最高裁判所裁判官の暴走を許さない

最高裁判所裁判官の国民審査は、衆議院選挙の時の「ついでに」ならないようにしましょう。辞めさせるのは国民の権利です。

トンデモ判決 高裁 浜松5人死傷、車運転の女性に逆転無罪

2019-08-30 07:54:10 | 日記
高裁なので判決文は公開されていません。

以下、NHKの報道です。
無罪を言い渡されたのは、浜松市の無職で中国籍の36歳の女性です。平成27年5月、浜松市中区鍛冶町のスクランブル交差点で車を急発進させて歩行者を次々とはね、近くに住む水鳥真希さん(当時31)を死亡させ、4人にけがを負わせたとして殺人や殺人未遂などの罪に問われました。
1審で被告側は責任能力がなかったと無罪を主張しましたが、静岡地方裁判所浜松支部はおととし7月、責任能力があったと判断し、検察の求刑どおり懲役8年を言い渡していました。
29日の2審の判決で東京高等裁判所の朝山芳史裁判長は「当日、統合失調症が悪化した状態だったことや、事故のあと突然激しく興奮した状態だったことから、行為を制御する能力が残っていたか合理的な疑いがある」として、責任能力がなかったと判断し、1審の判決を取り消して無罪を言い渡しました。



刑法第39条
心神喪失者の行為は、罰しない。
心神耗弱者の行為は、その刑を減軽する。

とありますが、解説では、
心神喪失とは、「精神の障礙に因り事物の理非善悪を弁識するの能力なく又は此の弁識に従て行動する能力なき状態」(判決文中のカタカナをひらがなにした。以下、同じ。)を指すとされ、心神耗弱は、「精神の障礙未た上敍の能力缺如する程度に達せさるも其の能力著しく減退せる状態」を指すとされている。最高裁判例によれば、「刑法上心神喪失者であるというのはその犯行の当時において行為の違法性を意識することができず又はこれに従って行為をするということができなかったような無能力者を指す」とのことであり、物事の「理非善悪」を「弁識」する能力ではなく、行為の「違法性」の「意識」、つまりは違法性の認識が問題になる。

ただ、問題は道路交通法により精神疾患の者については運転免許には制限がかけられています。それを無視しての運転ですから、これを無罪とするには問題がありませんか。

にもかかわらず、私の知っている範囲で統合失調患者と診断されている者が、車を普通に運転しています。
統合失調患者には、他の病気と同様に飲み忘れもあります。さらに、薬の量が多いのを見て、勝手にやめる患者もいます。
この間のようなあおり運転のようなことを起こす人が運転し、人を殺しても無罪になる可能性があるのですよ。この判決のどこに社会正義があるのでしょうか?

トンデモ判決:遺産分割に借金含めず 死後認知の婚外子

2019-08-28 12:00:14 | 日記
平成30(受)1583  遺産分割後の価額支払請求事件
令和元年8月27日  最高裁判所第三小法廷  判決  棄却  東京高等裁判所

相続の開始後認知によって相続人となった者が遺産の分割を請求しようとする場合において,他の共同相続人が既に当該遺産の分割をしていたときは,民法910条に基づき支払われるべき価額の算定の基礎となる遺産の価額は,当該分割の対象とされた積極財産の価額である

以下、産経新聞の報道です。

 父の死後に血縁関係が判明し、婚外子として認知(死後認知)された子が、すでに父の遺産を分割していたほかの相続人に、金銭による遺産の支払いを求めた場合、遺産の取り分の計算に借金も含めるべきなのか。婚外子が請求できる金額が争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第3小法廷(山崎敏充裁判長)は27日、「金額の算定はプラスの財産のみで計算すべきだ」との初判断を示した。5裁判官全員一致の結論。
 民法は死後認知などで遺産分割終了後に相続人になった人物は、相続分に応じた金銭による支払い請求権を有すると規定している。
 男性が平成20年に死亡した後、妻と息子は遺産を分割。24年に男性の子と認知された東京都の20代女性が、息子に約3000万円の支払いを求め提訴していた。
 息子側は、妻が男性の借金弁済を前提に預貯金の大部分を相続したため、現金はほとんど受け取っていないと主張。財産から借金を差し引くよう求めていた。
 第3小法廷は「分割対象とされた遺産の金額を基礎として算定するのが相当」と指摘。「マイナスの財産である相続債務は、遺産分割の対象とはならない」と判示した。


たった2枚の判決文です。他のサイトでも、産経新聞の引用で他の新聞社の報道が見つかりませんでした。結構重要な裁判だと思いますが。

事実認定を見ていきます。
1 亡Aの妻であるB及びAの子である上告人がAの遺産について分割の協議を成立させた後,被上告人がAの子であることを認知する旨の判決が確定した。



要するにこういう関係になっています。

民法910条の規定は,相続の開始後に認知された者が遺産の分割を請求しようとする場合において,他の共同相続人が既にその分割その他の処分をしていたときには,当該分割等の効力を維持しつつ認知された者に価額の支払請求を認めることによって,他の共同相続人と認知された者との利害の調整を図るものである(最高裁平成26年(受)第1312号,第1313号同28年2月26日第二小法廷判決・民集70巻2号195頁)。


なんか引用がおかしいですね。この事件は、単に死後認知であっても相続権はあるというだけの判断だったはずです。このブログでも2016年3月1日の記事「死後認知された子供に相続しなければならないのか?」でも取り上げました。

更に裁判所は続けます。
遺産の分割は,遺産のうち積極財産のみを対象とするものであって,消極財産である相続債務は,認知された者を含む各共同相続人に当然に承継され,遺産の分割の対象とならないものである。

ん?どう見ても論点が飛んでいます。どうやったら借金は相続の対象外になりえるのでしょうか?ならば相続放棄で借金を引き継がないことは根底から崩されませんか?資産だけよこせ、親の借金は相続しないという主張はあり得ません。


結論
相続の開始後認知によって相続人となった者が遺産の分割を請求しようとする場合において,他の共同相続人が既に当該遺産の分割をしていたときは,民法910条に基づき支払われるべき価額の算定の基礎となる遺産の価額は,当該分割の対象とされた積極財産の価額であると解するのが相当である。
第三小法廷判決全員一致でした。

裁判長裁判官 山崎敏充 トンデモ
裁判官 戸倉三郎 トンデモ
裁判官 林 景一 トンデモ
裁判官 宮崎裕子 トンデモ
裁判官 宇賀克也 トンデモ

訳わかりません。相続するなら消極も積極も一緒に引き継げよ、法の下の平等はどこに行ったんだ?といいたくなる糞な判決でした。

地裁:あおり運転されて避けようとして車で轢いたは無罪

2019-08-19 06:59:48 | 日記

先日、茨城はじめいくつかの県であおり運転をしたうえで、路上に引きずり出そうとして相手にけがを負わせた容疑者が逮捕されました。

逮捕されたからと言って、あおり運転がなくなるわけではありませんが、一安心といったところでしょうか。

さて、これと似た事件が過去にありましたので紹介します。朝日新聞の報道です。

交通トラブルの相手を車でひいて死なせたとして、傷害致死罪に問われた東京都町田市の元会社員山田義次被告(46)の裁判員裁判の判決が16日、東京地裁立川支部であった。菊池則明裁判長は「正当防衛が成立する」と述べ、無罪(求刑懲役3年)を言い渡した。

 判決によると、山田被告は2014年11月5日午後4時ごろ、町田市内の交差点で乗用車を運転中に大学生の男性(当時23)とトラブルになり、男性が被告の車内に手や顔を入れていたのに車を発進させ、後輪で頭などをひいて死なせた。  判決は、男性が激高していた状況を考慮すると、山田被告が防衛行為に出なければ殴られるなどの危険性があったと指摘。「車の発進、加速という行為以外の回避手段をとることは困難。やむを得ず身を守るために許される範囲内の行為だった」と述べた。

 東京地検立川支部の葛谷茂副部長は「判決内容を精査し、適切に対応したい」とするコメントを出した。

 

その後、この事件は上訴されたのか最終結審したのか分かりません。このまま確定していると嬉しいです。

私も似たような事件に巻き込まれ、酔っぱらい運転に追突された挙句に車のドアをへこまされガラスを割られた事件があります。このときは本当に殺されるかと思いました。 このときは平日の通勤時間帯だったため多くの人が集まってきてくれたおかげで殺されずに済んで、一方の犯人三人の少年は逃げました。 もし夜か高速道路上だったら、殺されていたでしょう。 この当時は、酔っぱらい運転も警告で済むような時代と少年法に守られて、おそらく一番年下の少年だけが自首してきたようです。それ以上は調べられないと警察にも言われ泣く泣く示談しました。 この時弁護士に言われたのは、「もしこの状態で轢いていたら過剰防衛になる」とのことでした。

少なくともアメリカでは正当性が見られるとして無罪になるでしょう。ヨーロッパでも同様だと思います。

この事件が確定していれば、判例として通用しますので頭に入れておいてください。


雑談:一票の格差よりも最低賃金の格差のほうが問題ではないか?

2019-08-17 11:05:50 | 日記

一票の格差をめぐって、都市部と地方の差が2倍以内になっていないと裁判をしている人たちがいますが、本来司法は政治に関与してはならないため訴えは退けるべきだとするのが私の立場です。

その一方で、地方と都市部の最低賃金の格差はどうなのでしょうか?これこそ居住地によって差別されているというべきでしょう。

もし、都市部並みの最低賃金にしたら地方経済は駄目になるという主張を聞きますが、全くナンセンスです。この格差があるから、地方から都市部に人口が移動するのです。同一労働、同一賃金であるならば、地方も都市部も同じであるべきではないでしょうか。

政治家にはこの疑問に是非とも答えて欲しいと思います。


死刑確定後、手紙の閲覧制限は時候の挨拶も含む

2019-08-13 08:13:54 | 日記

平成30(行ヒ)299  措置取消等請求事件 令和元年8月9日  

最高裁判所第二小法廷  判決  破棄自判  大阪高等裁判所

死刑確定者が親族以外の者との間で発受する信書につき刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律139条1項2号所定の用務の処理のために必要とはいえない記述部分がある場合における同部分の削除又は抹消の可否(積極)

ニュースには出てこなかったので、裁判所の認定から見ていきましょう。

1 本件は,死刑確定者である被上告人が,被上告人宛ての信書の一部について受信を許さないこととして当該部分を削除した拘置所長の措置は違法であると主張して,上告人を相手に,同措置の取消しを求めるとともに,国家賠償法1条1項に基づく損害賠償を求める事案である。

賠償金云々は裁判を始めるための手続きなので、図々しいと思わないでください。死刑執行を待つ人が、拘置所外からの手紙を100%渡していないので、全部見せろと訴えたようです。

2 「死刑確定者処遇規程」16条は,死刑確定者に対し,面会及び信書の発受が予想される者の申告を求め,所管の統括矯正処遇官は,当該死刑確定者と上記申告がされた者との間における外部交通の許否の方針について所長の決裁を受けるものとする旨を定めている。所長は,同条に基づき,同年7月31日当時,被上告人の親族38名,弁護士14名及び友人1名について被上告人との外部交通を許す方針としていたが,Aは,被上告人の親族ではなく,所長が被上告人との間の外部交通を許す方針としているその他の者にも含まれていなかった。

基本的には、見せる見せないは所長権限ですが弁護士と相談の上、親族からの手紙なら見せようということにしていたようです。

3 刑事収容施設法139条1項各号に該当せず,同条2項により受信を許すべき事情も認められないが,本件信書のその余の部分については,同条1項2号に該当すると判断した。・・・削除後の本件信書を交付した。なお,削除とは,信書の一部を物理的に切り取ることをいう。

今回は親族以外からの手紙が届いたので法に基づいて見せないと所長は判断しました。全く見せないというわけではなく、不適切部分を削除して見せたようです。

4 平成27年8月3日から同月14日までの間の1日当たりの通数は,受信が249~548通,発信が350~505通であった。

5 被収容者が外部から受ける信書は,被収容者が発する信書と異なり,使用可能な筆記具及び用紙に制限がないため,その一部について受信を許さないこととして抹消する場合,抹消すべき部分を判読不能な状態にするためには,同一色の筆記具を用いて塗り潰すだけでは足りず,数種類の筆記具を用いて塗り潰すなどする必要があった。

無茶苦茶な量ですね。139条は以下の通りになります。

第百三十九条 刑事施設の長は、死刑確定者(未決拘禁者としての地位を有するものを除く。以下この目において同じ。)に対し、この目、第百四十八条第三項又は次節の規定により禁止される場合を除き、次に掲げる信書を発受することを許すものとする。

一 死刑確定者の親族との間で発受する信書

二 婚姻関係の調整、訴訟の遂行、事業の維持その他の死刑確定者の身分上、法律上又は業務上の重大な利害に係る用務の処理のため発受する信書

三 発受により死刑確定者の心情の安定に資すると認められる信書

2 刑事施設の長は、死刑確定者に対し、前項各号に掲げる信書以外の信書の発受について、その発受の相手方との交友関係の維持その他その発受を必要とする事情があり、かつ、その発受により刑事施設の規律及び秩序を害するおそれがないと認めるときは、これを許すことができる。

原審は129条に反しない範囲で削除すべきだとしました。

(信書の内容による差止め等) 第百二十九条 刑事施設の長は、第百二十七条の規定による検査の結果、受刑者が発受する信書について、その全部又は一部が次の各号のいずれかに該当する場合には、その発受を差し止め、又はその該当箇所を削除し、若しくは抹消することができる。同条第二項各号に掲げる信書について、これらの信書に該当することを確認する過程においてその全部又は一部が次の各号のいずれかに該当することが判明した場合も、同様とする。

一 暗号の使用その他の理由によって、刑事施設の職員が理解できない内容のものであるとき。

二 発受によって、刑罰法令に触れることとなり、又は刑罰法令に触れる結果を生ずるおそれがあるとき。

三 発受によって、刑事施設の規律及び秩序を害する結果を生ずるおそれがあるとき。

四 威迫にわたる記述又は明らかな虚偽の記述があるため、受信者を著しく不安にさせ、又は受信者に損害を被らせるおそれがあるとき。

五 受信者を著しく侮辱する記述があるとき。

六 発受によって、受刑者の矯正処遇の適切な実施に支障を生ずるおそれがあるとき。

2 前項の規定にかかわらず、受刑者が国又は地方公共団体の機関との間で発受する信書であってその機関の権限に属する事項を含むもの及び受刑者が弁護士との間で発受する信書であってその受刑者に係る弁護士法第三条第一項に規定する弁護士の職務に属する事項を含むものについては、その発受の差止め又はその事項に係る部分の削除若しくは抹消は、その部分の全部又は一部が前項第一号から第三号までのいずれかに該当する場合に限り、これを行うことができる。

 

これに対して最高裁は

(1) 刑事収容施設法は,死刑確定者の信書の発受について,親族との間においては,これを許すものとする(139条1項1号)一方,親族以外の者との間においては,重大用務処理のため発受する場合(同項2号)又は発受により死刑確定者の心情の安定に資すると認められる場合(同項3号)にこれを許すものとし,それ以外の場合には,その発受の相手方との交友関係の維持その他発受を必要とする事情があり,かつ,その発受により刑事施設の規律及び秩序を害するおそれがないと認められるときに,これを許すことができるものとしている(同条2項)。

刑事施設の長は,死刑確定者が親族以外の者との間で発受する信書につき,重大用務処理のために必要な記述部分のほかに,そのために必要とはいえない記述部分もある場合には,刑事収容施設法139条1項3号又は同条2項によりその発受を許すべきものと認められるときを除き,同条1項に基づき,同部分の発受を許さないこととしてこれを削除し,又は抹消することができると解するのが相当である。

・・・本件記述部分の内容は,時候の挨拶並びに被上告人に対する謝意及び激励であって,重大用務処理のために必要なものとはいえず,刑事収容施設法139条1項3号又は同条2項に基づきその発受を許すべき事情もうかがわれない。 結論 これを削除したことについて,裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用した違法があるとはいえない。

第二小法廷全員一致でした。

裁判長裁判官 三浦 守

裁判官 山本庸幸

裁判官 菅野博之

裁判官 草野耕一

当然ですね。それでも若干、時候の挨拶ぐらいはという気もしなくもないですが、諸外国では脱獄の暗号通信にも使いますので、本当に重要なところだけ、かつ親族にに限定しても悪くはないのではないでしょうか。


水戸地検のボケ:小型特殊自動車による牽引には牽引免許が不要

2019-08-12 08:37:35 | 日記
最高裁に上告せず、検事総長が取り消した事件です。
朝日新聞の報道では


水戸地検は9日、検察官による誤った法令の解釈が原因で道路交通法違反の略式命令に至ったとして、最高裁判所がこの略式命令を取り消す判決を言い渡した、と発表した。
 地検によると、判決は同日付。罰金刑を受けた対象者は2010年4月、境町の道路で、牽引(けんいん)免許がないのに小型特殊自動車(トラクターなど)を使って車両を牽引したとして、古河区検によって道交法違反(無免許運転)の罪で略式起訴された。古河簡裁もそのまま略式命令を出し、対象者は罰金25万円を納付した。
 ところが今年3月、同種の事案を調べていた際に、小型特殊自動車による牽引には牽引免許が不要だと気づき、誤認だったと判明したという。
 このため、検事総長が6月20日付で、確定判決の誤りを正す「非常上告」の手続きを最高裁に対してとった。水戸地検の横井朗次席検事は「今回の事例を猛省し、再発防止に努める」と話した。


25万の罰金って・・・
小型トラクターが10tトラックをけん引していたわけではあるまいし、検事も相当おバカですが、簡易裁判所も起訴内容を認めたわけで、どうなってるのでしょうか。
地方に住んでいれば、荷台をけん引しなければ作業にならないことは猿でもわかります。地検の検事の名前を出さなかったのは武士の情けでしょうか?公務員の公務員としての仕事なので、名前をさらしても名誉棄損にはなりませんからね。

これって、国家賠償請求ものですよね。

相続した人がさらに相続親族の債務相続放棄、本人認知から3カ月になんとかしろ

2019-08-10 13:22:07 | 日記
平成30(受)1626  執行文付与に対する異議事件
令和元年8月9日  最高裁判所第二小法廷  判決  棄却  大阪高等裁判所

民法916条にいう「その者の相続人が自己のために相続の開始があったことを知った時」とは,相続の承認又は放棄をしないで死亡した者の相続人が,当該死亡した者からの相続により,当該死亡した者が承認又は放棄をしなかった相続における相続人としての地位を,自己が承継した事実を知った時をいう


8月は通常夏休みに入るので最高裁判決は出ないものと思っていましたが、出てしまいました。中日新聞の報道では次のようになっています。
伯父が残した債務を、相続放棄しないまま父親が死亡し、その債務を引き継ぐ形になった子どもはいつまでに相続放棄すれば返済を免れるのか。疎遠な親族の借金を知らないうちに背負ってトラブルになりがちな事例が争われた訴訟の上告審判決で最高裁第2小法廷は9日、「子ども自身が債務の相続人になったと知ってから3カ月の間に放棄すればよい」との初判断を示した。

産経新聞はもっと詳細に載せています。
民法は、自分に相続の開始があったことを知ったときから3カ月以内の「熟慮期間」に、相続を放棄するか決めなければならないとしている。これまでは伯父が残した債務についても、父親が死亡したときを熟慮期間の起算点とする法解釈が有力とされてきたが、第2小法廷は「親族の債務も相続していたことを知らないまま熟慮期間が始まるのは、相続財産を引き受けるのか、放棄するかを選ぶ機会を保障する民法の趣旨に反する」と指摘。相続放棄は有効との判断を示した。

では事実確認から見て言見ましょう。
相続は、いろいろあって面倒臭いので図にしてみます。



(1)Aさんは銀行から借金をしましたが、なくなってしまいました。
(2)ア まずの法定相続人は妻と2人の子でしたが、相続放棄をしました。図の①
イ Aさんのきょうだいが相続することになりましたが、Bさんをのぞいて相続放棄が裁判所で認められました。図の②
(3)Bさんは自分が相続人になったとは知らないまま死んでしまいました。
(4)Aさんが死亡してから3年後に銀行から、Bさんの妻と子供に返済の請求がきました。
(5)請求から4か月しての払わないので、銀行は強制執行の訴えを起こし強制執行の判断がでました。


これについて地裁は、
民法916条にいう「その者の相続人が自己のために相続の開始があったことを知った時」とは,丙が自己のために乙からの相続が開始したことを知った時をいう。しかしながら,同条は,乙が,自己が甲の相続人であることを知っていたが,相続の承認又は放棄をしないで死亡した場合を前提にしていると解すべき
としました。

これに対して最高裁は、
(1) 相続の承認又は放棄の制度は,相続人に対し,被相続人の権利義務の承継を強制するのではなく,被相続人から相続財産を承継するか否かについて選択する機会を与えるものである。熟慮期間は,相続人が相続について承認又は放棄のいずれかを選択するに当たり,被相続人から相続すべき相続財産につき,積極及び消極の財産の有無,その状況等を調査し,熟慮するための期間である。
(2) 民法916条の趣旨は,乙が甲からの相続について承認又は放棄をしないで死亡したときには,乙から甲の相続人としての地位を承継した丙において,甲からの相続について承認又は放棄のいずれかを選択することになるという点に鑑みて,丙の認識に基づき,甲からの相続に係る丙の熟慮期間の起算点を定めることによって,丙に対し,甲からの相続について承認又は放棄のいずれかを選択する機会を保障することにあるというべきである。

民法916条にいう「その者の相続人が自己のために相続の開始があったことを知った時」とは,相続の承認又は放棄をしないで死亡した者の相続人が,当該死亡した者からの相続により,当該死亡した者が承認又は放棄をしなかた相続における相続人としての地位を,自己が承継した事実を知った時をいうものと解すべきである。


裁判官全員一致でした

第二小法廷
裁判長裁判官 菅野博之
裁判官 山本庸幸
裁判官 三浦 守
裁判官 草野耕一

法律がなければ何言ってるの?という感じですが、法律が「死亡を知ってから3か月」なのでこの判決は妥当だなと思います。
それにしても、親戚が死んで3年も知らなかったというのは、よほど仲が悪かったのでしょうか。海外に移住して連絡がつかなかったとか?
銀行も銀行ですが、3年も放置ってどうなんでしょうか。それこそ債権の事項になる寸前に動いたのは、悪意を感じます。

私の身の回りにも、相続放棄で似たようなことがありました。死亡を知ったのは、死亡から4か月目、慌てて死亡の連絡があった封書等資料を集めて家裁に行き相続放棄の手続きをしました。