最高裁判所裁判官の暴走を許さない

最高裁判所裁判官の国民審査は、衆議院選挙の時の「ついでに」ならないようにしましょう。辞めさせるのは国民の権利です。

音楽著作物の管理団体の使用料金の値上げは許されるか

2015-04-30 18:51:13 | 日記
平成26(行ヒ)75  審決取消等請求事件
平成27年4月28日  最高裁判所第三小法廷  判決  棄却  東京高等裁判所


某大手、音楽映像物の著作権管理団体(ほとんど名前を言っているようなものですが)が、音楽使用権の徴収方法の変更と値上げを使用者側に伝えました。使用者としては、一方的な徴収方法と値上げは止めてほしいと調停を申し入れました。
ここで論点となるのは、独占禁止法です。公正取引委員会によると

この独占禁止法の目的は,公正かつ自由な競争を促進し,事業者が自主的な判断で自由に活動できるようにすることです。市場メカニズムが正しく機能していれば,事業者は,自らの創意工夫によって,より安くて優れた商品を提供して売上高を伸ばそうとしますし,消費者は,ニーズに合った商品を選択することができ,事業者間の競争によって,消費者の利益が確保されることになります。このような考え方に基づいて競争を維持・促進する政策は「競争政策」と呼ばれています。

という目的があります。
では、音楽著作権管理団体にはどんなものがあるのでしょうか?主に6団体あるようです。
とは言っても、実質的には某団体が圧倒的強さを誇り、音楽著作権市場の過半数を超えているそうです。
そしてもっと問題なのは、これまで徴収方法と徴収された金額のうち本来の著作権者にどれだけ払われているのか不透明でした。独占が進むと一方的な値上げを受けなければならず、著作権を信託する方も弱小の団体に委託するより管理がしてもらいやすくなるので商品が集中します。結果的に、団体がやりたい放題できるようになるという問題が発生します。
wikiでは

2005年、週刊ダイヤモンド(9月17日特大号ダイヤモンド社発行)は、「企業レポート 日本音楽著作権協会(ジャスラック) 使用料1000億円の巨大利権 音楽を食い物にする呆れた実態」と題する記事を掲載し[28]、JASRACによる著作物使用料の徴収・配分と文部官僚の天下りが続く組織運営のあり方に問題があると主張した。文部省(文部科学省)からの役員の天下りが50年以上続いていること、JASRACの役員の報酬を決める役員審議会が非公開であること、法外に高い報酬を受け取っていることを述べている。

と書かれています。この天下り団体の行動にメスを入れたというのは、単に著作権管理団体の独占行為に対して牽制する以上の意味を持つのです。
もっとも、裁判官はそんな背景は一切関係なく、独占禁止法に抵触するか否かを判断したわけです。それでもなお、日本は独占禁止法違反で罰せられることはアメリカやEUから比べて極めて少なく、その意味でも今回の裁判官はいい仕事をしたと言えます。
恐らくアメリカであれば、分割命令が出る可能性が高いです。

今回の裁判官 第三小法廷
裁判長裁判官 岡部喜代子
裁判官 大谷剛彦
裁判官 大橋正春
裁判官 木内道祥
裁判官 山崎敏充

大阪簡裁:傷害罪の男性に刑免除の判決

2015-04-26 13:12:32 | 日記
これは裁判所の裁判官の問題というよりも、むしろ検察がどこの裁判所に送致すべきかを誤ったケースかもしれません。
この事件についても公開されていないので、毎日新聞の記事に頼らざるを得ません。

大阪簡裁:傷害罪の男性に刑免除の判決 相手が先に攻撃
5時間前
 通行トラブルで男性を負傷させたとして、傷害罪に問われた男性工員(23)に対し、大阪簡裁が有罪だが刑罰を科さない、刑を免除する判決(求刑・罰金30万円)を出し、確定したことが分かった。畑山明則裁判官は先に攻撃をしてきた負傷男性と同じ不起訴処分(起訴猶予)が相当と判断した。また、フィリピン人の母を持つ工員は日本語が不自由だが、検察が丁寧な捜査を尽くさなかったと批判した。
 判決は2月26日付で検察側は控訴しなかった。当初、検察は工員を在宅のまま略式起訴、大阪簡裁が罰金の略式命令を出したが、工員側が不服として正式裁判を請求していた。
 判決によると、工員は2013年6月2日午後10時25分ごろ、大阪市東住吉区の歩道で、男性の顔などを何度も殴り、左頬骨折などのけがをさせた。
 工員は直前、弟、妹と計3人でそれぞれ自転車に乗って通行中、歩いていた男性2人とすれ違い「ボケ」などと怒鳴られた。
 さらに2人のうち1人が追いかけてきて工員に詰め寄り、止めに入った弟の胸ぐらをつかんだ。工員は弟を助けようとしたが、負傷男性に胸ぐらをつかまれ、首を締め上げられた。苦しくなって負傷男性を殴り、さらに向かってこられたため顔などを殴打した。
 通報で事件を知った府警は任意で捜査し、検察は工員だけを略式起訴し、負傷男性や弟は起訴猶予とした。
 畑山裁判官はまず「先に攻撃をした負傷男性が返り討ちに遭った事件で自業自得だ」と指摘。工員の暴行は正当防衛をやや上回る程度の過剰防衛で「強い非難はできない」と判断した。
 また、工員は日本国籍を持つが大半をフィリピンで過ごし、タガログ語で生活していたため、日本語が不自由だ。警察の捜査段階ではタガログ語の通訳が付かず、比較的堪能な英語の通訳が付いた。
 畑山裁判官は「警察の調書は正確性に若干難点を抱えるが、それでも工員や弟の弁解や言い分に耳を傾けている」と指摘。そのうえで、捜査を引き継いだ検察官について「タガログ語の通訳を付けながら詳細に再聴取せず、単なるけんかと決めつけて不公平な処理をした」と批判した。最後に「今後このような遺憾な捜査が二度と行われないよう切に希望する」と付け加えた。【武内彩】
 北川健太郎・大阪地検次席検事の話 判決の認定と評価は不満だが、事案の内容及び証拠関係を再検討した結果、控訴の要はないものと判断した。
 男性の国選弁護人を務めた松岡正章弁護士(大阪弁護士会)の話 検察官は先入観で捜査し、事件のプロセスを見ようとしなかった。刑の免除は実質無罪だ。



「男性の顔などを何度も殴り、左頬骨折など」とあるように、相手には重症のけがを負わせています。判決そのものよりも、これを簡易裁判所に送ることは問題なかったのか、地裁にすべきではなかったのか、そちらの方が重要なような気がします。
傷害罪で訴えられた被告に関しての判決には、同情の余地があり、裁判所の判断は妥当なものだとは思いますけどね。

静岡地裁「本名を名乗れ」これがハラスメント?

2015-04-24 18:34:45 | 日記
このところ最高裁の判断が出てこないので、地方の裁判所のトンデモな判決を紹介します。
この裁判は、静岡地裁での判断です。判決文は公開されていないので、以下時事通信のHPから引用します。


 勤務先の社長が本名の韓国名を名乗るよう強要したのは人格権の侵害などとして、静岡県の40代の在日韓国人男性が社長を相手に、330万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が24日、静岡地裁であり、大久保正道裁判長は社長に55万円を支払うよう命じた。
 大久保裁判長は「氏名は人格の象徴。在日韓国人に対して使用する名前を強制することは自己決定権を違法に侵害する」と指摘。男性が入社後一貫して日本名を名乗っていたことなどから、男性に韓国名を名乗る意思がないことは認識できたと判断した。
 判決によると、男性は韓国籍だが日本で生まれ育ち、日本名の通称を使用。2001年に入社後も日本名で生活していたが、社長は12年11月~13年5月、他の社員の前で「朝鮮名で名乗ったらどうだ」などと繰り返し発言した。(2015/04/24-16:29)



あくまでもこの記事を読む限りの話ですが、通称名を使用している在日朝鮮人に本名を名乗れと言ったことが人権侵害に当たると判断したようです。これはどうなんでしょうか?他の発言がハラスメントであるというのであれば分かりますが、あだ名ではなく本名を名乗らせることが、そんなに屈辱を強いる行為なのでしょうか?
そもそも国籍を隠して働く行為は、いくら特別在留権があるとはいえ書類作成上問題があります。それに国籍を変更していない以上、今の国籍の方が良いと思っているわけです。となれば、その国政の本来の名前を名乗ることが、屈辱だというのは全く解できません。
この事件は日本国民のために、社長は是非とも控訴してほしいと思います。

雑感:裁判をやってみた経験

2015-04-17 07:19:29 | 日記
恥ずかしながら、私も裁判をしたことがあります。詳細は書けませんが、相手の弁護士には随分なことをされました。
例えば、閉廷後書記と裁判官が退廷した後に法廷内で罵倒されたことがあります弁護士の懲戒請求に十分該当しますが、裁判所内での録音録画は一切禁止ですので、証拠が残らないとして確信犯的にやったのでしょう。恐らく、ここで怒らせて事件に仕立て上げようとしたと思います。弁護士がそんなことするか?と思う人もいるでしょうが、本当にそういう人はいます。弁護士の質の低下以前に人間としてどうなんだろうと。また別の弁護士です、一応20年近く弁護士活動をやっているようですが調停案一つまともに書けないのがいました。
最高裁の審判結果を見ると、論点ずれにより却下、棄却されている例が少なくありません。本当にそんな理由で棄却、却下するの?と思えるようなものもありますが、恐らくこういう調停案すら書けないような無能弁護士が粘ってしまった結果なのかもしれません。
残念ながら、こういう無能を理由に懲戒請求はできません。その一方で、無能弁護士ほど余計なところで、ちょろちょろと懲戒の対象になるような尻尾を出すことも事実です。
私はこの弁護士を懲戒に出そうと思いましたが、私側の弁護士は止めにかかりました。さらに弁護士懲戒となると余計なところにエネルギーを使うので、大変になるだけだと。確かにもっともな理由です。坊主憎けりゃ袈裟まで憎い的発想で相手弁護士を叩いても、かえって裁判官の心証を悪くするところもあるようです。
ですが、本音は弁護士同士での争いはなるべく避けたいという保身が大半を占めているのではないかと思います。
司法改革によって、確かに弁護士は大量に生まれました。それと同時に、どうしようもない無能弁護士も大量に生んでしまったのです。規制改革の一環として、弁護士間の競争を推し進めるとしていましたが、実態は誰も怖がって弁護士の市場退出を促す事には手を付けようとしていません。
本格的に弁護士を訴える弁護士、懲戒請求を請け負う弁護士が出てこない限りダメでしょう。また、各都道府県の弁護士会も弁護士によって処分を決めるのではなく、第三者を入れない限り決して上手く行かないでしょう
開かれた裁判所も重要ですが、開かれた弁護士感覚の方がもっと重要ではないかと思います。

裁判をする前に見ておきたいサイト
弁護士懲戒処分検索センター
弁護士と闘う
司法ウォッチ
家庭裁判所チェック

雑感:文芸春秋の酒鬼薔薇の報道について

2015-04-13 13:26:25 | 日記
「酒鬼薔薇の報道について」というブログを読みました。そして、文芸春秋2015年5月号を読んで見ました。
このような内容であれば、井垣元判事を批判するのはどうかと正直思います。公開された判決文は、今後少年法を議論するうえでの必要な議論材料です。彼に守秘義務があるのであれば、その点については批判されるべきでしょうが、これは明らかに公共性があります。
一部研究者にはコピーが以前から渡っていたようですが、それでは問題に解決にはならないでしょう。それもあって文芸春秋に出したのでしょうね。
さらに言うならば、審判の元となっているはずの家裁調査官の報告書も公開してほしかったと思います。

インサイダー?要約が雑すぎて事件が分からない第二小法廷

2015-04-12 12:58:50 | 日記

平成25(あ)1676  詐欺,証券取引法違反,金融商品取引法違反被告事件
平成27年4月8日  最高裁判所第二小法廷  決定  棄却  大阪高等裁判所

第二小法廷で扱った事件ですが、第二小法廷は事件の要約すら本当に雑で、何を言おうとしているのか分かりません。正直、この判事たちの能力を疑います。
あくまでも以下は推測です。被告が争点として上げたのは、金融商品取引法166条なので、恐らくインサイダー取引ではないかと思います。
詐欺行為云々については、判決文の中にも出ていないので分かりませんが、インサイダーであれば新聞記者であっても対象となるべきであるので、この判決は妥当だとは思います。
しかし、何度も書きますが第二小法廷の判事たちは、事件の要約をはじめ、まともに仕事をする気があるのかと思えるぐらい雑です。
判決は裁判結果の報告だけではなく、次に起こるであろう似たような裁判に関する先行事例になるべきです。ここまで雑にやられると、参考にしようがありません。

第二小法廷
裁判長裁判官 山本庸幸 ややずれている
裁判官 千葉勝美 ややずれている
裁判官 小貫芳信 ややずれている
裁判官 鬼丸かおる  ややずれている


なおこのブログを見て心配になっている皆さんへ。
これは名誉棄損には当たりません。公務員が公務の仕事に関して私はクレームを言っているのであり、刑法によると公務員または公選の公務員の候補者に関する事実に関しては、公益目的に出たものである、ということまでが擬制され、真実性の証明があれば罰せられません(230条の2第3項)。
1最高裁の判決を引用している。
2高度に公益性のあることを書いている。
3最高裁判所の裁判官は公務員である。

参考程度に
第二百三十条の二  前条第一項の行為が公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあったと認める場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。
2  前項の規定の適用については、公訴が提起されるに至っていない人の犯罪行為に関する事実は、公共の利害に関する事実とみなす。
3  前条第一項の行為が公務員又は公選による公務員の候補者に関する事実に係る場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。

親権者は子供の管理をどこまですべきか

2015-04-10 13:27:02 | 日記
平成24(受)1948  損害賠償請求事件
平成27年4月9日  最高裁判所第一小法廷  判決  破棄自判  大阪高等裁判所

この事件は、小学生の子供が放課後に校庭でサッカーの練習をしていたところ、ボールが道路に飛び出てしまいました。そこに運悪く85歳の老人が運転するバイクの前に飛び出しました。それに驚いた運転手の老人は転倒して、その怪我がもとで死亡しました。
このときこの老人の家族が、子供の親に監督責任義務違反で損害賠償を請求しました。

これは突っ込みどころ満載な気がします。
第一に、85歳でバイクを運転していたという点です。免許がある以上、運転能力があると見なされるのでしょうが、肉体的に運転能力は本当にあったのでしょうか。
第二に、そもそもボールはこの老人に当たっていない。
第三に、85歳という高齢者が転倒してそれがもとで死亡したとするには、かなりこじつけ感がないか。
第四に、訴える相手は校庭の管理者、ここでは校長か自治体の長を施設の管理義務を怠ったとして訴えるべきではなかったのか。

間接的であっても過失傷害(刑法209条1項)は成立するようなので、第二に関しては不法行為となるかどうかは争いの余地があるかもしれません。これが成立したと仮定して、民法第709条「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」となっています。ただし、要件として「侵害行為と損害との間に因果関係があるか」がありますが、第三のことからやはり無理があるとしか言いようがないと思えます。最大要求して事故による直接の怪我に留めるべきで、死亡に至ったとするのは要求しすぎでしょう。
今回の判決に関しても、どの部分に因果関係は認められないとまでは明言していませんが、民法709条の適用は認めませんでした。この点において極めて常識的かつ適切な判断だと私は思います。

そしてこの判決の中で、未成年者の行為の監督義務(民法714条 責任無能力者の監督義務者等の責任)の範囲にある程度の目星をつけた点です。この点で、判決は以下のように書いています。
危険な行為に及ばないよう日頃からCに通常のしつけをしていたというのであり,Cの本件における行為について具体的に予見可能であったなどの特別の事情があったこともうかがわれない。
いたずらでやった行為であるならばまだしも、子供の過失でかつ親が日常的に教育をしていれば良いことになります。これもまた常識的でかつ適切な判断だと思います。

第一小法廷裁判官全員一致の意見です。
裁判長裁判官 山浦善樹
裁判官 櫻井龍子
裁判官 金築誠志
裁判官 池上政幸

収監中の人物は即時抗告できないのか

2015-04-08 10:57:38 | 日記
平成26年(し)第567号
再審請求棄却決定に対する即時抗告棄却決定に対する特別抗告事件
平成27年3月24日 第二小法廷決定

裁判中にAさんは,京都刑務所で服役中の平成21年7月に本件再審請求をし,原々審からの求意見に対して意見書を提出した後,平成22年9月,同刑務所を出所し,原々審に対し,住居を川崎市内のアパートに変更したため以後裁判所からの書面は同所に送付されたい旨の住居変更の届出書を住民票の写しとともに提出しました。
ところが、本件再審請求を棄却し,同年4月2日,その決定謄本を前記届出住居に宛てて郵便により送達する手続をしたが,「あて所に尋ねあたりません」という理由で返送されました。別件で逮捕,勾留されて起訴され,本件付郵便送達当時は,横浜拘置支所に収容されていたのです。
こうしているうち、本件での即時抗告期間が過ぎ、特別抗告ができなかったことを不服として訴えたものです。

この件について、最高裁は「前記事実関係によれば,申立人は,自ら再審請求をしたにもかかわらず,前記住居変更の届出書を提出した後,原々決定謄本について本件付郵便送達がなされるまで,裁判所に対して住居等の変更届出や連絡をしてこなかった一方で,原々審は,申立人の所在を把握できず,他に申立人が別件で刑事施設に収容されていることを知る端緒もなかったのである。このような事実関係の下では,本件付郵便送達は,刑訴規則62条1項の住居,送達受取人等の届出を申立人が怠ったことを理由に同規則63条1項により申立人本人を受送達者として前記届出住居に宛てて行ったものと理解することができ,再審請求をしている申立人が実際には別件で刑事施設に収容されていたとしても,有効と解するのが相当である。」という理由で特別抗告を認めませんでした。
刑訴法434条,426条1項により,裁判官全員一致の意見です。

要するに、Aさんが犯罪を犯して拘置所にいたことは、裁判所に連絡もなかったのだから知ったことかということのようです。確かに、一般人の感覚からすれば、犯罪を繰り返すような人はろくでもないのだからこんなもの認めるなという感じになるでしょう。
しかし、憲法第32条で裁判を受ける権利があります。これを無視していることにならないでしょうか。刑事訴訟法の方が憲法を優先しているように見えます。
私は拘置所に収監されたこともないし見学にも行ったことがないので、収監者が外部に対して連絡が取れるかどうかは知りません。恐らく収監されたことで頭がいっぱいで、取調も10時間近く行われているでしょうから、以前の裁判に関しての手続きがすっかりすっ飛んでしまっている可能性もあります。弁護士が接見していれば通知を出してもらうことも不可能ではないような気がしなくもありませんが、判決理由にこのあたりの説明が皆無なのです。
もっとも前の事件も担当している弁護士であれば、気を遣ってくれることもない事はないでしょう。本判決は余りにも大雑把な切り方ではないでしょうか。

今回の裁判官
第二小法廷
裁判長裁判官 小貫芳信 ややずれている
裁判官 千葉勝美 ややずれている
裁判官 鬼丸かおる ややずれている
裁判官 山本庸幸 ややずれている

第二小法廷は雑であるという印象をぬぐえません。

非上場企業の買い付けについて、非上場を理由にディスカウントできるか

2015-04-07 13:43:05 | 日記
平成26(許)39  株式買取価格決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件
平成27年3月26日  最高裁判所第一小法廷  決定  破棄自判  札幌高等裁判所

非上場企業の会社A社が別の会社B社に買収を受けることになりました。会社法786条2項による買い取り請求なので、A社はB社に吸収されるようでした。(786条2項株式の価格の決定について、効力発生日から三十日以内に協議が調わないときは、株主又は消滅株式会社等は、その期間の満了の日後三十日以内に、裁判所に対し、価格の決定の申立てをすることができる。)
上場企業であれば公開買い付けで値段を自由に設定して買い付けることができますが、非上場となると相対取引になるので交渉で値段が決まってくることになります。企業の買収に関して、どのような基準で計算すべきかは企業会計基準や会計準則にはありません
A社について一般的に行われているように公認会計士の監査を受けた上で、企業価値を鑑定してもらい、そこから非上場企業であることを理由に25%の値引きをされたものを提示されました。
これを不服として、A社の株主がこの値引きは不当であると訴えました。
これに対して、第一小法廷は以下のように理由を述べています。

非流動性ディスカウントは,非上場会社の株式には市場性がなく,上場株式に比べて流動性が低いことを理由として減価をするものであるところ,収益還元法は,当該会社において将来期待される純利益を一定の資本還元率で還元することにより株式の現在の価格を算定するものであって,同評価手法に,類似会社比準法等とは異なり,市場における取引価格との比較という要素は含まれていない

要するに、収益還元法は会社を収益を得る道具として長期間にわたる支配関係を前提としていること。類似会社比準法は、文字通り他の似たような会社と比べた上でこのくらいの値段が相当と類推するもので、売却を前提としている場合に多く用いられます。
今回の裁判結果は、これは実務をよく知らないで出した判断ではないかという気がしてなりません。
第一に、金融業界では収益還元法が一般的に使われていますし、個人投資家でも用いる方法です。
第二に、類似会社比準法は投機で用いる方法です。
第三に、類似会社と言っても全く同じ条件下にある企業は存在しません。あくまでも同程度の規模、社歴、事業内容の企業との比較ですが、社長のリーダーシップや経済状況によって全く株価が異なるのは、証券取引をやった人なら嫌というほど経験しているはずです。
第四に、会社は営利追求社団法人であることから、収益の道具としてA社を買収しているのです。したがって、その目的に合わせれば収益還元法で計算すべきでしょう。
第五に、赤字企業でも買収される側の株主を救済する目的で、類似会社比準法も例外的に認めるべきでしょう。

全員一致で値引きは「非上場会社において会社法785条1項に基づく株式買取請求がされ,裁判所が収益還元法を用いて株式の買取価格を決定する場合に,非流動性ディスカウントを行うことはできないと解するのが相当である。」と結論を出しました。

私の意見としては、収益還元法が原則であるべきで、類似会社比準法は例外的に認められるべきではないかと思います。したがって、収益還元法を用いたからという理由でディスカウントは認めないとするのは、筋違いかなという気がします。


第一小法廷
裁判長裁判官 池上政幸 ややずれている
裁判官 櫻井龍子 ややずれている
裁判官 金築誠志 ややずれている
裁判官 山浦善樹 ややずれている

新裁判官は小池裕氏

2015-04-03 09:07:21 | 日記
ようやく新裁判官の発表があったようです。まだ、最高裁のHPでは更新されていませんが、報道機関によると小池裕氏になったようです。

3月31日に定年退官した金築誠志氏(69)の後任です。小池氏は東大卒で、1975年に司法修習生、水戸地裁所長や東京地裁所長などを経て昨年4月から高松高裁の長官でした。

判例のデータベースによると、知的財産権と労働法に強みがあるようです。

知的財産裁判例
平成22(ワ)5063  特許権移転登録手続請求事件
平成23年11月8日  大阪地方裁判所 全文
知的財産裁判例
平成21(ネ)2465  特許権侵害差止等請求控訴事件  特許権  民事訴訟
平成22年5月21日  大阪高等裁判所 全文
知的財産裁判例
平成20(ワ)3277  特許権侵害差止等  特許権  民事訴訟
平成21年8月27日  大阪地方裁判所 全文
知的財産裁判例
平成19(ワ)5305  保証金返還請求事件  その他  民事訴訟
平成20年7月22日  大阪地方裁判所 全文
労働事件裁判例
昭和48(ワ)71  日本鋼管解雇
昭和57年7月19日  横浜地方裁判所 全文