士懲戒処分検索センター

タクシーで弁護士大暴れ

2017-11-11 13:28:21 | 日記
11月10日のニュースでタクシーでお暴れした人は、弁護士だったようです。
TBSの報道では、動画も見られます。

タクシー暴行男は札幌の30代弁護士と判明、警察が事情聴取
 北海道札幌市でタクシーの中で暴れ、防犯ボードを壊して立ち去った男は、札幌の30代の弁護士だったことがわかりました。
 6日夜、札幌のススキノからタクシーに乗った男が、経路をめぐって男性運転手にいいがかりをつけ、トラブルになりました。
 「東7通らねえよ!なめんなよ、こら!」(男)
 男は、車内の防犯ボードを蹴って壊したほか、運賃990円を支払わずにそのまま立ち去りました。タクシー会社は、8日に被害届を出し、警察は器物損壊容疑で捜査を始めました。
 その後の取材で、男は、札幌弁護士会所属の30代の弁護士だったことがわかりました。警察は、この男性弁護士から事情を聴き、事件の詳しいいきさつを調べています。


いろいろネット民が調べているようですが、どこの事務所のどの弁護士かまでは分からないようです。
私の知っている弁護士にも血の気が多い人がいますので、相談、訴訟には十分注意してください。

特許請求の範囲の訂正が確定したことを理由に事実審の判断を争うのは権利の乱用

2017-11-04 17:15:07 | 日記
平成28(受)222  地位確認等請求事件
平成29年7月7日  最高裁判所第二小法廷  判決  その他  東京高等裁判所


特許権者が,事実審の口頭弁論終結時までに訂正の再抗弁(訂正により特許法104条の3第1項の規定に基づく無効の抗弁に係る無効理由が解消されることを理由とする再抗弁)を主張しなかったにもかかわらず,その後に同法104条の4第3号所定の特許請求の範囲の訂正をすべき旨の審決等が確定したことを理由に事実審の判断を争うことは,訂正の再抗弁を主張しなかったことについてやむを得ないといえるだけの特段の事情がない限り,特許権の侵害に係る紛争の解決を不当に遅延させるものとして,同法104条の3及び104条の4の各規定の趣旨に照らして許されない。


特許関連は難しいのであまり触れたくないのですが。

裁判所の事実認定から
1 上告人は,発明の名称を「シートカッター」とする特許の保持者である。
2 被上告人に対し,本件特許権に基づき,その販売の差止め及び損害賠償等を求め る本件訴訟を提起した。
被上告人は,本件特許には特許法123条1項1号又は4号の無効理由が存在す るとして,同法104条の3第1項
の規定に基づく抗弁(以下「無効の抗弁」とい う。)を主張したが,第1審は,平成26年10月,被上告人の上記の理由による 無効の抗弁を排斥して,上告人の請求を一部認容する旨の判決を言い渡した。

「特許権又は専用実施権の侵害に係る訴 訟において,当該特許が特許無効審判により無効にさ れるべきものと認められるときは,特許権者又は専用 実施権者は,相手方に対しその権利を行使することが できない。」
3 被上告人は,第1審判決に対して控訴をした上,平成26年12月26日付けの 控訴理由書において,本件特許は,特許法29条1項3号又は同条2項に違反して されたものであり,本件特許には同法123条1項2号の無効理由が存在するとして,新たな無効の抗弁(以下,この理由による抗弁を「本件無効の抗弁」とい う。)を主張した。
4 上告人は,原判決に対して上告及び上告受理の申立てをするとともに,平成28年1月6日,特許請求の範囲の減縮を目的として,本件特許に係る特許請求の範囲の訂正をすることについての訂正審判を請求し、認められた。
5 被上告人は,本件の第1審係属中,本件特許につき上記(2)の無効理由が存在することを理由として,特許無効審判を請求した。特許庁において,平成26年7月,同請求は成り立たない旨の審決(以下「別件審決」という。)がされた。被上告人は,同年8月,別件審決の取消しを求める審決取消訴訟を提起したが,知的財産高等裁判所は,平成27年12月16日,被上告人の請求を棄却する旨の判決を言い渡し,同判決は,平成28年1月6日までに確定した。


かなり血みどろの戦いをしたようですね。

本件特許に係る特許
請求の範囲が減縮されたことにより,原判決の基礎となった行政処分が後の行政処分により変更されたものとして,民訴法338条1項8号に規定する再審事由があるといえるから,原判決には判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある旨をいうものである。

というか、法律ができるときにこういう事もあり得ると想像できそうなもんですが。

で、裁判官の結論。

特許権者が,事実審の口頭弁論終結時までに訂正の再抗弁を主張しなかったにもかかわらず,その後に訂正審決等が確定したことを理由に事実審の判断を争うことは,訂正の再抗弁を主張しなかったことについてやむを得ないといえるだけの特段の事情がない限り,特許権の侵害に係る紛争の解決を不当に遅延させるものとして,特許法104条の3及び104条の4の各規定の趣旨に照らして許されないものというべきである。

まあ当然ですね。後から後からグダグダ言う奴らができたのでは、社会正義は守れませんね。

第二小法廷
裁判長裁判官 山本庸幸 当然
裁判官 小貫芳信 当然
裁判官 鬼丸かおる 当然
裁判官 菅野博之 当然