最高裁判所裁判官の暴走を許さない

最高裁判所裁判官の国民審査は、衆議院選挙の時の「ついでに」ならないようにしましょう。辞めさせるのは国民の権利です。

釈然としない判決 性転換後凍結精子で生まれた子は嫡出子

2024-06-29 08:08:07 | 日記
令和5(受)287  認知請求事件
令和6年6月21日  最高裁判所第二小法廷  判決  破棄自判  東京高等裁判所
 嫡出でない子は、生物学的な女性に自己の精子で当該子を懐胎させた者に対し、その者の法令の規定の適用の前提となる性別にかかわらず、認知を求めることができる

時事通信の報道です
子の認知請求、6月判決=親が性別変更後に誕生―最高裁
 性同一性障害で男性から性別変更した40代女性が、変更前の凍結精子を用いて女性パートナーとの間にもうけた次女から親子関係の認知を求められた訴訟の上告審弁論が31日、最高裁第2小法廷(尾島明裁判長)で開かれた。女性、次女側双方が意見を述べ結審。判決期日は6月21日に指定された。
 弁論は二審の結論変更に必要な手続きで、親子関係を否定した東京高裁の判断が見直される可能性がある。生物学上の父が性別変更後に子をもうけたケースで、最高裁が親子関係の成否を判断するのは初めて。
 次女の代理人弁護士は「認められなければ、子(次女)は親に対して扶養請求権、相続権などさまざまな権利を行使できないことになる」と主張。女性も「(次女側の請求を)認めることを求める」と述べた。


NHKの報道です
性別変更後に凍結精子で生まれた子と親子関係認める 最高裁
21日の判決で最高裁判所第2小法廷の尾島明裁判長は「親子に関する法制度は血縁上の関係を基礎に置き、法的な関係があるかどうかは子どもの福祉に深く関わる。仮に血縁上の関係があるのに親権者となれないならば、子どもは養育を受けたり相続人となったりすることができない」と指摘しました。
その上で、裁判官4人全員の意見として「戸籍上の性別にかかわらず父親としての認知を求めることができる」という初めての判断を示し、性別変更後に生まれた次女との親子関係を認めました。
今後の親子関係や性別に関する議論に影響を与える可能性があります。


これは法の不備というところでしょうか。こういう問題を起こさせないためにも、性別変更したら直ちに凍結精子はは生きずべきですし、性自認だけで性別変更も認めるべきではありませんでした。最高裁判決令和2(ク)993  性別の取扱いの変更申立て却下審判に対する抗告棄却決定に対する特別抗告事件の判決が招いた結果です。トンデモ判決工事なしで性別変更可1で詳しく書きました。

では事実認定から見ていきます
1(1)被上告人は自己の精子を凍結保存した。
(2)被上告人は、平成▲年、性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律3条1項に基づく性別の取扱いの変更の審判を受け、法令の規定の適用の前提となる性別を男性から女性へと変更した。
(3)上告人の母は、被上告人の同意の下で上記精子を用いた生殖補助医療により懐胎し、令和▲年▲月▲日に上告人を出産した。上告人は、上告人の母の嫡出でない子である。


分かりにくいので解説します。上告人は元男、上告人は元男の子供です。子どもは婚外子です。

(4)被上告人は、▲年▲月、Aに上告人に係る胎児認知の届出をしたが、被上告人の法的性別が女性であることなどを理由に当該届出は不受理とされた。

同性婚は認められておりませんので、私生児ということになります。なので、元男に親として登録したいと役所に行ったところ、書類受付を拒否されました。

最高裁の判断は
民法その他の法令には、認知の訴えに基づき子との間に法律上の父子関係が形成されることとなる父の法的性別についての規定はないところ、平成16年に特例法が施行されるまで、法律上の父となり得る者の性別が例外なく男性であることにつき疑義が生ずる状況にはなかった。・・・上告人との間に血縁上の父子関係を有しているものの、その法的性別が女性である被上告人に対し、上告人が認知を求めることができるか否かが問題となっている。

それはそうです。訴えられた内容だけ判断していますけど、極端な話自分のクローンを作った場合、親は誰になるのかのこともかかわってきますよ。その辺は充分に考慮入れてます?判決がその後の判断に大きく影響しますからね。

生物学的な男性が生物学的な女性に自己の精子で子を懐胎させることによって血縁上の父子関係が生ずるという点は、当該男性の法的性別が男性であるか女性であるかということによって異なるものではない。

早速でたらめ論法が出ました。だとしたら、預かっている冷凍精子を誰かのものと間違えた場合、勝手に売り飛ばした場合、これが考慮されていません。

実親子関係の存否は子の福祉に深く関わるものであり、父に対する認知の訴えは、子の福祉及び利益等のため、強制的に法律上の父子関係を形成するものであると解される。

心理的な親と生物的な親をごっちゃにしてませんか?法的親子関係、つまり扶養義務を果たさせるだけの親子関係ですか?
これまで子の認知について、生物学的要するに近親婚を避ける目的は議論された試しがありません。今回もそんな感じです。

特例法3条1項3号は、性別の取扱いの変更の審判をするための要件として「現に未成年の子がいないこと。」と規定しているが、特例法制定時の「現に子がいないこと。」という規定を平成20年法律第70号により改正したものであり、改正後の同号は、主として未成年の子の福祉に対する配慮に基づくものということができる。

確かに胎児でも厚生労働省の通知によって、妊娠満22週未満は人間として扱われませんので、精子は受精すらしていない状態なのでこの条件はクリアします。ですが、釈然としませんね。元男が女であるという自認するようになった。でも自分の子供が欲しい。これはあり得ますが、だからといって自分の精子で人工授精でというのは釈然としません。

その者の法的性別が女性であることを理由に妨げられると解すると、かえって、当該子の福祉に反し、看過し難い結果となることは上記のとおりである。

あれ?法的手続きで養子になることは可能なはずですよ。生物学的に親と認めるかどうかはこれまで最高裁では判断していません。この福祉を重視するのであれば、養子であることは何の不利があるのでしょうか?

結論
嫡出でない子は、生物学的な女性に自己の精子で当該子を懐胎させた者に対し、その者の法的性別にかかわらず、認知を求めることができると解するのが相当である。

論理に飛躍がありますね。

裁判官三浦守の補足意見
特例法3条1項4号は、性別の取扱いの変更の審判の要件として「生殖腺がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること。」と規定している。この規定は、最高裁令和2年(ク)第993号同5年10月25日大法廷決定・民集77巻7号1792頁により違憲無効であるとの判断が示されたものであるが、もともと、性別変更審判を受けた者について変更前の性別の生殖機能により子が生まれることがあれば、親子関係等に関わる問題が生じ、社会に混乱を生じさせかねないこと等の配慮に基づくものと解される。・・・同号は、性別変更審判前に凍結保存した精子の使用を含め、性別変更審判後に生殖補助医療の利用により子が生まれる可能性を否定していないことが明らかであり、上記大法廷決定にかかわらず、同号の存在が、法的性別が女性であることを理由として認知の訴えに基づく法律上の父子関係の形成を妨げる根拠となるものとは解されない。

ならば生物学的に証明されていることが絶対条件だとすべきじゃないですかね。今後の判決もこれに倣うべきです。

他方で、実親子関係に関する法制が身分法秩序の根幹に関わるものであって、生命倫理、子の利益、家族の在り方等について様々な議論があることから、上記法整備には一定の時間を要することもやむを得ない面がある。しかし、法整備の必要性が認識される状況にありながら20年を超える年月が経過する中で既に現実が先行するに至っている。具体的な事件における事実関係を踏まえ、現行法の適切な解釈に基づく法律判断を行って事件を解決することは、裁判所の責務である。

ということは、そもそも立法府がやってこなかったのが責任だし、今回は暫定提起に判断しておくっていう言い訳ですね。

裁判官尾島明の補足意見
特例法の制定時から、
①特例法の施行前に生まれた嫡出でない子について、男性から女性に性別の取扱いの変更をした者が認知をし、又は上記の子がその者に認知を請求する可能性、
②本件がそうであるように、性別の取扱いの変更前に精子を凍結保存した者が同変更後にその精子を用いた生殖補助医療により子をもうけた場合にその子の認知が問題になる可能性があったのであり、
特例法の立案に関与した者もごく例外的にはそのような事態があり得ることは認識していたことがうかがわれる。

この意見はすっきりしますね。男のときにあっちこっちで子供を作っておいて、やっぱり女だったわと性転換を認められたとします。その申請が通った後に、子ども認知することもあり得ますよね。そうすると法律がし分科する可能性があります。この危険性を言ってます。

残存する生殖能力により生物学的な父として子をもうける可能性も、極めてまれなことであると考えられるが、生じてきている。

希な事じゃないと思いますよ。むしろ、性自認によって性別変更可能と判断が出たわけですから、ますますこの可能性が高くなります。

1 民法の実親子に関する法制は、血縁上の親子関係を基礎に置いているというのが、当審の判例(最高裁平成16年(受)第1748号同18年9月4日第二小法廷判決・民集60巻7号2563頁、最高裁平成18年(許)第47号同19年3月23日第二小法廷決定・民集61巻2号619頁参照)であって、本判決の法廷意見がその民法の基本法制の原則に反するということはない。

上告人のような子による認知の訴えが認められると子の成長や発達に特段の問題が生ずるということを具体的に示す報告等が存在することはうかがわれず、その認知を認めることによって子の福祉に対する弊害が生ずるということは困難である。

子供の将来のことなんぞ分かりませんから、それはその通りでしょう。ただ子の福祉とはどこまでを考えるべきなのか、この議論がないのが気になりますね。

 その訴えを認めないこととし、法的性別の取扱いを男性から女性へと変更した血縁上の父が親権者・監護者となる可能性、その父又は父方の親族から扶養を受けられる可能性及びその父又は父方の親族の財産を相続する可能性を子から一律に奪うことが子の福祉に反することは明らかである。

これはおかしくないですか?元男も自分の子として認めろと言ってるわけで、養子縁組でも可能ですよ。

3 未成年の子がいないことを性別の取扱いの変更の審判をするための要件としているのであるが、これは飽くまでも同審判時における要件であって、同審判確定後に未成年の子との間で親子関係が生ずることが3号規定ないし3号規定の趣旨・目的によって直ちに制限されるものとは解されない。

なぜ「解すされない」とするのか説明がありません。

「現に子がいないこと。」を要件としていた平成20年法律第70号による改正前の3号規定は、「生殖腺がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること。」を要件とする4号規定と共に、「法的性別が女性である法律上の父」や「法的性別が男性である法律上の母」が生じて法律上の父母という属性と男性、女性という法的性別との間に不一致が生ずると家族秩序に混乱を生じさせるおそれがあるとして、上記不一致の発生を抑止することをその趣旨・目的としていたものと解される。

逆読みすると、今は子供がいないけど将来子供ができることを排除しないということですよね。これって死文化って言いませんか?

4 本件は、被上告人と上告人の母とが子をもうけることを目的として生殖補助医療を受けたという事案であって、本判決は、上記の問題について一定の結論をとることを前提にするものではない。

これは意見じゃ駄目ですよ、判決文に載らなきゃ。

裁判長裁判官 尾島 明
裁判官 三浦 守
裁判官 草野耕一
裁判官 岡村和美

なんかパッとしませんね。本当の論点は子の福祉だというのであれば、嫡出非嫡出の区別をしてはならないという判決は出ています。なので、その点は全く論点違いでしょう。生物学的つながりを根拠にするのであればまだマシですが、思いっきり条文を死文化します。何かすっきりしませんね。仮に、これが元男が嫌がっていたのに勝手に子供を産んだとなると、これはどうなりますの?それでも嫡出子にするんですか?この判断だとそうなりますよ。

不当判決 刑務所に入りたいからトラックで2人ひき殺すが死刑にならない

2024-06-25 08:33:20 | 日記
令和5(あ)292  窃盗、道路交通法違反、殺人被告事件
令和6年5月27日  最高裁判所第一小法廷  決定  棄却  仙台高等裁判所
 被告人を死刑に処した裁判員裁判による第1審判決を量刑不当として破棄し無期懲役に処した原判決の量刑が維持された事例

ひき逃げ殺人、無期懲役確定へ=検察の上告棄却、一審死刑―最高裁
福島県三春町で2020年5月、男女2人を故意にトラックではねて殺害したとして、殺人罪などに問われた無職、盛藤吉高被告(54)について、最高裁第1小法廷(堺徹裁判長)は27日付で、検察側の上告を退ける決定をした。一審の死刑判決を破棄して無期懲役とした二審仙台高裁判決が確定する。裁判官5人全員一致の意見。

「ただただ悔しい…」“ひき逃げ殺人事件”被告の「無期懲役」が確定へ【福島】
はねられて亡くなった遺族の1人は、中テレの取材に対し「ただただ悔しい」と述べています。
裁判員裁判の死刑判決を破棄し、無期懲役とした高裁判決が確定するのは8件目です。


事実認定から見ていきます。

服役を終えたばかりの被告人が、新しい人間関係、なじみのない土地及び未経験の仕事等への不安から、罪を犯して刑務所に戻りたいと考えるうちに、長く刑務所にいるためにトラックを2名くらいに衝突させて逃げようと考えるに至り、準中型貨物自動車を窃取してこれを無免許運転し、その際、殺意をもって、対向歩行中の被害者A及びBに同車を衝突させ、Aをはね飛ばし、Bを転倒させ轢過して、両名を殺害した上、負傷者の救護も警察官に対する事故の報告もしなかった、という事案である。

無免許運転で故意に殺害したわけですね。

罪を犯して刑務所に戻りたいなどという動機は極めて身勝手かつ自己中心的であり、また、その手段として他人の生命を侵害する犯罪を選んだのは、生命軽視の度合いが大きく、厳しい非難が向けられるべきである。

しかも動機が刑務所に戻りたいと。この時点で、本人に殺意があったかどうかは別として、外形的に中型トラックで人を追い回して轢いたとなれば、これは殺人の意志があったと見えられて当然です。しかも2名殺害したとなると、永山基準でも死刑相当になりますね。

ところがです
被告人は、長い期間刑務所に入ろうと考えて、トラックを盗み出し2名くらいの歩行者に衝突させて逃げようとの漠然とした計画は立てていたものの、それ以上に確実な殺害を企図して具体的な犯行を想定し準備をしていたとは認められず、また、実際の犯行も、トラックを運転し、対向して歩いてきた被害者らを一度にはねた後、そのまま走り去るというものであった。そうすると、本件は、被告人が、被害者らの殺害それ自体を目的としてこれを意欲し、人の生命を奪うための綿密な計画や周到な準備に基づき、殺害を確実に遂げるべく実行した犯行とはいえず、被告人の生命軽視の度合いが甚だしく顕著であったとまではいうことができない。

どうやったらこの裁判官たちはこういう思考になるのでしょうか?しかも、補足意見も反対意見もなし。

第1審の死刑判決を破棄し、被告人を無期懲役に処した原判決が、刑の量定において甚だしく不当であってこれを破棄しなければ著しく正義に反するものということはできない。

無期懲役とは言え20年もすれば出て来るんですよ。54歳ですから74歳ぐらいで出てきます。この年齢でこの行動ですがから、一生変わらないでしょう。今度は強盗か放火でもやるでしょうね。その頃にはこの裁判官は全員あの世でしょう。実に無責任な判断をしたもんです。
しかも裁判員裁判をひっくり返すって、司法の傲慢さ以外ありえません。これなら最高裁に裁判員を入れるべきです。

裁判長裁判官 堺 徹
裁判官 深山卓也
裁判官 安浪亮介
裁判官 岡 正晶
裁判官 宮川美津子

全員ふざけるな。

意見:少年法は不要である

2024-06-22 09:28:31 | 日記
産経新聞の報道です
高校で休み時間中に同級生を刺した疑い、16歳の男子生徒を逮捕 背中から出血 埼玉・本庄
21日午前9時55分ごろ、埼玉県本庄市の高校で休み時間中に男子生徒(16)が背中と腰を刺された。約1週間の軽傷で命に別条はない。本庄署は、この生徒をはさみで刺したとして、殺人未遂容疑で同じクラスの男子生徒(16)=同県桶川市=を逮捕した。署は2人の間に何らかのトラブルがあったとみて捜査する。

読売新聞の報道です
はさみで同級生の背中刺した高校生を殺人未遂容疑で逮捕…埼玉県警
男子生徒は背中に軽傷。調べに対し、「はさみで刺したが、殺すつもりはなかった」などと容疑を一部否認しているという。

はさみで背中を刺す、充分に殺傷能力がありますよ。少年法では18歳未満は非公開の裁判で少年院送りになります。大人の犯罪者と一緒に収監するのはどうかとは思いますが、少なくとも殺人未遂レベルの凶悪な粗暴犯を行ったというのは、少年法で守る必要はないと思います。

中学校卒業すればすれば、少なくともやっていいこと刑事事件上の悪いことの善悪が判断できます。にもかかわらず、精神的に未発達であるからと別扱いするのは問題があります。いつまでも子ども扱いするから子供のままであるのです。少なくとも江戸期には16歳では元服していました。
精神は未発達だとしても、肉体は立派に大人です。衝動的にやったとするならば、ますます自己制御ができない人間ですので、厳罰に処するべきじゃないでしょうか。

児童ポルノが強制性交にも該当するケース、但し判決が雑

2024-06-21 19:56:49 | 日記
令和5(あ)1032  強制わいせつ、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反、強制性交等未遂、強制性交等被告事件
令和6年5月21日  最高裁判所第三小法廷  判決  棄却  大阪高等裁判所

児童に児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律2条3項各号のいずれかに掲げる姿態をとらせ、これをひそかに撮影するなどして児童ポルノを製造したという事実について、当該行為が同法7条4項の児童ポルノ製造罪にも該当するときに、同条5項を適用することの可否

今回は気持ち悪いというか吐き気がする内容です。

弁護人奥村徹の上告趣意のうち、大阪高等裁判所令和4年(う)第758号同5年1月24日判決・判例タイムズ1512号136頁を引用して判例違反をいう点について

よく判例タイムズが出てきますが、これってよく分かりません。判決文でもないものがなんで引用されるのか。しかも、どういう趣旨の内容なのかもわかりません。何なんですかね。

原判決は、就寝中の被害児童(当時10歳)に対する強制わいせつ、強制性交等未遂及び強制性交等の各犯行の機会に同児童に児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律2条3項各号のいずれかに掲げる姿態をとらせ、これをひそかに撮影するなどして児童ポルノを製造したという各児童ポルノ製造の事実について同法7条5項を適用した第1審判決を是認した。
この判断は、児童に対する強制わいせつ、準強制わいせつ及び強制性交等の各犯行の機会に同児童に姿態をとらせ、これを撮影するなどして児童ポルノを製造した場合には、児童が就寝中等の事情により撮影の事実を認識していなくても、児童ポルノ法7条4項の児童ポルノ製造罪が成立し、同条5項は適用されないとした所論引用の判例と相反する判断をしたものというべきである。


法令通り違反しているわけで、15歳未満は同意がとれていても強制性交になりますので、当然の判断です。

裁判官全員一致
裁判長裁判官 今崎幸彦
裁判官 宇賀克也
裁判官 林道晴
裁判官 渡 惠理子

うーん、何が論点なのかさっぱりわかりません。判例タイムズの記事をもう少し引用する成り、主張をまとめるなりするべきでしょう。相変わらず雑ですね。

これは国家賠償ではなく個人賠償にして欲しい

2024-06-18 18:26:31 | 日記
無罪確定の元社長に検事からの謝罪なし 証人尋問を終えて元社長「被疑者に本当のことを話せと言うのに、なぜ彼らは本当のことをしゃべらないのか」

冤罪だった元社長に検事からの“謝罪”は最後までありませんでした。
 「プレサンスコーポレーション」の元社長・山岸忍さん(61)は、学校法人の土地取引などをめぐる巨額横領事件に関与したとして大阪地検特捜部に逮捕・起訴されましたが、3年前の2021年に無罪が確定。国に賠償を求める裁判を起こしています。
 裁判では当時取り調べをした特捜部検事らが出廷。6月18日、主任検事は山岸さんの無罪判決についてこう述べました。
 (当時の主任検事)「証拠や事実関係に照らして有罪判決が得られると判断して(山岸さんを)起訴したが、結果として無罪判決が出たことは真摯に受け止めています」
 真摯に受け止めるとは述べたものの、山岸さんへの謝罪は最後までありませんでした。



この冤罪事件は実に酷いものがありました。


負けへんで! 東証一部上場企業社長vs地検特捜部

この本に担当検事の名前が実名で晒されています。敢えてニュースサイトで名前を伏せるのは意味が分かりません。この内容であれば国家はこんな奴をかばう必要はあるのだろうか?と思えてきます。国家賠償ではなく個人で全て賠償し、司法関係者として二度と出てこれないように制裁を加えるべきです。

論理に飛躍判決:青色申告の承認の取消処分は憲法31条に反しない

2024-06-16 08:42:46 | 日記
令和5(行ツ)334  法人税青色申告承認取消処分取消請求事件
令和6年5月7日  最高裁判所第三小法廷  判決  棄却  福岡高等裁判所
法人税法127条1項の規定による青色申告の承認の取消処分については、その相手方に事前に防御の機会が与えられなかったからといって、憲法31条の法意に反しない

また事実認定がありません。
行橋税務署長が令和元年12月10日付けで上告人に対してした、上告人の平成30年7月1日から令和元年6月30日までの事業年度以後の法人税に係る青色申告の承認の取消処分につき、事前に防御の機会が与えられなかったことをもって、本件処分が違憲である旨をいう。

どういう行為が防御なのか、何の定義もなくこれですか。相変わらず最高裁の判決文は雑ですね。

そしていきなり結論です。
法人税法127条1項の規定による青色申告の承認の取消処分については、その処分により制限を受ける権利利益の内容、性質等に照らし、その相手方に事前に防御の機会が与えられなかったからといって、憲法31条の法意に反するものとはいえない。このことは、最高裁昭和61年(行ツ)第11号平成4年7月1日大法廷判決・民集46巻5号437頁の趣旨に徴して明らかである。本件処分に所論の違憲はなく、論旨は、採用することができない。

しかしなんで成田空港の事件を?類推適用には無理がありませんか?あまりにも論理に飛躍があります。行政処分は御上のいうことに黙って聞けという傲慢な態度がそのまま出てますね。ちゃんと手続き採って行政側のミスもあるんだから話を聞けよと思います。しかも、成田空港の事件の事例と税務申告を一緒に扱いますか?

裁判官渡 惠理子の補足意見
多数意見が言及する平成4年大法廷判決は、行政処分の相手方に事前の告知、弁解、防御の機会を与えるかどうかは、行政処分により制限を受ける権利利益の内令和5年(行ツ)第334号 法人税青色申告承認取消処分取消請求事件令和6年5月7日 第三小法廷判決容、性質、制限の程度、行政処分により達成しようとする公益の内容、程度、緊急性等を総合較量して決定されるべきものであって、常に必ずそのような機会を与えることを必要とするものではない

その通りですね。さもなければ何度でも屁理屈を持ってきてごねるのがいますから、それを防止するためにも必要だと思います。

法人税法127条1項の規定による青色申告の承認の取消処分については、専門性を有する第三者的機関ともいい得る国税不服審判所における充実した審査請求手続が設けられている。もとより、単に事後手続が設けられていることのみをもって、事前手続が憲法上必要でないと断ずることはできないが、上記審査請求手続の内容等は、上記の総合較量において考慮されるべき要素の一つとなるものと考える。

別の異議申し立てがあるではないかと言っているようです。

多数意見と同旨を判示した最高裁平成3年(行ツ)第93号同4年9月10日第一小法廷判決・判例集不登載が出されて以降、不利益処分に係る事前手続の保障の原則を内容とする行政手続法の制定などの事情の変化もみられるところであるが、多数意見は、関係規定の制定経緯等に鑑み、こうした事情の変化も念頭に置いた上で、憲法判断の変更は要しないと判断したものである。多数意見と同旨を判示した最高裁平成3年(行ツ)第93号同4年9月10日第一小法廷判決・判例集不登載が出されて以降、不利益処分に係る事前手続の保障の原則を内容とする行政手続法の制定などの事情の変化もみられるところであるが、多数意見は、関係規定の制定経緯等に鑑み、こうした事情の変化も念頭に置いた上で、憲法判断の変更は要しないと判断したものである。

ここはどうもわかりません。問題の性格が違うじゃないですか。類推適用するにしてもかなり飛躍がありますよ。

裁判官宇賀克也の反対意見
処分庁が不利益処分を行う場合には、誤った不利益処分による権利侵害が行われないように事前にその根拠法条とそれに該当する事実を通知し、相手方に事前に意見陳述の機会を保障することが、憲法上の適正手続として要請されるのが原則であり、法人税法127条1項の規定による青色申告の承認の取消処分(以下、本反対意見においては「青色申告承認取消処分」という。)について、その例外を認めるべき合理的理由は見いだし難い。

はじめてこの裁判官と意見が一致する気がします。

裁判長裁判官 渡 惠理子 論理に飛躍
裁判官 宇賀克也 マトモ
裁判官 林 道晴 論理に飛躍
裁判官 長嶺安政 論理に飛躍
裁判官 今崎幸彦 論理に飛躍

採用時に仕事内容が決まっているのに、同意なしに変更は駄目よ

2024-06-15 07:39:49 | 日記
令和5(受)604  損害賠償等請求事件
令和6年4月26日  最高裁判所第二小法廷  判決  破棄差戻  大阪高等裁判所
労働者と使用者との間に当該労働者の職種等を特定のものに限定する旨の合意がある場合において、使用者が当該労働者に対してした異なる職種等への配置転換命令につき、配置転換命令権の濫用に当たらないとした原審の判断に違法があるとされた事例

毎日新聞の報道です
職種限定の配置転換訴訟 「同意なしで命令できない」最高裁が初判断
勤務する職種を限定する労使合意があった場合に、雇用者が労働者を配置転換できるかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第2小法廷(草野耕一裁判長)は26日、「労働者の同意なしに、配置転換は命令できない」との初判断を示した。原告の労働者側の主張を退けた2審・大阪高裁判決(2022年11月)を破棄し、審理を高裁に差し戻した。

一方的な配置転換は違法 最高裁、働き方の労使合意重視
最高裁が前提としたのが08年施行の労働契約法だ。同法は労働者と使用者は対等な立場と強調し、労働契約の締結や変更には合意が必要と定める。労働基準法が守られるべき労働条件を示しているのに対し、個別契約を巡る基本的なルールとされる。
労働契約法が制定された背景には、就業形態の多様化や労働紛争の増加があった。労使の同意を重視したのは立場の弱い労働者の保護を図りつつ、トラブルを未然に防ぎ労働環境を安定させる狙いがある。
最高裁はこの日の判決で、労働契約で職種限定の合意があった場合、使用者には労働者の同意なしで配置転換する権限がないと明確に示した。ベテラン裁判官は「職種だけでなく勤務地などを限定した場合にも同じ考え方が当てはまる」とみる。


事実認定を見ていきます。
(1)公の施設で、福祉用具について、その展示及び普及、利用者からの相談に基づく改造及び製作並びに技術の開発等の業務を行うものとされており、福祉用具センターが開設されてから平成15年3月までは財団法人が、同年4月以降は上記財団法人の権利義務を承継した被上告人が、指定管理者等として上記業務を行っていた。

別に公務員という訳ではないようです。施設運営の指定管理者の従業員みたいです。

(2)上告人は、平成13年3月、上記財団法人に、福祉用具センターにおける上記の改造及び製作並びに技術の開発に係る技術職として雇用されて以降、上記技術職として勤務していた。上告人と被上告人令和5年(受)第604号 損害賠償等請求事件令和6年4月26日 第二小法廷判決との間には、上告人の職種及び業務内容を上記技術職に限定する旨の合意があった。

どういう仕事をするのか、事前に取り決めがあったようですね。

(3)被上告人は、上告人に対し、その同意を得ることなく、平成31年4月1日付けでの総務課施設管理担当への配置転換を命じた。

雇い主が労働者に、(2)の約束を無視して同意なしに他の業務を愛じたようです。これは職務記述がしっかりした会社であれば、こういうことは起きえません。諸外国であれば即裁判です。日本はこの点があまりにもいい加減で問題があるところです。なので従業員がいる事業所は本当に注意したほうがいいですよ。
二審は「そんな細かいこと言うなよ」という判断だったようですが、最高裁は違いました。

労働者と使用者との間に当該労働者の職種や業務内容を特定のものに限定する旨の合意がある場合には、使用者は、当該労働者に対し、その個別的同意なしに当該合意に反する配置転換を命ずる権限を有しないと解される。上記事実関係等によれば、上告人と被上告人との間には、上告人の職種及び業務内容を本件業務に係る技術職に限定する旨の本件合意があったというのであるから、被上告人は、上告人に対し、その同意を得ることなく総務課施設管理担当への配置転換を命ずる権限をそもそも有していなかったものというほかない。

その通りだと思います。慣習的には融通を聞かせて雇用を守るという風に言われますが、事業所は雇用を守る目的ではありません。

裁判長裁判官 草野耕一  当然
裁判官 三浦 守  当然
裁判官 岡村和美  当然
裁判官 尾島 明 当然

ただね、どうしても気になることがあります。労働者は契約通り自分の仕事をするのでOKです。ただその仕事がなくなった、あるいはその仕事を十分にやれないというのであれば、解雇ももっと自由にできるようにすべきです。

被疑者を勾留するのに事件を言わなくてよい:事例なら事実認定しろよ

2024-06-13 20:11:59 | 日記
令和6(し)262  勾留の裁判に対する準抗告棄却決定に対する特別抗告事件
令和6年4月24日  最高裁判所第三小法廷  決定  棄却  神戸地方裁判所
 刑訴法207条の2の規定について、被疑者を勾留するに当たり、その理由を被疑事件を特定して告げるものとはいえず、また、被疑者が弁護人に依頼する権利を侵害するから憲法34条に違反するとの主張が、欠前提処理された事例

また一枚判決です。事例とありながら、事実認定も一切なしです。しかも、本文は半ページ。
法律と判決文は当事者のためだけにあるのではありません。後から検証できるように書きなさいよ。

本件抗告の趣意は、刑訴法207条の2の規定について、被疑者を勾留するに当たり、その理由を被疑事件を特定して告げるものとはいえず、また、被疑者が弁護人に依頼する権利を侵害するとして、憲法34条違反をいうが、勾留を請求された被疑者に裁判官が被疑事件を告げるに当たり、刑訴法207条の2第2項の規定する、個人特定事項を明らかにしない方法によったとしても、その余の事項から当該
被疑事件を特定することができ、また、同条は、被疑者が弁護人に依頼する権利を行使することを妨げるものでもないから、前提を欠き、同法433条の抗告理由に当たらない。


以上です。訳分からんでしょう?

裁判長裁判官 渡惠理子
裁 判官 宇賀克也
裁判官 林道晴
裁判官 今崎幸彦

全員訳分からん

株券不発行の会社について株券発行請求権を代位行使することができる

2024-06-02 09:39:11 | 日記
令和4(受)1266  各株券引渡請求及び独立当事者参加事件
令和6年4月19日  最高裁判所第二小法廷  判決  破棄差戻  東京高等裁判所
 1 株券発行前にした株券発行会社の株式の譲渡は、譲渡当事者間においては、株券の交付がないことをもってその効力が否定されることはない
2 株券発行会社の株式の譲受人は、譲渡人の株券発行会社に対する株券発行請求権を代位行使することができる


報道がないようなので、事実確認から見ていきます。
(1)被上告人株式会社Aは、平成16年1月、株式会社植宗Bの設立に当たり、その株式200株を引き受け、本件株式1の株主となった。同社は、公開会社でない株券発行会社である。被上告人植宗は、平成24年4月、Aに対し、本件株式1を譲渡し、植宗エクステリアの取締役会は、上記の譲渡について承認した。

他にも譲渡の案件があったようですが、割愛します。

(2)植宗エクステリアは、設立以来、株券を発行したことはなかった。Aは、平成29年10月、本件株式1につき、債権者代位権に基づき被上告人植宗の植宗エクステリアに対する株券発行請求権を行使するとして、同社に対し、株券の交付を自己に対してすることを求め、同社から、株券として、原判決別紙3の目録記載の文書の交付を受けた。

非上場会社でも株券麩発行制度があるので、この会社ではそれを使っています。

(3)Aは、令和2年3月、上告人に対し、本件株式1を譲渡し、本件株券1を交付した。また、Cは、同年7月、上告人に対し、本件株式2を譲渡し、本件株券2を交付した。植宗エクステリアの取締役会は、上記の譲渡についていずれも承認した。

株式の譲渡制限があったんでしょうか。取締役会で譲渡が認められました。どうも株券の管理をしっかりしていなかったようで、よそに所有権が移った物を譲渡を認めてしまったようです。そりゃ譲り受ける側からすれば善意の第三者になりますね。
最高裁は
(1)会社法は、株主はその有する株式を譲渡することができると規定するとともに(127条)、株式は意思表示のみによって譲渡することができることを原則とするところ、同法128条は、株券発行会社の株式の譲渡について特則を設け、同条2項は、株券の発行前にした譲渡につき、株券発行会社に対する関係に限ってその効力を否定している。

譲渡制限はあくまでも例外規定という事のようです。

同条1項は、株券発行会社の株式の譲渡は、当該株式に係る株券を交付しなければ、その効力を生じないと規定しているところ、株券の発行前にした譲渡について、仮に同項が適用され、株券の交付がないことをもって、株券発行会社に対する関係のみならず、譲渡当事者間でもその効力を生じないと解すると、同項とは別に株券発行会社に対する関係に限って同条2項の規定を設けた意味が失われることとなる。

不発行制度も例外規定として認めてるよぐらいの意味のようです。

株券の発行前にした株券発行会社の株式の譲渡は、譲渡当事者間においては、当該株式に係る株券の交付がないことをもってその効力が否定されることはないと解するのが相当である。

株券を所持していないからといって、株主として認めないということはないと言ってます。

(2)株券発行会社の株式の譲受人は、株券の発行前に株式を譲り受けたとしても、当該株式に係る株券の交付を受けない限り、株券発行会社に対して株主として権利を行使することができないから(会社法128条2項)、当該株式を譲り受けた目的を実現するため、譲渡人に対して当該株式に係る株券の交付を請求することができると解される。そうすると、株券発行会社の株式の譲受人は、譲渡人に対する株券交付請求権を保全する必要があるときは、民法423条1項本文(平成29年法律第44号による改正前のもの)により、譲渡人の株券発行会社に対する株券発行請求権を代位行使することができると解するのが相当である。

譲渡人に対して株券交付義務を履行したことになる。したがって、上記文書につき、株券発行会社に対する関係で株主である者に交付されていないことを理由に、株券としての効力を有しないと解することはできない。


当然の結論ですね。

裁判官全員一致の意見でした。

裁判長裁判官 尾島 明
裁判官 三浦 守
裁判官 草野耕一
裁判官 岡村和美

技能実習生の指導員の残業代支払え、みなし残業代は駄目よ

2024-06-01 18:17:35 | 日記
令和5(受)365  損害賠償等請求本訴、損害賠償請求反訴事件
令和6年4月16日  最高裁判所第三小法廷  判決  その他  福岡高等裁判所
 外国人の技能実習に係る監理団体の指導員が事業場外で従事した業務につき、労働基準法38条の2第1項にいう「労働時間を算定し難いとき」に当たらないとした原審の判断に違法があるとされた事例

PSR Networkの報道です
技能実習生の指導員の「みなし労働時間制」 適用を否定した二審判決を破棄(最高裁)
裁判長は、みなし労働時間制の適用の余地があるとの判断を示し、これを適用できないとした二審の高裁判決を破棄し、適用の可否を改めて検討させるため審理を同高裁に差し戻しました。
一審と二審では、指導員が訪問先や業務時間を記した業務日報を提出していたことから労働時間の算定は可能と判断し、みなし労働時間制の適用を否定。外国人の技能実習に係る監理団体に残業代の支払いを命じていました。


事実確認を見ていきます
(1)被上告人は、平成28年9月、外国人の技能実習に係る監理団体である上告人に雇用され、指導員として勤務したが、同30年10月31日、上告人を退職した。
(2)被上告人は、自らが担当する九州地方各地の実習実施者に対し月2回以上の訪問指導を行うほか、技能実習生のために、来日時等の送迎、日常の生活指導や急なトラブルの際の通訳を行うなどの業務に従事していた。・・・被上告人の就業時間は午前9時から午後6時まで、休憩時間は正午から午後1時までと定められていたが、被上告人が実際に休憩していた時間は就業日ごとに区々であった。また、被上告人は、タイムカードを用いた労働時間の管理を受けておらず、自らの判断により直行直帰することもできたが、月末には、就業日ごとの始業時刻、終業時刻及び休憩時間のほか、訪問先、訪問時刻及びおおよその業務内容等を記入した業務日報を上告人に提出し、その確認を受けていた。


ホワイトカラーエグゼンプションとちう訳じゃないのでしょうか。

原審は
3 業務日報に基づき被上告人の時間外労働の時間を算定して残業手当を支払う場合もあったものであり、業務日報の正確性を前提としていたものといえる。以上を総合すると、本件業務については、本件規定にいう「労働時間を算定し難いとき」に当たるとはいえない。

しかし最高裁はひっくり返しました。
(1)本件業務は、実習実施者に対する訪問指導のほか、技能実習生の送迎、生活指導や急なトラブルの際の通訳等、多岐にわたるものであった。また、被上告人は、本件業務に関し、訪問の予約を行うなどして自ら具体的なスケジュールを管理しており、所定の休憩時間とは異なる時間に休憩をとることや自らの判断により直行直帰することも許されていたものといえ、随時具体的に指示を受けたり報告をしたりすることもなかったものである。
このような事情の下で、業務の性質、内容やその遂行の態様、状況等、業務に関する指示及び報告の方法、内容やその実施の態様、状況等を考慮すれば、被上告人が担当する実習実施者や1か月当たりの訪問指導の頻度等が定まっていたとしても、上告人において、被上告人の事業場外における勤務の状況を具体的に把握することが容易であったと直ちにはいい難い。


これって学校の先生みたいですね。夜中に万引きで捕まった中学生の貰い下げに行くような感じです。

(2)しかるところ、原審は、被上告人が上告人に提出していた業務日報に関し、①その記載内容につき実習実施者等への確認が可能であること、②上告人自身が業務日報の正確性を前提に時間外労働の時間を算定して残業手当を支払う場合もあったことを指摘した上で、その正確性が担保されていたなどと評価し、もって本件業務につき本件規定の適用を否定したものである。

①実習実施者等に確認するという方法の現実的な可能性や実効性等は、具体的には明らかでない。上記②についても、上告人は、本件規定を適用せず残業手当を支払ったのは、業務日報の記載のみによらずに被上告人の労働時間を把握し得た場合に限られる旨主張しており、この主張の当否を検討しなければ上告人が業務日報の正確性を前提としていたともいえない


セールスもそんな感じの所がありますよね。相手に確認できなくはないが実際はそれはやってないし、余りそういう問い合わせもやりにくいところがあります。ましてや、技能実習生は人間ですから悩みも聞くでしょうし、そういう内容を確認するとなると益々やりにくいですね。

上告人が一定の場合に残業手当を支払っていた事実のみをもって、業務日報の正確性が客観的に担保されていたなどと評価することができるものでもない。

裁判官全員一致の意見でした。

裁判官林道晴の補足意見
本件規定についてのリーディング・ケースともいえる最高裁平成24年(受)第1475号同26年1月24日第二小法廷判決・裁判集民事246号1頁が列挙した考慮要素とおおむね共通しており、今後の同種事案の判断に際しても参考となると考えられる。・・・事業場外労働については、外勤や出張等の局面のみならず、近時、通信手段の発達等も背景に活用が進んでいるとみられる在宅勤務やテレワークの局面も含め、その在り方が多様化していることがうかがわれ、被用者の勤務の状況を具体的に把握することが困難であると認められるか否かについて定型的に判断することは、一層難しくなってきているように思われる。

うーん、意見なんですかね。立法府にそろそろ検討しろよと言ってるレベルでしょうか。

裁判長裁判官 今崎幸彦
裁判官 宇賀克也
裁判官 林 道晴
裁判官 長嶺安政
裁判官 渡 惠理子